「今までの職歴を網羅すると枚数が多くなる」、反対に「職歴があまりないので、1枚に満たない」など、職務経歴書を作る際に悩みがちなポイントのひとつに“枚数”があげられます。応募書類は採用担当者に与える第一印象に大きな影響を与えるため、作成に不安を感じる人は多いでしょう。ここでは、職務経歴書の適切な枚数や盛り込む情報のポイントなどを、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
職務経歴書は1~2枚で作成を
職務経歴書は、応募者の職務経歴を自由形式でA4サイズ1~2枚に記載する書類です。職務経歴の他にも、採用担当者にアピールできるような「活かせる能力」「自己PR」「志望動機」なども盛り込むこともできます。
つまり職務経歴書とは、応募先企業へ自分の職歴や能力をアピールして売り込むための手段だと言えます。
職歴が短く、書くことがない場合は?
社会人経験が短い場合「書くことがない」と悩む方もいるかもしれませんが、採用担当者は職務経歴書から「この人には業務適性が備わっているか」や「成果を出すために努力できる人か」など、ポテンシャルの部分も見ています。職歴が少なくてもアピールになりそうな経験は、具体的なエピソードとともに記入することをおすすめします。
応募する仕事に関連する経験・スキルを探す
業務経験が少ない場合でも応募する仕事に関連した業務経験を持っていれば、しっかりアピールしましょう。
また、研修で学んだことを盛り込むのも有効です。例えば「Javaでシステムを組む研修を受けたのでプログラムの基礎知識は身についている」「1週間、店舗実習をした経験を接客に活かせる」など、実務に活かせることをアピールしましょう。
具体的なエピソードも交える
採用担当者がイメージしやすいよう、具体的なエピソードを交えて伝えましょう。第二新卒など社会人経験が短い場合は、業務経験以外をアピール材料にしても良いでしょう。例えば大学時代の研究テーマやインターンシップの経験、留学など応募する仕事に関係のあるものであれば、アピール材料に使うこともできます。
職歴が多く、書くことが多すぎる場合は?
一つの会社で複数の職域・部署を経験していたり、経験社数が多かったりする場合は、工夫しないと2枚でまとめきれないかもしれせん。書くことが多すぎる際のポイントをご紹介します。
活かしたい経験・スキルを中心にまとめる
採用担当者は職務経歴書を見て、募集業務・ポジションで活躍できるかを判断しています。そのため、応募する業務に関係がある、あるいは活かしたい経験・スキルを中心にまとめましょう。経験・スキルが収まりきらない場合は、関連性の少ない経験・スキルは1行にするなど要約します。
何を要約すべきかが分からない場合は、事例やエピソードすべてを具体的に書くのではなく、伝えたいことや結論を意識し「各項目を箇条書きにする」「数字を使って規模を示す」などコンパクトにまとめましょう。
(書き方例)
株式会社○○商事(資本金:●万円 従業員数:●名 売上高:●億円)
■在籍期間:●年●月~●年●月
■配属部署:法人営業部
大手家電量販店への新商品・売場改善提案
■実績:社内での営業売上実績トップ(●億円 ●年度)
担当量販店の売上前年比20%アップ(●年度●万円 ●年度●万円)
株式会社RCAパートナーズ(在籍期間:●年●月~●年●月)
■配属部署:総務
株式会社RAGキャリア株式会社(在籍期間:●年●月~●年●月)
■配属部署:事業推進室
転勤や異動が多い場合は、経験・スキルでまとめる
転勤や異動などで多くの部署を経験している、経験社数が多いという場合は転勤先や部署、会社ごとではなくスキルごとにまとめる方法もあります。
(書き方例)
【営業に関する経験】
株式会社○○商事(資本金:●万円 従業員数:●名 売上高:●億円)
■配属部署:名古屋支社 法人営業部(●年●月~●年●月)
大阪支社 法人営業部(●年●月~●年●月)
大手家電量販店への新商品・売場改善提案
名古屋支社内での営業売上実績トップ(●億円 ●年度)
■配属部署:東京本社 海外営業部(●年●月~●年●月)
主にアジア圏を中心とするPCソフト販売先の新規開拓
新規取引先を年間10社開拓。年間5000万円の売上アップ(●年度)
【マネジメントに関する経験】
■配属部署:東京本社 営業企画部(●年●月~●年●月)
東京本社の営業部50名のマネジメント(指導、育成、予算・実績管理など)
社員の経験・スキルの格差是正、売上アップのため、トークスクリプトと
取引先向けの商品案内ツールを作成。導入後、1社員あたり年間●万円の売上アップに貢献
職務経歴書は「必ず2枚以内にまとめる」というルールはありません。要点を押さえずに何枚にも及ぶ職務経歴書ではアピールポイントが掴み切れず、採用担当者が読み込む負荷もかかるため「2枚程度が望ましい」とされています。ポイントを押さえてまとめても2枚以上になってしまう場合は、読みやすさを意識しておけば問題ないでしょう。
職務経歴書を書く際のポイント
記載する内容が多くても採用担当者が見やすいように、職務経歴書を書く際のポイントを3つご紹介します。
読みやすい余白や行間を意識する
文字間隔や行間隔を詰め過ぎてしまうと、文字ばかりで読みづらかったり項目ごとの区切りが分かりづらかったりする印象を与えてしまいます。そのため、改行や余白を意識して見やすいレイアウトを心がけましょう。
特に左の余白は見やすさだけでなく、採用担当者がファイリングをする際に必要な余白となることを理解しておきましょう。
箇条書きや見出しを活用する
表題や見出しなどを活用して、伝えたい内容を分かりやすくしましょう。記載内容が多いと採用担当者は「どこに何が書いてあるのか」「応募者がアピールしたいことは何か」が分かりづらくなります。
箇条書きや見出しを活用するには次のようにメリハリをつける方法があります。
- 大文字や太字にする
- 下線や斜体にする
- 冒頭に1.2.などの番号を振る
- ■や●などの装飾をする
- < >や【 】で囲む
応募企業ごとに作成する
職務経歴書は応募企業ごとに合わせて作成することが大切です。応募要件や企業のホームページから求められている人材を把握し、自分がそれに適していることをこれまでの経験やスキルを用いてアピールします。
企業によって求める人材は異なるため、同じ職務経歴書を使いまわしてしまうと応募要件に当てはまらない応募書類となってしまう場合があります。企業ごとにふさわしい点をアピールする職務経歴書を作成することが大切です。
職務経歴書の作成に困ったら転職エージェントに相談するのも手
職務経歴書は採用担当者に第一印象を与える重要な書類です。しかし記載する内容が多かったり、職歴が少なくて余白が多くなったりすると不安に感じるケースがあるでしょう。書類選考で通過するには、伝えたいポイントを分かりやすくまとめることが大切です。
職務経歴書の作成で困ったら転職エージェントに相談することもできます。多くの転職支援の経験から適切な書類作成のアドバイスを受けられます。ぜひ転職エージェントに相談して、自分の強みなどを存分にアピールできる職務経歴書を作成しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。