「模擬面接」とは、第三者に面接担当者の代わりをしてもらい、本番さながらの面接を行うことです。模擬面接を面接前に行っておくと、当日に緊張せず自分の魅力を伝えやすくなります。そこで、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、模擬面接のやり方や効果的に活用するポイントについてお伺いしました。
模擬面接とは?
模擬面接とは、入室から退出までの面接の一連の流れを模擬的に実施することです。面接の流れや答え方に慣れておくと、本番でも緊張せずに伝えられるでしょう。また、第三者に面接担当者役を依頼することで、自分の話し方のクセや印象、改善点についてフィードバックしてもらうことができます。自分に対する印象は、自分ではなかなか掴めないものです。模擬面接を実施して、面接の予行演習を行っておきましょう。
模擬面接で使用する主な質問例
模擬面接で使用する主な質問例をご紹介します。自己紹介、志望動機、転職理由、自己PRは多くの企業で聞かれる質問です。答えられるように準備しておきましょう。
- 自己紹介をお願いします
- 具体的な業務経験を教えてください
- 志望動機を教えてください
- 転職を決めた理由は何ですか?
- 自己PRをお願いします
- 長所と短所を教えてください
- 質問はありますか?
模擬面接のやり方
模擬面接の進め方をご紹介します。できれば、採用関連業務の経験者に面接担当者役になってもらえると効果的です。
面接担当者役を依頼する
家族や知人などに面接担当者役をしてもらえないか相談してみましょう。家族や友人など、自分と親しい相手だと改善点などを指摘しにくくなる可能性があります。事前に「気になったことは遠慮なく指摘してほしい」と伝えておきましょう。もし、依頼する相手が見つからない場合は、転職エージェントに相談するのもひとつの方法です。転職エージェントの多くは、求職者に対して模擬面接サービスを提供しています。これまでの転職支援実績をもとに、実践的な模擬面接を受けることが可能です。
面接環境を用意する
面接担当者役が決まったら、面接環境を用意しましょう。対面面接の場合は面接に適した部屋を、オンライン面接の場合は入室するURLを発行して相手に伝えます。どちらも面接で着用する服装で臨むと、本番と同じ雰囲気になり着心地も確認できます。入室するところから始め、退室まで気を抜かずに行いましょう。
面接担当者役からアドバイスを受ける
模擬面接が終わったら、面接担当者役からアドバイスを受けます。面接に慣れている場合は、入室から退室まで一気に進めて最後にアドバイスをもらいますが、うまく回答できず指摘箇所が多い場合は、「入室と自己紹介」「転職理由と志望動機」「自己PRと逆質問」など、模擬面接のパートを分けて少しずつ改善していきましょう。
模擬面接をひとりで行う場合
模擬面接はひとりで行うことも可能です。ひとりで実施する場合は、面接本番と同じように緊張感を維持することが重要です。
鏡やスマートフォンを用意する
客観的に自分の姿や話し方をチェックできるように、鏡を用意しましょう。スマートフォンやカメラ付きのパソコンを使って、模擬面接の様子を録画するのも有効です。
面接環境を用意する
ひとりで模擬面接を行う場合も、面接と同じ環境を用意します。対面面接であれば面接に適した部屋を、オンライン面接であればオンライン会議ツールでURLを発行しましょう。
振り返って改善点を洗い出す
鏡でチェックする場合は、気になった点をその場でメモしておきます。録画した場合は、見返して改善点がないか探してみましょう。模擬面接は1度だけでなく、複数回行うことで改善が進みます。気になった点を改善しながら模擬面接を繰り返し、面接の受け答えをブラッシュアップしましょう。
模擬面接を活用するポイント
模擬面接の効果を高めるために、意識しておきたいポイントをまとめました。
本番と同じ気持ちで取り組む
模擬面接は、本番と同じ気持ちで取り組むことが重要です。模擬面接を簡単に済ませてしまった場合、本番で緊張してしまい模擬面接が役に立たなくなってしまうかもしれません。特に家族や友人などの親しい相手に面接担当者役を依頼した場合、リラックスしすぎてしまうので注意が必要です。模擬面接は、本番で緊張せずに自分の魅力を十分に伝えるために行うものです。本番同様に緊張感を持って臨み、面接に慣れておきましょう。
回答を暗記して伝えない
よく聞かれる質問の回答を暗記して答えるケースがありますが、暗記で回答すると不自然な印象になり、熱意が伝わりにくくなります。また、暗記した回答を忘れてしまった時に、頭が真っ白になって何も答えられなくなる可能性もあるでしょう。回答を準備する際は、要点だけを覚えておいて、自分の言葉で柔軟に伝えるようにしましょう。
率直に指摘してもらうようにする
面接担当者役が感じたことは、素直に指摘してもらうように事前に伝えておきましょう。遠慮されてしまうと、改善点が見つかりにくくなります。質問への回答だけでなく、声のトーンやテンポ、話し方のクセや表情など、気になる点があれば率直に指摘してもらいましょう。
模擬面接のメリットや効果
模擬面接を実施するかどうかで、面接の成果が変わる可能性があります。模擬面接のメリットや効果について解説します。
「話し方」を改善できる
話しているうちに早口になってしまう、「ええと」「あの」などを多用する、表情が一定で感情が読み取れない、目線が動きすぎるなど、人によって話し方にクセがあることもあります。面接は緊張しやすいため、普段は出ない小さなクセが目立つ可能性もあります。同じ回答でもイキイキとした表情で聞き取りやすい話し方をすれば、印象が変わります。模擬面接で話し方のクセを直し、効果的なアピールができるように改善しましょう。
スムーズに伝えられるようになる
自己紹介や志望動機など、面接で聞かれやすい質問への回答を準備していたとしても、実際に声に出してみると、思ったように話せないこともあります。模擬面接を実施することで、相手に伝わりやすい自然な話し方を身につけられるでしょう。
面接に慣れ不安を解消する
面接に慣れていないと緊張してしまい、たどたどしくなってしまう可能性があります。模擬面接で面接体験を重ねることで、「模擬面接を行ったから大丈夫」という自信につながり、本番でも緊張せずに振る舞えるでしょう。
模擬面接のチェックポイント
模擬面接を家族や友人などに協力を仰ぐ際は、以下のチェックポイントを参考にフィードバックしてもらうといいでしょう。
- 入室~退室までの基本的なマナーができているか
- イキイキとした表情で話しているか
- 目線が定まっているか
- 早すぎたり遅すぎたりせず、話すスピードは適当か
- 話を論理的に組み立て、要点をついているか
- 伝わりやすい説明になっているか
- 質問に対する答えがズレていないか
- 話の内容に一貫性があるか
- 仕事に対する熱意、入社意欲が伝わってくるか
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2023年12月18日
記事更新日:2024年07月16日