「仕事に疲れてつらい」「会社を辞めたいと思うくらい、仕事に疲れた」。というように 仕事に疲れてしまい、悩んでいる人もいるでしょう。そのような ときはまず仕事に疲れたと感じる原因を明らかにすることが大切です。仕事に疲れたと感じる原因や対処法などについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント・粟野友樹氏がアドバイスします。
仕事に疲れたと感じる原因とは
会社を辞めたくなるくらいに「仕事に疲れた」と感じるのは、どのような原因によるものなのでしょうか。労働時間の長さはもちろんですが、仕事内容や職場の人間関係、労働条件の不十分さなどから疲れを感じてしまう人も多いようです。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果」によると、会社を辞めたいと思う理由には以下が挙げられています。こうした状況で仕事をすることで、ストレスが溜まり体調を崩してしまったり、仕事の成果が出しにくかったりする要因につながることも少なくありません。まずは、「仕事に疲れた」と感じてしまう原因を明確にし、改善していきましょう。
転職入職者が前職を辞めた理由別割合
男性 | 女性 | |
仕事の内容に興味が持てなかった | 4.5% | 5.9% |
能力・個性・資格を生かせなかった | 4.0% | 4.3% |
職場の人間関係が好ましくなかった | 8.3% | 10.4% |
会社の将来が不安だった | 7.1% | 4.4% |
給料等収入が少なかった | 7.6% | 6.8% |
労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 9.1% | 10.8% |
仕事の内容に興味が持てなかった
仕事内容に興味が持てない場合、やりがいを感じにくく、モチベーションも上がりにくいため、疲れを感じやすくなりこともあります。
能力・個性・資格を生かせなかった
担当する仕事で自分の能力・個性・資格が活かせない場合も、やりがいやモチベーションが感じにくくなるでしょう。上記同様、仕事の生産性や集中力も上がりにくく、疲れやすくなる人もいるようです。
職場の人間関係が好ましくなかった
職場の人間関係がうまくいっていないと、会話が少なかったり、仕事上の助け合いやサポートなどが得られなかったりなど、仕事の負荷が多くなりがちです。仕事上の相談もしにくく、疲れを感じてしまう原因になりやすいといえます。
会社の将来が不安だった
会社の業績が良くなかったり、業界全体の景気が下がっていたりなど、会社の将来性に対して不安を感じている人もいるでしょう。給与・賞与が減ったり、人員整理などが行われたりしたときも不安を感じやすくなりがちです。そのような状況でも、疲労感を覚えてしまう ことがあります。
給料・賞与などが仕事量に対して少なかった
給与・賞与などが仕事量に対して少ない場合も、やりがいやモチベーションが感じにくくなり、ストレスや 疲れを感じやすくなるでしょう。さらに残業代や休日出勤の割増賃金など、仕事量に対する賃金支給が見合わなかった場合なども、疲れを感じてしまう原因になると考えられます。
労働時間、休日等の労働条件が悪かった
労働時間が多かったり、休日が少なかったりなど、労働条件が悪いことも疲労感を蓄積する大きな原因となります。
厚生労働省による「令和4年雇用動向調査結果の概況」調査データでも、会社を辞める理由として、男性の9.1%、女性の10.8%が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」を挙げていることからも、労働時間や労働条件は大きな要因の一つと言えるでしょう。
将来のキャリアに不安を感じる
担当している仕事の経験・スキルが、将来のキャリアに活かせる気がしないなど、現在の仕事を続けていても将来のキャリアに繋がらないと考えていると、ストレスや疲れを感じてしまうことがあるでしょう。
なぜ、不安に感じているのかが自身で理解できている場合は、転職や異動などを検討できますが、それが明確でない場合、よりストレスが溜まり、疲れを感じてしまう人も少なくないようです。
仕事に疲れたときの対処法
仕事に疲れたと感じた原因が見えてきたら、その原因解消に向けて、以下のような対処法を試してみましょう。
仕事内容を見直す
「仕事内容にやりがいを感じない」「仕事量が多すぎる」「担当プロジェクトの責任が重すぎる」「目標数値が高すぎる」など、仕事内容に原因を感じている場合は、上司や同僚に相談して、仕事内容を見直してみましょう。
負荷が高い仕事量や達成が難しい目標数値などを、適切な仕事量・質に調整してもらうことで疲れの蓄積が減るかもしれません。また、仕事のやり方・進め方などについてもフィードバックやアドバイスをもらうことで業務の効率化に繋がり、負担が軽くなる可能性もあります。
異動を願い出てみる
自身がやりたいと考えている仕事内容や、将来目指すキャリアとはズレている業務プロジェクトを担当している場合は、モチベーションも上がらず仕事への疲れを感じてしまうことがあるかもしれません。
そのようなときは、上司に思い切って異動を相談してみるのも一つの方法です。目指すキャリア、意欲的に取り組める仕事、業務量や働き方などをきちんと上司に伝え、それらに合うと思われる仕事や部署などがあれば異動を願い出てみるのもいいでしょう。
休みをとる
仕事に疲れたという辛い気持ちのままでは、ストレスも蓄積してしまいます。心身の疲労を回復してリフレッシュすることは、仕事に意欲的に取り組んだり、良いパフォーマンスを発揮したりする上で重要です。
会社を休んで仕事から少し離れた状況で休養を取ってみるのもいいでしょう。しっかり睡眠を取って休んだり、仕事のことは忘れてリラックスしたり、のんびり休みをとりましょう。
プライベート時間を充実させる
上記のような対処法で残業時間や業務量を減らすことができたなら、休日や夜間は仕事から離れる、趣味や友人との食事時間など、仕事以外の時間を充実させるのも1つの方法です。
ランニングやウォーキング、筋トレ、ヨガなど、体を動かしたり、リラックスできる運動をしたりすることもストレス解消につながるかもしれません。適度な運動をすることで、睡眠不足の解消などの効果も期待できるからです。
仕事に疲れてしまったときの注意点
仕事に疲れてしまったときは、自分を追い込む行動をとってしまうことがあります。仕事に疲れていても避けたい行動、注意点についてお伝えします。
感情に任せて辞めてしまわない
仕事の疲労やストレスの蓄積などによって疲れが溜まると、冷静・客観的な思考がしづらくなったり、ネガティブ思考になったりしまいがちです。
「仕事を辞めてしまいたい」という感情が短期的に高まったとしても、すぐに辞めずに一呼吸置いて考えてみる、感情を書き出して整理してみることなどが大切です。
我慢しすぎない
仕事の疲れやストレスなどを、自分の中に溜め込みすぎないことも大切です。職場や家族・パートナー、友人知人などに相談してみましょう。愚痴を聞いてもらうことでガス抜きしてみてはいかがでしょうか。
また、社内外の専門家(産業医や保健師、衛生管理者、カウンセラーなどの相談機関や専門医など)に相談してみるのもいいでしょう。
転職エージェントに「仕事の疲れとなる原因」を相談してみよう
今回ご紹介したような対処法でも、仕事の疲れが解消できない場合は転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。仕事の疲れとなっている原因の相談や自己分析などをサポートしてもらうことで、新たなヒントが見つかるかもしれません。
キャリアアドバイザーに現状の悩みや不満・不安、自身が抱えている課題を相談することで、自分でも気づいていなかった原因が明確化することもあります。アドバイスを受けながら、仕事の見直しを行ってみましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。