「仕事のモチベーションが下がっている」「やる気が急になくなった…」と感じたとき、どう対処すればいいのかわからずに悩んでしまう人もいるでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が、仕事のモチベーションが下がる理由や、モチベーションの上げ方、パターン別の対処法などを解説します。
目次
モチベーションとは?
「モチベーション」とは、個人が行動を起こす原動力(動機)や意欲のことを指します。また、仕事におけるモチベーションについては、以下のように、大きく2つのパターンに分けることもできます。
自分の内側から発するもの=内発的動機付け
自分の心の内側にあるやりがい、充実感、達成感、成長実感などをモチベーションの源泉とするパターンがあります。「行動すること」そのものに自分の目的を持っているため、継続的にモチベーションを保ちやすいと言えるでしょう。
外部からもたらされるもの=外発的動機付け
外部からもたらされる報酬や評価、昇進、社会的認知などをモチベーションの源泉とするパターンもあります。「行動によってもたらされる成果」を目的とするため、達成までの期間はモチベーションを高めやすいと言えるでしょう。しかし、一つの目的達成をした後には、モチベーションを維持しにくくなることもあるようです。
仕事のモチベーションが下がるときによくある理由
仕事のモチベーションが下がるときによくあるケースを基に、その理由を解説していきます。
仕事内容そのものが合わず、魅力を感じない
仕事内容そのものが自分の求めていることと合わず、魅力を感じることができないケースは少なくないものです。そういった場合には、「働くこと自体にモチベーションを感じない」と思うかもしれません。
仕事内容に対して報酬が見合っていない
自分にとって魅力的な仕事を選択した場合でも、業務の忙しさや責任の重さなどに報酬が見合っていないと感じるために、モチベーションが下がってしまうケースもあります。この場合、成果に応じて報酬を高めることができればモチベーションを維持しやすいと言えますが、成果が報酬に反映されないと感じる場合は、仕事に対する意欲も失われやすくなるでしょう。
職場の人間関係がよくない
日々働く職場において人間関係がよくない場合も、モチベーションが下がりやすくなる傾向があります。仕事内容に満足していても「職場に苦手な人がいることでやる気が出なくなった」というケースもあります。相性がいい人たちと一緒に働ける職場のほうがストレスは溜まりにくいと言えますし、尊敬できる人や切磋琢磨できる仲間と働くことで、よりモチベーションが高まるケースも見られます。
労働環境がよくない
残業や休日出勤が多い職場の場合は、ストレスや肉体的な疲れが溜まりやすいために、モチベーションも低下しやすくなると言えるでしょう。人手不足の職場など、慢性的に忙しい場合などもこれに当てはまることが考えられます。きちんと休息を取れる環境があればリフレッシュできるため、仕事のモチベーションも保ちやすくなる傾向が見られます。
仕事内容に変化がない
仕事内容がずっと同じだった場合には、「仕事そのものに飽きてしまい、興味がなくなった」と感じてしまうケースもあります。また、同じ仕事を続けていく中で「新しいスキルが身につけられない」「仕事を通じて成長していく実感を得られない」と感じてモチベーションを失うケースもあるようです。
キャリアアップを望めない
異動や昇進などに期待できず、自分の望むキャリアや昇進・昇格などを望めない場合は、将来に対する行き詰まりを感じてしまいやすいかもしれません。「このまま働いていても、将来性がない」と思うことでモチベーションを失うケースも見られます。
正当な評価を得られない
成果を挙げても正当な評価を得られていないと感じるために、やる気が出ないケースもあります。また、評価されても昇給・昇格・昇進などにつながらない場合は、頑張る手応えを実感できないことになるため、モチベーションを保ち続けることが難しいと考える人が多いようです。
仕事の裁量権が少ない
仕事における裁量権が少ない場合は、自分のやりたいことを実現できなかったり、スムーズに仕事を進められなかったりすることに不満を感じるケースもあります。自分の思うような仕事ができないことでモチベーションが下がりやすくなることもあるでしょう。
仕事に対するモチベーションが下がるとどうなる?
仕事に対するモチベーションが下がった場合、以下のようなことにつながる可能性があります。
- 仕事に対する責任感が薄れ、成果を挙げられなくなる
- 仕事に対して主体的・能動的な行動をしなくなる
- 仕事を通じて成長する意欲が低下する
- 周囲の評価が下がり、期待されなくなる
仕事に対するモチベーションの高さが、成果や評価に影響するケースは少なくはないものです。また、モチベーションを維持できなくなることで、本来持っていたはずの能力も発揮できなくなる可能性があり、これまで積み上げてきた評価を覆してしまうことも考えられます。その結果、自己肯定感が下がったり、無気力になってしまったりすることもあるかもしれません。
仕事のモチベーションを上げる方法
ここでは、仕事のモチベーションを上げる方法を紹介します。
「今日の目標」を設定する
日々、「今日の目標」を設定すれば、それをクリアするためのモチベーションを高めやすいと言えます。「もう仕事なんてしたくない」と思っている場合でも、「今日はこの目標を達成すればいい」という設定をしてクリアすれば、達成感を味わうことができるでしょう。
小さなことでも構わないので、自分なりに達成感を積み重ねていくことがポイントです。また、「達成したら自分に何らかのご褒美を与える」などの仕組みを作れば、よりモチベーションを高めやすくなるかもしれません。
友人や知人と会って話をする
心を許せる友人に会うことでリフレッシュする方法もあります。自分の悩みを打ち明ければ、考えを整理しやすくなる可能性もあるでしょう。また、仕事を頑張っている友人や知人などに会ってみることで、新しい刺激を受けたり、仕事に対するモヤモヤを解消するヒントをもらえたりするかもしれません。
自分のロールモデルとなる人物を見つける
職場の上司や先輩などから尊敬できる人物を見つけ、自分のロールモデルとすれば、モチベーションを高められるかもしれません。周囲にいない場合は、著名人や歴史上の偉人、物語の主人公などをロールモデルにする方法もあります。
異動やプロジェクト参加などの可能性を探る
やりたい仕事・目指すキャリアを実現できる部署に異動できる可能性や、プロジェクトに参加できる方法を探し、それを目標とすることでモチベーションを高める方法もあります。
社内のキャリアパスや、自ら手を挙げてプロジェクト参加できる制度などを調べることでも、将来のキャリア形成や今後の仕事の可能性に対する期待値を高めることができるかもしれません。
モチベーションが上がらない理由を紙に書き出して整理する
仕事に対して「やる気が出ない」「モチベーションが上がらない」という漠然とした悩みを持ち続けている場合は、その理由を紙に書き出して整理してみることもおすすめです。言語化することで原因が明確になり、「どうすれば解消できるのか」「そのために何をすればいいのか」など、解決への道筋が見えやすくなるでしょう。
運動してリフレッシュする
運動することはリフレッシュにつながることもあるため、「やる気が出ない」「モチベーションが上がらない」というモヤモヤ感を払拭できる可能性があります。日頃から運動習慣がない場合は、あまりハードルを上げすぎず、自宅でできる筋トレや近所をウォーキングするなど、簡単なものから始めてみることがおすすめです。
やる気が出る名言集やサクセスストーリーなどに触れる
尊敬できる人物の名言集や自己啓発に役立つビジネス書を読んだり、サクセスストーリーの映画や小説、漫画などに触れたりすることで、モチベーションを高める方法もあります。「仕事が辛い」と感じている場合でも、状況を打破するためのヒントや自分にとってやる気の出る言葉が見つかることで、意欲を取り戻せるかもしれません。
新しいことにチャレンジしてみる
行ったことのない場所に出かけたり、これまで経験していないことにチャレンジしたりすれば、新しい刺激を受けることができるでしょう。それにより、リフレッシュできたり、モチベーションを上げるヒントが見つかったりする可能性もあります。
通勤時間にやる気の出る音楽を聴く
仕事に行く前に「モチベーションが上がらない」と感じてしまう場合は、やる気の出る音楽を聴いてモチベーションを高める方法もあります。出社前や通勤時間などに聴くことで、これから仕事に向き合うテンションも高められるかもしれません。
【パターン別】仕事に対するモチベーションがなくなったときの対処法
ここでは、モチベーションが下がっているパターン別に、対処法を紹介します。
急にやる気がなくなった場合
責任感が強い人の場合は、仕事を頑張りすぎてしまったことで、燃え尽きて急にやる気がなくなってしまうケースも考えられます。こうした場合は、しっかりと休息を取り、リフレッシュすることもひとつの方法です。日頃から無理をしすぎない意識を持ち、頑張りすぎる手前で休憩を取って気分転換したり、有給休暇などを取得して休息したりするように心がけることも必要だと考えましょう。
仕事に行き詰まりを感じている場合
仕事内容や今後のキャリアに行き詰まりを感じている場合は、転職するかどうかを最初から決めずに転職活動を始めてみる方法もあります。転職市場の状況や自分の市場価値を知ることで、どのような可能性や選択肢があるのか理解しやすくなるでしょう。その結果、新たにチャレンジしたい仕事や目指したいキャリアなどが見つかるかもしれません。
周囲との温度差が辛い場合
仕事に対する意欲が高い職場の同僚や友人・知人などと自分を比較し、「仕事に対するモチベーションに温度差がある」「意欲を持てない自分に問題があるのではないか」などと感じて、辛いと思ってしまうケースもあるようです。こうした場合は、「仕事のモチベーションの源泉は何か」「どのような目標やりがいを持って仕事に向き合っているのか」「モチベーションを高め、維持するために工夫していることは何か」などを率直に聞いてみてもよいかもしれません。
仕事へのモチベーションが高い人々の価値観や考え方、意識していることなどを知れば、自分自身の仕事に対する取り組み方もプラスの方向に変化させることができるかもしれません。
モチベーションを高められる仕事に転職できる可能性もある
「今の仕事ではモチベーションを感じることができない」「社内にモチベーションを高められるようなキャリアの道筋がない」という場合は、転職を検討してみるのも一つの方法です。
転職エージェントでは、自分の希望や経験・スキルにマッチする求人を紹介してくれるので、やりたい仕事や活躍できる仕事などでモチベーションを高められる転職先が見つかるかもしれません。
転職エージェントは無料でキャリア相談を行うケースも多く、相談をしたからといって転職しなければならないわけではないので、今後の可能性を知るために活用してみることもおすすめです。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。