専門技術の経験・スキルを活かせるエンジニアの仕事はやりがいがありますが、業務時間の長さや給料・賞与の金額、職場の人間関係、スキル習得などの悩みから、「エンジニアを辞めたい」と考える人も少なくないようです。
それぞれの理由に対する対処法や転職の判断基準について、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
目次
エンジニアを辞めたいと思う理由は?
エンジニアを辞めたいと思う理由は、人それぞれの異なる理由があります。粟野氏のご経験をもとに、以下のエンジニアを辞めたい理由としてよく挙げられる声を参考にしながら、今後のキャリアを考えてみましょう。
残業・深夜作業・休日出勤が多い
エンジニアの仕事は、システムや製品開発などで担当業務に納期が設定されていることが多く、急な仕様変更やトラブル対応で残業や休日出勤が発生することもあります。
近年は働き方改革により、残業や休日出勤などを削減している企業も増えてきましたが、対応しきれずに長時間労働が続き、辞めたいと悩むエンジニアも少なくないようです。
新しい技術スキルの習得が辛い
特にIT業界においては技術の進化が速く、新たな技術を学び続け、スキルアップしていかなくてはならないことを辛いと考えるエンジニアもいます。
ITテクノロジーの進化スピードについていけずに挫折してしまうというのも、エンジニアを辞めたくなる理由としてよく挙げられます。
給与・賞与など、報酬が高くない
企業規模や携わる開発工程によって、給与・賞与などの報酬に差が出ることがあります。他社のエンジニアの給与・賞与額と比較して、不満を感じていることも多いようです。
自分の技術・スキル・経験が活かせていない
自分の技術力やこれまで経験してきた知見・スキルを活かしたいのに、望む業務に携われずにモチベーションが上がらないエンジニアも多いようです。
例えば、プログラミングスキルを活かして開発業務に関わりたいのに、監視やサポート業務をしているなど、やりたい仕事ができずに辞めたいと考えてしまうケースなどがあります。
職場・常駐先での人間関係が上手くいっていない
職場でのコミュニケーションが上手く取れずに人間関係が悪くなり、辞めたいと悩むエンジニアも少なくありません。
また、クライアントの常駐先で仕事のやりとりがスムーズにいかず、トラブルになったり、ストレスを抱えたりするエンジニアも多いようです。
自分のエンジニアスキルに限界を感じている
周りに優秀なエンジニアが多かったり、エンジニアとしての成長が実感できなかったりなど、自分に自信が持てず、エンジニアとして続けていけないと考えてしまうケースもあります。
仕事にやりがいを感じられない
現在の仕事内容にやりがいを感じられず、エンジニアを辞めたいという人もいます。例えば、開発の上流工程に関与したいのに携わることができないケースや、仕事の裁量権のなさなどから辞めたいと考える人が少なくありません。
逆に、プロジェクトなどの上流工程を担当しているものの、自身が開発業務に携わることが少なく、エンジニアとして技術面での成長実感が持ちづらく、辞めたいと感じる人もいるようです。
エンジニアを辞めたくなったときの対処法
エンジニアを辞めたい理由が明確になったら、次は対処法を考えてみましょう。どのような対処法があるかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
エンジニアを辞めるメリット・デメリットを考える
エンジニアを辞めることで、「残業・休日出勤から解放される」「新しい技術スキルの習得をしなくていい」「仕事上の人間関係がリセットされる」などのメリットが得られるかもしれません。
しかし、これまで身に付けてきた技術が活かせなくなり、次の職種によっては新たな職種や業界の業務知識やスキルが求められるといったことがデメリットに感じる可能性もあるので、よく考慮するようにしましょう。
上司・同僚エンジニアなどに相談する
上司や同僚のエンジニアなどに相談することで、現在の職場での問題解決や人間関係などへの不満が解消できる可能性もあります。まずは、相談してみてはいかがでしょうか。
近年は働き方改革を積極的に推進する企業が増えています。人事に相談して、残業時間や休日出勤などの労働条件の改善を提案・相談してみるのもいいでしょう。
また、職場の人間関係に悩みを抱えている場合や、自分に合ったエンジニアとしての仕事ができる部署が別にある場合などは、異動などを検討してもらうという方法もあります。
転職することで解決できないか検討する
現在の会社ではどうしても働き方や仕事内容の改善が難しく、解決できない課題があるが、他社であればエンジニアのキャリアを継続しながら課題解決ができるかもしれないため、転職するという選択肢もあります。
その際は本当に自身ややりたいと考えている仕事、どのような領域の仕事に関わりたいか、将来はどのようなキャリアを形成していきたいかを具体的にしておくようにしましょう。
エンジニアが転職を実現させるポイント
転職することでエンジニアとしての仕事を続けていきたいと決めた場合は、以下のようなポイントを意識しながら、転職活動を進めていきましょう。
自身のスキル・キャリアを棚卸し、将来目指すキャリアを明確にする
自分のエンジニアとしての強みとなる経験・スキルを書き出し、整理してみましょう。現状の不満・不安の解消だけではなく、エンジニアとして今後どのようなキャリアを築いていきたいのか、転職する目的を明確にすることが重要です。給与・賞与などの年収額、勤務地、勤務時間などの希望条件も決めておきましょう。
転職までのスケジュールを立てる
在職中の場合は「収入が途切れる心配がない」「職務経歴の空白期間ができない」など、現職中に転職するメリットを活かし、スムーズに退職するために、まずは退職時期から転職するまでのスケジュールを立てるようにしましょう。
状況によっても異なりますが、一般的には応募から内定までの平均期間は3カ月くらいです。転職先が決まったら、引継ぎ期間などを考慮することも大切です。
現在の職場で辞めたい理由を解決できる企業を探す
現在の職場で「エンジニアを辞めたい」と思った理由を明確にし、解決できそうな企業を探すこともミスマッチを防ぐ重要なポイントとなります。
そのためには、求人情報だけではなく、業界のトレンド情報や知人の情報を活用する、エンジニアが集まる勉強会やセミナー、SNSなどで情報を収集するなどの手段があります。
また、転職エージェントのキャリアアドバイザーは市場の動向だけでなく、過去の実績から企業の社風や職場の雰囲気なども把握していることも多いので、相談してみるのもいいでしょう。
エンジニアとしての経験・スキルを活かせる仕事
「エンジニアを辞めたい」理由の解決や将来目指したいキャリアは、業界や職種を変えることで実現するかもしれません。また、どうしてもエンジニア以外の仕事に就きたい場合は、これまでの経験や技術知識を活かせる仕事を探してみるのはいかがでしょうか。
企業の社内SEとして転職する
自社システムの導入・運用を担当する情報システム部門がある企業であれば、一般的に社内SEの仕事があります。
開発自体は外注で行われることが多く、最新技術のキャッチアップを常に求められ続けることや、納期に追われることは少ないため、エンジニアとしての経験・スキルを活かしながら、余裕を持った仕事ができる人気職種です。
別職種のエンジニアにキャリアチェンジする
同じエンジニアでも、企業によって求められる技術スキルやコミュニケーションスキル、仕事環境などが異なります。アプリ開発エンジニアからインフラエンジニアというように、エンジニアとしての職種を変えてみるという選択肢もあるでしょう。
また、PM/PL(プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダー)といったマネジメントの仕事や、コンサルタントとして顧客の課題解決などに携わるといったキャリアチェンジもあります。
技術知識を活かせる仕事を探す
いろいろ考えてみたものの、やはりエンジニア以外の仕事をしたいという場合は、エンジニアの経験・スキルを活用できる企業での仕事を探してみるのはいかがでしょう。
近年は社内のデジタル化が進んでいるため、営業・マーケティング・事務系などの仕事でも技術知識や経験などが重宝されることが多いようです。
エンジニアを辞めたいと悩んだときは転職エージェントにも相談してみよう
エンジニアを続けるべきか、エンジニア以外への仕事に転職するかなど、悩んだときは転職エージェントに相談してみるのもひとつの手段です。
エンジニアの転職支援実績が豊富な転職エージェントであれば、これまでの経験や技術力を活かしてどのような活躍が可能であるのかなど、新たな視点や情報を得られるでしょう。自己分析や強みを見つけるサポートも可能ですので、活用してみてはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。