転職は、職場環境を大きく変えることと同時に、収入にも影響があるため、簡単に決断できるものではありません。転職することそのものに不安を感じる方もいれば、内定後に転職先への不安を覚える方もいます。
そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、転職の不安を解決する方法や、行動に移せない場合の対処法についてお伺いしました。
転職に関する3つの不安
転職への不安は、主に「転職活動前」、「転職活動中」、「内定後」の3つの段階に分けることができます。それぞれの不安について解説します。
転職することが不安
転職することそのものを不安に感じているケースです。転職は、何度も繰り返すと選考で不利になってしまう可能性があるので、できるだけ失敗は避けたいものです。ただ、面接でどれだけ確認しても、入社してみないと分からないことも多く、「現職を退職して本当にいいのだろうか?」「転職先の企業で活躍できるのか」など、転職することに対して様々な不安があり、転職するかどうかを悩んでしまう方もいるようです。
転職活動が不安
転職活動では、企業に応募して面接し、内定を獲得するといったプロセスで進みますが、「経歴に自信がなく、書類選考を通過できるか不安」「面接でうまく話せる自信がない」など、選考過程で評価されるかどうかに不安を覚える方は多いようです。また、現職が忙しい方は、転職活動と仕事を並行して行うことができるかどうかに不安を感じているケースも。特に、転職活動を初めて行う方は、知らないことが多いため不安が大きくなるかもしれません。
内定後の転職先への不安
転職活動の末に内定を得てから、不安を覚える方もいます。まだ内定承諾していない場合は、「本当にこの企業に決めていいのか?」という不安が、内定承諾した後は、「この会社に決めて良かったのだろうか」という不安があります。入社してしまえば、職場の雰囲気や仕事内容を確認することができますが、入社前は想像するしかないので、不安が大きくなるようです。
「転職することが不安」な場合の対処法
転職することに対して不安を覚えている場合の、不安を解消するための対処法をご紹介します。
不安を言語化してみる
「転職」という大きなくくりに対して漠然と不安を抱えている場合は、例えば「自分に合った仕事が見つかるか不安」「給与が下がるのではないか」など、具体的に何に不安を感じているのかを言語化します。「自分に合った仕事が見つかるか不安」という場合は、まず「自分に合った仕事」とはどのような仕事なのかを明らかにして、求人を探してみましょう。また、「給与が下がるのではないか」という場合も同様に、実際に求人を探してみることで、自身の経験・スキルの給与相場を把握することができます。
仕事を続けながら転職活動する
「希望に合う仕事が見つかるか不安」「自分のキャリアが評価されるか不安」という不安がある場合は、仕事を続けながら転職活動をすることで、リスクを最小限に抑えることができます。現職の企業には転職活動を始めていることは伏せておいて、希望の企業が見つかったら退職を申し出ましょう。
「現職に残る」という選択肢も視野に入れる
現職で大きな不満やストレスがない場合は、仕事を続けながら転職活動を行い、転職先が見つからなければ「現職に残る」という選択肢を取るという方法もあります。「希望に合致した転職先は、現時点では見つからなかった」という学びを得ることができるので、転職先に求める希望条件を調整したり、現職でのキャリアを考えなおしたりと、今後に向けて次の一手を打つことができるでしょう。
「転職活動が不安」な場合の対処法
「転職活動がうまくいくか不安」「転職活動に失敗したくない」など、転職活動への不安がある場合の対処法をご紹介します。
転職市場の相場を掴む
転職活動を成功させるには、転職市場の相場観を掴むことが重要です。転職市場は、企業の採用ニーズと求職者の転職ニーズの需給バランスで成り立っています。例えば、企業の採用ニーズが活発で、たくさんの求人がある職種に対して、転職を希望する求職者が少なかった場合は、売り手市場となり選考は求職者に有利に働きます。逆に、求人が少ない職種に対して、転職を希望する求職者が多かった場合は、買い手市場となり厳しい選考をくぐり抜けなくてはなりません。売り手市場なら条件交渉も有利に働くため、転職の相場観を掴むことは、転職成功させるための重要な要素となります。
採用結果を割り切る
「自分の経験・スキルが通用するか不安」「選考を通過できるか不安」と転職活動に踏み切れない方も少なくありません。不採用が続くことに不安を覚えるのは、仕方のないことですが、転職活動は採用を考える企業と転職を希望する求職者のマッチングで成り立っています。採用結果はあくまで「マッチングが成り立たなかっただけ」と捉えて、一喜一憂せずに割り切って転職活動を進めることが重要です。
転職エージェントを活用する
不安を減らすために転職エージェントを活用することも有効です。一人で転職活動を進めていると、「本当にこのまま進めていいのだろうか」「足りていない部分があるのでは」など、不安な気持ちになることもあります。転職エージェントを活用すれば、迷ったり不安になったりしたときはいつでも相談することができます。もちろん、豊富な転職支援実績があるので、転職市場の相場観を知っていたり、求人に記載されていない企業の独自情報などを把握していたりするので、転職活動の頼れるアドバイザーとしても機能するでしょう。
「内定後の転職先への不安」の場合の対処法
内定が決まっても、自分の判断が正しかったのか不安になることもあります。内定後の転職先への不安への対処法を3つご紹介します。
面接で不安を解消する
内定後に迷ったり不安になったりしないように、気になったことは面接で解消しておきましょう。面接で説明されたことは必ずメモしておき、面接が終わった後に聞いていないことがないか確認を。疑問や不安がある場合は、次回の面接の逆質問で確認しておきます。複数社の選考が進むと、どの企業に何を聞いたのか分からなくなってくるので、必ずメモを残し、疑問点を整理しておきましょう。
職場訪問や条件面談を設定する
職場の雰囲気や社風は、なかなか面接だけでは判断できないものです。また、面接は選考の場なので、十分に質問することができず、気がかりが残っているかもしれません。そこで、志望度の高い企業には、内定前後に職場訪問や条件面談を設定してもらえるか確認してみましょう。職場訪問をすることで、職場の雰囲気や従業員の顔ぶれ、働き方などを自分の目で確認することができます。また、条件面談は選考の場ではないので、面接で聞けなかった確認事項を質問することもできるでしょう。
不安を伝え、準備しておく
内定後に、どうしても不安が残る場合は、内定先企業にその気持ちを伝えてみましょう。気になることが残っているのであれば質問し、入社までに準備することがないか確認しておきます。読んでおいた方が良い資料や書籍を案内してくれたり、内定者懇親会に誘ってくれたりする可能性もあります。
転職に不安がある場合は転職エージェントに相談を
転職に不安を抱いている場合は、転職エージェントに相談してみましょう。不安に思っていることに対して面談でアドバイスを受けることで、不安を解消することができます。また、転職活動が開始してからも、応募書類へのアドバイスや面接対策、企業との交渉などをサポートしてもらえるので、頼れる存在になるでしょう。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。