不採用になった場合、応募先企業に提出した履歴書は返却してもらえるのでしょうか。別の企業に応募するための参考にしたい、あるいは連絡先や顔写真などの個人情報が記載された書類なので、選考後の取り扱いが気になるという方もいるでしょう。
ここでは、応募先企業に返却を求める方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
企業が履歴書を返却する義務は基本的にない
一度提出した書類の所有権は受理側に移るため、企業が履歴書を返却する義務は基本的にありません。また、入社後の保管資料になることも考えられるため、基本的に履歴書は返却されないものと考えておきましょう。
一定期間で企業は履歴書を破棄するのが一般的
企業によって対応は異なりますが、履歴書を返却しないからといって保管し続けるわけではないと考えられます。自社ルールを定め、一定期間保管した後、溶解処理やシュレッダーの裁断・廃棄を実施するのが一般的です。
履歴書を返却してほしいときの依頼方法
履歴書を返却してもらいたい場合は、まず応募前に求人の募集要項を確認し、履歴書の取り扱いについて企業の対応を確認します。履歴書の返却に関する記載がない場合は、応募時や面接時に「提出した書類を返却してもらえるのか」を確認したうえで「不採用の場合は履歴書を返却してほしい」旨をあらかじめ企業に伝えるとよいでしょう。
返却されても履歴書の使い回しは控える
履歴書が返却されたとしても他の企業の応募に再利用することは避けましょう。皺や折り目が複数入るだけでなく、提出日が古いままになります。明らかに「使いまわしている」とわかるような履歴書では、採用担当者の印象アップにはつながりません。
作成した履歴書を次の応募の参考にしたい場合は、提出する前にコピーを取るようにしましょう。コピーがあれば履歴書が返却されるか否かに関わらず、いつでも参照できるので安心です。
採用担当者は数多くの履歴書に目を通しているため、応募書類が自社向けに書かれているものかどうか分かる可能性が高いでしょう。履歴書は項目も多く、作成するのに手間も時間もかかりますが、応募先企業に適した履歴書を新しく作成しましょう。
企業が履歴書を返却しない理由
企業が履歴書を返却しない理由として考えられることを紹介します。
返却コストが発生する
企業が履歴書を返却しない理由のひとつは、コストが発生することが考えられます。履歴書の返却には郵送にかかる切手や封筒代だけでなく、返却作業の人件費も発生します。
不採用となった人の履歴書を返却するとなった場合、選考を行う人数によっては数十人以上もの履歴書を返却する作業が発生してしまいます。
紛失・誤送による個人情報流出のリスクを避けるため
企業が履歴書を返送する過程で、紛失したり誤って別の人に送ってしまったりするかもしれません。
履歴書には住所や連絡先など重要な個人情報が含まれており、紛失と誤送を防ぐためにも、企業は厳重に保管したあと適切に廃棄する方法を選んでいると考えられます。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。