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大手企業に転職するための方法は?求められる経験や転職事例と合わせて解説

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「ブランド力がある商品を扱える」「スケールの大きな仕事ができる」「待遇や福利厚生が充実していて、安定感がある」などの理由から、大手企業への転職を希望する人は少なくないでしょう。一方、「中途採用で大手企業に入社するのは難しいのではないか」とためらうこともあるようです。大手への転職を実現させるポイントなど、大手企業への転職事例と合わせて組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。

大手企業の転職市場・中途採用の動向

まずは、近年の大手企業の転職市場動向、中途採用の動向についてご紹介します。どのようなチャンスがあるかを知っておきましょう。なお、大手企業には明確な定義がありませんが、本記事では従業員数が1000人以上の企業を想定して解説いたします。

大手企業は中途採用を活発に行っている

大手企業では、業界を問わず中途採用を活発に行っています。リクルートエージェントが2023年2月に行った中途採用動向調査によると、2023年度通期の中途採用計画について、前年度比で中途採用計画を「増やす」と回答した企業は31.5%に達しました。

従業員規模別に見ると、「大幅に増やす」と「増やす」の合計は、従業員1000人~4999人以下の企業で37%、5000人以上の企業で38.6%と約4割近くを占め、採用意欲が高い大手企業が多い傾向が見てとれます。

2023年度通期の中途採用計画 前年度比増減状況

出典:リクルートエージェント「2022年度下半期 中途採用動向調査」(株式会社リクルート)

また、リクルートワークス研究所による「中途採用実態調査」では、2024年度の中途採用見通しについての企業の回答は「増える」(22.4%)が「減る」(4.0%)を大きく上回りました。従業員規模別では、「増える」が、2000人~4999人規模で30.2%、5000人以上規模で34.1%と、採用意欲がさらに高まっています。

従業員規模別 2024年度 中途採用見通し
出典:「中途採用実態調査」(リクルートワークス研究所)

大手企業が中途採用を活発化させている背景

大手企業が中途採用を活発化させている背景には、事業変革や社会課題への取り組みがあります。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」をはじめ、脱炭素と経済成長の両立を目指す「GX グリーントランスフォーメーション )」、企業の経営方針・戦略を持続可能なものにしていく「SX(サステナビリティトランスフォーメーション )」などの取り組みが活発化し、推進する人材を求めていることが考えられます。

また、「人的資本経営」が注目されるようになり、投資家から取り組み状況を厳しく問われる時代となっています。中途採用比率などのデータの開示も求められるようになってきました。ダイバーシティ(多様性)経営の実現に向け、多様な人材を外部から迎えようとしているのです。

中途採用における大手企業の求人数が多い業界、職種とは?

先に挙げたリクルートワークス研究所の「中途採用実態調査」における2024年度の中途採用見通しでは、すべての業種で「増える」が「減る」を上回りました。

粟野氏のご経験からすると、大手企業を中心に求人紹介を依頼される業界として多いのは、IT業界・ネット業界・コンサルティング業界・人材業界・建設業界・不動産業界・飲食業界・サービス業界などが挙げられるそうです。製造業では、自動車業界・半導体業界の採用が活発です。

職種については、DX推進人材が不足しており、ITエンジニアのニーズが高い状況が続いており、営業職も一定のニーズがあるそうです。接客サービス職、現場で作業を行う職種についても、人員不足が慢性化しており求人数が多いと言えます。

大手企業の未経験のニーズは?

近年、未経験者を対象とする求人が増加しています。リクルートエージェントが取り扱う求人のうち、「仕事の内容」に「未経験」という単語が含まれる求人を「未経験求人」と定義して推移を調査した結果、2018年度と比べて2022年度の未経験求人は3.2倍に増加していました。

特に、IT通信・インターネット、建設・不動産、外食・店舗型サービスなどにおいて未経験者採用の動きが顕著です。

未経験求人の内訳を従業員規模別に見ると、1000人以上規模の企業による未経験求人が4割を超えています(42.7%)。この結果から、大手企業でも未経験者を積極的に受け入れている状況が見てとれます。

【従業員規模別】未経験求人の内訳(2022年度)
出典:「未経験求人が2018年度比で3.2倍に増加。2022年度で急増」(株式会社リクルート)

大手企業が中途採用で求めている人材とは

大手企業が中途採用で求めている人材は、当然ながら企業によって大きく異なります。しかしながら、大まかには次のような傾向が見られます。

求められる専門性を持っている

大手企業では業務が細分化され、一人あたりの担当領域が特定されていることも多いため、専門分野の高度な知識やスキルを求めるケースもあります。

募集企業にない業務領域の経験・スキルがある

ビジネス環境の変化が激しい昨今、大手企業も既存事業の延長戦上だけでは成長が見込めず、新規事業を模索する動きが活発です。異分野への参入を図るケースも多く、自社にない経験・スキルを持つ人材の獲得に動くケースも見られます。

ほか、DX推進、カーボンニュートラル実現への取り組み、海外展開など、経営課題の解決を図れる人材を求めるケースもあります。

変革やチャレンジを推進できる

粟野氏のご経験からすると、大手企業からは中途採用者に対し、「組織に新風を吹き込んでほしい」「固定観念を破り、新たな刺激を与えてほしい」といった期待を込めた相談案件が増えてきているようです。

時代の転換期にさしかかっている今、変革を推進できる人材、新たなチャレンジをリードできる人材へのニーズが高まっていると考えられます。

大手企業への転職を実現させるコツ

大手企業への転職を実現させるために、転職活動では以下のポイントを意識するといいでしょう。

長期的な視点で幅広く情報収集し、応募するタイミングを逃さない

中途採用の場合、職種・ポジションによって募集するタイミングが異なるため、自身が希望するポジションの求人をタイムリーにキャッチすることが重要です。

ある程度、長期的な視点を持ち、転職サイト、転職エージェント、スカウトサービス、SNS、リファラル採用など、幅広いチャネルを活用して情報収集を続け、応募するタイミングを逃さないようにましょう。

企業の募集背景や求める人物像を理解する

企業が中途採用の人材を募集する際には、何らかの課題解決や新規事業の展開、注力領域の変化など、さまざまな背景があります。

企業研究をしっかりと行い、「なぜその職種・ポジションを求めているのか」「事業や組織においてどのような課題があるのか、あるいは、挑戦したい新たな改革があるのか」「それをどのように解決・成功させたいのか」「そのためにどういった人物を求めているのか」などを深く理解することがポイントです。

これらに対し、アピールできる自分の強みが何かを考えると良いでしょう。

入社後に実現したいことを考える

大手企業に対して「安定したい」「年収をアップしたい」「福利厚生やネームバリューに惹かれた」などを志望動機とする人は少なくありません。しかし、それだけでは「なぜその企業で働きたいのか」が伝わらないため、選考通過は難しいでしょう。

応募企業に転職した後、仕事を通じてどのようなことを実現し、どのような活躍・貢献したいのかを考えることが大事です。そのためにも、企業研究をしっかりと行って「大手だから」ではなく「その企業だからこそ実現したいこと」を伝えましょう。

また、説得力を持たせるために、その実現に役立つ自分の経験・スキル・実績までしっかりとアピールすることが重要です。

大手企業の仕事の進め方や組織風土の違いを理解する

大手企業は中小企業と比べて、組織の規模が大きく、仕事を進める際の関係者も多くなる傾向があります。自分の提案を実行するまでには、関係各所への調整や根回しが必要となりますし、社内稟議を通す際にも時間がかかるでしょう。

また、組織の風土が保守的な企業や、昇格などにおいて年功序列を重んじる企業もあります。企業によっても異なりますが、中小企業から大手企業に転職する場合、こうしたギャップがある可能性も理解しておきましょう。

転職エージェントを活用して「非公開求人」を入手する

転職エージェントは、一般公開されていない求人情報を取り扱っています。自分の希望にマッチする求人を紹介してくれるため、大手企業の求人情報もキャッチアップしやすいでしょう。

大手企業への転職活動事例

大手企業への転職を実現した事例、実現できなかった事例をご紹介します。転職活動のヒントにしてみてください。

【転職を実現した例】中小広告代理店の営業から大手人材企業の営業へ

Aさん(20代後半)は、200名規模の広告代理店で営業を務めていました。ある程度の成果を挙げており、「営業スキルをさらに高めたい」「年収を上げたい」と考え、転職を決意。人材サービスを手がける1000名以上規模の上場企業に転職を果たしました。

実現したポイント

選考では、中小企業経営者向けの営業スキルの高さ、数値達成意欲の高さ、行動力などをアピールしたところ、企業側が求める人材像とマッチしていると評価されました。Aさん自身も、面接を通じて営業力が高い人材が応募企業に多いと感じ、自身が成長できる環境であると判断して入社を決めました。

【転職を実現できなかった例】面接で適切なアピールができず不採用に

150名規模の金融企業に勤務する営業職・Bさん(20代後半)は、「提案の幅を広げたい」「よりオープンな社風の組織で働きたい」「キャリアプランの選択肢を増やしたい」「年収・待遇を上げたい」といった希望を抱いて転職活動を開始。大手銀行、コンサルティングファームなどに応募しましたが、採用に至りませんでした。

実現できなかったポイント

転職で実現したい希望ばかりが先立ち、「応募先企業で経験・スキルをどう活かして貢献するか」の視点を持たないまま面接に臨んでしまいました。採用企業側はBさんの強みを理解することができず、活躍イメージを描けなかったため採用を見送ったのです。転職活動においては「採用企業側のニーズ」も意識することが大切です

自分に合った働きやすい大手企業を見極めよう

「大手企業に転職する」ことを目的とするのではなく、自分に合う働き方や将来目指したい姿をしっかりと考え、それにマッチする企業を探すことが、満足度の高い転職につながります。

自分にマッチするかどうかを見極めるためには、イメージだけで捉えず、詳細な情報収集が不可欠です。転職エージェントでは、各社の働き方の実態や風土を理解していることもありますので、情報を得て企業選びや面接対策に活用してはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年04月02日
記事更新日:2023年06月30日
記事更新日:2024年09月03日 リクルートエージェント編集部

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