多くの定型履歴書に記入項目として設けられている「本人希望欄」。自分の希望をどこまで書いていいのか、希望を書くことによって印象を悪くしないかと不安に感じることもあるでしょう。
ここでは本人希望欄の書き方について悩んでいる方に向けて、本人希望欄の正しい書き方と注意点を、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
目次
履歴書の「本人希望欄」には何を書けばいい?
履歴書の「本人希望欄」は、たとえ記載する事項がなくても空欄とすることは避けましょう。「特になし」と記載する方法も考えられますが「勤務条件は貴社の規定に従います」と記載したり「○○職を希望します」のように応募職務について記載したりする方が適切です。
履歴書の「本人希望欄」に希望条件を書く場合の例文
どうしても譲れない条件がある場合や、募集要項に複数の職種や勤務先があるとき、入社可能日を明記したい場合など、本人希望欄を「通信欄」として用いる方法もあります。その際の例文を紹介しますので、参考にしてください。
募集要項に「職種」や「勤務地」が複数ある場合
営業職、事務職、技術職など複数の職種を同時に募集している場合や、複数の事業所が勤務地となっている場合は、希望の職種や勤務地を明記することをおすすめします。
職種名は求人内容に記載されている正しい名称で記入しましょう。勤務地においては、家族の都合で引越や異動が難しい勤務地があるなど、理由とともに書いておきましょう。
【記入例】
「経験を活かせるため、営業職を希望いたします。」
「福岡市内での勤務を希望します。介護が必要な家族と同居しているためです。」
「入社希望日(退職予定日)」が決まっている場合
在職中で現職の退職予定日が決まっている場合は、退職予定日や入社希望日を書いておきましょう。退職日が決まっていない場合は、憶測で記載して日付がずれると転職先企業に迷惑をかけてしまう可能性があるので無理に書く必要はありません。
【記入例】
「勤務時間」に制限がある場合
勤務時間に出勤が難しいことがわかっている場合は、背景と頻度や時間などを書いておきましょう。
【記入例】
「子どもの保育園送迎のため、9時〜17時までの勤務を希望します。」
「通院のため、毎月第一木曜日は17時までの勤務を希望します。」
日中連絡が取りにくい場合
在職中などで日中連絡が取りにくい時間帯がある場合は、連絡がつきやすい曜日や時間帯を記入しましょう。
【記入例】
特に希望がない場合は空欄にしない
特に希望することがない場合は「勤務条件は貴社の規定に従います」と記載するのが一般的です。空欄のままにするのは記入漏れとの区別がつかないため避けましょう。
【記入例】
「勤務条件は貴社の規定に従います。」
「勤務地、待遇などは貴社の規定でお願いいたします。」
給料や待遇面は「本人希望欄」に書かないほうがいい
本人希望欄に給与や残業など待遇に関する希望を書くことはおすすめできません。面接に進む前の書類選考の段階で「条件ばかりを気にする人」というマイナスの印象をもたれてしまう可能性があります。
もし給料や待遇面に関する希望があるならば、面接や内定時に給与や待遇について話す機会がありますので、その際に交渉するのがよいでしょう。
「本人希望欄」を書く際の注意点
採用担当者からの印象を悪くしないために「本人希望欄」を書く際の注意点を2つご紹介します。
簡潔に伝える
「本人希望欄」に書く内容は簡潔にまとめましょう。自分の希望を多く書いてしまうと「入社しても要望が多くなるのではないか」と採用担当者が不安に感じてしまう恐れがあります。詳細は面接や内定時に話す機会がありますので、履歴書の本人希望欄には「〇〇のため、〇〇を希望します」と簡潔にまとめることが大切です。
譲れない条件があるときだけ希望を書く
「本人希望欄」に記載されている内容は、入社にあたっての絶対条件だと見られる傾向にあります。そのため、入社の判断に影響するような譲れない条件があるときに希望を書きましょう。
例えば「両親の介護があるため、現住所からの通勤時間が1時間以内の勤務地を希望します」などと、理由を合わせて記載します。一方で「通勤時間を短くしたいので、現住所から1時間以内で通える勤務地を希望します」などは、入社に影響を与えるほどの理由でないため記載するのは避けましょう。
履歴書の書き方に迷ったら転職エージェントに相談するのも手
履歴書の「本人希望欄」は、どこまでの希望を書いていいか迷うかもしれません。記載しようと思った内容が適切かどうか分からないときは、転職エージェントに相談することもできます。転職エージェントは応募書類作成に関しても多くのノウハウを持っているため、履歴書の作成に困ったら転職エージェントの利用も検討してみてください。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。