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新卒1年目で転職は厳しい?デメリットや退職の判断軸、転職成功のポイントを解説

転職 1年目

新卒で入社してすぐに、入社企業に違和感を覚える方も少なくありません。ただし、新卒で入社した企業を1年目で退職してしまうと、在籍期間の短さから転職活動が不利になるというデメリットも考えられます。そこで、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に入社1年目で転職を検討する場合の判断軸やデメリットについて解説いただきました。

新卒1年目で転職するデメリット

新卒入社した企業を1年で辞めることに対する、代表的なデメリットを2つご紹介します。

見極めが十分でない可能性がある

新卒入社1年目で退職する場合、決定を下すための情報や経験が不十分である可能性があります。不満をコントロールしながら仕事を継続することで、自分自身が成長する機会や、その職場で得られる貴重な経験があるかもしれません。退職してしまうと、元の職場に戻るのは難しくなります。「転職しない方が良かった」と後悔しないように、職場を見極めるための冷静な判断が必要です。

応募企業から在籍期間の短さを懸念される可能性がある

在籍期間が短いと、応募企業の採用担当者に「入社してもまたすぐに辞めてしまうのでは」と定着性に不安を持たれて、転職活動が不利に働く可能性があります。特に、退職してから転職活動を始める場合は、転職先企業がなかなか決まらないと空白期間が長くなってしまいます。内定が出ないことに焦って意に沿わない企業に転職すると、新たな不満が生じる可能性もあります。

ただし、新卒1年での転職自体は可能

新卒入社した企業を1年で辞めることにデメリットはありますが、転職ができないわけではありません。株式会社リクルートキャリア(現:リクルート)が調査したデータ※によると、約8割の企業で社会人経験1年未満の人材を採用した実績があることが分かっています。

※出典:「若手の中途採用・転職意識の動向」(株式会社リクルートキャリア)

新卒1年でも転職した方が良いケース

在籍期間が1年と短く、選考で不利になったとしても転職した方がいいケースとはどのようなものが挙げられるのでしょうか。よくあるケースをご紹介します。

労働条件が明らかに悪い

給与が極端に低い、労働時間が長すぎる、最低限必要な福利厚生が整っていないなど、労働条件が明らかに悪い場合は、転職によって一気に改善を図るという方法があります。特に、ストレスや過労が原因で心身に影響が出ているのであれば、できるだけ早く転職活動を始めて、解決策を探りましょう。

企業の将来性に不安がある

経営状態が不安定、商品・サービスに競合優位性がない、市場の縮小などで成長可能性が限られているなどの理由から、所属企業の将来性に不安がある場合も、転職を検討した方が良さそうです。経営状態によっては、自ら退職を告げる前に、従業員を雇い続けることができず事業撤退や倒産などで職を失う可能性もあります。自社の将来性に不安がある場合は、早めにキャリアの可能性を探っておきましょう。

社風がどうしても合わない

社風は目に見えるものではありませんが、コミュニケーションスタイルや業務の進め方など、仕事の満足度に影響する重要な項目です。企業文化や価値観が自分に合わない場合は、ギャップやストレスを感じてイキイキと働くことができません。社風がどうしても合わないと感じたら、転職活動の判断軸にするために、具体的に何が合わないのかを明確にすることから始めましょう。

転職を慎重に検討した方が良いケース

一方で、安易に転職をしない方が良いケースもあります。すぐに退職を告げる前に、現職で改善できる点はないか探ってみましょう。

仕事内容に不満がある

様々な事情から、希望に沿わない仕事を任せられる可能性は、どの企業でも起こり得ます。仕事内容に不満がある場合は、まず何に不満があるのかを特定し、どのように進めたら満足度が高まるのかを考えてみましょう。また、「業務プロセスを改善して無駄な作業を短縮した」「資料のデザインを統一したらモチベーションも生産性も高まった」など、既存の業務を改善することでやりがいを得られるかもしれません。工夫や改善をしても不満が解消されない場合に、転職を検討しましょう。

人間関係に不満がある

人間関係の不満は、変化する可能性があります。人間関係に不満を持っていたとしても、多くの企業では、異動や退職などで従業員が入れ替わるため、時間の経過とともに顔ぶれが変わって、不満が解消することがあります。一方で、人間関係の不満で転職したとしても、入社した企業で人間関係に不満を抱く可能性もあります。そのため、強いハラスメントがありストレスを感じているなどのケースを除くと、一時的な人間関係の不満で転職を決断するのは得策とは言えません。苦手な人とは、コミュニケーションを工夫することで対処できないか、対策を考えてみましょう。

やりたいことが決まっていない

不満だけを理由として転職してしまうと、転職後に同様の困難が立ちはだかった時に乗り越えることができず、転職を繰り返してしまう可能性があります。そのため、転職する場合は、現職への不満だけでなく、「転職して実現したいこと」「目指したいキャリア」などが決まっている方が、納得度の高い転職をする可能性が高まります。特に新卒1年目の場合は、「第二新卒歓迎」などのポテンシャルを評価する企業もあるため選択肢が多く、方向性が定まらないまま転職活動をすると、給与などの条件のみで決めてしまう可能性があります。もちろん、条件のみで転職先を決めるのも方法のひとつですが、長く働き続けるためには、仕事に対するやりがいや満足度をできるだけ高めることも重要と考えられます。やりたいことが決まっていない場合は、自己分析を行い自分の得意分野や強み、価値観などを明らかにしておきましょう。

新卒1年目で転職するか見極める方法

現職を辞めるかどうか迷った時に、確認しておきたいことを2つご紹介します。「自己分析」によって自分自身を理解し、転職活動による「情報収集」で自分が置かれている環境を把握しましょう。

自己分析をしてやりたいことを整理する

自己分析をすることで、自分のやりたいことや興味範囲、得意分野や価値観が明らかになります。自己分析で明らかになった強みややりたいことは、現在の職場で本当に発揮、実現できないのか考えてみましょう。また、自分自身を客観的に把握することで、向いている仕事が分かります。転職活動を始める場合も、自己分析で見えた強みややりたいことが軸になるので、転職活動を進めやすくなるでしょう。

転職活動による情報収集で自分の状況を客観視する

転職活動を通じて他社の情報を得ることによって、現職と比較して判断できるようになります。例えば、現職の待遇に不満があったとして、「他社と比べたら高待遇だった」というケースもあれば、「他社よりも待遇が低かった」というケースもあります。現職が他社よりも高待遇なのが分かれば不満は解消され、待遇が低ければ迷わず転職活動を進めるきっかけになります。また、自分のやりたい仕事が、他社であれば実現できるかもしれません。転職活動で判断材料を増やすことで、後悔のない選択をすることができるでしょう。

希望の転職を実現するポイント

新卒1年目の場合は、経験・スキルが豊富とは言えないため、自己分析や転職の方向性の整理などが重要となります。希望の転職を実現するポイントを4つご紹介します。

転職理由を整理しておく

転職理由とは、転職のきっかけとなった「退職理由」と、「転職後に実現したいこと」を応募企業に伝えるものです。例えば、「人間関係が悪かったため」「やりたい仕事と違ったため」というのは、退職理由になるので転職理由としては十分ではありません。転職活動を始める場合は、「○○のスキルを身につけ××職のエキスパートになりたい」「○○領域の課題を解決するコンサルタントを目指したい」など、必ず転職で実現したいことを明らかにしておきましょう。

希望条件の優先順位をつける

新卒1年目で転職する場合、「今度こそ長く働ける職場を見つけたい」という思いが強くなるため、希望条件が増えてしまう傾向があります。ただし、新卒1年目に限らず、全ての希望を叶える転職先を見つけるのはとても難しいものです。また、条件の良い求人には応募が集中するため、見つけられたとしても選考を通過できるとは限りません。応募する企業を探すにあたり、「絶対に叶えたい条件」と、「できれば叶えたい条件」の2つに分けて、最優先したい条件を絞るようにしましょう。応募する段階で全ての希望条件を叶えようとすると選考に通過する企業が限られてしまうため、応募段階では選択肢を広げるようにして、面接で見極めて内定で比較検討すると、後悔の少ない決断をすることができます。

自己分析を丁寧に行う

就職活動を行った学生の多くは、自己分析を行って企業選びをしています。新卒1年目で転職をしたくなったということは、自己分析または企業分析が十分でなかったために、ミスマッチの企業を選んでしまった可能性があります。また、社会人として経験を積むうちに、学生の頃と考え方や価値観が変わっているかもしれません。そのため、自己分析は念入りに行い、自分の強みや適性などを探っておきましょう。自己分析を行うことで、自己PRにも活かすことができるので効率的です。

転職エージェントに相談する

転職活動を始める前に、転職エージェントに相談するという方法もあります。転職のプロが、経験・スキルや希望条件、転職市場の動向などを総合的に判断して、転職活動のアドバイスをしてくれます。総合的に判断した結果、場合によっては「現職に残る」という選択肢を勧めることもあります。ひとりで判断できない場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談し、第三者の意見を聞いてみましょう。

新卒1年目で転職成功したケース

新卒1年目で転職成功した事例をご紹介します。

営業 Aさんのケース

学生時代は、メーカーの営業を希望し就職活動をしていたAさん。志望度が高かった大手メーカーの内定を得ることができず、中堅メーカーに就職することになりました。OBOG訪問やインターンシップを含めて企業分析が十分でなかったこともあり、実際に入社してみるとトップダウンの社風が強く、業界自体は好きだったのですが、長く働くイメージを持つことができませんでした。そこで、1年間は業界研究や営業としてのスキルアップに集中し、転職することにしました。

新卒1年目でもアピールできる実績を持とうと、細かい仕事にも自ら手を挙げて、できるだけ経験の幅を増やすようにしました。また、営業実績にもこだわり、応募書類では数値で実績をアピール。業界知識や職種経験を活かすために、できるだけ同じ業界やメーカーの営業職に応募した結果、第二新卒ながら即戦力として期待できることや、業界に対する前向きな姿勢などが評価され、希望するメーカーへの転職を実現することができました。

<ポイント>
1年間の在籍期間でも、経験業務や営業実績をできるだけ残し、応募企業にアピールすることが有効に働いています。第二新卒の場合は、ポテンシャルを評価されるため、未経験の業界・職種への転職も比較的容易ですが、経験を活かした転職の方がアピールはしやすくなります。

WebデザイナーBさんのケース

学生時代からWebデザイナーを志望し、小規模の制作会社に入社したBさん。未経験だったため、できるだけ経験の幅を広げるために、あえて役割分担がされていない小規模の企業を選びました。確かに、ディレクションもデザインもコーディングも経験することができましたが、とにかく忙しく毎日残業が続きました。就職するまでは、「短期間で経験を積むために残業も構わない」と考えていましたが、実際に深夜までの残業が毎日続くと、時間が足りないために顧客の望むデザインや課題解決に向き合っていないことに気がつきました。

そこで、Webデザインを極めるために、役割分担が整っている中堅の制作会社に転職活動をすることにしました。ポートフォリオを作成し、1社目での反省を正直に伝え、今後はWebデザインを通じて顧客課題に向き合いたいとアピールしたところ、真面目な姿勢を評価されて応募企業から内定が出ました。

<ポイント>
自己を客観視し、1年で転職することになった反省点を今後に活かそうとする姿勢を伝えることで、定着性に関する懸念が払しょくされる可能性があります。また、クリエイティブ職の場合はポートフォリオを作成することで、得意分野やスキルを視覚的にアピールすることができるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年08月22日
記事更新日:2022年11月30日
記事更新日:2023年05月30日
記事更新日:2023年11月15日 リクルートエージェント編集部

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