
「仕事がつまらない・楽しくない」と感じたとき、「でも、仕事とはそういうものなのかもしれない」と思い、つらい状態のままで働き続けている人もいるかもしれません。また、「今の仕事のままでいいのか。転職すべきなのか」と悩んでしまう人もいるでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が、「仕事がつまらない・楽しくない」と感じる理由と対処法、転職するか判断するポイントなどを解説します。
目次
仕事がつらいのは当たり前?「仕事に楽しさを見出せない」と感じている人の割合とは?
仕事がつまらない、楽しくないと感じている人の中には、「そもそも仕事はつらいもの」「仕事はつらくて当たり前だから、楽しもうとすること自体が無理では?」と感じている人もいるかもしれません。
リクルートワークス研究所が行った調査によれば、「仕事とはそもそもつらいものであり、そこに楽しさを見出すことは困難だ」と感じているかという質問に対し、「そう思う・どちらかといえばそう思う」の合計は31.2%となっていました。一方、「どちらでもない」が37.7%、「そう思わない・どちらかといえばそう思わない」の合計が31.1%に。
調査の結果を見ると、「仕事はつらいものであり、楽しさを見出せない」と感じている人は約3割となっている一方で、そう思わない人の割合も約3割であることがわかります。
また、「そう思う、どちらかといえばそう思う」と回答した人の割合を年代別で見ると、20代が最も多く、4割(40.5%)にのぼっており、30代も4割近く(37.1%)の回答となっていました。20代から30代の場合は、ほかの世代よりも「仕事がつらい、楽しくない」と感じている人の割合が多いようです。
参考:ワークス1万人調査からみる仕事とくらしの論点 「そもそも仕事はつらいもの」観を正面から考える」(リクルートワークス研究所)
仕事がつまらないのはなぜ?考えられる7つの理由と対処法
「仕事がつまらない理由」として考えられる一例を紹介します。自分に当てはまりそうな理由を探し、対処法に取り組んでみることもおすすめです。
仕事が忙しすぎて休めない
業務量が多く、残業や休日出勤などで仕事が忙しすぎる場合は、十分な休息が取れず、肉体的・精神的に疲弊してしまうケースがあります。「仕事は好きだけど、休めなくて疲れた」「仕事を頑張りすぎたことで急にモチベーションがなくなった」などの場合は、これに当てはまりやすいでしょう。
対処法
まずは、しっかりと休息を取ることが大事です。有給休暇を取得するなどで、仕事から離れて体を休めたり、リフレッシュしたりすることがおすすめです。
会社を休めないと感じている場合でも、なるべく睡眠をしっかり取ったり、リラックスする時間を作ったり、運動や趣味の活動などでリフレッシュしたりすることで、心身を健康に保てるように意識してみましょう。また、上司に業務量の負担について相談することで、業務負荷を減らすように考慮してもらえる可能性もあります。
職場の人間関係が合わない
上司や同僚などと相性が合わない場合は、日々、職場の人間関係にストレスを感じてモチベーションが低下するケースもあります。
しかし、仕事の指示や相談などが必要な上司・同僚の場合は、「合わない」と感じても距離を置くことは難しいと言えるでしょう。また、会社の社風や企業文化が合わないことで、職場に馴染めず疎外感を覚える場合もこれに当てはまるかもしれません。
対処法
上司や同僚などと相性が合わない場合は、仕事に対する考え方について聞いてみることで理解できる点が見つかることもあります。部署異動やチーム替えなどを相談してみたり、仕事のみの関係性だと割り切ってみたりする方法もあるでしょう。
また、社風や企業文化が合わないと感じた場合は、相性のいい上司や同僚、同期のメンバーなどに、社風や企業文化の魅力について聞いてみることで納得できる点が見つかる可能性もあります。
仕事を通じて成長できる環境がない
「自分自身が成長した」と感じる瞬間は、仕事におけるやりがいや充実感の一つであり、仕事を通じて成長できる環境がない場合は、モチベーションが上がりにくいかもしれません。「責任ある仕事を任せてもらえない」「ルーティンワークが多く、仕事そのものが自分に合っていない」「そもそも成長できるような教育体制がない」などの場合が当てはまるでしょう。
対処法
「責任ある仕事を任せてもらえない」という場合は、自分自身の経験・スキルが不足している可能性もあります。上司に「自分に足りない部分は何か」を確認し、経験・スキルを身につけることで任せてもらえるかもしれません。
「ルーティンワークが多い」という場合は、自分なりに業務の効率化やチームワークなどに貢献できる方法を考えて実践していくことで成長していく方法があります。「成長できる教育体制がない」という場合は、自主的に仕事に役立つ資格の取得などを目指したり、セミナーなどに参加して新たな知識を学んだりすることでも成長実感を味わえるでしょう。
また、社内の教育制度やキャリアパスなどを把握していないために、成長できる環境やステップが見えていないケースもあります。どのような制度やキャリアパスがあるか調べてみることでモチベーションを上げられるかもしれません。このほかにも、社外のセミナーや勉強会などに自主的に参加することで、新しい学びにつながったり、意欲的に仕事に取り組む社外の仲間が見つかったりするかもしれません。
仕事で成果が出せない・評価されない
仕事で成果が出せない場合は、「自分には向いていない」「仕事ができない自分がつらい」などと感じて自己肯定感が下がりやすくなるケースもあるようです。「上司から評価されていない」「頑張りを正当に評価してくれず、給与や昇級・昇格などに反映されない」と感じる場合も、やる気を失いやすいでしょう。
対処法
上司に成果を挙げる方法について聞いてみることもできます。仕事で成果を挙げている先輩や評価されている同僚などがどのような工夫をしているのかを聞いて参考にする方法もあるでしょう。
また、「上司から評価されていない」と感じた場合は、上司と自分の評価に対する認識がズレている可能性があるので、確認することもポイントの一つです。一方、「正当な評価がされていない」と感じた場合は、社内の評価体制や給与モデル、昇級・昇格などについて調べてみることも大事でしょう。現時点では給与が低かったり、昇級・昇格に不満があったりする場合でも、将来的に納得できる待遇・ポストを得られるケースもあります。
仕事に飽きてしまった
仕事で評価されたり、成果を挙げたりしている場合でも「同じような仕事を続けることに飽きた」「マンネリ化してしまってモチベーションが上がらない」「仕事を通じて新しい刺激や成長を感じられず、退屈だと感じる」というケースがあります。
また、業務負担が軽かったり、業務内容が単調だったりすることがストレスとなり、「仕事が暇すぎることが苦痛」と感じるケースもあるでしょう。
対処法
興味のある部署に異動する方法や、新しいプロジェクトに参加できる社内制度などを探してみる方法があります。また、仕事をマンネリ化させないためには、自ら目標を設定してそこにトライすることで達成感を味わうこともできるでしょう。
一方、「仕事が暇すぎる」という場合は、上司に相談してみることで、自分が成長できるような業務を割り振ってもらえる可能性もあります。
自分の仕事に対し、意味や意義を感じられない
顧客や取引先、社内の関係者などに接することが少ない仕事の場合は、直接感謝されたり評価されたりする機会も少ないことが考えられるため、やりがいを感じにくい人もいるようです。
社会貢献などに意義を感じる人の場合は、仕事内容そのものに疑問を持つこともあるかもしれません。こうしたケースには、「今の仕事が社会にどのように役立っているのかわからない」「社会に影響を与えることができない」などと感じている人が当てはまりやすいでしょう。
対処法
所属部署やチームに貢献するための方法を自ら考え、実践していくことで評価されることで意義を感じやすくなるでしょう。また、業務効率化やチーム連携などに役立つ方法を提案し、部署内や全社に広めていくことにやりがいを感じるケースもあります。また、楽しそうに働いている同僚などに、どういった意義を今の仕事から感じているかなどをヒアリングして参考にしてみることもできるでしょう。
一方、「社会貢献がしたい」などの強い思いがある場合は、社会において自分の仕事がどのような役割を果たしているのかを考えることで、その意義を発見できるかもしれません。また、顧客や取引先、社内の関係者などと関われる部署に異動する方法もあります。
キャリアに行き詰まりを感じている
将来のキャリアを描けず、行き詰まりを感じることによって「仕事がつまらない」「この仕事を続けていくことに意味があるのだろうか」と感じるケースもあるようです。
対処法
社内のキャリアパスを調べたり、ロールモデルになりそうな人物がいないか探してみたりすることで、目指すキャリアが見つかる可能性もあります。上司に相談してみることで、将来、どのようなキャリアを実現できるのか教えてもらえることもあるでしょう。
目指したいキャリアが特にない場合は、今の仕事で成果を上げた後、新規事業や社内制度などの企画・提案を自ら行うことで、新しいキャリアパスを自分で作っていく方法もあります。
仕事がつまらなくても耐えるべき?耐えた場合のデメリットとは?
仕事がつまらないと感じても、「つまらないのは当たり前だから耐えるべき?」と悩んでしまう人もいるかもしれません。「耐える・耐えない」は、個人の価値観によっても違ってくるものと言えますが、仕事がつまらないと感じながら耐え続けていく場合には、以下のようなデメリットが発生することも考えられます。
<「仕事がつまらない」状態に耐えた場合のデメリットの一例>
- 仕事で成果を上げにくくなる
- 仕事のスキルがなかなか身につかない
- 職場の同僚や上司との関係性が薄くなる
- 仕事を通じたやりがいや喜びを感じにくい
- 自己肯定感が下がりやすく、メンタル面にも影響する可能性がある
また、自分の適性に合わない仕事を続けた場合は、将来目指したいキャリアに活かせる経験・スキルを積めず、時間を有効に使えなかったことを後悔するケースもあります。仕事がつまらないと思いながら、耐えて今の仕事を続けていくことによって、日々の充実感や将来のキャリアに影響を与えてしまう可能性もあるでしょう。
一方、「仕事がつまらない」と感じたことから、自分なりの目的を持たずに転職した結果、次の職場でも同じことを感じてしまい、結果的に転職を繰り返して後悔するケースも見られます。
「仕事はつまらないもの」と考え、割り切って続けていく方法もある
「そもそも仕事にモチベーションは必要ない」と感じている場合は、「仕事はつまらないもの」と考え、割り切って続けていく方法もあります。
例えば、「仕事よりも趣味やプライベートの活動に集中したい」という人の場合は、仕事で得た収入をそこに使うことをモチベーションにすることもできるでしょう。
「仕事をしたくない」「働きたくない」と感じている人の場合も、「生活のために必要なお金を稼ぐ」と割り切ることでストレスを軽減できたり、気持ちが楽になったりするかもしれません。
一方、「仕事はつまらないけれど、辞めるほど嫌じゃない」という場合は、自分なりに今の仕事に感じる魅力を探すことで納得感を高めることもできるでしょう。また、「仕事を辞めるのは不安だから、辞めずに社会的に影響を与えることがしたい」と感じている場合は、副業にチャレンジしたり、自分の経験・スキルを活かしてボランティアを行うプロボノ活動などを始めてみたりするのも一つの方法です。
「仕事がつまらないから転職したい!」と思ったときにやっておきたいこと
仕事がつまらないと感じたことをきっかけに「転職したい」と思ったら、今の仕事を辞める前にきちんと検討することが大事です。ここでは、やっておきたいことの一例を紹介します。
今の仕事のままで解決できる問題か考える
「仕事がつまらない」と感じた場合でも、自分で対処法を実践していくことで解決できるかもしれません。解決できる場合には、今の仕事を辞めずに続けたほうがいいケースもあります。先に挙げた「仕事がつまらない理由」に当てはまるものがないかを探し、今の仕事のままで解決できる問題なのかをまず考えてみることが大事です。
将来のキャリアビジョンや理想の姿を考える
将来のキャリアビジョンや理想の姿を明確にすることによって、「今の仕事のままでそれを実現できるのか、転職したほうがいいのか」を検討しやすくなるでしょう。5年後、10年後に仕事を通じてどのような活躍がしたいのか、どういったポジションに就きたいのか、どのようなライフスタイルを実現したいのかを考えてみることがまず大事です。その上で、「今の会社でそれが実現できるのか」を検討すれば、転職すべきかどうかを判断しやすくなるはずです。
転職市場の相場を調べる
転職サイトなどで求人情報を調べてみることで、自分の経験・スキルを求める企業があるのかを理解しやすくなります。「どのような企業・職種・仕事内容なら転職できそうか」「どの程度の給与やポジションを得られるのか」などを知り、転職市場の相場や自分の市場価値を把握すれば、転職すべきか今の仕事を続けるべきかの判断ポイントにできるでしょう。
転職エージェントに相談してみる
転職エージェントは、求職者の希望や経験・スキルにマッチする求人の紹介を行っています。面談の中でキャリアの相談をすることも可能なので、自分にどのような可能性があるのか、今の自分の市場価値はどの程度なのかを把握するために役立つでしょう。
転職エージェントは基本的に無料で利用できる上、相談したからといって必ずしも転職しなければならないわけではないので、気軽に利用してみるのも一つの方法です。
「仕事がつまらない」と思ったときに気をつけたいことは?
ここでは、「仕事がつまらない」と思ったときに気をつけたいことの一例を紹介します。
いい加減な姿勢で仕事に取り組む
仕事がつまらないと思っても、いい加減な姿勢で仕事に取り組むことは避けたほうが無難と言えます。仕事における自分の評価を下げることにつながる上、会社に迷惑をかけたり、自分自身が職場に居づらくなってしまったりすることがあるためです。
仕事に対する責任をきちんと果たしているかどうかは、今後の働きやすさや転職実現にも影響する可能性があることを理解しておきましょう。
仕事の愚痴を職場で話す
仕事に対する愚痴を職場で話すことによって、上司や同僚との信頼関係が崩れたり、職場の雰囲気が悪くなったりするケースもあるようです。仕事に対する愚痴は、家族やパートナー、友人など、仕事と関係ない人に話すほうが無難と言えるでしょう。
職場の上司や同僚には、仕事に対する愚痴ではなく、現在感じている問題を共有して改善するための相談をしたほうが、自分にとってプラスの結果になるはずです。
つまらないまま耐えて仕事を続ける
先にも述べたように、仕事がつまらないと感じながらもただ耐えて続けていけば、自分の成長や成果にマイナスの影響を与えたり、上司や同僚との関係性が悪くなったり、ストレス過多になったりしてしまう可能性があります。
「仕事がつまらない」と感じたら、なぜそう思うのか、何が理由なのかを考えた上で、改善に取り組むことが大事です。まずは先に紹介した対処法に取り組んでみることをおすすめします。
目的やビジョンを持たずに転職する
仕事がつまらないことがきっかけになって転職する道を選んだとしても、転職の目的やビジョンを明確にしていなければ、ミスマッチな転職先を選んで後悔する可能性もあるでしょう。転職する際には、仕事を通じて実現したいことや、将来実現したいキャリアやライフスタイルなどを明確にした上で、そこにマッチした企業を選択することが重要になるでしょう。
「仕事がつまらない」と感じて転職を考えた場合は、転職エージェントに相談してみよう
先にも述べた通り、転職エージェントでは今後のキャリアについて相談することも可能です。転職支援のプロからアドバイスをもらうことで、自分の新しい可能性に気づくことができるかもしれません。また、転職の目的を明確にしたり、キャリアの棚卸しのサポートを受けて自分に向いている仕事を見つけたりすることにも役立つでしょう。
「今の仕事を続けるべきか、転職するべきか」と悩んでいる場合は、気軽に転職エージェントに相談してみることもおすすめです。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。