
「楽しく仕事がしたい!」と思っていても、仕事内容にやりがいや面白さを感じられなかったり、職場の人間関係が合わなかったりすることで「仕事なんてこんなものだ」と諦めてしまうケースもあるでしょう。
仕事は楽しいばかりのものではないと思うときもあるかもしれません。しかし、楽しく仕事をするためには、そうした仕事に就くだけでなく、自ら楽しむ努力や工夫をすることも必要と言えるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が、仕事を楽しく思えるパターンや仕事を楽しめない要因、仕事を楽しむ方法などを解説します。
目次
楽しく仕事がしたいけれど、仕事はつまらなくて当たり前?
「仕事はつまらなくて当たり前」という人もいますが、その一方、「楽しく仕事がしたい」という人も一定数いるようです。まずは調査データを見ていきましょう。
「楽しいと思える仕事」を理想とする人は多い
「楽しく仕事がしたい」と考えている人は多いと言えます。内閣府の世論調査によれば、「どのような仕事が理想的だと思うか」は、以下のような順位になっていました。
1位:「収入が安定している仕事」(62.2%)
2位:「私生活とバランスがとれる仕事」(55.2%)
3位:「自分にとって楽しい仕事」(54.2%)
4位「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」(36.4%)
5位「健康を損なう心配がない仕事」(35.2%)
調査結果では、「自分にとって楽しい仕事」を理想とする人が過半数を占めていました。「仕事がつまらないのは当たり前」と考えている人ばかりではないと言えそうです。
参考:「国民生活に関する世論調査(令和6年3月発表)」内閣府
仕事が楽しくないと思ったら、辞めてもいい?
仕事が楽しくないと思うケースには、想定できるパターンがいくつかあります。「今の仕事が自分に合わず、楽しくない」「職場の人間関係などが合わず、楽しく仕事ができない」「そもそも今の仕事の楽しさがわからない」「自分自身、どのような仕事が楽しいと思うのかわからない」「仕事は楽しむものではなく、必要なお金を稼ぐためのものと思っている」などが挙げられます。
また、今の仕事を楽しもうとしていない場合や、仕事の楽しさを理解できるまでに至っていない場合は、自分なりの工夫で仕事を楽しめるようになる可能性もあるでしょう。一方、仕事内容が合わないことが理由で楽しめていない場合には、自分が楽しいと思える仕事に転職することで「心から楽しい」と思えるかもしれません。
「楽しいと思える仕事」のパターンを紹介!自分に合うものを探してみよう
「楽しいと思える仕事」に対する考え方は人それぞれに違うものと言えます。ここでは、楽しいと思える仕事のパターンを紹介するので、自分に合うものを探してみましょう。
好きなことを仕事にする
自分の好きなことを仕事にすることで、「心から仕事を楽しめている」というパターンがあります。ただし、好きなことを仕事にしたことで、そこに責任や負荷が発生し、「好きなことを楽しめなくなってしまった」というパターンもあるようです。
仕事で成果を挙げ、評価される喜びを感じる
仕事で成果を挙げたり、評価されたりする瞬間に喜びを感じ、楽しさを味わうパターンもあります。 自分の得意なことを仕事にすれば、成果・評価につながりやすいため、そこに楽しさや喜びを見出すこともできるでしょう。
自分なりのやりがいを味わえる
仕事を通じて人や社会に役立つことにやりがいを感じるパターンもあります。また、自己実現ができたり、自分の思いを形にできたりすることに楽しさを感じることもあるでしょう。自らのやりがいを追い求めていくうちに、より主体的に行動できるようになり、積極的に仕事を楽しめるようになるかもしれません。
ストレスのない仕事だから楽しめる
仕事内容やワーク・ライフ・バランス、職場の人間関係などにストレスを感じないことで、仕事が楽しいと思うパターンもあります。自分に合った仕事内容や労働環境、職場環境によって、「その仕事を長く続けていきたい」と思うことができるでしょう。
報酬など、得られる対価に満足できる
自分の仕事の「成果」に対し、対価として「報酬」を得ることが楽しいというパターンもあります。仕事を頑張れば頑張るほど収入が上がることにやりがいを見出す人もいるようです。
自己成長やキャリアアップができる
仕事の経験を通じて自己成長していくことや、キャリアアップしていくことに楽しさを感じるパターンもあります。また、「将来、こうなりたい」と思う理想像に近づいていくことにやりがいを感じる人もいるでしょう。
一緒に働く人や職場の雰囲気が楽しい
尊敬できる人と一緒に働くことで刺激を受けたり、気の合う仲間と一緒に働いたり、職場で一致団結して一つの目標に向かったりすることが、仕事のモチベーションとなるパターンもあります。やりたいことより、楽しく働ける環境を大事にする人に多いパターンと言えそうです。
仕事もプライベートも充実できる
仕事とプライベートを両立できる環境があることに楽しさを感じる人もいます。バランスよく働きながら、仕事もプライベートも楽しんで充実感を味わいたいパターンです。
仕事を楽しめない原因とは?今の仕事を楽しむための方法も紹介
仕事を楽しめない背景には、さまざまな要因があります。ここでは、仕事を楽しめない要因と、今の仕事を楽しむための方法の一例を紹介していきます。
仕事量が多すぎる
仕事量が多すぎる場合は、心身ともに疲弊しやすいため、好きな仕事ややりがいを感じる仕事であっても楽しめなくなってしまう可能性があります。
仕事を楽しむための方法
上司に相談し、タスクの割り振りなどを再考してもらう方法があります。仕事量が減り、余裕ができることで仕事を楽しめるようになる可能性もあるでしょう。
職場の人間関係が合わない
職場の人間関係で合わない人や苦手な人がいた場合は、ストレスも溜まりやすくなってしまうでしょう。また、職場のモチベーションが低く、活気がないと感じてしまうケースもあります。
仕事を楽しむための方法
どうしても合わない人がいる場合は、チーム替えや異動の可能性を探してみる方法があります。相性が合わない人と一緒に働かなくて済むことで、仕事を楽しめるようになるかもしれません。また、職場の雰囲気を楽しいものに変えるために、チームワークで一体感を出す方法を提案したり、風通しの良い職場にするための仕組みづくりをしたりするのも良いかもしれません。
得意な仕事ではないため、成果を出せない
自分が得意とする分野の仕事ではないために、成果を出せず、喜びや楽しさを見出せないというケースが挙げられます。一方、希望の職種に採用されず、苦手な仕事を担う部署に配属されたことで、楽しくないと感じてしまうこともあるようです。
仕事を楽しむための方法
成果を挙げている先輩や同僚に、仕事のポイントややりがいなどを聞くことで、成果を出す方法や楽しむ視点などが見つかる可能性もあります。自分と同じ仕事で働く人に話を聞くことで出口が見つかるかもしれません。また、自分の希望する部署に異動する方法がないか探してみる方法もあります。
ルーティンワークが多く、変化に乏しい
日々の仕事にルーティンワークが多く、変化が少ない場合は、モチベーションを高めるための刺激を受けにくいかもしれません。
仕事を楽しむための方法
自分なりに目標を作り、それを達成していくことにやりがいや楽しさを感じられる可能性もあります。
やりたい仕事を任せてくれない
やりたい仕事があるのに任せてもらえない場合は、スキルが足りていない可能性があるかもしれません。
仕事を楽しむための方法
自分が身につけたり、伸ばしたりするべきスキルについて、上司に直接聞いてみる方法があります。そこに向かって努力していくことがやりがいとなり、楽しさを感じられるかもしれません。また、やりたい仕事を任せてもらえるようになれば、心から仕事を楽しめるようになる可能性もあるでしょう。
思うような評価を得られない
仕事で思うような評価を得られていないと感じ、モチベーションが下がるケースもあります。
仕事を楽しむための方法
自分の考えている評価ポイントと、会社から評価されることがズレている可能性があります。上司に直接、「どのようなことが評価につながるのか」を確認し、それに取り組んでみるのもいいかもしれません。
キャリアの目標がない
キャリアの目標がない場合は、どこに向かって頑張ればいいのかわからず、モチベーションも下がりやすくなるでしょう。
仕事を楽しむための方法
社内のキャリアパスを調べたり、自分が手本としたくなるロールモデルなどを探したりすることが大事です。自分の目指すキャリアや将来の姿を描くことで、その実現に向かって必要なことを積み重ねていくモチベーションを感じられるかもしれません。
周囲とのコミュニケーションが足りていない
同じ職場で働くメンバーとコミュニケーションが足りていないことで、楽しいムードで仕事をすることができなくなっているケースもあります。
仕事を楽しむための方法
自らコミュニケーションして楽しい職場の雰囲気を作ることで、自分も一緒に仕事を楽しめるかもしれません。どうしても合わない人がいる場合は、チーム替えや異動の可能性を探してみる方法があります。また、職場の雰囲気を変えるためには、チームワークで一体感を出す方法を提案したり、風通しの良い職場にするための仕組みづくりをしたりすることから始めるといいでしょう。
仕事を楽しんでいる人に見られる特徴と、仕事を楽しむことのメリット
仕事を楽しんでいる人によくある特徴や、仕事を楽しむことのメリットを紹介します。
仕事を楽しんでいる人に見られる特徴
仕事を楽しんでいる人の一例には、以下のような特徴が見られます。参考にすることで、楽しく仕事ができるようになるかもしれません。
【仕事を楽しんでいる人に見られる特徴の例】
- 好きなことや得意なことを仕事にしている
- 自ら目標を定め、主体的・自律的に行動している
- 仕事に対する使命感ややりがいを見出している
- ワーク・ライフ・バランスを保つ働き方をしている
- 職場の人々と信頼関係を築いている
- スキルアップや自己成長に向かう向上心がある
仕事を楽しむことのメリットとは?
仕事を楽しむことには、以下のようなメリットがあります。自分が楽しめるだけでなく、仕事そのものにもプラスの影響を与えてくれるでしょう。
【仕事を楽しむことのメリット】
- 自ら楽しもうとすることでモチベーションが上がる
- 主体的に行動するため、成長スピードが速い
- 成果を挙げることで、周囲からも高く評価される
- 自ら良好な人間関係を築き、職場の人間関係で悩みにくくなる
- 会社に行くことや、職場で働くことにストレスを感じなくなる
- 意欲的に取り組むことで仕事を効率化でき、残業なども減らすことができる
楽しく仕事するためのコツを紹介
楽しく仕事するためのコツを紹介するので、実践してみましょう。
仕事の面白さややりがいを探してみる
今の仕事において、自分なりに面白さややりがいを感じることを探してみれば、さらに仕事を楽しめるようになるかもしれません。
自分の目標を設定する
自分なりに目標を設定し、それを達成していくことに楽しさを感じることもできます。また、目標を達成した際、自分自身に何らかのご褒美を与えることでモチベーションを高めやすくなるでしょう。
職場で積極的にコミュニケーションをとる
職場のメンバーと積極的にコミュニケーションをとることで、尊敬できる人や共感できる人が見つかる可能性もあります。また、自分と価値観が近い人物が見つかれば、一緒により良い職場づくりに取り組むことができるかもしれません。
メリハリをつけて働く
仕事のスケジュールをしっかりと管理し、「休むときは休む」「頑張るときは頑張る」などのメリハリをつけて働くことが大事です。仕事ばかりに没頭するのではなく、リフレッシュと休息をすることで、疲弊せず楽しく働けるようになる可能性があります。
自主的にスキルアップに取り組む
今の自分よりもさらに成長するために必要なことは何かを考えましょう。自主的にスキルアップに取り組めば、仕事のモチベーションを高めていけるかもしれません。
自分に足りないことや身につけた方がいいスキルがわからない場合は、上司などに聞いてみる方法もあります。
楽しそうに仕事している人に話を聞いてみる
自分の周囲で楽しそうに仕事している人に、「どのようなやりがいを感じているのか」「どうやって楽しいと思える仕事を見つけたのか」を聞けば、今後の参考になるかもしれません。また、仕事を楽しむ考え方などを聞くことで、今の仕事を楽しめるようになる糸口が見つかる可能性もあります。
楽しいと思える仕事を目指して転職活動を始めてみる
「今の仕事内容や職場環境のままでは楽しく仕事することはできない」と思った場合は、楽しいと思える仕事や環境を目指して転職活動を始めてみる方法もあります。転職の決意が固まっていなくても、まずは転職活動を始めてみることで、今後の自分のキャリアの可能性を広げられるかもしれません。
また、楽しいと思える仕事に就くために足りないスキルや実績などがある場合は、今の仕事のままでスキルを身につけたり、実績を積み重ねたりすることにモチベーションを感じることもできるでしょう。
「楽しいと思える仕事に転職したい」と考えたときに、やっておきたいこと
楽しいと思える仕事に転職するためには、自分にとって「何が楽しいのか」を洗い出すことがポイントです。ここでは、自分にとって楽しいと思える仕事を明らかにする方法を紹介します。
好きなこと・得意なことを書き出してみる
過去を遡り、自分の好きなことや得意なことについて書き出してみましょう。 時間を忘れて熱中したことや、楽しいと思った瞬間などを思い出し、「なぜそう思ったのか」という理由まで考えてみることが大事です。
嫌いなこと・苦手なこと・絶対にしたくないことを書き出してみる
嫌いなことや苦手なこと、絶対にしたくくないと思うことを書き出してみれば、自分に合わない仕事が見えてくるはずです。こちらについても、「なぜそう思ったのか」という理由まで考えてみましょう。
「will・can・must」で自分に合う仕事について考える
「will=やりたいこと」「can=できること」「must=やるべきこと」について考えてみることで、自分の好きなこと・得意なこと・求められていることを導き出しやすくなるでしょう。全てに重なっている仕事なら、自分にとっての適職と考えられます。
好きなことに関連しそうな仕事や得意なことを活かせそうな仕事を探してみる
自分の好きなことを起点に、そこに関連しそうな仕事にどのようなものがあるのかを調べてみましょう。また、得意なことを活かせそうな仕事を探してみるのも、適職を見つけるために役立つでしょう。日常生活の中で興味を持ったことなども仕事探しのヒントになるかもしれません。
今後、自分が目指したい仕事や職種が見つかったら、そこに向かって転職準備を始めてみるのも一つの方法です。
転職エージェントに相談してみる
「世の中にどのような仕事があるのかわからない」「自分の好きなことや向いていることに結びつく仕事がわからない」という場合には、転職エージェントに相談してみることもできます。
転職エージェントでは、無料でキャリア相談などもできるため、今後の自分の可能性について聞いてみることも可能でしょう。転職エージェントに相談しても、必ずしも転職しなくてはならないわけではないため、楽しいと思える仕事を見つける入り口として活用してみるのもおすすめです。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。