転職エージェント トップ > 転職成功ガイド > 転職市場 > 自分の市場価値を把握する方法と高め方、市場価値が高い人の特徴を解説

自分の市場価値を把握する方法と高め方、市場価値が高い人の特徴を解説

市場価値

転職市場では「市場価値の高い人」「市場価値が高いスキルを持っている人」などと言われることがあります。では、転職市場で「市場価値が高い」とは、どのような人材を指すのでしょうか。そこで、自分の市場価値を知る意義、市場価値を確認する方法、転職活動での活かし方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

市場価値とは?

一般的な「市場価値」とは、文字どおり「売り手」と「買い手」が存在する「市場」においての商品の価値を指します。市場価値は「需要」と「供給」の関係によって決まります。

転職市場における市場価値

基本的には、転職市場における市場価値は「企業の人材ニーズ」と「求職者」のバランスで決まります。企業が特定のスキルを持つ人材を募集しているのに対象となる求職者が少ない場合は、需要が高く供給が少ないため、対象となる人材の市場価値は高くなります。一方で、特定のスキルを持つ求職者が多いものの、企業が必要としていない場合は、需要が少なく供給が多いために市場価値は低くなる傾向があります。

具体的に、企業ニーズの高い職種を挙げると、厚生労働省が発表している「職業別<中分類>常用計 有効求人・求職・求人倍率(令和6年4月)」では、「B 専門的・技術的職業」や「E サービスの職業」は求人数よりも求職者数が下回っているため、企業ニーズが高い職種と言えるでしょう。一方、「C 事務的職業」は求職者数が求人数を上回るため、企業ニーズが低い職種と言えそうです。

(出典):「職業別<中分類>常用計 有効求人・求職・求人倍率(令和6年4月)」(厚生労働省)

ただし、人材の市場価値は相対的なものなので、常に変動しています。同じ経験・スキルでも、社会情勢やビジネストレンドによって需要と供給の量やバランスが変わり、市場価値が上がったり下がったりするため、中長期的なキャリア形成においては市場価値を定期的に把握し、ニーズの高い経験・スキルを磨くと良いでしょう。

転職活動をする際に市場価値を把握しておく必要性

転職活動をする際は、自分の市場価値を知っておくことが大切です。キャリアの棚卸しを通じて自分の経験・スキルを可視化し、転職市場でのニーズを知ることで、どのような経験・スキルを軸に転職活動を進めれば良いのか判断しやすくなります。また、企業ニーズが高い経験・スキルを持っている場合、求職者側が転職活動を有利に運べる可能性も高くなるでしょう。

なお、今すぐの転職を検討していない場合でも、市場価値を把握できていれば、今後どのような経験・スキルを積んでいけば良いかがわかります。現時点で足りない経験・スキルがある場合は、現職または転職先で身につけるか検討するなど、今後のキャリアパスが明らかになるでしょう。

自分の市場価値を把握する方法

自身の市場価値は、転職活動やキャリア形成のために定期的に確認しておくと良いでしょう。代表的な3つの方法をご紹介します。

転職エージェントに相談する

転職エージェントは、これまでの転職支援実績や企業との接点から、転職市場の動向と市場価値の高い経験・スキルに関する情報を持っているでしょう。転職エージェントに相談することで、キャリアアドバイザーから、自分の経験・スキルの市場価値に対するアドバイスをもらえるでしょう。

転職を検討している場合は、「今持っている経験・スキルはどのような業界や企業にニーズがあるか」「市場価値という観点で現在の経験・スキルに不足している要素はないか」など、具体的な企業ニーズを聞いてみると良いでしょう。

スカウトサービスを活用する

経験・スキルを登録しておくと、企業や転職エージェントからスカウトメールが届く「スカウトサービス」を活用するという方法もあります。企業や転職エージェントは、スカウトサービスに登録された経験・スキルなどを検索してスカウトを送信しているため、どのような経験・スキルが注目されているのかを確認することで、市場価値を把握できるでしょう。

スカウトメールにはポジションや仕事内容、待遇などが記載されているケースもあるため、届いたスカウトの件数や内容によっては、転職市場での自身の経験・スキルの相場観を掴めるかもしれません。

副業や転職活動を始めて自分の目で確かめる

同じ会社で働き続けていると、転職市場での人材ニーズや自身の市場価値を確認する機会が限られてしまうこともあるでしょう。副業や転職活動を始めると、副業先の企業や応募先の採用担当者などから話を聞く機会が増えるため、これまで気づかなかった企業ニーズを知ることができるかもしれません。

自分の目で世の中の人材ニーズを確認し、現職でスキルを磨いて市場価値を高める、転職して新しい経験を身につける、副業で実績を積むなど、今後のキャリアの方向性を考えると良いでしょう。

市場価値が高い人の特徴

「市場価値が高い」と言われる人には、その根拠となる経験・スキルや実績があるものです。一般的に、「市場価値が高い」と言われる人の特徴を解説します。

希少な経験・スキルがある

同じような経験・スキルを持つ求職者が転職市場に少なく、企業からの採用ニーズが高い場合は、需要が供給を上回るため市場価値も高くなります。例えば「取得難易度の高い専門資格を持っている」「特定の領域で経験を積み重ね、深い専門知識がある」「新しい技術に関する知見や経験がある」など、希少な経験・スキルを持つ人材は市場価値が高くなる傾向があります。

企業が注目する領域の知見がある

ビジネスにはトレンドがあります。例えば、「生成AI」に代表されるAI技術や、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの取り組みなど、技術進化や社会環境の変化に伴い注目される領域や技術が変わります。

世の中の潮流の変化に合わせて新規ビジネスを展開しようとする企業は多く、注目されている領域の知見を持っている人材は、転職市場でもニーズが高くなる傾向があります。企業のニーズが高くなる一方で、新しい領域のために経験者が少なく供給が足りていないことも、市場価値が高い理由と考えられます。

マネジメント経験がある

マネジメント経験も市場価値を高める要素のひとつです。成長中のベンチャー・中小企業の場合、事業拡大に伴いマネジメント経験者が不足するケースが見られます。一方で、大手企業では事業拡大のために新規事業やグローバル展開をする際に、社内に新規領域やグローバル経験を持つ管理職候補がいないために、社外から採用しようとするケースもあります。

特に、経営に近いマネジメントポジション経験者ほど、企業を牽引するリーダーシップや推進力があると期待されるため、市場価値は高くなるでしょう。

成果や実績が豊富

成果や実績が豊富な人材も、企業からの評価を受けて市場価値が高くなる傾向があります。例えば「○○イベントのプロデューサーとしてXX万名の動員実績がある」「新商品を開発し、2年でXX万個のヒット作を生み出した」など、具体的な数値を含めた輝かしい実績を持つ人材は、転職市場でも注目されるでしょう。

市場価値を高める方法

日頃から意識して行動することで、自身の市場価値を高めることができるかもしれません。市場価値の向上につながりやすい方法をご紹介します。

自分の市場価値を把握しキャリアプランを立てる

現在の市場価値を把握することから始めましょう。転職エージェントやスカウトサービスなどを活用して自身の経験・スキルの市場価値を把握し、何を伸ばしていくかを考えます。例えば、「経理の実務経験を積んで、X年後には簿記○級にチャレンジする」「営業としての実績を増やし、X年後にはプレイングマネジャーを目指したい」など、具体的な目標やキャリアプランを立てます。

今後の道筋を明らかにすることで、着実に市場価値を高める経験・スキルを身につけられるでしょう。

ポータブルスキルを意識する

「ポータブルスキル」とは、業界や職種を超えて持ち運びができるビジネススキルを指します。例えば、「論理的思考」「巻き込み力」「課題解決力」「プレゼンテーション力」などは、様々なビジネスシーンで役立つ汎用性の高いポータブルスキルです。日々の業務遂行でもポータブルスキルを意識して取り組むことで、スキルが磨かれ市場価値の向上につながるでしょう。

成果や実績にこだわる

成果や実績を積み重ねることも、市場価値を高めるために重要な要素です。普段から、与えられた業務をただ遂行するだけでなく、改善や創意工夫を意識して、成果や実績にこだわることが重要です。

また、転職活動をすることになったときにアピールできるように、日々の工夫や取り組み、成果を数値化・言語化できるようにしておきます。成果を挙げるに至った思考や行動を伝えることで、企業からプラスの評価を得られる可能性があるでしょう。

新しい経験・スキルに挑戦する

担当業務を遂行するだけにとどまらず、自発的に新たな経験・スキルを獲得しましょう。例えば、次のような取り組みが挙げられます。また、現職で副業が可能であれば、社外の活動に参加して知見を広げることも良いでしょう。本業での経験・スキルを活かしつつ、本業ではできない業務に携われる副業を選ぶと良いでしょう。

  • 業務に活かせる資格を取得する
  • 社内研修プログラムやセミナーを受講する
  • 社内公募のプロジェクトに手を挙げる
  • 業務改善を提案し、主導する

リーダーやマネジメントの経験を積む

社会人経験が長くなると、リーダーやマネジメント経験を求める企業は増える傾向があります。これらのポジションを任されるまで待つのではなく、率先してメンバーの教育担当を引き受ける、あるいは新規プロジェクトのリーダーに立候補する、業務改善プロジェクトなどを起案してリーダーを務めるなど、自ら経験する機会を作るという方法もあります。

経験・スキルを掛け合わせて希少性を高める

複数の専門性を掛け合わせると経験・スキルの「希少性」が高まるため、掛け合わせ方によっては市場価値の向上にもつながるでしょう。複数の専門性の掛け合わせで市場価値を高める場合は、全く接点のないスキルを組み合わせるのではなく、関連性や企業ニーズがあるものを選ぶことが重要です。

【複数の専門性を掛け合わせた例】

  • エンジニア×人事:技術理解やエンジニアの実情・心情・キャリア理解ができる人事
  • 経営コンサル×会計コンサル・公認会計士:事業成長(PL)×経理財務(BS)や内部統制の専門性
  • 店舗運営×マーケター:店舗現場での顧客理解×各種マーケティングの知見

【年代別】市場価値の高め方のポイント

社会人経験の長さによっても、市場価値の高め方のポイントは異なります。年代別に解説します。

 20代の場合

社会人経験が短い20代の場合は、「社会人経験が短すぎて市場価値がわからない」というケースもあるかもしれません。これまでの経験・スキルを伸ばして市場価値を高めるという方法以外に、市場価値の高い職種にキャリアチェンジするという選択肢もあるでしょう。

そのため20代の場合は、まず自己分析を行って、自身の仕事に対する価値観や強みなどを明らかにすることから始めます。その上で、強みにマッチしたポータブルスキルを身につけると良いでしょう。また、定期的に自身の経験・スキルの市場価値を把握しておくことも重要です。

30代の場合

社会人経験がある程度長くなることが多い30代の場合は、現時点での転職の市場価値が把握しやすくなるかもしれません。自身の市場価値を確認し、これまでの経験・スキルを活かして市場価値を高めるか、市場価値の高い職種にキャリアチェンジをするのかを考えましょう。

なお、特定の分野を極めながら、他の領域に知見を広げている人材は「T型人材」と呼ばれ、専門性の高さと視野の広さを併せ持つために注目されています。どのような経験・スキルを重ねると市場価値が高くなるのかを意識しながらキャリアプランを立てましょう。

40代の場合

社会人経験が長くなることも多い40代の場合は、深い専門性や高度なスキル、マネジメント経験などを求められるケースが増える傾向があります。30代同様に転職の市場価値が把握しやすくなるため、転職エージェントやスカウトサービスなどを活用し、客観的な転職の市場価値を知るところから始めましょう。その上で、市場価値を高めるために現職または転職して経験・スキルや実績を積み上げられる機会がないか探してみましょう。

転職エージェントを利用して自分の市場価値を知るきっかけにしよう

前述の通り、転職エージェントを利用すると、市場価値に関するアドバイスを受けられることもあります。例えば、「このキャリアは転職市場でどのように評価される可能性があるか」「転職先の選択肢となる業界・職種は?」「年収相場はどのくらいか」「同じようなキャリアの人が、実際にどのような転職を実現しているか」などの情報を得ることができるでしょう。

自分では「高く評価されない」と思っていた経験・スキルが、意外な業界や企業で求められるケースもあるため、転職支援のプロによる客観的なアドバイスを受けることも一案です。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2019年10月03日
記事更新日:2023年12月07日
記事更新日:2024年09月25日
記事更新日:2025年04月14日 リクルートエージェント編集部

リクルートエージェントでは、転職でお悩みの方に適切なアドバイスをお送りしています。また、企業の面接対策や職務経歴書の作成サポートや、スムーズな退職のためのサポートを行っています。お悩みの方はぜひ一度相談に来てみてください。