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最終面接(役員面接)でよく聞かれる質問と面接対策を解説【回答例付き】

最終面接

採用選考の最後に実施される「最終面接」。面接担当者が役員や社長であるケースが多く、「役員面接」「社長面接」と呼ばれることもあります。最終面接ではどのようなポイントが見られているのか、質問にはどう答えればよいのか、逆質問ではどんなことを聞くと効果的なのかなど、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

最終面接(役員面接)とは

採用選考の最後に行われる面接が「最終面接」(役員面接)です。この面接の評価をもとに採用・不採用が決定されます。

面接の回数は企業によって異なり、一次面接・二次面接を経て最終面接となるケースもあれば、一次面接の次が最終面接となるケースもあります。小規模のベンチャー企業などでは、初回面接で社長や役員と会い、1回で採否が決まることもあります。

最終面接と一次・二次面接との違い

当然ながら企業によって各面接の位置付けは異なります。しかし、大まかな傾向としては、一次・二次面接では「求める経験・スキルを持っているか」「チームメンバーになじめそうか」といったポイントを確認するのに対し、最終面接では長期的な視点で「会社に貢献してくれそうか」「企業理念に共感しているか」「入社への意欲は高いか」といった点に注目されることが多いようです。

最終面接の面接担当者・面接形式

最終面接では、多くの場合、役員クラス以上が面接の相手となります。中堅~大手企業では「配属予定部門の部長クラス」や「人事部長」、小規模ベンチャーなどでは「社長」など、会社の規模や方針によって面接担当者が異なります。

近年は一次・二次面接をオンラインで実施する企業が増えていますが、最終面接に関しては会社のオフィスにて対面面接を行うケースが多いようです。

最終面接の所要時間

面接は、「1時間」で設定されるケースが多数ですが、多忙を極める経営陣との面接の場合、「30分」で終わることもあります。ベンチャー企業などで、社長が1回のみ面接を行う場合は、1時間30分~2時間程度で設定されるケースもあります。

最終面接でよく聞かれる質問と回答例

最終面接で聞かれることが多い質問は以下のとおりです。回答例を紹介しますので、参考にしてみてください。

Q.当社への志望動機を教えてください

【回答例】
「御社の顧客第一主義という企業理念に強く共感しています。私自身、現在の業務において、その姿勢を徹底しているからです。一次面接でお会いした現場の方に、顧客に向き合う際の姿勢についてお聞きしたところ、社員の皆さん一人ひとりにその理念が浸透していると実感し、入社したい気持ちがいっそう高まりました」

【回答のポイント】
一次・二次面接などでも聞かれる質問ですが、最終面接では「どの程度、本気なのか」を確認するため、より深く突っ込んで聞かれる可能性があります。一次・二次面接での感想も踏まえて語ると、説得力が高まるでしょう。

Q.入社後のキャリアビジョンを教えてください

【回答例】
「まずは○○業務において成果を挙げ、△△のスキルを磨いたうえでマネジメントの役割も担っていきたいと考えています。いずれは御社が今後展開していく□□の領域にも挑戦したいと思います」

【回答のポイント】
企業は自社の事業内容や今後の方向性を踏まえ、応募者が「働くイメージ」を描けているかどうかに注目しています。また、この質問の回答から、自社についてどの程度理解しているかもチェックしています。

回答する際は、短期的なビジョンだけでなく、中長期的なビジョンも伝えるようにしましょう。求人情報を読み込み、自身に期待されている役割を想定したうえで、新たなチャレンジをしていく意思を伝えると好印象です。

Q.いつごろ入社できますか?

【回答例】
「現在担当しているプロジェクトが今月いっぱいで一段落する予定です。引き継ぎなどを考慮すると、○月○日あたりを想定しています」

【回答のポイント】
在職中の場合、安易に「すぐに入社できます」と答えないようにしましょう。引き留めにあったり、引き継ぎが長引いたりと、退職まで想定以上に時間がかかってしまう可能性もあります。

担当している業務の進捗や引き継ぎに要する時間を考慮し、少し余裕をもって日程の目安を答えるといいでしょう。一般的には、内定から退職まで1.5~3カ月程度かかることが多いようです。

Q.当社は第一志望ですか?

【回答例】
「他社の選考も進んでいるため、まだ検討中です。しかしながら、御社の○○にはとても魅力を感じています」

【回答のポイント】
第一志望ではない場合、「第一志望です」と嘘をつくことはやめましょう。志望順位は明確にせず、検討中であることと、魅力を感じているポイントを挙げるといいでしょう。

Q.あなたの経験・スキルをどのように活かしたいですか?

【回答例】
「私が得意とするのは、リーダーとしてメンバーを育成し、チームワークを強化することです。御社は事業拡大中で、未経験の若手層の採用を進めていらっしゃるとお見受けします。私の経験を活かし、メンバー一人ひとりが主体性を持って自走できる組織をつくって売上拡大に貢献したいと考えています」

【回答のポイント】
応募企業の状況や課題を想定したうえで、自身の強みとリンクさせて課題解決を図れることを伝えましょう。

Q.業界で注目されている○○についてどうお考えですか?

【回答例】
「◯◯については、御社の△△業務・□□領域でも活用できるのではないかと考えております。ちなみに、現職では***のように活用していますし、他社でも例えばXX社では***のような活用事例があると聞きます。御社で働けることになった場合も、引き続き最新情報をキャッチアップし、自社で活かせる可能性を探っていきたいと思います」

【回答のポイント】
情報感度・情報収集力・自社理解の度合い・自社への展開を想定する発想力や企画力などが注目されています。「今後広がっていくと思います」といった漠然とした回答ではなく、「応募企業にとってどうか」という観点で述べること、なるべく具体例を織り交ぜることが大切です。

Q.あなたが仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?

【回答例】
「○○を大切にしています。その部分はこれまでの面接や面談を通じて、御社の社員の皆様とも重なる部分があると感じており、非常にうれしく思っています。志を同じくする仲間とともに切磋琢磨して働くことで、自分自身を高めていけるのではないかと考えています」

【回答のポイント】
企業は自社との「カルチャーフィット」の度合いを確認しようとしています。自身が大切にしていることの中でも、特に応募企業の「ミッション・ビジョン・バリュー」や「パーパス」などと共通するポイントにフォーカスして伝えると、プラス評価につながる可能性があります。

最終面接で好印象を与える逆質問例

面接の終盤では「何か質問はありますか」と聞かれます。最終面接では経営層と対話することになりますので、視座を一段高めて「企業が目指す方向性」「事業戦略」などに関する情報を収集しておき、その中で興味を抱いたポイントを質問するといいでしょう。

以下に一例を紹介します。

企業のビジョン、社風に関する質問例

「○○○の事業展開についてお話しされていたインタビュー記事を拝見しました。その中で△△の市場開拓の進め方について興味を持っております。どのような計画があるか詳しく伺えますでしょうか」

「御社のホームページやSNSを拝見し、部署・職種の枠を越えた連携が活発であるとお見受けしました。さまざまなイベントや社内横断プロジェクトを通じて部署間コミュニケーションを促進されてきたそうですが、今後もコミュニケーション活性化を目的とする新たな施策などはあるのでしょうか」

募集部署の事業に関する質問例

「現在はA業界をターゲットとしている○○サービスをB業界にも提供していく計画とのことですが、この先、C業界へも展開するご予定はあるのでしょうか。私は前職でC業界の顧客を多く担当していましたので、その場合、経験が活かせるのではないかと考えたため、お聞かせいただければ幸いです」

「競合他社では最近○○○に取り組む動きがあるようです。御社でもそのような構想はあるのでしょうか」

最終面接でNGな質問例と注意ポイント

以下のような質問は、最終面接の場にふさわしいとは言えません。うっかり聞いたことでマイナス印象を与える恐れがありますので注意しましょう。

漠然としすぎている質問

「御社の一番の強みとは何ですか」など、相手が答えにくいような漠然とした質問は控えましょう。「企業研究が足りないから、その場しのぎで聞いているのでは」といった疑念を抱かれかねません。

「人事」あるいは「現場担当者」に聞くべき質問

例えば、「評価制度」「福利厚生」などは人事担当者に聞くべき質問、「○○業務での使用ツール」「チーム体制」などは配属先部署の担当者に聞くべき質問です。役員や社長に聞くのは適切ではありません。

仕事に関係がない質問

経営層の人物像に興味を抱き、「趣味」や「休日の過ごし方」などを聞きたくなるかもしれません。それで話題が盛り上がる可能性もありますが、逆にマイナス印象を抱かれる恐れもあります。事業に関する質問を優先させましょう。

最終面接前に行っておきたい対策や準備

最終面接では、一次・二次面接とは異なる視点の質問を投げかけられることがあります。以下の準備をしておくことをお勧めします。

企業研究を深め、最新トピックを見直しておく

最終面接では、「自社をしっかり理解しているか」を確認することで、「入社後の活躍をイメージできているか」「入社後ギャップを感じることはないか」を見極めようとする傾向が見られます。企業研究をより深め、最新のリリースなどを確認しておきましょう。

レジュメを見直し、これまでの面接を振り返る

これまでの職務経歴について、どの部分に対して突っ込んだ質問をされても対応できるよう、レジュメを見直しておきましょう。経験してきた業務について、「成功体験」「身に付けたスキル」なども整理し直すことをお勧めします。

これまでの面接でのやりとりを振り返っておくことも大切です。一次・二次面接で語っていたことと最終面接で語ることに矛盾があると不信感を抱かれますので、一貫性を持たせて話せるようにしておくことも大事です。一次・二次面接で感じたことを踏まえて志望動機を伝えたり質問をしたりするためにも、振り返りは欠かせません。

志望動機や入社後のキャリアプランなどを整理しておく

最終面接では「入社への本気度」も見られています。説得力のある志望動機や入社後のキャリアイメージなどを語れるよう、整理しておきましょう。

選考が進む過程では、応募時には認識していなかった企業の魅力を発見することもあったのではないでしょうか。それらの観点を盛り込むと、意欲の高さが伝わりやすくなるでしょう。

最終面接で確認されるポイント

最終面接で注目されているのは、主に次のポイントです。こうした意図を想定し、質問への答え方や自己アピールを整理しておくといいでしょう。

社風にマッチしているか

スキル面でマッチしていても、社風に合っていなければ、入社後になじめずに辞めてしまうかもしれないと企業は考えています。コミュニケーションの取り方や話の内容から、自社のカルチャーや価値観に合うかどうかを見ています。

自社を理解しているか

自社について漠然としたイメージだけで捉えていると、入社後にギャップを感じる可能性が高いため、事業内容や仕事内容に誤解はないか、理解度を確認しています。また、自社のことをより深く知ろうとする姿勢から、意欲の高さも測っています。

入社意欲は高いか

自社への思い入れが強く、入社意欲が高い人であれば、入社後に新しいことをどんどん吸収し、早期に戦力となってくれる期待が持てます。「志望動機」「入社後の目標」など、さまざまな角度からの質問を通して、意欲の高さを見極めようとしています。

最終面接が終わったあとは何をしたらいい?

最終面接が終わると、あとは採否の連絡を待つのみとなります。気持ちが落ち着かず、何かアクションを起こしたい場合は、次のような方法があります。

最終面接のお礼メールを送る

面接後のお礼メールは、必ず送らなければならないものではありません。送ったとしても、選考結果に影響することはほぼないと考えてください。しかしながら、感謝の意を伝えることで、好印象を抱いてもらえる可能性はあります。

「面接を受けてみて入社意欲が高まったが、その気持ちを伝えそびれた」といった場合には、お礼のメールを送り、入社への意欲を伝えてもいいでしょう。

面接結果の通知が遅い場合は問い合わせてみる

面接結果の通知時期について、事前に「○日までに」「1週間程度で」などと目安を聞いていた場合、その時期を過ぎたら、こちらから問い合わせをしても問題ありません。事前に通知時期が伝えられていない場合も、1週間程度を経ても連絡がなければ、問い合わせてみてもいいでしょう。

問い合わせる場合、電話では受けた相手は即答できない可能性が高いと考えられます。まずはメールで連絡してみてください。

最終面接では、「貢献への意欲」「成長意欲」を伝えよう

募集条件である経験・スキルを持っているかどうか、職場の雰囲気になじめそうかどうかは、一次・二次面接で確認することが一般的です。最終面接では、「入社後に貢献してくれそうか」「今後も成長してくれそうか」が注目されています。その点を意識し、アピールポイントや逆質問を準備して臨みましょう。

転職エージェントでは、「経営陣が選考で重視しているポイント」について情報を得られることもあります。転職エージェントを活用して、最終面接対策を練ってみてはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年04月01日
記事更新日:2023年06月22日
記事更新日:2024年01月23日 リクルートエージェント編集部

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