採用過程において、電話面接を導入する企業もあります。電話面接は「面接日程の調整がつかない」「住んでいる場所と応募先企業の場所が離れている」といった事情がある場合に便利です。
しかし対面コミュニケーションではない分、注意しなければならないこともあります。電話面接において気をつけるべきポイントを、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説いただきました。
電話面接とは
電話面接とは、電話によって行われる面接のことです。遠方にいる応募者や、スケジュール調整が難しい場合に便利な手段で、あらゆる企業が採用しています。
電話面接は直接対面する面接と異なり、応募者と面接担当者がお互いの表情が見えないため、声のトーンや言葉遣いが重要です。選考プロセスとして電話対応スキルを見る企業もあるため、事前に十分な準備をして面接に挑むことが大切です。
電話面接と対面面接、WEB面接はどこが違う?
対面面接やWEB面接では、表情やしぐさで視覚的なコミュニケーションが可能です。一方で、電話面接は声と言葉だけでコミュニケーションをとる必要があります。そのため、細かなニュアンスを伝えるのが難しく、相手の反応も掴みにくい傾向にあります。
電話面接では相手とのコミュニケーションをスムーズに進めるためにも、明確で簡潔な受け答えを心がけることが重要です。聞かれたことに対しては結論から伝えるなど、相手に理解してもらいやすい話の流れや言葉を意識しましょう。電話面接の特徴を理解し、適切な準備を行うことで、選考通過に近づくことが可能です。
電話面接で気をつけたいポイント
電話面接では、対面面接と異なる注意点があります。電話面接における気をつけたいポイントを紹介します。
通信環境
通信状況が不安定な場所で電話面接を行うと「音声がブツブツと切れる」「相手の声が聴き取りにくい」といったことが起きます。通信状況を確認のうえ、面接を行う場所を選びましょう。事前に問題なく通話ができるかのテストを行っておくと安心です。
周囲の雑音
面接中に他の人の話し声や車・電車の音、音楽などの雑音が入るような環境はなるべく避けましょう。お互い、会話に集中できなくなってしまいます。できる限り静かな個室で行うことをおすすめします。
家族など同居している自宅で行う場合は、同居している人にも協力してもらえるように伝えておくとよいでしょう。
直前のスタンバイ
電話はどちらからかけるのかなど、直前になって「あれ、どういう約束だったっけ?」と焦ることのないように、事前に確認しておくことが重要です。もし応募者からかける場合は、面接担当者の名前と電話番号を事前に確認しておきましょう。
必要な資料を手元に用意しておく
スムーズな受け答えができるように、電話面接ではあらかじめ必要な資料やメモを手元に準備しておくことができます。応募書類のコピーや企業の情報、自分が伝えたいポイントを記載したメモ、スケジュール帳などを準備しましょう。
また、メモを取るための道具も準備しておくことが重要です。今後の案内や後で質問したい内容をまとめておくことで、安心して面接担当者の声に耳を傾けられます。
声のトーンと発音
電話面接の場合、対面に比べるとどうしても声が聴き取りにくくなります。いつもよりワントーン高めの声で、一つひとつの言葉をはっきりと、ゆっくりと発音するようにしましょう。
ダラダラ話さず、言葉を区切る
「~で、~だから、~だと思って、~したら」といったように、言葉を区切らず話を続けるクセがある人は少なくありません。文章にした場合「、」ばかりが続き「。」がない状態です。
伝えたい内容は端的にまとめ、区切って話しましょう。その結果、会話にテンポが生まれ、お互いに話していて心地よさを感じられるかもしれません。
長時間の対話に備え、イヤホンを準備
面接は長時間に及ぶこともあります。直接、電話を耳にあてていると、途中で疲れてきたり、持ち手を変えて相手の話を聞き逃したりする可能性もあります。イヤホンで聴く方が負担も軽く、周囲のノイズも軽減できるので、準備しておくことをおすすめします。
ハンズフリーで通話できる環境にする
電話面接では、ハンズフリーで通話ができる環境で行うと便利です。両手を自由に使えるようになると、メモを取ったり資料を確認したりするのが楽になります。
このような準備をすることで、電話面接がよりスムーズに進行し、自分の伝えたいことがうまく表現できるようになるでしょう。
電話面接の事前対策
電話面接で聞かれることや準備しておくことは、対面の面接と変わりません。下記の内容を参考にして準備を行いつつ、面接環境を整えたり明確で簡潔な受け答えを意識したりして、電話面接に臨みましょう。
- 自身の経験・スキル、これまでに挙げた成果、その成果につながった工夫・行動などを整理する
- 自身が仕事において「大切にしたいこと」「将来目指すこと」を考える
- 「転職理由」について、現状への不満ではなく「これからやりたいこと」「目指したいこと」という切り口で語れるようにしておく
- 応募企業について、企業サイトや採用情報サイト、メディアの記事など多方面から情報収集し、自分の経験・スキルが活かせるか、大切にしたいこと・目指す方向性がマッチしているかをすり合わせる
- 上記のポイントをふまえ「志望動機」を語れるようにしておく
- そのほか、想定される質問への準備をしておく
- 面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」に対し、質問を準備しておく
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。