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短期離職を繰り返すと転職に影響する?在籍期間の目安や転職活動のポイント

短期離職

短期で離職を繰り返した場合、その後の転職活動に影響するのでしょうか。また、「短期」に目安はあるのでしょうか。

そこで、短期離職の期間の目安や採用担当者が懸念するケース、短期で離職するかの判断軸や短期離職で転職を実現した事例ついて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏がアドバイスします。

短期離職とは? 目安の期間はある?

一般的に、短期離職とはどの程度の期間での退職を指すのでしょうか。データを交えて解説します。

 1~3年程度が短期離職の目安期間

「短期離職」の短期の年数に、明確な定義はありません。一般的に、短期離職の目安としては、入社後3年程度を指すケースが多いようです。

ただし、企業の短期離職の捉え方は様々です。企業だけでなく、業界や職種によっても短期離職の考え方は異なるので、あくまで目安として考えましょう。

正社員で直近2年未満で離職した人の割合

厚生労働省が発表した「令和2年転職者実態調査の概況」によると、転職者の直前の勤め先の通算勤務期間は、正社員で1年未満が16.9%、1年以上2年未満が18.3%という結果となり、合計すると2年未満に離職した人は3割を超えています。

出典:「直前の勤め先及び現在の勤め先の状況」(厚生労働省)

短期離職で採用担当者が懸念するケース

短期間の離職で、採用担当者から懸念されるのはどのようなケースが挙げられるでしょうか。代表的な3つのケースをご紹介します。

退職・転職理由に一貫性がない場合

採用担当者は、面接で退職理由や転職理由を聞くことで、入社後に同じ理由で辞めてしまわないか、やりたいことを実現してイキイキと働けるかを確認していると考えられます。退職理由や転職理由に一貫性がないと、キャリア観や仕事に対する意欲が掴めず、定着性や活躍可能性を判断することがしにくいでしょう。

また、自分の中では一貫していても、他者からは脈絡がないように聞こえてしまうこともあるため、退職理由や転職理由は、客観的な納得感を意識して伝えるようにしましょう。

短期離職を何度も繰り返している場合

短期離職を何度も繰り返している場合、企業によっては「ひとつの仕事に取り組むことが苦手なのでは」「計画性がないのでは」といった懸念を持たれる可能性があります。ただし、職務内容や転職理由によっては、短期離職が合理的なケースもあるため、その都度明確な理由があることを説明するようにしましょう。

影響力の大きいポジションの場合

プロジェクトマネジャーや事業の責任者など、会社組織に対して影響力の大きいポジションを任せられている中で短期離職をしている場合は、責任感や判断力を懸念される可能性があります。特に、応募しているポジションが事業に大きな影響を与える重要な役割だった場合は、選考も慎重になるでしょう。短期離職について面接で理由を聞かれる可能性が高いので、納得できる回答を準備しておきましょう。

短期で離職するかの判断軸

在籍している企業を辞めるかどうか迷っている場合は、勢いで判断せず、現状を見つめ直し冷静に考えてみましょう。離職判断のための3つの軸をご紹介します。

明確な転職理由がある

例えば、「現職は新卒採用をしていないので、転職して新卒採用に携わりたい」「販売職として働いていたが、自社商品では顧客のニーズに応えられないことが多かったため、幅広くニーズに応えられるような仕事をしたいと考えるようになった」など、現職では実現できない明確な転職理由がある場合は、転職という選択肢も考えられます。志望動機や転職理由に説得力があるため、短期離職への懸念を払しょくできる可能性があります。

転職活動では、業界や企業研究を念入りに行い、転職理由が実現できそうな企業を探しましょう。

現職の労働条件が悪い

「残業が多すぎる」「賃金(給与)が低い」など、現職の労働条件が明らかに悪い場合は、離職も有力な選択肢になるでしょう。労働条件が悪いと、仕事への満足度やモチベーションが下がり、長く働き続けることが難しくなることもあります。また、ワーク・ライフ・バランスが実現できないまま働き続けると、心身に負担がかかる可能性もあります。

現職の労働条件が悪いかどうか判断できない場合は、同業界・同職種の求人を確認すると判断しやすくなるでしょう。

ストレスが蓄積している

休日もリフレッシュできないほどストレスが蓄積している場合も、離職を考えた方が良いかもしれません。無理をして仕事を続けると、心身に影響が出てしまう可能性があります。また、ストレスをため込んでしまうと、回復するのにも時間がかかるかもしれません。ゆっくり休んでも継続的にストレスが解消しない場合は、離職という選択肢も考えられるでしょう。

転職を実現するためのポイント

短期離職であっても希望の仕事に転職するにはどうしたらいいのでしょうか。転職を実現するためのポイントをご紹介します。

退職理由を客観的に振り返る

転職活動を始めるにあたり、退職を決めた理由を客観的に振り返ることが重要です。退職理由は、「待遇に不満があった」「人間関係が悪かった」など、不満がきっかけになることもあるかもしれません。ただし、退職の理由が他責ばかりだと、採用担当者は「客観視できていないのでは」「また不満が生じたらすぐに辞めてしまうのでは」と不安になってしまいます。

退職理由を客観的に振り返って、他責の印象を与えないような伝え方を考えておきましょう。

転職の目的や優先順位を決める

短期離職に限らず、納得できる転職を実現するために重要なのは、転職の目的を明らかにして希望条件の優先順位を決めることです。転職の目的や希望条件の優先順位を決めておかないと、感覚的に意思決定をしてしまう可能性があります。また、複数企業から内定が出た際に、判断できず迷ってしまうかもしれません。

応募先企業に短期離職を懸念されてなかなか転職先が決まらない場合、焦って意に沿わない転職先に決めてしまう可能性も考えられます。転職で実現したいことや優先順位は、事前に明確にしておきましょう。

応募書類や面接での伝え方を準備する

短期で離職した場合は、面接でその理由について聞かれる可能性が高くなります。面接で聞かれた場合に、採用担当者が納得できる回答を準備しておきましょう。なお、やむを得ない事情がある場合は、履歴書や職務経歴書の職歴欄に「事業撤退のため退職」「家族の転勤に伴い退職」などと補足するのも一案です。

仕事を続けながら転職活動をする

過去に短期で離職を繰り返している場合、応募する企業によっては定着性を不安視されてなかなか内定が出ない可能性があります。転職活動が長期化する場合に備えて、できる限り仕事を続けながら転職活動を進めるという方法があります。仕事と転職活動を並行して行った場合、職歴にブランクが生じず、収入面での不安が軽減される点もメリットのひとつでしょう。

短期離職で転職を実現した事例

実際に、短期離職で転職を実現した事例を、在籍期間別にご紹介します。

在籍期間3カ月のケース

大手通信企業で経理を担当していたAさんは、経理の専門知識を身につけるために転職したものの、業務分担が細分化されていて、サポート業務が多く成長実感がないのが悩みでした。

在籍したのが3カ月と短かったので、応募の段階で「短期間で転職する理由」や、前回の転職は安定性や年収アップなどを優先してしまい検討が甘かったという「客観的に振り返った自身の反省点」を伝え、事情を理解してもらえた企業との面接に絞りました。

その結果、これまで一貫して経理を経験していたこと、簿記2級の資格を持っていること、成長意欲が強いことなどを総合的に評価され、コンサルティングファームの経理に転職が実現しました。

在籍期間1年のケース

民間スクールでスクールマネージャーに就いていたBさんは、資格取得やスコアを上げるといった試験対策としての教育ではなく、人や組織の成長や育成に関わるキャリアに転換したいと考え、在籍期間1年で転職活動を始めました。

まず、過去のキャリアを振り返り、経験が活かせそうな業界・職種を検討したそうです。マネジメントをしていたメンバーは若手が中心だったので、マネジメント経験をアピールするなら従業員の平均年齢が若い業界・企業が有効だと考え、ベンチャー企業を選ぶことにしました。また、スクールマネージャーとしてバックオフィス業務を幅広く担当していたので、総務人事の仕事も応募対象としました。

その結果、スクールマネージャーとしてのマネジメント経験やメンバー育成の実績をアピールした結果、成長中のベンチャー企業の管理部門に転職が決まったのです。

在籍期間3年のケース

外資系の金融機関で営業企画の仕事をしていたCさん。ビジネスでの語学力を磨いてグローバルで働くことを目指して転職したはずが、仕事では英語をほとんど使わないことが悩みでした。3年働くうちに「やっぱり英語を使う仕事に携わりたい」と感じるようになり、転職を決意。応募先は外資系企業に絞り、十分な語学力と異業種転職でも経験が活かせることをアピールするという方向で進めることにしました。

転職活動では現職に在籍していた3年間のうちに独学で英語を学び、TOEICのスコアを伸ばしたことや、国内の社会人大学院でMBAを取得したことをアピール。また、企画職としての実績も伝えたところ、外資系メーカーの事業企画に転職することができました。

短期離職で迷ったら転職エージェントに相談を

短期離職をするか迷っている場合は、所属企業に退職を申し出る前に転職エージェントに相談するという方法もあります。転職エージェントは豊富な転職支援実績があるため、短期離職経験の場合の転職活動についてアドバイスを受けることもできるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2024年07月16日 記事更新日:2025年03月31日

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