職務経歴書の「職務要約・職務概要」の書き方【職種別の例文】

職務経歴書は冒頭に「職務要約・職務概要」を入れておくと、採用担当者が一目で応募者の経歴の概要をつかみやすくなるでしょう。そこで、職務要約・職務概要の基本事項と作成のポイント、例文について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

職務要約・職務概要はなぜ必要？役割を解説

職務要約・職務概要はなぜ入れる必要があるのでしょうか。考えられる職務要約・職務概要の役割について解説します。

人物像を的確に伝えるため

採用担当者は、職務経歴書に記載されている職務経歴や実績、経験・スキルや自己PRを読んで応募者の人物像をイメージしますが、注目する箇所によって印象は異なります。自分が伝えたい人物像を職務要約・職務概要に入れることで、採用担当者に的確に伝わるでしょう。

採用担当者の興味を惹くため

採用担当者は、数多くの職務経歴書に目を通しています。職務要約・職務概要は、職務経歴書における「掴み」に該当し、職務経歴書の冒頭で興味を惹くことができるでしょう。職務経歴書の分量が多く、読み込むのに時間がかかる場合も、職務要約・職務概要があれば最後まで読み込んでもらえる可能性が高くなるかもしれません。

職務要約・職務概要の書き方のポイント

職務要約・職務概要は、4つのポイントに従って書くと分かりやすくなります。ポイントに従ってまとめてみましょう。

3～4行程度で簡潔に

採用担当者に、一目で人物像を印象付けるために記載するのが職務要約・職務概要です。長すぎると読むのに時間がかかってしまうので、3～4行を目安にして簡潔にまとめましょう。

応募する仕事との共通点を意識する

職務要約・職務概要を見て、採用担当者がすぐに「この経歴であれば自社で活躍してもらえそうだ」と感じられるように、応募する仕事との共通点を意識しましょう。例えば、法人営業の募集であれば過去に担当した顧客の社数や売上、マネジャー候補の募集であればリーダー経験やマネジメント人数など、求める人物像にマッチした経験をアピールすることが大切です。

アピールしたいことを中心にまとめる

職務要約・職務概要は職務経歴のダイジェスト版ですが、過去の経歴を均等に記載する必要はないでしょう。メリハリを意識して、アピールしたい経験・スキルを中心にまとめましょう。転職経験が複数回ある場合は、応募する仕事に関連性の高い職歴を強調し、転職経験がない、または社会人経験が短い場合は、時系列でシンプルに記載すると良いでしょう。

具体的な数字を用いて事実を記載する

数字を用いると、短い文章でも説得力が増すため、職務要約・職務概要の実績はできるだけ数字を交えてアピールしましょう。売上などの数値目標がなく、数字でアピールしにくい職種でも、「営業〇名のサポートをしていた」「工数を〇時間短縮した」など、業務内容や工夫したことに数字を交えると採用担当者がイメージしやすくなります。職務要約・職務概要は採用担当者が目にしやすい重要な項目なので、表現を工夫してみましょう。

【職種別】職務要約・職務概要の例文

職種別に職務要約・職務概要の例文をご紹介します。書き方の参考にしてください。

営業

【解説】
営業の場合は、担当する商材、顧客特性、実績（目標達成率）などを盛り込むと良いでしょう。また、応募職種に関連性が高く、即戦力としてすぐに活躍できそうなポータブルスキルも重要。求人にリーダーやマネジャーなどのキーワードがある場合は、マネジメント経験を入れると効果的です。

システムエンジニア（SE）

【解説】
エンジニアの場合は、プロジェクトの概要を守秘義務遵守範囲で、開発環境、規模感、担当工程・担当業務、役割などを、数字を交えて盛り込みます。得意としている担当領域が明確に伝わるように工夫しましょう。

生産、製造技術

【解説】
作業内容、実績、代表的な経験スキル、チームで取り組んだ作業効率の工夫や、品質・顧客満足度の向上について、数字を使ってアピールします。製造や生産技術などは、数字で訴求しやすい職種といえるでしょう。

経理

【解説】
経理の場合は、業界や売上・従業員規模、上場非上場区分などの企業概要も入れ、実務として何を経験したかを盛り込むと、採用担当者はイメージしやすいでしょう。経験・スキルをすべて記載するとボリュームが多すぎる場合は、経理の代表的なスキルである月次・年次決算業務、連結決算対応、開示資料作成などを中心に記載すると良いでしょう。

一般事務

【解説】
一般事務の場合はPCスキルを求められるケースが多いので、担当する業務範囲と経験期間を簡潔に伝えたうえで、使用可能なツールやソフトをどのくらいのレベルで使用できるのか記載しましょう。また、自ら課題を見つけ業務改善した経験などがあれば併せて触れておきましょう。

看護師

【解説】
所属した病院の名前は省略せず法人名から正しく記載します。実施経験のあるケアや主な処置、担当した業務や役割、指導の経験、知識や看護技能向上のための病院の取組みに参加したことなどを盛り込んでアピールしましょう。

読みやすい職務要約・職務概要のコツ

職務要約・職務概要は、4つの構成を意識して記載するとまとめやすくなります。

＜職務要約・職務概要の4つの構成＞

• いつ
• どのような企業、部署で
• どのような役割を担って
• どのような実績を上げたか

経験社数が1社で在籍中の場合は入社年だけで問題ありませんが、複数社を経験している場合は、入社年や在籍期間を記載しておくと時系列が理解しやすくなります。

入社意欲を伝えたい場合は、最後に「貴社においても、積極的に業務改善に取り組んでいきたいと思っております」など、入社後に貢献できることを記載するという方法もありますが、アピールしたい要素が多いのであれば、無理に入れなくても構いません。

転職回数が多い場合の職務要約・職務概要

転職回数が多い場合は、時系列で記載するとそれだけでボリュームが多くなることもあるかもしれません。そこで、年代順ではなく業務別に職務要約をまとめるという方法があります。例えば、「法人営業8年：〇〇株式会社にて人材派遣の新規営業、〇〇〇株式会社では人材紹介の営業に従事。新規獲得件数は営業〇名中、10位以内をキープしていました。キャリアアドバイザー7年：〇〇株式会社でエンジニアを担当、〇〇株式会社ではITコンサルタントを中心にハイクラス領域を担当していました」など、業務別に、経験期間と具体的な業務内容、役割や実績などをまとめます。

他に、業界別にまとめる方法もあります。「〇〇株式会社にて人材派遣の新規営業、〇〇〇株式会社にて人材紹介の営業を担当し、人材業界では8年間従事しました。20XX年にIT系の〇〇株式会社と〇〇〇株式会社で法人営業を担当し、IT業界では10年の経験があります。リプレイス提案を得意とし、20XXはX件の実績があります」など、これまでの業界経験を社名・実績と共にまとめましょう。

職務要約・職務概要に関するQA

職務要約・職務概要によくある質問にお答えしています。

Q.アルバイトの経験しかなくても職務要約は必要ですか？

アルバイトやパートの経験を職務要約に入れて良いのか迷う方もいるようですが、雇用形態に関わらず、応募職種に活かせる経験・スキルがあれば積極的に記載しましょう。

Q.社会人経験が短く書くことがない場合は？

A．経験が短い若手や第二新卒（※1）の場合は、経験・スキルよりもポテンシャルや伸びしろを期待して採用される傾向があります。そのため、職務要約だけでなく、自己PRや志望動機などで応募の動機や職務に対する意欲を伝える方法もあります。また、短い経験でも、学んだことを転職先でどのように再現・活用できるかを補足すると良いでしょう。

（※1）「第二新卒」には明確な定義はありません。厚生労働省では「それぞれの企業の中で第二新卒の定義がある場合にはその定義によるものとし、特に定義がない場合は、学校（高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院）卒業後、おおむね3年以内の者（学校卒業後すぐに就職する新卒者は除く。また、職務経験の有無は問わない）（※2）」としています。

（※2）出典：「若年者雇用を取り巻く現状」（厚生労働省）