転職活動において、もっとも緊張する場面が「面接」です。「面接の場でうまく話せない」「面接でうまく話せなかったら落ちるのだろうか」。そんな不安を抱く皆さんに、面接でうまく話せない原因、うまく話すためのコツ・事前準備などについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。
面接でうまく話せない原因は?
面接の場でうまく話せないのはなぜなのでしょうか。よく見られるケースをご紹介しますので、自己分析をしてみてください。
面接で聞かれる質問への回答を準備していない
面接では「転職理由」「志望動機」「自身の強み」「入社後の目標」などを聞かれます。「自分が普段考えていることを話せばいい」と、面接対策を行わずに臨むと、思ったように言葉が出てこないことがあります。
また、ポイントを簡潔にまとめられずにダラダラと話してしまい、「結局、何が言いたいのか?」と思われてしまいます。
「話す」練習ができていない
緊張すると、声が小さくなってしまったり、早口になってしまったりすることもあります。自信がないように見えるため、マイナス印象につながるでしょう。
面接は自分を「プレゼンテーション」する場です。普段の仕事でプレゼンに慣れていない人が、声の出し方、話すスピード、口調などを練習せずに臨むと失敗しがちです。
「スラスラ話す」ことを意識し過ぎる
上記とは逆に、面接の準備を「し過ぎる」ことで、逆にうまく話せていないケースも見られます。「立て板に水」のようにスラスラ話そうとして、質問への答えを丸暗記しておき、そのまま話すのです。
そうすると、面接担当者の想定外の質問にうまく対応できず、しどろもどろになってコミュニケーションがかみ合わなくなってしまいます。
「試されている」と思い、萎縮してしまう
「試されている」「評価されている」と思うと、「下手なことを言ってはいけない」と委縮してしまい、言葉に詰まってしまいがちです。「企業が望むことを言わなければならない」と、本心ではない回答をして、空々しくなってしまうこともあります。
自己分析や企業研究が不十分
自己分析が不十分だと、伝えたいアピールポイントが曖昧なまま面接に臨むことになります。また、応募企業の研究を行っていないと、志望理由も曖昧な状態です。確信を持って話すことができないため、面接担当者に伝わりません。
面接でうまく話すための6つのコツ
面接でうまく話せるようになるために、以下のポイントを心がけるとよいでしょう。
繰り返し練習する
面接で聞かれると想定される質問項目について、回答を書き出し、声に出して練習します。時間を測ったり、動画を撮影して確認したりすると、自身を客観視し、改善点に気付けるでしょう。
転職エージェントの「模擬面接」サービスを活用し、フィードバックを受けて修正していく方法もあります。
結論から話し、要点をまとめて話す
端的に話し、かつ説得力を高めるには、「PREP法」を用いるのも有効です。「PREP」とは、「Point(要点)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(要点)」。最初に要点である結論を伝え、その結論に至った理由、具体的なエピソードを話し、再び要点で締めくくるという話の構成です。
話すことを丸暗記しない
質問への回答を丸暗記してしまうと、面接担当者の質問の意図から少しずれた回答になってしまい、不自然なやりとりになることがあります。それでは、ビジネスの場面でも「臨機応変な対応力がない」「機転が利かない」といったマイナス評価につながってしまいます。
企業は教科書的・優等生的な回答を求めていません。言葉に詰まっても、多少言いよどんでも、その人が自分の言葉で自分なりの考えを語ることを期待しているのです。
ゆっくり話すように意識する
緊張すると、自分では意識していなくても早口になりがちです。ゆっくり話すことを意識しましょう。面接担当者の反応や表情を観察しながら話せば、焦って早口になってしまうことを防げます。
面接を「相互理解の場」と認識する
面接とは一方的に企業から選考される場ではありません。自分自身もその企業が自分にマッチするかどうかを見極める場です。萎縮してうまく話せなくなることを防ぐためにも、「企業と自分は対等な立場」「お互いの理解を深める場」という認識を持っておきましょう。
緊張をほぐすリラックス方法を実践
お茶を飲む、深呼吸をする、軽いストレッチをする、笑顔をつくる練習をする、発声練習をするなど、自分にとって緊張をほぐすのに効果的なリラックス方法を考え、面接前に実践しましょう。
面接でうまく話すための事前準備
面接の場でうまく話すためには、事前準備が大切です。応募企業の研究と自己分析をしっかり行っておくと、企業と自分自身の接点を見つけやすくなります。
そのポイントにフォーカスすれば、自信を持って話すことができ、面接担当者も興味を持ってくれて、会話が弾みやすくなります。次のような方法で準備をしましょう。
応募先の企業研究をする
企業を知るには、会社のホームページを隅々まで読み込んでください。特に「社長のメッセージ」「ミッション・ビジョン・バリュー」「パーパス」といったページには、企業の理念や自社にマッチする人物像が表れています。
採用サイトには、社員インタビューなども掲載されていますので、働くイメージを持てると、面接でも話がしやすくなります。
また、企業や経営者のSNSなどからは、「風土」「カルチャー」もつかめるでしょう。
これまでの経験と強みとするスキルを整理する
これまで経験してきた仕事をすべて書き出し、その中で「成果を挙げた経験」をピックアップしましょう。さらに「その成果を挙げられた理由」を考えてみると、「自分の強み」が見えてきます。それを面接で伝えられるよう言語化しておきましょう。
「強み」と同時に、「自分はどんな場面でやりがいや面白みを感じるか」も整理しておくことをおすすめします。
今後目指したい目標やビジョンを描く
自身の5年先・10年先・20年先を想像し、目指す将来像を描いてみましょう。
- どんなスキルを活かしていきたいか
- どんなスキルを伸ばしていきたいか
- どんなやりがいを感じながら働きたいか
- どんなことを大切に働きたいか
- 将来どんな自分になりたいか
面接質問に対する回答の事前準備
面接で聞かれる質問への回答を準備するにあたって、面接担当者が選考で評価するポイントを知っておきましょう。面接でよくある質問項目もご紹介します。
面接担当者が評価するポイントとは
一般的に、一次・二次面接では人事担当者や配属部門の責任者、最終面接では経営者・役員クラスが面接を行います。
面接担当者によって注目しているポイントは異なります。それぞれの視点は次のとおりですので、面接担当者に合わせて回答を準備しましょう。
人事担当者の視点
基本的なビジネスマナー、求めるスキルや職務経験があるか、社風に合うか
配属部門の責任者
任せたい業務や役割を遂行できる経験・スキルを持っているか、あるいはこれから身に付けていける素養があるか、一緒に働くメンバーになじめそうか
経営者・役員
長い目で見て会社に貢献してくれる見込みがあるか、組織が抱える課題にフィットしているか、目指す方向性が、自社の理念・ビジョンと一致しているか
面接で想定される質問とは
面接で聞かれる定番の質問項目をご紹介します。この項目については回答を準備しておくことをお勧めします。
自己紹介
応募者のプロフィールを確認すると同時に、基本的なプレゼンテーションスキルを評価します。
転職理由
純粋に「なぜ今の会社を辞めたいのか」を聞くと同時に、また同じ理由で離職するリスクがないかどうかを見極めています。
志望動機
本気で入社する意思があるのか、採用するメリットがあるかを測るための質問です。
強みと弱み
応募者が自身に対して客観的な視点を持っているか、それを仕事で活かせそうかを見ています。
仕事での成功体験・失敗体験
成功体験では、応募者のスキルを測っています。失敗談からはトラブルに対処する力やストレス耐性を読み取り、自社でも活躍してくれる人材かをチェックします。
逆質問
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれます。興味・関心のポイントや入社意欲に注目しています。
転職エージェントを活用して面接対策しよう
面接に対して不安を抱いているなら、転職エージェントを活用するといいでしょう。面接で何をアピールすればよいかのアドバイスを受けられ、「模擬面接」で練習することもできます。
また、転職エージェントを通じて応募した場合、面接後に企業からのフィードバックを受けられるケースもあるため、次回の対策につなげられるでしょう。次回の対策を練ることも可能です。
自信を持って面接に臨めるようにするために、転職エージェントのサポートサービスを活用してはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2022年12月20日
記事更新日:2023年12月22日 リクルートエージェント編集部