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志望動機が書けない・思いつかない場合の対処法と書き方を解説【例文つき】

志望動機 書けない

履歴書に志望動機を記入する際、「うまく書けない」「そもそも何を書けばいいのか思いつかない」と悩む人は少なくありません。
しかし、志望動機は、入社意欲や成長性をアピールすることができる重要なポイントであり、経験が浅い場合でもそうした点を評価され、採用につながる可能性があります。「志望動機なんて適当でいいのでは?」などと思うことなく、しっかりとアピールすることが大事です。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が、志望動機が書けない理由と対処法、志望動機の書き方、面接での志望動機の伝え方を解説します。

志望動機が書けない理由

まずは「志望動機が書けない」と感じてしまう理由について解説します。自分に当てはまるものがないか考えてみましょう。

転職する理由がネガティブ

ネガティブな理由から転職を決意した場合は、「前向きな志望動機が思いつかない」というケースが少なくありません。例えば、現職の仕事内容や職場環境、待遇などに不満を抱き、「不満を解消できる転職先ならどこでもいい」「とにかく今の会社を早く辞めたい」などと考えている人が当てはまるでしょう。

自己分析が足りない

自己分析が十分にできていないために、「転職することで何を実現したいのか定まっていない」「そもそも何がやりたいのか思いつかない」などの理由から、どのような転職先を目指せばいいのかわからず、志望動機も曖昧になってしまうケースがあります。また、「どのような仕事なら強みを活かせるのか」「どういった環境なら成長できるのか」「どのようなキャリアを築いていきたいのか」といった点を明確にしていないことで、漠然としたイメージで応募企業を選んでいるケースもあります。

企業研究・業界研究が足りない

志望動機では、「なぜその企業で働きたいのか」を書きます。その企業について十分に調べ、理解を深めた上で、「入社後にどのようなことを実現したいのか」「どのように活躍・貢献していきたいのか」を伝えることが重要です。企業研究や業界研究をしっかりと行わないまま、「大手企業・人気企業だから志望した」「何となく面白そうな仕事だから応募する」という場合は、自身が入社後に働くイメージを持てないため、志望動機も思いつかないと言えるでしょう。

応募企業に対する志望度が高くない

「応募先を増やすために、少しでも興味を持った企業にはとにかく応募してみる」「何となくイメージが良かった」「周囲に勧められた」など、志望度が高くない企業に応募している場合は、具体的な志望動機も思いつかないものです。

しかし、志望度が高くない企業の場合でも、興味を持ったきっかけなどを掘り下げることで思いつく可能性があります。入社後の仕事のやりがいや将来のキャリア、社風の良さなどが自分にマッチしていると思うケースもあれば、年収や働き方などの条件面から「自分の希望に合うライフスタイルを実現できる」と感じるケースもあります。
その企業について調べ、自分との接点を見つけることが大事です。その上で、「どうしても思いつかない」という場合は、応募企業の選び方そのものを見直したほうがいい可能性もあるでしょう。

志望動機の書き方

応募書類に志望動機を書く際には、以下のポイントを意識しましょう。

結論から書く

「○○の経験・スキルを活かしたい」「○○を大切に働きたい」「○○の経験を積みたい」「貴社の○○に魅力を感じている」など、結論=「志望動機の軸」から書き始めます。

具体的なきっかけや体験を書く

「結論」について、そう考えるようになった理由を記載します。この時、実際に体験したエピソードを交えて書くと、説得力が増します。

自身の経験・スキルがどう活かせるかを伝える

「貴社で○○がしたい」という一方的な希望を書くだけで終わらせず、「自身の経験・スキルが貴社でこう活かせる」「こんな貢献ができる」といったアピールも添えましょう。企業側は、あなたを採用するメリットを感じ、面接に招かれる可能性が高まるでしょう。

志望動機のNGポイント

「企業側の視点」を意識せずに書くと、評価につながらない可能性があります。「貴社の○○に魅力を感じます」と伝えても「共感してほしいのはそこではない」と判断されるケースもあれば、「このスキルに自信があります」と伝えた結果、「今、求めているのはそのスキルではない」など、双方の意識にギャップが生じるケースもあります。
まずは企業研究をしっかりと行い、企業側のニーズをつかむことを心がけましょう。また、志望動機として語った内容が「他社でも同じことが言える」という印象を与えてしまえば、プラス評価にはつながりにくいでしょう。

志望動機が書けない場合の対処法

一般的に、企業が採用するかどうかを判断する際には、応募者の経験・スキルや入社後の活躍・貢献性だけでなく、今後の成長性や将来性にも注目しています。志望動機では「入社後にどのようなことをやりたいのか」「将来どうなりたいのか」をアピールすることも重要です。自分自身の考えを整理するために、以下の対処法に取り組んでみましょう。

仕事に対するこだわりを明確にする

これまでの仕事経験の中で、やりがいや喜びを感じた場面、自然にモチベーションが上がった場面などを振り返ってみましょう。社会人経験が浅い場合は、学生時代の経験(部活やアルバイトなど)までさかのぼってみても良いでしょう。自分の志向や価値観を整理し、「こんな働き方がしたい」「働く上で、こんなことを大切したい」など、仕事に対するこだわりを明確にすることがポイントです。

また、「将来こんな仕事をしたい」「こんなポジションに就きたい」など、今後のキャリアの目標を明確にすることでも、仕事で大切にしたいことが見つかりやすくなります。現時点で具体的な目標がない場合は、これまでの人生の中で魅力を感じた人物や尊敬していた人物などを思い出し、「自分もこんな風になりたい」「こんな活躍がしたい」などの将来像をイメージしてみましょう。

企業研究をする

企業のホームページには、企業理念や事業概要だけでなく、経営層のインタビュー記事などが掲載されていることが少なくありません。また、企業サイトの新卒採用のページに、事業内容や仕事内容、働き方、キャリアステップなどが詳しく掲載されているケースもあります。先輩社員のインタビュー記事なども参考になるでしょう。
さらに、企業のIR(Investor Relations)情報ページで、経営状況や財務状況などに目を通すこともおすすめです。注力している事業内容や今後の方針、中長期ビジョンなども書かれているので、目指す方向性も理解できるでしょう。

また、複数の企業が参加・出展している転職フェアや、中途採用の応募者に向けた会社説明会などの転職イベントに参加するのも良いでしょう。企業のホームページや求人などには掲載されていない、より詳細な情報を得られる可能性があります。

新聞や業界紙などでも、業界内での企業の立ち位置や今後の事業展開などの情報を収集することができます。上場企業の場合は、会社四季報に業績や特色、平均年収などが掲載されています。転職エージェントを活用する場合は、紹介を受ける企業について、実績に基づく情報を把握している可能性があるので気になる点について聞いてみると良いでしょう。

また、企業によっては、応募以前の段階や選考過程の中で、カジュアル面談や職場見学、先輩社員との面談などを実施するケースもあります。知りたい情報について詳しく聞くことができたり、職場の雰囲気をつかむことができたりする機会になるでしょう。

企業研究のポイント

企業研究では、以下のような情報を収集すると良いでしょう。

・企業理念、企業文化(自分の業務における価値観に合っているか?)
・具体的な仕事内容(仕事のやりがいや仕事の進め方なども自分にマッチしているか?)
・年収(平均年収、先輩社員の年収モデルは?)
・勤務時間/休日(平均残業時間や休日出勤の有無、有給休暇の利用などの傾向は?)
・社風や職場の風土(一緒に働く社員や職場の雰囲気が自分に合うか?)
・将来目指せるキャリア(キャリアアップの事例は?)
・福利厚生、働き方の制度(どのような制度があるのか?ライフスタイルの変化に対応できる制度は?)
・求められる経験・スキル(自分の経験・スキルを活かせるか?)
・求める人物像・活躍している社員の人物像(自分に近い人物像や将来なりたい人物像に近いか?)

これらの情報の中から、自分が大事にしたいことや志望動機を作成する上で必要な情報を深掘りし、分析していきましょう。例えば、「自分の経験・スキルをどう活かせるか」という視点から企業との接点を探したい場合は、企業のホームページや求人票、転職エージェントからの情報などを基に「求められる人材要件」を調べ、自分との接点を考えることができます。

また、「チームワークを大事にする社風が重要」と考えている場合は、企業ホームページの社員インタビュー記事や、転職イベント、カジュアル面談、転職エージェントなどを通じて得た情報を基に分析することができるでしょう。

企業研究を行う際には、1社のみでなく、複数社を比較すると、相対的に見た企業の魅力や強みが把握しやすくなり、自分がどのような点に惹かれるのかも判断しやすくなるでしょう。

自分がその企業でどう活躍・貢献できるかを考える

企業研究をすると、その企業の取り組みや求める人材像などがつかめます。それらと自分自身を照らし合わせ、自分の強みをどのように活かして貢献できるかを考えてみましょう。

例えば、営業職などであれば、入社後の活動を具体的にイメージするために、応募企業の商品群や価格帯、顧客属性、単価、営業プロセス、営業スパンなどを調べてみることをおすすめします。自分の経験・スキルと応募企業の「共通点」を発見できれば、志望動機の説得力を高めることができますし、入社後に活躍・貢献できるイメージをアピールすることに役立つでしょう。

履歴書に書く志望動機の例文【面接での伝え方例あり】

営業職と事務職の志望動機の例文と、面接での伝え方の例を紹介します。

営業職の例文

複数の部門が連携し、チームワークを活かして顧客への提案・課題解決に取り組まれているところに魅力を感じ、貴社を志望いたしました。

前職では○○分野に役立つITツールを取り扱う営業として、幅広い業界の中小企業の顧客を担当し、お客様に役立つご提案をして喜んでいただくことにやりがいを感じていました。その中で、単独での営業活動よりもチーム力を活かした営業活動のほうが、よりお客様への提案の幅が広がると確信しました。中小企業の経営者との関係構築を強みとしており、そのスキルを活かして貴社の新規顧客開拓に貢献できると考えています。

面接での伝え方例

複数の部門が連携し、チームワークを活かして顧客への提案・課題解決に取り組まれているところに魅力を感じて、御社を志望いたしました。

前職では、営業として○○分野に役立つITツールのご提案をしておりました。あるお客様の課題をお聞きしている中で、「まずは△△を導入したほうがスピーディに課題解決につながるのではないか」と考えました。そこで社外の友人で△△の分野に詳しい人に相談し、そのお客様に適していると思われるサービスも合わせて提案したところ、非常に喜んでいただけました。
この時、自分の提案力によって、お客様との信頼関係を築けることに大きな喜びを感じました。そして、提案力とは、自分が持っていない知見やノウハウを持つ人たちと力を合わせることで、より高まると気づきました。

しかし、今の会社では○○分野のITツールしか扱えず、今後もサービスラインナップを広げる計画はないため、これ以上の広がりは見込めないと感じております。その点、多種多様なサービスを手がけられている御社では、一つのサービスに限らず、各部門と連携しながらお客様に最適なソリューションを提供できると考えております。入社後は、チームワークで最善・最適のご提案に取り組みながら、さまざまなサービスの知識を身に付け、提案力の幅を広げていきたいと思っております。

事務職の例文

経験・スキルを身に付けながら長く働き続けていきたい思いがあり、それを実現できる業務や環境に魅力を感じて貴社を志望いたしました。
貴社では、多くの未経験者が事務職として活躍し、かつ、男女の平均勤続年数の差異がなく、結婚・出産などを経ても長く働き続けられる環境に強く惹かれました。現職では販売職を担当し、事務職は未経験ですが、さまざまなお客様への柔軟な対応力や先回りした提案力、コミュニケーションスキルは、社内外の関係者に対応する際にも活かせると考えております。また、ITスキルについても、資料作成や店舗の売上管理、SNS活用などを経験しているため、キャッチアップが可能です。

現在は、PCスキル向上のためにMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の勉強をしております。現職では店舗の副店長も担っていたため、その経験も活かし、いずれは後輩の指導やチームリーダーなどの役割も担いたいと考えております。

面接での伝え方例

経験・スキルを身に付けながら長く働き続けていきたい思いがあり、それを実現できる環境に魅力を感じて御社を志望いたしました。転職フェアで御社の会社説明会に参加した際、「多くの未経験者が活躍している事例がある」と伺ったことや、男女の平均勤続年数の差異がなく、結婚・出産などを経ても長く活躍できる環境があると知ったことから、この会社なら自分の求めている働き方ができると考えております。

現職では販売職を担当していたため、さまざまなお客様への柔軟な対応力、先回りした提案力、コミュニケーションスキルを身に付けております。一般事務の仕事は未経験ですが、接客を通じて得た経験・スキルは、社内外の関係者の方々に対応し、全体を調整する際にも活かせると考えております。また、ITスキルについても、資料作成や売上管理、SNS活用などを経験しているため、入社後にキャッチアップしていくことができると思います。

現在、PCスキル向上のために、個人的にMOSの勉強をしています。入社後は、実務を経験しながら1日も早く戦力になりたいと考えております。また、現職では店舗の副店長も経験していたので、いずれは後輩の指導やチームリーダーなどの役割も担い、組織やチームにより貢献していくことを目指したいと思います。

「志望動機がどうしても思いつかない」こんな場合はどうする?

先に紹介した対処法を実践してみても、「どうしても志望動機が思いつかない」という人もいるでしょう。ここでは、志望動機が思いつかない時によくあるケースについて、どう対処すればいいのかを紹介します。

志望動機を偽るのはあり?

志望動機が思いつかないために、自分の考えや本心とは違う志望動機を無理に考えたり、偽ったりしてしまうケースもあります。しかし、面接では、履歴書に記載した志望動機について、より具体的に聞かれます。深掘りされていく中でうまく回答できなくなってしまえば、「説得力がない」と判断されてしまう可能性があるでしょう。

また、企業の採用担当者は、多くの応募者から志望動機を聞いているため、表面的な志望動機や、企業のホームページなどに書いてある情報をなぞるだけの志望動機、どの会社にも当てはまりそうな汎用的な志望動機伝えた場合は「もっと具体的に、自分の言葉で話してほしい」などと切り込まれる可能性もあります。そこでしどろもどろになり、言葉に詰まってしまえば、「志望動機を無理に作っているため、そもそもの志望度が低い」と判断される可能性もあるでしょう。

まずは、企業分析をしっかりと行うことをおすすめします。その上で、「どうしても思いつかない」という場合は、そもそもミスマッチの可能性があるので、応募企業そのものを見直してみることも必要だと考えましょう。

ホームページがない会社で、企業研究ができない場合は?

中小企業などの場合は、採用ページを用意していないケースも少なくはないでしょう。また、そもそもホームページに多くの情報を掲載していないケースもあります。「企業研究ができないから、具体的な志望動機を書けない」と感じて諦める人もいますが、履歴書に書く志望動機の文字数はあまり多くはないため、そもそも詳細に書くこと自体が難しいと言えます。

まずは自分が保有している情報を基に、「その企業に応募した理由や興味を持ったこと」「自分と企業の接点から、入社後に活かせること」「将来に実現したいこと」という三点について、シンプルに書いてみましょう。
また、中途採用の場合には、選考過程の中で応募企業への理解を深め、志望動機の根拠を固めたり、志望意欲を高めたりするケースもあるでしょう。面談や面接の中で知りたいことを自分から質問し、リアルな情報を集めていくことで、二次面接や最終面接でより説得力のある志望動機を伝えやすくなるでしょう。

志望動機を難しく考えすぎてしまう場合は?

「自分自身で心底納得できるような志望動機が思いつかない」「企業研究はしたけれど、うまく言語化してまとめることができない」「その企業ならではの志望動機について、考えれば考えるほどわからなくなった」など、難しく考えすぎてしまう人もいます。

しかし、転職活動では、複数社への応募を並行するものなので、応募書類を作成する段階から「1社ごとに、完璧な志望動機を作成すること」は、時間や労力の面から考えても現実的に難しいと言えるでしょう。まずは、自分が調べた内容に対し、主観的な興味・関心で志望動機を作成することも大事です。

その後、選考を進める中で情報を収集しながら、自分なりの言葉で志望動機を伝えられるようになれば良いと考えましょう。そもそも、志望動機だけで選考の合否が決まるわけではないので、志望動機を考えることのみにとらわれて四苦八苦するより、難しく考えすぎずに考えを整理していくことが大事です。

志望動機が書けない人によくあるQ&A

「志望動機が書けない」という人によくある疑問にお答えするので、参考にしてみましょう。

志望動機の欄がない履歴書を使ってもいい?

厚生労働省推奨の書式など、志望動機のみに特化した欄がない履歴書を使う方法もあります。とはいえ、志望動機は面接で必ず聞かれるため、それまでにきちんと回答する内容を考えておくことが大事です。

漠然としている志望動機のほうがいい?

「人に役立つ仕事がしたい」「事業を通じて社会に貢献したい」など、漠然とした目標を持って志望する人は少なくありません。しかし、漠然とした大きな目標を伝える場合、「自社のことを調べていない」「うちの会社ではなくてもできる」などと受け取られ、志望度が低いと判断される可能性もあります。企業研究の成果を基に志望動機に落とし込み、その目標を具体的にどのように実現できると感じたのかを伝えることがポイントです。

対処法に取り組んでも志望動機が思いつかない場合はどうすればいい?

志望動機が書けない場合の対処法に取り組んでも、「やっぱり思いつかない」という場合は、転職エージェントを活用してみる方法もあります。キャリアアドバイザーと面談を行う中で、自分の思考も整理しやすくなりますし、プロの客観的な視点での意見を取り入れることで、自身の強みや志向を発見できるかもしれません。
応募書類の書き方や面接対策などのサポートを行う転職エージェントもあるので、自分一人で転職活動を進めることに不安がある場合にもおすすめです。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年04月16日
記事更新日:2023年04月06日
記事更新日:2024年08月29日 リクルートエージェント編集部

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