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「異業種への転職は難しい?異業種転職の動向や実現するためのポイントを解説」

異業種 転職

「異業種の企業に転職したい」と考えている人の中には「未経験の業種に転職するのは難しいのでは?」と不安を抱く人もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント・粟野友樹氏が、異業種転職の難易度などの動向や、未経験から異業種への転職を実現させるためのポイントなどを解説します。

異業種に転職している人は約5割

転職支援サービス『リクルートエージェント』による「異業種転職の実態調査」(※)では、2024年1月30日~2月2日時点で過去1年以内に転職経験がある正社員のうち、異業種転職した人の比率は51.4%、同業種への転職をした人の比率は48.6%という結果となりました。

異業種転職者の割合

(※)出典:「異業種転職の実態調査」(株式会社リクルート)

同業種への転職よりも難しい? 同職種の場合は?

リクルートエージェントを利用して転職をした方を分析したところ、2022年度に異業種への転職を実現しているケースは約6割に上っています。さらに、「異業種×異職種」のパターンの転職は、39.3%にのぼり、ほかの転職パターンを上回る結果となりました。

転職時の業種・職種異同のパターン別割合推移

(※)出典:「「異業種×異職種」転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速」(株式会社リクルート)

しかし、同業種転職と比べると、異業種転職ならではの難しさもあると考えられます。

なぜなら、同業種の場合は、求職者の経験やスキル、業務知識などをもとに「採用水準を満たす人材か」「自社で活躍・貢献できるスキルレベルか」を判断しやすいのと比べて、異業種の場合は、前職(現職)の経験やスキル、業務知識などをそのまま業務に活かせない可能性もあるからです。

とはいえ、業種が違っていても「任された職務に貢献できる能力があること」を示すことができれば、転職を実現することは可能でしょう。企業は「応募職種で活かせる経験やスキルがあるか」「仕事の進め方や業務に取り組む姿勢などが自社にマッチしているか」「異業種転職を目指す理由や背景に説得力があるか」といった観点で、マッチングの度合いや入社後の定着の可能性などを判断していると考えられます。

また、前職あるいは現職の勤務先の企業規模や事業内容、役職や年収、転職回数といった要素も確認した上で、それらをベースにこれまで経験してきた仕事のレベル感やスキルレベルなどを想定し、自社のレベルにマッチするかどうかを判断するケースもあります。

応募する職種や企業の応募状況にもよりますが、異業種転職を目指す場合は、同業種転職よりも入念な転職準備が必要と考えられます。

年代による違いはある?

先述の分析において各転職パターンの比率を年代別に見ると、「異業種×異職種」は20~24歳において最も高い一方で、年齢が上がるにつれて「異業種×同職種」の比率が増加しており、25歳以上のいずれの年代においても「異業種×同職種」は3割を超えています。年齢が上がるとともに、これまでに培った経験やスキルを活かせる前職あるいは現職の職種のまま、新たな業種へチャレンジする転職者が増えていると考えられます。

年齢別の転職時の業種・職種異同のパターン別割合

出典:「「異業種×異職種」転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速」(株式会社リクルート)

異業種転職が多い職種は?

先述の「「異業種×異職種」転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速」(株式会社リクルート)において転職先の職種別に「異業種×異職種」の比率を見ると、「経営企画・事業企画・業務企画」(60.5%)が特に高く、続いて「オフィスワーク事務職」(52.6%)、「マーケティング」(49.4%)、「インターネット専門職(Webエンジニア含む)」(44.4%)で約半数が「異業種×異職種」のパターンによる転職をしています。一方、「建設エンジニア」「電気エンジニア」「機械エンジニア」「SE」などの技術系職種は、「同業種×同職種」の比率が比較的高く、それぞれ30%前後の比率となっています。

転職先職種別の転職時の業種・職種異同のパターン別割合

出典:「「異業種×異職種」転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速」(株式会社リクルート)

異業種転職におすすめの業種は?

異業種転職の比率が高い業種と低い業種の傾向を参考に、異業種転職におすすめの業種を考えてみましょう。

未経験者採用比率の高い業種

リクルートワークス研究所の中途採用実態調査によると、2022年度通期の採用実績における未経験者の比率は、「小売業」(62.7%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(53.8%)、「サービス業(ほかに分類されないもの)」(51.0%)の順に未経験者の採用比率が高く、採用人数の半数近くを占める結果となっています。

未経験者採用比率の低い業種

一方、同調査2022年度通期の採用実績においては、「医療・福祉」(14.6%)、「金融・保険業」(15.6%)、「教育・学習支援業」(19.7%)の順で未経験者の採用比率が低い状況となっています。

中途採用の採用実績人数と未経験者比率

出典:「中途採用実態調査(2022年度実績・正規社員)」(リクルートワークス研究所)

異業種転職を実現させるポイント

異業種転職を実現するためにおさえておきたいポイントを紹介します。

1.転職理由を明確にする

あらためて「なぜ転職したいのか」「なぜ異業種で働きたいのか」を考えて、転職理由を整理しましょう。特に異業種転職の場合は、同業種転職と比べて環境が大きく変化する可能性があるため、説得力のある根拠を明確にすることが大事です。また、「今の仕事がつらいから」「今の職場が嫌だから」という消極的な理由だけでは、採用選考でミスマッチや早期離職を懸念される可能性があるでしょう。

転職理由を明確にするために、まずは以下のポイントについて自問し、自分の考えをまとめておきましょう。

  • 今の仕事や職場から逃げたいだけではないか
  • 異業種に対して、漠然としたイメージだけで憧れを抱いているのではないか
  • 興味のある業種について、情報収集や学習を始めているか

2.異業種で活かせる強みをアピールする

即戦力となる経験・スキルを中心に採用判断を行う中途採用において、異業種から人材を採用する場合は、ポテンシャルの高さや仕事に対する価値観(スタンス)、どの業種においても通用するポータブルスキルの有無を確認するケースが見られます。したがって、仕事に対する価値観(スタンス)やポテンシャル、ポータブルスキルが基本的なスキルセットとしてアピールできるでしょう。

加えて、異業種での経験やスキルを活かせる人材を歓迎するケースもあります。そのため、前職あるいは現職の業種で身に付けた専門スキル(テクニカルスキル)や専門知識などを応募職種にどう活かせるかという視点でこれまでのキャリアの棚卸しを行い、自分の強みを整理した上でアピールすることも検討するとよいでしょう。

3.志望業種が異業種転職を受け入れているかを調べる

興味がある業種で、「未経験OK」「未経験歓迎」などとなっている求人があるかどうかを調べましょう。まずは、業種名で転職サイトを検索するとよいでしょう。

なお、希望している職種の求人は経験者のみが対象でも、希望していない職種では未経験者を受け入れている場合があります。そのようなケースでは、まずは未経験OKの職種で入社し、経験を積んだ上で、希望する職種への異動を目指したり、再度の転職に臨んだりする方法もあります。長期的なスパンで異業種転職を実現する方法のひとつとして検討する価値があるでしょう。

4.志望業種で求められるスキルや素養を把握する

志望業種や応募企業の業界研究や企業研究を通じて「何が求められているか」を把握し、その上で、自身のこれまでの経験やスキルの中からマッチする部分がないかを考えてみましょう。前職あるいは現職で挙げた成果や取り組んだ業務、発揮したスキルなども含め、具体的なエピソードを交えて伝えることができると、より説得力が増すでしょう。

また、異業種転職の場合は、採用担当者が自社の業種以外の業種について仕事内容を詳細に把握していない可能性もあります。自身がこれまでどのような仕事を経験し、どのように課題解決や目標達成をしてきたのかを、他業種の人にもわかりやすく説明することで、「自社でも活躍してくれそうだな」というイメージを持ってもらえるように心がけましょう。

5.説得力のある志望動機を作成する

異業種転職の場合は、志望動機において「敢えて未経験の業種を選んだ理由」「異業種の中でも、特にその会社を選んだ理由」「異業種でどのような強みを発揮できるか」を伝えることが非常に大切です。

したがって、その業種に興味を持った背景や理由、その会社でだからこそ実現できると考えたことを伝え、応募企業の業種で発揮できる強みを具体的なエピソードを交えてアピールしましょう。転職理由や自己PRの内容と矛盾すると説得力がなくなってしまうので、一貫性のある回答を意識することもポイントです。

転職エージェントの助言も参考に

強みの把握やキャリアの棚卸し、説得力のある志望動機を作成する際、転職エージェントを利用している場合は、キャリアアドバイザーからアドバイスを受けるのも一案です。異業種転職の動向に詳しい第三者の助言によって、不安を払拭できるかもしれません。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年06月06日
記事更新日:2023年11月07日
記事更新日:2025年01月31日 リクルートエージェント編集部

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