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転職活動で焦る必要はない?焦りで不安になったらやっておきたいことを解説

転職 焦る

転職活動が思うように進まずに焦りを感じたとき、不安から条件面への妥協をしたり、そもそもの転職の目的を見失ってしまったりするケースもあります。
「焦って転職をしても後悔するかもしれない」「でも、なかなか決まらないことに疲れてしまった」と悩んでいる人のために、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が、焦りや不安を感じた時の考え方や、やっておきたいことを解説します。
転職活動で焦りやすい人の特徴や、焦らないほうがいい理由なども紹介するので参考にしてみましょう。

「転職先がなかなか決まらない…」焦る必要はない?

転職活動がうまくいかず、焦りや不安を感じた時の考え方を紹介します。

焦ることで、転職活動がうまくいかなくなる可能性もある

転職活動を進める中、なかなか転職先が決まらず、焦りや不安を感じる人は少なくないでしょう。しかし、焦ってミスマッチな転職先を選択すれば、入社後に後悔する可能性があります。また、焦ることで、面接でもうまくアピールできなくなってしまう人もいます。その結果、不採用通知が続いて自己肯定感が下がり、転職活動がさらにうまくいかなくなるスパイラルに陥ってしまうケースもあります。

焦りや不安にとらわれるより、転職実現に向けて必要なこと、改善すべきことに取り組むことが大事だと考えましょう。

転職先が決まるまで4カ月以上の時間をかけている人も一定数いる

「転職活動を始めてから3カ月経っても転職先が決まらない」という場合、不安に思う人もいるでしょう。
厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」(※)によれば、転職者が「直前の勤め先を離職してから現在の勤め先に就職するまでの期間」は、「1カ月未満」が27.6%、「1カ月以上、2カ月未満」が13.3%となっており、「離職期間なし」は26.1%となっています。全体の67%は、前職の会社を離職してから2カ月未満で転職先を決めていました。

しかし、その一方で、3割近くは「2カ月以上」〜「10カ月以上」と回答しており、さらに、「4カ月以上」の時間をかけている人は、全体の15.3%を占めていました。つまり、3カ月以上の時間がかかっても転職先を決めているケースが一定数はあることがわかります。

(※)出典:「令和2年転職者実態調査の概況」(厚生労働省)

転職活動で焦ってしまう人によくある特徴

転職活動で焦ってしまう人によくある特徴を紹介するので、自分に当てはまるものがないか探してみましょう。

転職活動が長引くことに不安を感じている

転職先がなかなか決まらず、活動が長期化することに不安を感じて、「このままどこにも転職できなかったらどうしよう」と焦ってしまうケースがあります。「希望条件と合わなくても、とにかく早く決めたい」と考え、妥協して入社した場合、「前職の会社のほうが待遇や労働環境が良かった」「希望していた仕事内容と違う」「将来のキャリアに役立つような経験・スキルが積めない」などの後悔する可能性があるでしょう。

転職活動によって疲労が溜まっている

在職中に転職活動を進めている場合、現職の業務と転職活動を並行することで疲労が溜まり、焦りを感じやすくなってしまうケースもあります。疲れていることによって、面接などでも本来のパフォーマンスを発揮できず、選考通過しにくくなっている可能性があるでしょう。

不採用通知が続き、メンタル面で疲れている

不採用通知が続いていることで自己肯定感が下がり、メンタル面で疲れてしまうケースもあります。なかなか決まらない中で何が正解なのかわからくなり、「もうどうすればいいのかわからない」と感じて、自分を見失ってしまう可能性もあるでしょう。

「早く転職活動から抜け出したい」と感じている

何度も選考を繰り返していく中で、「いつまでこの状況が続くのか」と感じ、「早く決めて、早く転職活動から抜け出したい」と焦ってしまうケースです。こうした場合、転職の目的よりも「転職活動を早く終わらせること」に意識が向いてしまう人もいるようです。選考を並行している企業や現職との比較検討をしっかり行わず、早く内定を出した会社にそのまま入社してしまうことで「ほかの会社のほうが条件が良かった」「前職の仕事内容のほうが自分に合っていた」などの後悔をする可能性があります。

退職後に転職活動を進めているために収入面に不安がある

退職後に転職活動を進めている場合は、長引くことに収入面の不安を感じ、焦ってしまうケースは多いものです。早く定期収入を得たいと考え、意に沿わないと感じる企業に妥協して入社してしまう人もいるでしょう。

「今の会社を早く辞めたい」と強く思っている

現職の会社に不満があり、「早く辞めたい」と思っているために焦りを感じてしまう人もいるでしょう。今の会社を早く辞めることができても、不満を解消できない転職先を選んだ場合は、また同じような焦りを感じる可能性があります。

転職活動で焦らないほうがいい理由

転職活動で焦らないほうがいい理由を紹介します。焦りをなくし、転職実現に向かって着実に活動を進めていくために、参考にしてみましょう。

転職の目的を見失いやすくなる

転職における重要な目的は、「自分の希望を叶えられる環境で働くこと」と言えます。焦って早く決めようとすれば、「転職すること」が目的になってしまい、本来の目的を見失うことで、意に沿わない企業に入社して後悔する可能性があります。再度、自分が転職で果たしたいことを見つめ直すことが大事だと考えましょう。

転職準備がしっかりできない

焦って「早く選考に進みたい」「早く転職先を決めたい」と考えることで、転職準備に時間をかけなくなってしまうケースは少なくありません。しかし、転職準備をきちんと行わずに活動を進めれば、選考にも通過しにくくなってしまうでしょう。納得のいく転職を実現するためには、応募企業の選定や応募書類の作成、面接対策などの転職準備をしっかり行うことが大事です。

応募企業の幅が狭くなる

「早く内定を得たい」と焦って応募企業を選定すれば、目先の条件にとらわれやすくなり、採用の可能性がある企業を見逃したり、今後のキャリアの可能性を広げられる仕事などに気付けなくなったりすることもあります。応募企業を探す際には、転職の目的を果たすことを前提とした上で、希望条件の幅を広げてみると、自分の可能性を広げることができるでしょう。

意に沿わない転職先を選択してしまう

納得できる転職先を選ぶためには、内定を得た後で、入社するかどうかをしっかり検討することが大事です。複数社の内定を得て比較検討することで、より納得のいく判断につながりますが、焦っている場合は早く内定を得ることができた企業に入ろうとしがちです。そのため、十分に検討することをせず、意に沿わない転職先を選択してしまうケースも少なくありません。

転職活動で焦らないためにやっておきたいこと

転職活動で焦らないためにやっておきたいことを紹介します。現時点で焦りを感じている場合でも、再度、取り組み直してみることで状況を改善できるかもしれません。

転職活動の計画を立てる

「転職したい時期」を想定し、そこから逆算して活動の期間を決めた上で、具体的な計画を立てましょう。計画に沿って転職活動を進めていくことで、焦りを無くすことができるはずです。また、頑張るべき期間が見えているため、「早く終わらせたい」という焦りも感じにくくなるでしょう。

収入面の不安を解消しておく

定期収入がなくなることに不安や焦りを感じたくない場合は、在職中であれば、在職中に転職活動ができます。反対に、退職後に転職活動を進めたい場合は、数カ月分の生活費などを確保しておいたほうが安心できるでしょう。

転職の目的を明確にしておく

「転職の目的=転職によって何を実現したいのか」を明確にしておくことは、希望を叶える転職を実現させるための重要なポイントです。転職活動を進める中で焦りを感じたときにも、本来の目的に立ち戻ることで、納得できる転職先を探しやすくなるでしょう。

希望条件に優先順位をつけておく

転職の目的をもとに、転職先に希望する条件を洗い出し、優先順位をつけておきましょう。譲れない条件の例としては、「年収」「休日・休暇」「仕事内容」「目指せるポスト」「将来のキャリア」「身につけられる経験・スキル」「社風」「福利厚生」「長く働ける制度や環境」などが挙げられます。それぞれに対し、転職先に求めることを考えた上で、譲れない条件は何か整理してみましょう。

希望条件の優先順位や譲れない条件を明確にしておくことは、応募企業の選定に役立つだけでなく、内定承諾をするかどうかを検討・判断するための重要なポイントになります。

「転職先はすぐには決まらないもの」という意識を持つ

転職活動には時間がかかるものです。焦りや不安にとらわれず、転職活動そのものに集中するために「すぐには決まらないもの」だという意識を持っておくことも大事でしょう。

「焦って転職活動がうまくいかなかった…」という人によくある後悔パターン

転職活動を進める中、焦ったことによって後悔するパターンを紹介します。

条件を妥協したことで意に沿わない転職先を選んでしまった

転職先がなかなか決まらない焦りから、譲れない条件を妥協して入社した結果、「やはり自分の求めていたものと違った」と後悔するパターンは少なくありません。
また、今の会社を早く辞めたいと思うあまり、最初に内定を得た企業に転職した結果、「前職の会社の方が年収条件や勤務時間が良かった」などと後悔するパターンもあります。

さらに、挑戦したい業界・職種があっても、「未経験だから無理」と諦めた場合や、「年収などの条件を下げたくない」と考え、仕事内容や将来のキャリアに妥協して転職した場合などは、後々に「あのときにチャレンジしておけばよかった」と後悔するパターンが挙げられます。

社風や労働環境が合わず、「前職のほうが良かった」と感じた

仕事内容や年収条件、企業規模、ネームバリューなどが希望に合致していたために、社風を確認せずに焦って入社を決めて後悔するパターンもよくあります。例えば、チームワークで仕事を進める企業から、個人成果主義の社風がある企業に転職した場合などが当てはまります。
実際に働き始めてみると、「条件面より、日々、仕事をする環境や社風の方が大事だった」と気づくこともあるでしょう。

また、前の会社の職場の人間関係や年収などに不満を感じて転職したものの、「残業することが当たり前の風土があった」「厳しいノルマを課される環境だった」など、労働環境をしっかり確認せずに後悔するパターンなどもあります。前職への不満のみが転職理由となっている人などによくあるケースと言えるでしょう。

入社後、想定していた条件と違うことに気づいた

内定後の面談で行われる労働条件の説明を聞き流していたり、内定時にもらった労働条件通知書の内容をきちんと確認しなかったりすることで、「自分が想定していたよりも年収が低かった」「転職後に勤務時間や休日出勤などが想定していたものと違っていた」などの後悔をするパターンがあります。

求人に掲載されていた年収モデルが自分にそのまま当てはまると思い込んでいたり、平均残業時間のみを確認し、繁忙期の残業状況などについてきちんと聞いていなかったりするなどで、自分の想定していた労働条件とズレが生じてしまうケースもあるでしょう。
また、仕事の習得に時間がかかったり、業務に必要なスキルが足りなかったりすることで、時間内に仕事が終わらず、残業が増えてしまうケースもあります。

想定より離職期間が長くなってしまった

「早く転職をしたい」「今の会社を辞めたい」などと考え、内定を得ることのみが目的となってしまっている場合、転職理由や転職の目的、自分の強みなどをきちんと整理しないまま意に沿わない応募先を選んでしまいがちです。また、企業分析や面接対策などをしっかり行わないまま、焦って面接の数だけを増やした結果、なかなか選考に通過できず、想定より転職活動が長期化して後悔するパターンもあるでしょう。

「転職活動に疲れた…」自分を見失わないための考え方

「転職活動が忙しくて疲弊してしまった」「なかなか転職先が決まらないことでメンタルを保てない」「もうどうすればいいのかわからなくなってしまった」と感じた場合は、転職活動から距離を置くことが必要な可能性もあります。

肉体的に疲れている場合は、しっかりと休息をとることを意識しましょう。また、転職活動に集中する日と、転職活動のことを考えない日を作るなど、メリハリのある活動計画を考えることも1つの方法です。一方、不採用が続き、精神的に疲れている場合は、自分を肯定してくれる友人と話したり、現職の業務で自分なりの小さな目標を作って達成したりすることで、自己肯定感をアップできるかもしれません。

自分を見失ってしまうほど悩んでいる場合は、「焦る必要はない」と考えることも大事です。転職活動を一時休止し、心身の疲労が回復してから活動を再開することもできます。きちんと休んだほうが自分自身のモチベーションが上がり、面接などでもパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。

転職活動で焦らないために転職エージェントを活用する方法もある

転職エージェントでは、転職支援のプロであるキャリアアドバイザーから客観的なアドバイスを受けることができます。なかなか内定を得られずに焦ってしまう時にも、相談できる相手がいれば、本来の転職の目的を見失わないで済むでしょう。
また、キャリアの棚卸しや自己分析、応募書類の作成、面接対策など、転職準備に必要なサポートを受けられる転職エージェントを活用すれば、「何をどう改善すればいいのかわからない」という焦りもなくなるはずです。
自分1人で進めることに不安がある場合は、転職エージェントを活用することもおすすめです。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。