「自己PR」は自身の「強み」や「応募企業にどう貢献できるのか」をアピールするものです。履歴書や職務経歴書に記すほか、面接で聞かれることもあり、企業が採用選考において重視するポイントの一つです。
ここでは「継続力」をアピールしようと考えている方のために「自己PR」を書く際のポイントや例文を、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
企業に評価されやすい「継続力」とは?
「継続力」とは、物事を簡単に投げ出さずに続ける力を指します。以下、具体的にご説明します。
粘り強くやり抜ける
粘り強い人は、困難に立ち向かうためにストレス対処が上手で切り替えが早いなど、自分の気持ちをしっかりとコントロールできる力が備わっています。
どんな仕事でも困難やトラブルはつきものですが、企業はそういう状況下でどのように対処して乗り越えるのかを評価しています。応募先の企業に合わせて、困難への対処法や粘り強さをアピールすることで「どんな状況でも投げ出さずにやり抜ける人物」というプラスの印象を与えられるでしょう。
コツコツと積み上げられる
コツコツと積み上げられる人は、たとえすぐに結果が得られなくても仕事を続けられる忍耐力が備わっています。転職先では知識や経験の少ない仕事をする可能性もあるため、そういった状況でもコツコツ努力できるような人材が企業から求められます。
自己PRで「諦めずコツコツと積み上げてきた」ということが伝わるエピソードを書くことで、同時に「継続力」をアピールできるため、エピソードは具体的に述べるようにしましょう。
一定以上の品質を維持できる
商品やサービス、自分が提供できるスキルを常に一定以上の質に保てる能力も「継続力」の大切な要素です。基本的にどんなことでも何もしなければ質は落ちていくため、商品やサービス、自分自身の質を維持するためには継続した努力が求められるでしょう。
周りから見たら当然と思われることでも、商品やサービスの品質を維持している人は、必ず継続的な研究や努力をしているのです。そのため、一定以上の品質を維持できる人は企業内でも信頼されるでしょう。
職務経歴書の自己PR欄で「継続力」を伝える例文
具体的に職務経歴書の自己PR欄で「継続力」を伝える例文を紹介します。
粘り強い姿勢を伝える例文
積み上げられる力を伝える例文
(※過去に興味を持った対象は、応募先の分野に近いテーマであれば尚可)
品質を維持できる力を伝える例文
社会人経験が短い人の場合
社会人経験が短く「継続した」と言える実績がまだない人の場合、学生時代の取り組みをアピールしましょう。
「小学校1年生の頃から12年間、剣道を続けました。小学生の頃は1回戦・2回戦で敗退していたのですが、中学時代には強い選手の試合の動画を見て研究し、1日2時間の個人練習を続けた結果、県のベスト4に入るようになりました。高校時代は県大会で団体優勝も果たしています。
この経験を通じ、地道な努力を積み重ねることで、必ず成果につながることを学びました。仕事においても、この姿勢を忘れずに取り組んでいきたいと思います」
「継続力」をアピールする際の注意点
継続力をアピールする際に気を付けることを、具体的に説明します。
「継続力」による成長過程を伝える
コツコツ粘り強く継続してきたことがあっても、具体的な過程を伝えず成果のみを述べるだけでは、企業が知りたいことを伝えられません。
面接担当者が「継続力」で最も知りたい部分は、成果よりも継続してきた過程になります。過程とは「途中でやめようと思ったことはあるのか、やめたくなったときにどうやって乗り越えたのか」などの成果に至るまでの取り組みです。
企業にこれまで継続してきたことの過程をしっかりと把握してもらうことで、正しい評価を得られるでしょう。そのため、自己PRのエピソードを作る際は、継続の過程にフォーカスしたうえでエピソードを作るようにしてください。
「ただ続けただけ」と思われないように注意
継続力をアピールするときに注意すべき点は「ただ続けただけ」と思われないようにすることです。長く続けた結果、成果につながっている様子が見えなければ「課題分析や改善する力がないのだろうか?」とマイナスの印象を与えてしまいかねません。これまで継続してきたことをよく振り返り、目的や得られた結果を自己PRのエピソードとして言語化できるように棚卸ししてみましょう。
応募先で求められている「継続性」の要素を研究し、その企業が求めている要素に沿ったエピソードを厳選したら「始めた目的→継続するうえでぶつかった困難を乗り越えた方法→どのような成果が得られたのか」という流れに沿って具体的に書くようにしてみてください。
具体的な数字を用いて表現する
継続力をアピールする際は「どのくらいの期間続けたのか」「続けたことによってどのような成果を得られたのか」などを具体的な数字を用いて表現しましょう。
例えば「休眠顧客の掘り起こしを○ヶ月続けました」だけでなく「休眠顧客の掘り起こしを○ヶ月続けた結果、○件の成約を獲得し、月間売上の○%向上に貢献しました」のように、具体的な数字を用いると説得力のあるアピールができます。
他の表現に言い換える
他の応募者との差別化を図るために、継続力を他の言葉に言い換えることも効果的です。具体的には次のような言い換え表現が考えられます。
- 学び続ける向上心
- 最後までやり抜く責任感
- どんな場面でも乗り越える忍耐力
このように継続力はさまざまな言い換えが考えられます。応募する際の職種に応じて、より採用担当者に魅力的に感じてもらえるような表現を選択して伝えましょう。
自己PRで「継続力」をアピールする際の基本ステップ
自己PRで「継続力」をアピールするための基本ステップを順番に解説します。
ステップ1:志望企業で求められている「継続力」のタイプを探る
どんな仕事においても「継続力」は大切ですが、どんな目標に対して、どんな姿勢で取り組むことを求められるのかは企業によって異なります。
専門性が高く、一人前になるまで時間を要するような仕事においては、向上心を持って「学び」を継続する力が重視されるでしょう。一方で「粘り強さ」「忍耐力」といった意味合いで継続力を求める企業もあります。
応募する企業についてホームページや求人情報、時には新卒採用ページなどから応募先の特性や社風などを調べ、自分の継続力がどのように活かせるかを考えてみましょう。
ステップ2:自身の経験で「継続力」を発揮したエピソードをピックアップ
自身の過去を振り返り、応募先の企業が求めている継続力を伝えられそうな場面を思い出してみてください。そのときの行動や結果、どのように考えていたかなどを具体的なエピソードとしてまとめます。
シチュエーションがリアルに想像できるように表現することで、採用担当者は「うちの会社でも、この力を発揮できそうだな」と、活躍するイメージを描けるでしょう。
ステップ3:行動力を発揮した結果、得られた効果・評価をまとめる
物事を継続して続けた結果、自身がどれだけ成長したか、どんなことを学んだか、最終的な成果はどうだったかもまとめます。応募書類には成果まで記入すると、高評価につながりやすくなります。
ステップ4:面接で継続力を自己PRとして伝える際に備えておく
応募した企業が、書類の自己PR欄を読んで興味を持ったなら、面接で質問される可能性があります。さらに「継続力」を強みとして印象づけるためには、以下のようなポイントを伝えられるように準備しておきましょう。
- 自分が課題と感じたことに対して、どのように改善することを目標としたか
- 一つのことを継続する中で、新たな気付きや発見をしたこと。何を機にレベルアップしたか
- 結果がなかなか出ずに挫折しそうになったとき、それをどのように乗り越えたか
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。