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新卒3カ月で退職しても転職できる?退職理由の伝え方や転職実現のコツを解説

新卒3ヶ月 転職

新卒入社してまだ3カ月。しかし「入社前の想像と異なっていた」「配属先の仕事が合わない」「社風になじめない」など、早々に転職を考える方も少なくないようです。
新卒入社3カ月の方々の転職可能性、3カ月で退職するメリット・デメリット、転職成功事例、転職活動のポイントなどについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

新卒入社から3カ月で退職する人は一定数いる

厚生労働省が実施した「平成30年若年者雇用実態調査」によると、初めて勤務した会社での勤続期間は、「1年未満」が24.6%を占めています。また、勤続期間「3カ月~6カ月未満」は7.2%、「3カ月未満」は5.3%と、新卒入社から3カ月程度で退職する人は一定数いる現実が見てとれます。

  • 初めて勤務した会社を辞めた在学していない若年労働者割合
    (単位:%)平成30年

平成30年若年者雇用実態調査の概況

※出典:「平成30年若年者雇用実態調査の概況」(厚生労働省)

新卒入社3カ月で退職しても転職できる?

学校卒業後3年程度以内の人は、一般的に「第二新卒」と呼ばれます。近年の転職市場には「第二新卒」層を対象とする求人が多数あります。労働力人口の減少によって人材獲得が困難になる中、新卒採用で充足できなかった人員を第二新卒採用で補おうとする企業は少なくありません。

また、中小企業やベンチャー企業などでは、新卒と同じ位置付けで第二新卒を中途採用するケースも多く見られます。

新卒入社3カ月で退職するメリット

新卒入社3カ月で退職することにはメリットもあります。次のように考えると、ポジティブな選択であるとも言えるでしょう。

自分に合っていない仕事・風土から離れられる

入社して3カ月では、配属先の仕事が自分に合っているかどうか正確に判断できないこともあるでしょう。なかなか成果が出ないからといって早々に見切りをつけることには慎重になるべきですが、実際に仕事が合っていないこともあります。

また、仕事の進め方やコミュニケーションの取り方といった「風土」「カルチャー」については、その価値観が自分に合っていない場合、ストレスを感じてしまうものです。合わない仕事・風土から離れることによって、より自分にマッチしている仕事・風土で活躍できる可能性があります。

心身の健康を守れる

「長時間労働」「休日出勤」といった労働条件面、あるいは「パワハラ」「セクハラ」といった労働環境面で強いストレスを感じている場合、我慢して続けることで心身の不調を招くこともあります。解決策を見出せない場合は、退職することでストレスから解放され、心身の健康が守られるでしょう。

第二新卒として新たなチャンスが生まれる

転職市場には「第二新卒」をターゲットとする求人があります。それらの求人は「未経験OK」もあり、業界経験や専門スキルよりも「ポテンシャル」を重視する傾向が強いため、未経験の業界・職種へのキャリアチェンジを実現できる可能性があります。

3カ月の社会人経験の中で、仕事に対する自分の志向や価値観、得意・不得意に気付いたこともあるでしょう。退職を決断することで、より自分に合う仕事に出合うチャンスを得られます。

新卒入社3カ月で退職するデメリット

新卒入社3カ月で退職することには、デメリットもあります。以下の可能性を踏まえ、よく考えた上で判断しましょう。

給与・待遇が前職より下がる可能性もある

新卒入社で「仕事内容」「社風」「人間関係」などに不満を抱いた場合、転職活動ではそれらの改善を重視して企業選びをするかもしれません。その結果、「給与」「待遇」「福利厚生」といった労働条件面が前職より下がるケースもあり、入社時には納得していたとしても、後々不満が募る可能性もあります。

中長期視点で自分がどのようなライフスタイルを実現したいのかも踏まえ、さまざまな角度から判断して企業を選ぶことが重要です。

選考のハードルが高くなるケースがある

前述のとおり「第二新卒」枠の求人への応募が可能ですが、新卒入社から3カ月以上~3年ほどの経験を積んだ人も、同じ求人に応募していることが考えられます。そうした応募者と比較されると、より経験のある人が選考に進むことも考えられるため、、選考通過が難しくなるかもしれません。

また、「3カ月で退職する(した)」人は、応募企業から「入社してもまたすぐに辞めるのではないか」と懸念を抱かれる可能性もあります。なぜ短期間での退職を決断したのか、背景や目的を伝える必要があるでしょう。

新卒入社3カ月での転職を実現させた事例紹介

粟野氏のご経験をもとに、新卒入社3カ月で退職し、転職を実現した2人の事例をご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせ、考えるヒントにしてください。

【事例1】損害保険会社のサービス職からITエンジニアへ

学生時代の就活では、企業の知名度や平均勤続年数の長さなど「安定性」を重視して大手損害保険会社を選んだAさん。仕事内容やキャリアについてはあまり深く考えておらず、仕事を始めてみて違和感を抱きました。

事故対応といった損害サービス業務では、社外との高頻度のコミュニケーションやスピーディーな対応が求められます。また、将来的には職種転換や転勤もあることを知りました。

Aさんは自身の中に「じっくり腰を据えて1つのことに取り組みたい」「専門性を磨きたい」という志向があることに気付き、キャリアチェンジを検討し始めたのです。

「キャリア構築」を軸として求人を検討した結果、ITエンジニアの道を選び、未経験者向けの教育体制が整っているIT企業にネットワークエンジニアとして転職を果たしました。

【事例2】不動産会社の営業職からネット企業の経理職へ

就活時にやりたい仕事が見つからなかったBさんは、「稼げる仕事に就いてプライベートを充実させられればいい」と考え、不動産会社に入社しました。

しかし、売上数字という目標達成を目指すことや顧客と折衝することに難しさを感じ、「営業職への適性がない」と判断し退職。大学の経済学部で簿記3級を取得しており、お金の流れには興味があったことから、簿記2級の勉強を開始しました。

簿記を学ぶうちに「経理職」への興味が高まり、知り合いの会計事務所でアルバイトをしながら、「未経験可」の経理求人に応募。学習への意欲やアルバイトで経験を積もうとする積極的な行動力が評価され、ネット企業の経理部門に迎えられました。

新卒入社3カ月での転職を実現させるポイント

新卒入社3カ月での転職を実現させるために、転職活動において意識したいポイントをお伝えします。

前職を辞めた理由・原因を明確にする

就活時に描いていた理想と入社後の現実との間にギャップがあったとしたら、「なぜそうなったのか」を見つめ直してみましょう。その際には「会社が悪い」と他責にせず、自分自身の反省点に目を向けることが大切です。

例えば、「知名度やブランド力だけに目を奪われ、仕事内容を理解しようとしていなかった」「業界の魅力的な部分だけ見ていて、大変な部分を知ろうとしなかった」など。こうして、就活で足りなかった部分を意識した上で転職活動に臨めば、意図しない転職を避けられるでしょう。

自己分析・応募先企業の研究をする

自己分析を行い、自分がやりたいことや興味の対象、強み、価値観などを明確にしましょう。それらのキーワードを軸として求人情報を見ることで、自分にマッチする企業や仕事を判断しやすくなるでしょう。

応募先候補企業については、求人情報を見るだけでなく、さまざまな角度から調べて研究します。公式サイトのほか、企業SNS、経営トップのインタビュー記事など多面的に情報収集すれば、社風や働き方などがつかめ、自分に合っているかどうかを見極めやすくなるでしょう。

退職理由の伝え方はポジティブに

応募企業で「退職理由」を聞かれたとき、「○○が嫌だった」「○○に不満を抱いた」だけで終わらず、「これから○○がしたい」「○○を目指したい」など、前向きな目的・目標を語れるようにしましょう。

また、ネガティブな退職理由でも、表現を変えることでポジティブな印象を持ってもらえる可能性があります。以下、表現の転換例を参考にしてみてください。

  • 「上司との人間関係が悪かった」→「信頼して仕事を任せてもらうことで、成長できる環境で働きたい」
  • 「職場の雰囲気が悪かった」→「チームが一体となって協力し、目標を追う働き方がしたい」
  • 「給与が安すぎた」→「努力した成果を正当に評価してくれる会社で働きたい」

転職エージェントにも相談してみよう

まだ社会人経験が短いうちは、漠然とした不満や違和感を抱いていても、他社との比較ができなかったり客観的視点で考えられなかったりと、課題を分析することが難しいかもしれません。そんなときは、転職エージェントと対話することで自分の考えを整理・言語化しましょう。

また、新卒入社3カ月の場合、どのような転職の可能性があるのか、他者の転職事例や実際の求人案件などの情報を得ることもできます。

場合によっては、「当面は現職にとどまって○○の経験を積んだ方がいい」といったアドバイスを受け、今後のキャリア構築に向けた現職での努力目標が明確になることもあるでしょう。

まだ転職を決意していなくても相談することは可能ですので、転職エージェントのサポートサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。