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「社風が合わない」を理由に転職してもいい?自分に合った企業の見つけ方

社風が合わない

社風が合わないことが辛いと感じたとき、「社風が合わない会社で働き続けるより、早く辞めて転職したほうがいいのだろうか?」「そもそも社風が合わないことを理由に転職してもいいのか?」などと悩む人もいるでしょう。

今回は、社風が合わないと感じる理由や、すぐ辞める前にやっておきたい対処法、「転職先の社風が合わない」を回避する方法、転職理由の言い換え例文などについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

「社風が合わない」は転職理由になる?

「社風が合わないことが辛い」「職場の雰囲気が合わず、ストレス過多になっている」などと感じたことを理由に転職を決意するケースもあるので、「社風が合わない」は転職理由になると言えるでしょう。

しかし、実際に転職してみた結果、新たな職場でも同じように「社風が合わない」と感じ、再度の転職を考えるケースもあります。「社風が合わない」を転職理由とする場合は、慎重に検討することが大事でしょう。

どんなときに「社風が合わない」と感じるのか、考えられる理由

「社風が合わない」と感じるときには、どのような理由があるのでしょうか。考えられる理由の一例を紹介します。

仕事の進め方・やり方が合わない

職場が推奨する仕事の進め方・やり方が合わなければ、やりにくさを感じるほか、自分の強みを活かしてパフォマンスを発揮しづらいことがあります。以下に対比できる一例を挙げるので、自分に合う・合わないものについて考えてみましょう。

【対比の一例】

個人で活動する
チームメンバーと連携しながら進める

進捗状況を細かくマネジメントされる
目標を決めたら、ゴールまで個人の裁量に任される
議論を重ねて慎重に検討する
スピードを重視し、まず行動を起こす
これまでの慣習を守り、前例にならう
常に改善・変革を図る
ウォーターフォール型(上流工程から下流工程へ順序立てて進める)
アジャイル型(工程を細分化し、小さなサイクルを繰り返しながら進める)

社内の雰囲気・コミュニケーションスタイルが合わない

社内の雰囲気や環境、メンバー同士の距離感やコミュニケーションスタイルになじめないと、居心地の悪さを感じるものです。例えば、同じ業種・職種の組織であっても、以下のような違いが見られます。

【対比の一例】

個々が黙々と集中している静かな環境
会話が多く、賑やかな環境

メンバー同士が競い合う
メンバー同士が助け合う
メンバー同士の距離が近く、プライベートも共有する
メンバー同士が一定の距離を置いている
対話によるコミュニケーションを重視する
チャットなどで効率的にコミュニケーションをとる
理論的に対話する
感情を重視した対話をする

人事評価・人材育成の方針が合わない

人事評価において重視される指標(結果重視・プロセス重視など)、人材育成の方針(OFF-JTとOJTのバランスなど)などに納得感を持てないために、社風が合わないと感じることもあります。

社風が合わないと思ったとき、すぐ辞める前にやっておきたい対処法

社風が合わないと思っても、すぐに辞める決断をすれば後悔する可能性もあります。まずは以下の対処法に取り組んでみることをおすすめします。

社風が合わない原因を分析する

「何となく違和感がある」という漠然とした状態では、適切な対処ができませんし、転職活動をするにしても応募先企業をどのような基準で選べばよいかがわからないでしょう。
まずは、なぜ社風が合わないと感じるのか、どの部分が合わないと感じるのかを自己分析してみてください。先ほど挙げた「考えられる理由」の例も参考に、違和感を抱く場面を思い出して言語化してみましょう。

上司や先輩に社風の背景や魅力などを聞いてみる

社風や企業文化には、その会社の考え方や価値観などが反映されているものです。また、仕事の進め方や評価体制についても、組織としての背景や目的があることが考えられます。上司や先輩に社風の背景や魅力に感じていることなどを聞いてみることで、納得できたり、自分では気づかなかった魅力を発見できたりするかもしれません。

合わないと感じる部分を別の観点で捉えてみる

合わないと感じる部分に対し、「このような観点で考えると納得できる」「このように合わせることで自分も成長できる」など、また違う観点で捉えてみることでストレスを軽減できる可能性もあります。

人事に異動を相談する

職場への違和感を分析してみると、会社全体の「社風」というより、所属している組織の上長の考え方や方針が合わないことに気づくケースもあります。「他部署を見てみると、自分が合わないと思う環境や習慣は現在の所属部署独自のものだった」ということもあり得ます。
合わないと感じる社風が一部の組織のものである場合は、人事に相談して部署異動の道を探る方法もあります。

働き続ける場合の「ストレス」と「得られるもの」を比較してみる

社風が合わないと感じた場合でも、ほかの面ではプラスに感じている部分もあるかもしれません。今の会社で働き続けた場合に、仕事内容や今後のキャリア、給与を含む待遇、ワーク・ライフ・バランスなどの面で、自分にとってどのようなプラスがあるのかを考えてみることも大事でしょう。

働き続けた場合の「ストレス」と「得られるもの」を洗い出し、自分にとってマイナスになる点・プラスになる点を比較検討してみることで、退職・転職したほうがいいかどうかを客観的に判断しやすくなります。

「転職で実現したいこと=転職の目的」について考えてみる

社風が合わないことがきっかけで転職を考えた場合でも、退職の判断をする前に「転職の目的」を明確にすることが大事です。転職で何を実現したいのかを考え、「今の会社のままではそれを実現できない」と思った場合は、退職・転職する理由を裏付けやすくなります。また、「転職で実現したいこと=転職の目的」を明確にすることは、転職活動をスムーズに進めるために重要なポイントの一つと言えます。

転職の目的を持たずに転職した結果、「やはり社風が合わない」と感じたり、「前の会社のほうがよかった」と後悔したりするケースも見られます。また、社風に対する不満のみを理由に退職した場合、転職活動で自分に合う会社がわからず、採用選考でも苦戦してしまうケースもあります。

転職活動を始めてみる

上記の対処法を実践してみた結果、「やはり会社と自分の考え方や仕事に対する価値観にギャップがある」「この先もそれは変わらないだろう」と感じた場合は、転職を検討してみてもいいでしょう。

また、転職するかどうか決めずに転職活動を始めてみるのも一つの方法です。ほかの会社について知ることで、「今の会社を辞めないほうがいい」と思うケースもあれば、「転職したほうが自分に合う会社が見つかるかもしれない」という可能性を感じるケースもあります。

転職先で「社風が合わない」を回避する方法

これから転職活動を始める場合は、転職後に「社風が合わない」と後悔しないために、以下の方法を参考にしてみましょう。

企業の採用サイトなどで情報収集する

企業の社風を知るため、まず公式サイトに目を通しましょう。「企業理念」に加え、「Mission(ミッション)/Vision(ビジョン)/Value(バリュー)」「パーパス(企業の存在意義)」「クレド(社員が心がける信条や行動指針)」などを定めて発信している企業もあります。

これらは、企業として目指している社会貢献や組織のあり方など、大切にしたい価値観が言語化されたものであり、社風にも反映されているはずです。自分にとって共感できるかどうかを確認してみるといいでしょう。

一方、採用ページには、先輩社員へのインタビューなどを掲載している企業もあるので、日々の働き方や職場の雰囲気、一緒に働くメンバーのキャラクターなどをつかめることもあります。企業のSNSでは、公式サイトには載っていない日常の仕事・職場の様子を垣間見ることができるかもしれません。また、社長をはじめとする経営層へのインタビュー記事などをWeb上で検索してみることもできます。社風をつかむヒントにしてみましょう。

気になる企業の社員に話を聞いてみる

友人・知人・SNSなどのネットワークを活用して、興味がある企業に勤務する人にアプローチし、話を聞いてみる方法もあります。ただし、人の価値観や考え方はそれぞれ違うものなので、あくまで個人の主観として参考にすることがポイントです。

面接で率直に聞いてみる

面接を受ける場合は、採用担当者にストレートに聞いてみることもできます。その際、「御社の社風をお聞かせください」といった曖昧な聞き方をしても知りたい情報を得られない可能性があります。なるべく具体的な例を挙げながら質問することが大事です。

例えば、「現職は○○を重視する風土なのですが、御社ではいかがでしょうか」「ホームページやSNSの情報から、御社は○○を大切にする社風であると感じたのですが、実際はいかがでしょうか」といったように投げかけると、採用担当者も答えやすいはずです。

職場見学をする・現場のメンバーと対話する

面接で対話するだけでは、職場の雰囲気まではつかみにくいこともあるかもしれません。企業によっては、職場見学ができるケースもありますし、選考とは関係のないカジュアル面談で現場の社員に話を聞ける機会を設けるケースもあります。現場の雰囲気を直接感じることができるので、採用担当者に相談してみるのもおすすめです。

転職エージェントに相談してみる

転職エージェントは求人企業の経営者や社員との対話を通じ、社風をつかんでいることもあります。興味がある企業の社風を聞いてみたり、自分が希望する社風を伝えてそれに合致する企業を紹介してもらえないか相談してみたりするのもいいかもしれません。また、転職エージェントを通じて、「カジュアル面談」を申し込むことも可能な場合もあります。

応募企業の社風が自分に合っているのかを見極める方法

まずは、先に挙げたさまざまな方法を実践し、「うまく言語化できないけれど、社風に対して違和感がある」と感じたら、そこについて掘り下げていくことがポイントです。反対に、違和感がない場合は、マッチしている可能性があるでしょう。以下で、社風が自分に合うかどうかを見極める具体的な方法を紹介します。

企業の人事評価制度について、できるだけ詳しく聞く

自分が志望する職種で、どのような経歴の人が、どういった仕事で成果を出し、どのように評価され、報酬や等級(昇進・昇格)に反映されたかを詳しく聞いてみましょう。

例えば「上司がどのようなときに部下を褒め、どのような理由で叱るのか」など、具体的な事例を確認することで、応募企業で何が大事にされているのか、どのような点が評価されているのかを把握しやすくなります。評価体制や傾向を知ることで、社風についての理解も深めやすくなるでしょう。

選考過程や内定後に、応募企業の社員(複数名)と交流できる場を設ける

企業によっては、会食を通じた面談などを行うケースもあるので、そうした場を設けることが可能かどうか聞いてみる方法もあります。仕事とはまた違う状況・環境で社員同士のコミュニケーションを観察することで、より素の状態に近い社風がわかるかもしれません。

また、選考過程や内定後の段階で、応募企業の配属予定部署やチームのミーティングやカジュアルな社内イベントに参加させてもらえないか相談してみる方法もあります。

複数の口コミサイトに書かれているコメントをチェックする

企業についての口コミサイトにどのような内容が書かれているのかを調べてみる方法もあります。ただし、口コミのコメントは、人それぞれの主観で書くものなので、複数のサイトで確認し、さまざまなコメントの内容をチェックした上で、総合的な視点で検討することが大事でしょう。例えば「トップダウンの社風」など、複数名が同じようなキーワードで言及している場合は、実際にそのような社風があるのかもしれません。

面接で「社風が合わない」を退職・転職理由として伝える例文

面接で退職・転職理由を聞かれた際に、「社風が合わないという理由をそのまま回答してもいいのだろうか」「ネガティブに受け止められるのではないか」などの不安を抱く人もいるでしょう。ここでは、「社風が合わない」を前向きな内容に言い換えて伝える例文を紹介します。

職場の雰囲気が合わない場合の例文

現職での経験を活かしつつ、新たな環境でスキルアップを図り、より成長していきたいと考えたことが転職理由です。現職の職場は非常に働きやすく、恵まれた環境だと感じますが、ルーティンの業務が中心であるため、新たな経験を積んでスキルアップする機会がなかなかない状況があります。また、保守的な社風のために、自ら新たな提案をしても実現することが難しいと感じました。自分をより成長させていくために、リスクを恐れずに挑戦していける環境で働きたいと考え、転職を決意しました。

仕事の進め方が合わない場合の例文

再現性を高められる仕事をしていきたいと考え、転職を決意しました。前職は、社員同士のコミュニケーションが活発で活気がある職場でした。しかし、勢いや感覚値を重視して仕事を進めていく風土があり、事業や業務に対し、継続的な振り返りと改善を行う機会が少なかったため、単発で終わる施策も多く、「もっと再現性を高められる環境で働きたい」と考えました。今後は、中長期的な視点で仕事に取り組み、成功も失敗も次に活かして着実な成果につなげながら、自分自身を成長させていきたいと考えています。

社風が合う企業に出会うには、転職エージェントに相談してみよう

転職エージェントは、企業の経営者や人事担当者とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、採用の背景、社風やカルチャーなどを把握しているケースがあります。転職エージェントだからこそ入手が可能な情報を、ぜひ活用してみてください。

転職エージェントとの面談では、自身の志向や価値観についても伝えておくと、それらがマッチする=社風が合う企業の求人を紹介してもらえる可能性があります。社風が合う企業に出会うために、サポートを受けてみてはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2024年07月05日 記事更新日:2025年02月20日

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