第二新卒の方が転職する場合、企業選びや面接でのアピール方法ではどのようなことに気をつけておけばいいのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に、第二新卒の転職活動のポイントについてアドバイスいただきました。
目次
「第二新卒」とは、いつまで?
「第二新卒」として扱われる期間は、各企業が独自の定義を持っている場合は、その定義に従います。もしなければ、学校(高校・専門・短大・高専・大学・大学院)を卒業してからおおむね3年以内の人(学校卒業後すぐに就職する新卒者は除く。また、職務経験の有無は問わない) を指します。
転職活動の期間は、3カ月程度が目安
転職活動を始めてから転職先企業に入社するまでの期間は、3カ月を目安に考えるとよいでしょう。
働きながら転職活動する場合は、面接の日程調整や退職交渉などに時間がかかることもあるでしょう。たとえば役員面接だと、面接日時の決定に想像以上に時間がかかることもあります。
最近ではオンライン面接が増えているので、以前よりも面接の日程調整がしやすいこともあるかもしれませんが、在職中の場合は3カ月を目安として考えておきましょう。
第二新卒を採用する企業のニーズ
第二新卒を歓迎する企業は多数あります。その主な理由を紹介します。
将来のコア人材として育成できる
同じ企業で長く働いていると、経営層や従業員、社風などに強い影響を受けて、その企業特有の思考や行動パターンになることもあるでしょう。その結果、転職した時に入社した企業の社風や考え方に慣れずに、なかなか成果を出すことができないこともあります。第二新卒の場合は、素早く自社の社風に馴染んで、自社を支える将来のコア人材として成長を期待していると考えられます。
基礎的なビジネススキルがある
新卒採用者とは異なり、社会人経験がある場合はビジネスマナーやPCスキルなど、企業で働くうえで必要となる基礎的なビジネススキルを有していることが一般的です。そのため、第二新卒を採用した場合は、仕事をするうえで大前提となるビジネススキルを教える負荷が減るため、早期戦力化が期待できます。
組織活性化を図ることができる
ポテンシャルを期待されて採用されるケースが多いため、第二新卒には伸びしろや高い成長が期待できます。入社して様々なことを吸収し、どんどん成長する人材がいると、他のメンバーにもその姿勢が影響し、組織活性化につなげることができるでしょう。
第二新卒で転職活動をする際の事前準備
第二新卒に限ったことではありませんが、転職活動をする際の事前準備には以下が挙げられます。
● キャリアの棚卸しをする
● 自分を客観視して自己分析をする
● 転職したい理由や目的を明確にする
● 履歴書・職務経歴書を作成する
キャリアの棚卸しをする
キャリアの棚卸しとは、過去の経験を振り返って習得した知識やスキル、体験したことなどを洗い出して「見える化」する作業です。
これまでの業務やスキルを身につけるために努力したことなどを思いだしながら、自分の得意分野や成果を紙に書き出してみましょう。キャリアの棚卸しによって掘り起こされた経験は、履歴書・職務経歴書の作成や転職の方向性を固めることに役立ちます。
自分を客観視して自己分析をする
自分を客観視して、自己分析してみましょう。過去の経験や今の自分を見つめ直し、強みや弱みを発見できる機会となります。客観視することは、自分に合っている職種や業界を見つけるきっかけにもなるでしょう。
【参考記事】自己分析の簡単なやり方|転職を成功に導くおすすめの方法を紹介!
転職したい目的を明確にする
キャリアの棚卸しと自己分析を行うことで、転職したい理由や目的が明確になります。その結果、企業選びの基準となる「転職の軸」が決まります。「転職の軸」が定まらないまま転職活動を続けてしまうと、目先の条件にとらわれてしまい、転職後に後悔してしまう恐れがあります。
履歴書・職務経歴書を作成する
転職理由からキャリアの棚卸し、自己分析まで終えたら、履歴書・職務経歴書を作成します。これまでに洗い出した自分の経験やスキルを分かりやすくまとめ、アピールできるように書いていきます。
また、デザイナーなどのクリエイティブな職種では、過去に制作した作品をポートフォリオとして提出することもあります。
第二新卒の転職を実現させるための方法
第二新卒の転職を実現するために、知っておきたいポイントを解説します。
転職する目的・希望条件に優先順位をつける
転職活動では、応募先企業に求める条件に優先順位をつけましょう。すべての希望を満たす企業を探して転職するのは難しいものなので、自分が最も優先する条件を決め、それに付随する希望にも順位をつけてみてください。希望条件に優先順位をつけることで、転職活動の方向性が明確になるでしょう。
業界や職種にこだわらず幅広く見てみる
限定した業界や職種にこだわらず、幅広く見てみることもポイントです。視野を広げることで、新たに興味のある分野が見つかるかもしれません。
情報収集をして相場観を身につける
中途採用は市場の動向によって変化しているので、どのような業界・職種が第二新卒を積極的に採用しているか情報収集することが重要です。また、転職市場の相場観を理解することも大切です。「年収○○万円以上」「○○業界の○○職」などの希望があっても、第二新卒の業界・職種別の年収相場や採用ニーズがあるため、実現が難しい可能性もあります。
転職市場の動向や相場情報は、自分ひとりではなかなかつかめないため、転職エージェントを活用するという方法もあります。
働きながら転職活動を進める
現在の職場に不満があるからといって、勢いで辞めてしまうのは避けておきたいところです。退職してから転職活動を始めると、収入がなくなることやブランクが長くなることが不安になり、焦って意に沿わない企業に入社を決めてしまうこともあるかもしれません。
また、ブランク期間が長くなると、採用担当者から仕事への意欲を疑問視されるなどして、転職活動が思うように進まない可能性もあります。転職したくなっても勢いで辞めてしまわずに「転職で何を実現したいのか」「どのような仕事が向いているのか」をじっくり考えて、できるだけ仕事を続けながら転職活動を進めるのも一つの方法です。
第二新卒の転職で注意しておきたいこと
第二新卒が転職活動を始める場合に、気をつけておきたいこともあります。よくある注意点を3つご紹介します。
就職活動の延長で転職活動する
就職活動の場合は、多くの企業が同じ時期に採用活動を始めるうえに、合同説明会やウェビナーなどの機会が多いため、情報収集やエントリーを同時期に行うことができます。一方、中途採用は企業によって採用時期も内定時期も異なるため、現在出ている求人がいつの間にか募集が終了したり、新たな求人が出たりすることが珍しくありません。
「応募するか迷っている」「内定から入社まで十分な時間が欲しい」など、先延ばしにしてしまうと、転職実現のチャンスを逃してしまう可能性があります。
現職の不満解消で転職先を決める
転職のきっかけが不満解消というケースは多いものです。ただし、職場の不満な状況から脱することだけを転職の目的にしてしまうと、後悔してしまう可能性があります。転職先で同じような不満が発生した時に、壁を乗り越えることができずにまた転職を考えてしまうからです。
不満解消だけが転職の理由だと「嫌なことがあるとすぐに辞めてしまうのではないか」「忍耐力、問題解決力に欠ける」と定着性を不安視される可能性があります。不満が退職のきっかけだったとしても、今後どのようなことを実現したいのかを明らかにして転職先を決めましょう。
理想ばかりを追い求めている
「年収が高い」「ワーク・ライフ・バランスが整っている」「規模の大きい企業」など、転職先に求める条件は様々ですが、希望条件を設けすぎると応募できる求人がなくなるかもしれません。
また、好条件の企業は他の求職者から見ても魅力的に映るため、選考を通過して内定を得る難易度が高くなります。
理想ばかり追い求める転職は、転職活動が難航する可能性があるばかりか、自分に合った企業を見落としてしまうかもしれません。希望条件には優先順位をつけ、まずは求人に応募したうえで、できるだけ面接で企業に話を聞いて判断するようにしましょう。
第二新卒の場合は転職エージェントの活用を
自分はどのような業界・職種が向いているのか、これまでの経験・スキルにどのようなニーズがあるのかを一人で分析するのは難しいものです。転職エージェントを活用すれば、これまでの転職支援実績から、向いている業界・職種やマッチする求人をアドバイスしてもらえます。無料で相談できるので、まだ方向性に迷っている場合は、気軽に相談してみましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2023年04月24日
記事更新日:2024年09月12日 リクルートエージェント編集部