「自己PR」は自身の「強み」や「応募企業にどう貢献できるのか」をアピールするものです。履歴書や職務経歴書に記すほか、面接で聞かれることもあり、企業が採用選考において重視するポイントの一つです。
ここでは自己PRを書く際に「計画性」をアピールしようと考えている方のために、アピールする際のポイントを組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
自己PR欄で計画性を伝える例文
具体的に、職務経歴書の自己PR欄で「計画性」を伝えられる例文を紹介します。
納期までのプロセス管理、プロジェクトマネジメントを手がける仕事に応募する場合
「前職では3ヵ月から半年程度の納期の案件を担当していました。納品日の決定後は、いつまでにどの工程まで完了させるかを週単位で設定し、それを踏まえ、どのタイミングで外部業者に作業を依頼するか、資材を発注するかなどを日単位で設定し、スケジュール表を作成しました。
計画を立てるにあたっては、不測の事態が起きた場合を想定し、作業内容によって2日から5日程度の余裕を持たせて段取りを組むように心がけ、こまめに進捗管理をチェックしました。その結果、納期に遅れたことは一度もなく、予定より早く納品できて喜ばれ、リピート受注につながったことがあります」
個人で活動するスタイルの仕事に応募する場合
「〇〇の営業を担当してきました。目標売上件数の達成のため、何件の訪問アポイントを取るか、そのために何件にアプローチするかの目標を週単位で設定し、必ずそれを達成するようにしました。また、アポイントを取りやすいのは午後の時間帯のため、企画書作成は午前中に、社内打ち合わせは夕方にまとめて行うようコントロールしていました。
突然のアポイントのキャンセルがあった場合に備え、空き時間でできる仕事の資料を常に持ち歩き、効率的に進めるようにも心がけています。その結果、他のメンバーより多くの顧客訪問を実現し、目標未達成に終わったことは一度もありません」
チームで連携するスタイルの仕事に応募する場合
「これまで私は、事務のリーダーとしてチームメンバーの管理を担当していました。ある事業目標が決まると達成予定日までの日程を計算し、メンバーのスケジュール管理や他部門との情報共有ができる環境を手配して、定期的な報告会を計画しました。
その結果、すべての部門が全体の流れを把握したうえで計画通りに業務を進められ、予定日よりも早く目標達成できました。貴社に入社できた暁には、事業目標を確実に達成するために他部門との連携やメンバーのスケジュールを管理し、実行力を活かして貢献したいと考えています」
自己PRでの計画性の言い換え例
自己PRで他の応募者と差別化を図るために「計画性」を言い換えるケースがあります。効果的な言い換えの例をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
リスク管理能力がある
計画性とは未来の目標に向けて計画を立て、その計画に従って行動する能力を指します。そこで「リスク管理能力がある」と言い換えることで、計画を立てる際に潜むさまざまなリスクを考慮し、リスクを最小限に抑えながら進めることができるという強みをアピールできます。
例えば「新商品のローンチ時に、競合の動きや市場の変動リスクを分析し、その結果成功へと導いた」というように具体的な経験を述べると良いでしょう。
効率よく業務を遂行できる
計画性の別の側面として「効率よく業務を遂行できる」と表現することも可能です。計画的に行動する人は優先順位をしっかりとつけ、業務を進めることができます。
例として「新規プロジェクトの際、計画的なタスク管理を行い、最終的に20%の時間を短縮して目標達成した」のように具体的な成果とともに伝えると、その能力の価値が伝わりやすくなるものです。
目標を達成する力がある
計画性は単に計画を立てるだけでなく、その計画をもとに目標を達成することにも繋がります。つまり「目標を達成する力がある」と表現することで、自らが立てた計画に従って結果を出せる人材であることを強調できます。
具体的な例として「年間の売上目標を計画的な取り組みにより3ヵ月早く達成した」といった実績をアピール材料として挙げることができるでしょう。
自己PRで計画性をアピールする際の基本ステップ
うまく自己PRがまとまらない時のために、自己PRで計画性をアピールする際の基本ステップをご紹介します。
ステップ1:志望企業で求められている計画性のタイプを探る
どんな仕事においても「計画性」は大切ですが、どんなシーンで、どんな行動に価値があるのかは企業によって異なります。応募先によって適切な計画性のタイプを伝えましょう。
期限通りに遂行できる
プロジェクトや計画には期限がつきものですが、関わる人数や業者の規模によっては期限通りに遂行するのが難しくなります。そんな状況で、チームメンバーをまとめたり指示をしたりして、期限までに進められるような能力を持つ人材はどの企業でも評価されやすいでしょう。
期限通りに遂行できたエピソードがある場合は時系列で具体的に伝えると、より信憑性が増します。
自己管理ができる
自分自身の管理が抜け目なくできることも「計画性」と言えます。社会人であれば自己管理ができるのは当たり前だと感じるかもしれませんが、大きな仕事や多くの仕事をこなすには、よりレベルの高い自己管理能力が必要になってきます。
また、仕事の管理以外にも体調や感情、モチベーション維持も大切な自己管理です。
リスク想定ができる
予期せぬトラブルに備える「リスク想定ができる能力」も、企業に貢献するために欠かせない能力と言えるでしょう。リスク想定とはトラブルを起こさないようにするだけでなく、起きた場合の対処や、そのトラブルを活かしてポジティブな方向へ展開させられるような対応力も含まれています。
「リスク想定をしたうえで計画を立てられる人物」という印象を与えれば、自然と「計画性」のアピールにもつながるでしょう。
ステップ2:自身の経験で計画性を発揮したエピソードをピックアップ
これまでの経験を振り返り、応募先企業が求めているような計画性を発揮したシーンを思い返してみましょう。そして、その際の状況や自身の行動を具体的なエピソードとしてまとめます。シチュエーションがリアルに想像できるように書くことで、採用担当者は「うちの会社でもこのように働いてくれるといいな」と、入社後に活躍するイメージを描けます。
ステップ3:計画性を発揮した結果、得られた効果・評価をまとめる
計画性を持って仕事を進めた結果、どんな成果を挙げたのかもまとめます。応募書類には成果まで記すことで、プラス評価につながりやすくなるでしょう。
ステップ4:面接で計画性をアピールする際に備えておく
応募先の企業が、応募書類の自己PR欄を読んで興味を持ったのであれば、面接でさらに詳しく聞かれる可能性があります。多くの企業では「計画を立てる」だけでなく、いかにして「実行」するかも重視しています。そこで、以下のようなポイントも伝えられるように準備しておきましょう 。
- 計画を立てるにあたり、どんな事態を想定し、事前対策を考えているか
- 関係者に計画通りに動いてもらうために、どのようなコミュニケーションや折衝を心がけているか
- 全体のスケジュールを管理するために、どのような方法を取っているか
- 計画通りに運ぶために、どんな工夫や努力をしてきたか
- 計画が狂ったとき、どのようにリカバーしてきたか
計画性をアピールする際の注意点
「計画性」という表現は幅広い意味を持つため、面接担当者によって捉え方が変化します。効果的にアピールするための注意点を2つご紹介します。
実行力が伴っていないとマイナスに
「計画性」とは、目標を達成するための能力の一部に過ぎず「実行力」が伴っていることが必要です。たとえ素晴らしい計画を立てられたとしても、それを遂行する実行力がなければ企業では貢献できず評価もされにくいでしょう。
エピソードを述べる際は「目標達成に向けて計画を立てた→計画通り実行した→結果どうなった」という流れに沿って伝えることで初めて「計画性」をアピールできます。
「柔軟性に欠ける」と思われないように注意
「計画性」を意識しすぎたエピソードを述べてしまうと、次のようにネガティブな印象を持たれる可能性があります。
- 融通がききにくく、柔軟性が感じられない
- 慎重すぎて瞬発力に欠ける
自己PRでのエピソードは「計画はあくまで目標達成するためのもの」という前提で、臨機応変に対応できる「柔軟性」も感じられる内容となっているか確認しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2022年12月23日
記事更新日:2023年10月04日 リクルートエージェント編集部