転職活動を進める際には、応募企業とのメールのやりとりが発生します。メールのやりとり自体は直接の合否に関わるものではありませんが、応募企業からのメールに対し、スムーズに日程をFIXすることで、他の候補者よりも早く面接枠を確保でき、応募意欲の高さが伝わります。面接日程の調整や選考結果の連絡に対する返信や面接辞退、内定への承諾・保留など、スムーズにやり取りするポイントを紹介します。
面接関連メールを送る時に気を付けたいこと
まずは、基本マナーから紹介します。
メールの内容に関係なく、応募企業とのやりとりで気を付けたい点を把握しておきましょう。
メールは頻繁にチェックしてすぐに返信するようにしましょう。
メールの利点は時間や場所を問わず、スピーディーにやりとりできることです。こちらから応募しているのですから、メール送信後は返信がないかを頻繁にチェックしましょう。そして、できるだけ早く返信するのがベターです。
また、すぐに返信できない事情がある場合は、「ご連絡ありがとうございます」とお礼を述べた上で、「△△のため、〇月〇日までにご返信します」と回答が遅れる理由と返信日を伝えましょう。
返信の場合、件名の「Re」はそのままで。新規で送信する場合は「用件、氏名」を記入
相手からのメールには、新しい件名を付けずに、相手からの件名のままで、本文も消さずに返信するのが基本です。「Re」返信することで、採用担当者が応募者一人ひとりとの履歴をたどりやすくなるからです。
また、あなたから新規でメール送信する場合は、内容が一目でわかる「用件」とあなたの「氏名」を件名に記入します。採用担当者は複数名の応募者とやりとりをしています。ですから、誰からどんな用件のメールが届いたかが、すぐにわかる件名にしたほうが良いでしょう。「お世話になっております」「ご連絡ありがとうございます」といった挨拶・お礼は件名ではなく、本文で伝えます。
本文は「宛名→挨拶→用件→締めの挨拶→日付+署名」に
メールの文面は基本的に上記の順番で構成します。それぞれのポイントを押さえて作成しましょう。
宛名
法人格を略さず、正式社名を書いた後に、「担当者氏名+様」と続けます。担当者名不明の場合は「採用ご担当者様」でも問題ありません 。また、面接案内への返信であれば、役職名は付けず「担当者氏名+様」だけでも大丈夫です。
挨拶
ビジネスメールの場合、「お世話になっております」を挨拶文に用いて、続けて「〇〇です」と名乗ります。このとき、相手がこちらの素性をすぐに把握できるよう、「面接のご案内をいただいた〇〇です」と名乗るのも良いでしょう。なお、現職中の人は自社名を伝える必要はありません。
用件
丁寧さを心がけるあまりに回りくどくならないよう、簡潔かつ謙虚に用件を伝えます。シチュエーションごとの文面は次項「■面接関連メールの種類と例文」を参考にしてください。
締めの挨拶
「ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます」というふうに、クッション言葉を用いて、相手への感謝や気遣いを交えて締めくくります。
日付+署名
メール送信日の後に、あなたの氏名、自宅住所(郵便番号も)、電話番号(自宅電話か携帯電話。日中、連絡を取りやすい番号をおすすめします) 、メールアドレスを記載します。メールを受け取った採用担当者が、誰から送信されたメールか分からなくなるのを防ぐためです。
面接関連メールの種類と例文
具体的にシチュエーションごとの例文とポイントを紹介します。
面接の日程調整・変更メール【例文とポイント】
~日程調整メール共通~
(件名) Re:採用面接につきまして【ポイント】返信の場合、件名は変えずにそのままにしておきましょう
(本文)
〇〇株式会社
人事部 ●●様
【ポイント】宛名は社名、部署名(わかれば役職も)、氏名を記し、2行程度に収めると見やすいでしょう。「担当者氏名+様」「採用ご担当者様」と書く時は、社名の後に「御中」は付けません。
お世話になっております。
●●でございます。
【ポイント】挨拶に続けて、名乗ります。
~応募先企業から、面接候補日をもらった場合~
いただきました日程の中から、下記でお伺いさせていただければと存じます。〇月〇日(〇) 〇時【ポイント】候補日をもらった場合は、お礼を述べ、希望の面接日時を本文内に引用します。日にち、曜日、時間に間違いがないか気を付けましょう。
~応募先企業から、面接候補日を提示してほしいと要望があった場合~
面接の希望日程をお知らせします。
下記日程でしたら、お伺いすることが可能ですので、ご調整いただけますと幸いです。【1】 〇月〇日(〇) 〇時~〇時
【2】 〇月〇日(〇) 〇時~〇時
【3】 〇月〇日(〇) 〇時~〇時【ポイント】応募企業から「面接希望日を提示してほしい」と言われた場合は相手が検討しやすいように、候補日程を少なくとも3つ挙げ、実際の面接時間を見込んで終了時間も伝えるようにしましょう。
~日程調整メール共通~
お忙しいところを恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。【ポイント】締めの挨拶を記載します。お願いをする際には、「お忙しいところ恐縮ですが」といったクッション言葉を用いると、印象が良くなるでしょう。
日程変更依頼メール【例文とポイント】
先ほどお電話した件につきまして、メールでもご連絡させていただきました。
〇月〇日(〇)〇時よりお約束しておりました面接につきまして、
貴社にお伺いすることが難しくなりました。
誠に申し訳ございません。【ポイント】日程変更についてはできるだけ早く伝えたほうが良いので、まずは電話を入れ、重ねてメールでも連絡します。こちらの都合で変更してもらうので、謝罪の気持ちをしっかりと伝えましょう。
勝手なお願いで恐縮ですが、
もし可能であれば、以下のいずれかの日程で面接を再調整していただけないでしょうか。
【1】 〇月〇日(〇) 〇時~〇時
【2】 〇月〇日(〇) 〇時~〇時
【3】 〇月〇日(〇) 〇時~〇時
【ポイント】選択肢に幅を持たせて検討してもらうために、候補日程は少なくとも3つは挙げることをおすすめします。
ご多用の折、お手数をおかけして恐縮です。
ご検討いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
面接当日の遅刻・キャンセルメール【例文とポイント】
~遅刻・キャンセルのメール共通~
お世話になっております。
本日〇月〇日〇時より面接をしていただく予定の●● ●●と申します。【ポイント】遅刻もキャンセルも急を要することなので、電話も入れて連絡します。名乗る際は面接予定日時も添えたほうが親切です。
■遅刻の場合
誠に申し訳ございませんが、
〇〇〇のために、本日の面接開始時間に伺うことが難しく、〇〇分遅れる状況です。
【ポイント】「遅刻」の場合、まず謝罪を述べ、遅刻理由と遅刻時分または到着予定時間を伝えます。
大変恐れ入りますが、このまま貴社に伺って面接をしていただく、
もしくは面接日程の変更をしていただくことは可能でしょうか。
■キャンセルの場合
誠に申し訳ございませんが、
〇〇〇のために、本日の面接に伺うことが難しい状況です。
【ポイント】採用担当者の理解を得られるよう、やむを得ない理由を、簡素に添えることをおすすめします。
大変恐れ入りますが、
面接日程の変更をしていただくことは可能でしょうか。
■遅刻・キャンセルのメール共通
ご多用のところ貴重なお時間を調整していただいたのに
このようなことになってしまい、誠に申し訳ございません。
ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
【ポイント】締めの挨拶でも、重ねてお詫びの気持ちを伝えます。
面接後のお礼メール【例文とポイント】
お世話になっております。
本日〇時より面接をしていただきました●● ●●でございます。【ポイント】お礼を伝えるタイミングは早い方が望ましいので、面接したその日にメールを送りましょう。担当者が把握しやすいように時間を添えて名乗るのが親切です。
本日はお忙しいところを面接の機会をいただきまして
誠にありがとうございました。
〇〇様のお話を伺い、貴社の技術力の高さや社員を大切にする社風、働きやすい環境について理解を深めることができ、貴社で仕事をしたいという想いがより一層強まりました。
【ポイント】面接の感想を具体的な事項を交えて述べ、応募企業で働きたいという想いを伝えましょう。
まずは、面接のお礼を申し上げたくメールいたしました。
末筆ながら貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
【ポイント】ビジネスメールにふさわしく、応募企業の発展を祈る文章で締めましょう。
選考(面接)辞退のメール【例文とポイント】
(件名) 面接辞退のご連絡/●● ●●【ポイント】「Re」で送信しない場合は、用件と送信者名を記載しましょう。
(本文) (宛名、挨拶、署名は「日程調整メール」と同じです)
誠に申し訳ございませんが、
諸般の事情により、この後の面接を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
大変貴重なお時間を割いていただいたにも関わらず、
身勝手なお願いで誠に申し訳ございません。
【ポイント】応募先企業の都合もあるので、できるだけ早いタイミングでメールを送りましょう。まずは謝罪し、辞退する旨を伝えます。辞退理由については具体的に述べなくても良いでしょう。
メールにより面接の辞退をご連絡しましたことを
重ねてお詫び申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
【ポイント】本来、謝罪は対面ですべきものなので、非礼を詫びます。応募企業の発展を祈念する言葉で締めくくりましょう。
内定承諾のメール【例文とポイント】
(件名) Re:内定のお知らせ【ポイント】応募企業からの内定通知への返信なので、「Re」で返信します。
(本文) (宛名、署名は「日程調整メール」と同じです)
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
心より感謝を申し上げ、謹んでお受けいたします。
【ポイント】採用担当者を待たせないため、内定通知を受けたら、できるだけ早いタイミングで返信しましょう。まず礼を述べ、内定承諾の意向を伝えます。
これまでの自分の経験を生かし、貴社の戦力として貢献できるよう
努力する所存でございます。
【ポイント】続けて、今後の意欲を伝え、しっかりと入社の意欲があることを伝えましょう。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
気を付けたいポイント
イメージダウンにつながらないように、メール作成ではこんな点にも注意しましょう。
誤用しやすい敬語の一例
* 話し言葉では「御社」ですが、文面に用いる時は「貴社」
* 敬意を表する相手に対して了承の意を伝える時は、「了解しました」ではなく「承知しました」
* OKか否かを確認する時は、「よろしかったでしょうか」ではなく、「よろしいでしょうか」
こんなことにも要注意!
丁寧さを心がけるあまりに、あらゆる単語に美化語を用いたり、文末に「させていただきます」を多用したりするのは逆効果です。過度な敬語は、しつこく回りくどい印象を与えてしまうので、ほどほどすることをおすすめします。
色文字や太字などの装飾不要な装飾
ビジネスメールで “☆”や“♪”といった記号や顔文字を用いるのは避けましょう。前向きな意欲を伝えたいからといってメールを装飾すると、浮ついた感じになり、「ビジネスパーソンとしてふさわしくない」という印象を与えてしまう可能性があります。
また、強調したい箇所があるからといって、むやみに【】や太字を用いるのは避けた方が賢明です。気遣いがアダとなり、読みにくくなる恐れがあるからです。
改行や段落分けがされていない
ぎっちりと文字が詰まった長文はとても読みにくいものです。内容に沿って改行や段落分けを行い、適度に空行をはさみ、読みやすいメールを作成するよう、心がけましょう。
一文の長さは20~30文字程度、1ブロックは2~3行程度が読みやすさの目安です。これを超える場合は句、読点の位置で改行すると読みやすくなります。
現職の会社のメールアドレス、キラキラアドレスを使用
現職のまま転職活動をしている場合、応募企業とのメール送受信は、会社のパソコンを使うのではなく、自分のパソコンやスマホで行うのが望ましいでしょう。
その際、“love”“happy”といったワードを盛り込んだキラキラアドレスは使用しないように注意しましょう。ビジネスにはそぐわないワードによって、「仕事とプライベートを区別できない人かもしれない」と思われてしまう可能性があるからです。プライベートで使用しているものとは別に、ビジネス用のアドレスをつくることをおすすめします。
メール送信前のチェック
メールを作成したら全体を読み返して、送信前に再確認をしましょう。うっかりミスしやすいチェックポイントをまとめました。
宛先に間違いはないか?
メールアドレスの間違いによって、大切なメールが届かない、あるいはまったく関係のない人に届いてしまい情報漏洩するリスクがあります。また、うっかりとはいえ、社名や氏名などの間違いは大変な失礼にあたります。いま一度しっかりと見直しましょう。
見やすくまとめられているか?
読み手のことを考えて、適度に改行、段落分けを行っているかを確認しましょう。見やすさのために、テキスト形式(プレーンテキストモード)で送信することをおすすめします。
誤字・脱字はないか?
宛先と同様に、誤字・脱字、敬語の誤用がないか、細部までくまなくチェックしましょう。文言ミスは「知性のない人」「ビジネス経験が乏しい人」といったイメージダウンにつながりやすいので要注意です。
面接希望日時は合っているか?
メール文面とスケジュールを照合し、面接日時に間違いがないかをチェックしましょう。意外と多いのが曜日間違い。日にちと曜日にズレがないか、カレンダーでしっかり確認しておきましょう。
パソコンの日時設定は合っているか?
応募企業とやりとりを行うパソコン機器が正しく設定されていないと、メール送信日にズレが生じ、送信予約も正常に機能しないので注意しましょう。
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