正社員以外にも契約社員、派遣社員、アルバイトの経験がある場合、履歴書の職歴欄にどのように記載すべきか悩む方もいるかもしれません。正社員以外の職歴も貴重な経験なので、しっかり記載しましょう。そこで雇用形態ごとの履歴書への記載方法について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
契約社員は履歴書にどう書く?
職歴は、基本的には勤務先への入社及び退社の経歴を古い順に記載します。正社員以外の契約社員や派遣社員、アルバイト、パートなどの職歴は、()で記載する方法があります。
また、応募書類として職務経歴書を提出しない場合は、職歴欄に勤務先の「事業内容」「従業員数」「所属部署」「職務内容」を追記する方法もあります。
【雇用形態別】履歴書の書き方&見本
これまでの職歴を職歴欄で正しく伝えるためには、以下の点に注意して記載します。
- 退職の理由は簡潔に書く
- 前向きな退職理由の場合は「志望の動機、アピールポイント」欄に記載する
- 時系列に沿って書く
- 最後は「以上」で締める
これらは虚偽なく、入社・退職年など間違いのないように記入しましょう。以下では、雇用形態別で職歴欄の書き方について詳しく解説しています。
正社員の職歴
まず「入社年」「正式社名」を記載し、在職中の場合は社名に続けて「現在に至る」と書きます。
退職した場合は、会社都合であれば「会社都合により」、自己都合であれば「一身上の都合により」などとするのが一般的です。在職中で退職日が決まっている場合は「現在に至る(20XX年◯月末退職予定)」と記載します。
■正社員の職歴の書き方見本
【在職中の場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社(現在に至る) |
【退職した場合(自己都合)】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社 |
20XX | 11 | 一身上の都合により退職 |
【退職した場合(会社都合)】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社 |
20XX | 11 | 会社都合により退職 |
【退職予定の場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社 |
現在に至る(20XX年2月末退職予定) |
契約社員の職歴
契約社員の場合は「株式会社●● 入社(契約社員)」のように()で記載することが一般的です。
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社(契約社員) |
インターネット事業部にて、ネットワーク構築を行う | ||
20XX | 1 | 契約期間満了により退職 |
20XX | 4 | 株式会社◯◯ 入社(契約社員) |
飲食店にて接客、新人スタッフの育成、シフト管理等に従事 | ||
20XX | 11 | 会社都合により退職 |
20XX | 1 | 株式会社□□ 入社(契約社員) |
販売促進本部 首都圏エリアを担当 | ||
20XX | 4 | 同社の正社員に登用。現在に至る |
以上 |
■契約社員の職歴の書き方見本
【在職中の場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社(契約社員) |
現在に至る |
【契約満了で終了した場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社(契約社員) |
20XX | 11 | 契約期間満了により退職 |
【自己都合・会社都合で退職した場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社(契約社員) |
20XX | 11 | 一身上の都合により退職 |
【正社員に登用された場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● 入社(契約社員) |
20XX | 11 | 同社に正社員として登用(現在に至る) |
派遣社員の職歴
派遣社員は、「入社年月」のほか、登録した人材派遣会社が雇用主となるため、その会社名と派遣されていた企業名の両方を記入する方法があります。このとき、雇用主となる人材派遣会社を経験社数にカウントします。
また、契約期間が終了して派遣されていた企業を離れた場合は、「退職」と書くのではなく「契約期間満了のため退職」と記載しましょう。契約社員同様、正社員に登用されたという方は「登用年月」と正社員に登用された旨も併記します。
■派遣社員の書き方見本
【シンプルな例】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●●より株式会社△△へ◻︎◻︎業務で派遣(20XX年3月末まで) |
【業務内容等も記載する場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●●より株式会社△△へ派遣される |
・派遣先事業内容:不動産賃貸の仲介業 | ||
・職務内容:書類作成など営業職の補佐 | ||
20XX | 3 | 契約期間満了につき退職 |
【派遣先が複数の場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●●に派遣登録し、派遣スタッフとして次の職務に従事 |
20XX | 4 | △△会社(自動車部品メーカー)製造部門 |
・製造ラインにおける組み立て(2021年4月末まで) | ||
20XX | 4 | ▽▽会社(麺製造メーカー)製造部門 |
・出荷前検査(2024年3月末日で契約期間満了予定) |
【正社員に登用された場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●●より株式会社△△へ◻︎◻︎業務で派遣 |
20XX | 4 | 株式会社△△に正社員登用 |
アルバイトの職歴
一般的に、学業期間中のアルバイトについては記載しません。ただし、卒業後のアルバイトや学業期間中のアルバイトでも、志望している仕事と同じ、または関連する業務を経験したり何らかのスキルを身につけたりしてアピールできるような場合は、アルバイトであることを明記の上で記載するのも良いでしょう。
なお、リクルートエージェントでは、1週30時間以上就業するアルバイトは、雇用契約を締結した社数も経験として記載いただくようご案内しています。
■アルバイトの書き方見本
【通常の記載方法】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● ◇◇店 入社(アルバイト) |
20XX | 4 | 株式会社●● ◇◇店 退社 |
【職務内容をアピールする例】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 株式会社●● アルバイト採用(2021年4月末まで) |
◇◇店にて○○職として従事(○○業務、○○業務) |
【複数のアルバイト経験をまとめて記載する場合】
年 | 月 | 職歴 |
20XX | 4 | 以下の事業所にてアルバイトに従事(2022年4月末まで) |
・○○マート○○店、△△店(コンビニエンスストア) | ||
・○○会社○○店(ラーメン店) |
契約社員の職歴をアピールする方法
書類選考の通過可能性を高めるために、契約社員の職歴をアピールする方法を2つ紹介します。
業務での実績を伝える
契約社員も正社員と同様、職歴をアピールする際は業務での具体的な実績を伝えることが重要です。例えば、自分が担当したプロジェクトの規模や成果、問題解決のために取り組んだ施策などを具体的に記載しましょう。数字を用いて表現することで、より説得力のあるアピールになります。
また、上司や同僚からの評価や表彰があれば、それらも積極的に伝えましょう。契約社員であっても、正社員と同様に業務に取り組み、成果を上げてきたことを示すと、自分の能力や経験をアピールすることができます。
持っているスキルを伝える
自分が持っているスキルを明確に伝えることも大切です。業務を通じて身につけた専門知識や技術、資格などをアピールしましょう。
IT業界であれば、プログラミング言語やフレームワーク、ツールなどの知識や経験を具体的に記載します。営業職であれば、顧客との交渉術やプレゼンテーション能力、目標達成率などをアピールするとよいでしょう。
契約社員としての業務を通じて、どのようなスキルを身につけ、どのように活用してきたかを伝えることで、自分の価値を効果的にアピールすることができます。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。