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職務経歴書の自己PRはどう書く?職種・シチュエーション別の例文や評価基準を解説

職務経歴書 自己PR

転職活動の際に応募企業に提出する「職務経歴書」。「自己PR」欄を活用すれば、より効果的なアピールにつながることも期待できるでしょう。自己PR欄の書き方や企業の評価基準について、職種やシチュエーション別の例文も交えて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏が解説します。

職務経歴書の自己PRの例文

職務経歴書の自己PR欄に記載する例文を職種やシチュエーション別に紹介します。

職種別の自己PRの例文

営業職

営業活動を通じて顧客自身が気付いていない課題を発見する、課題発見力が私の強みです。

例えば現職では、顧客企業の新製品の売れ行きが不調であることを経営陣から聞いたことをきっかけに、現場の営業社員に対して個別に状況のヒアリングを実施。主要ターゲット層に対するアプローチ手法に課題があることを発見しました。そこでアプローチ手法の改善のためにマーケティングツールの導入を提案した結果、売上○%増という成果につながりました。今後も営業の立場で、顧客との対話の中から課題を発見して解決に導くことで、信頼を獲得し、取引拡大を目指したいと思います。

事務職

「業務改善」を常に意識して、主体的に取り組む行動力、実現力が私の強みです。

例えば現職では、長時間労働や休日出勤が常態化し、離職率も非常に高かったため、業務改善によって部署の生産性を向上させることができないかと考えました。そこで、経営陣が「DX」を検討するよりも前に率先して業務効率を向上させる手法を学び、RPAの導入を提案。提案が通り、推進した結果、事務部門の残業時間を○%削減することに成功しました。貴社においても、業務改善の観点から課題を抽出し、実現に向けて周囲に働きかけていきたいと考えています。

ITエンジニア

組織力強化に向けた企画力と推進力が私の強みです。

例えば現職では、人手不足によりチームの業務の一部を外部に委託している状況を脱するため、6名のエンジニアチームのリーダーとして、現在の人員で対応できるよう技術力向上を図りました。勉強会の開催や技術情報共有チャネルの充実、自己学習支援制度の導入などを進めた結果、年間○万円の外部委託費を削減することができました。この経験を通じて得た知見と企画力・推進力を活かし、貴社においてもメンバー育成を通じた組織力強化に貢献したいと考えています。

シチュエーション別の自己PRの例文

ブランク明けの場合

店舗企画を通じた分析力や提案力が私の強みです。

前職では、流通業界で店舗企画の業務を担当し、市場調査や販促計画の策定などの業務を通じて、分析力や提案力を培うことができました。担当ブランドの撤退を機に退職してからも、リフレッシュのために各地を折々に旅行する中で、旅先の人気店を訪れ、どのような点が消費者を引き付け支持されているのか、その要因を探ることで、継続してさまざまな領域における分析力を鍛えていました。新たに得た視点を、今後、店舗づくりの仕事に活かしていきたいと考えています。

未経験職種への応募の場合

営業職を通じて得た数値分析力や課題発見力、提案力が私の強みです。

例えば現職では、食品メーカーの営業として店舗別の利用者層や商品別の売れ筋などを分析し、ターゲット別に販売戦略を提案した結果、担当店舗の売上を○%伸ばしました。今後はこうしたスキルを活かして未経験のコンサルタント職にチャレンジしてみたいと考えました。コンサルタントに必要な「クリティカルシンキング」などのスキルは、ビジネススクールに通うことで身につけたいと考えております。

第二新卒の場合

自社ITプロダクトのユーザー調査を通じて培った「ヒアリング力」が私の強みです。

現職では、自分が関わるサービスがユーザーからどのような評価を受け、どのように使われているのかを知るために、ヒアリング調査を続けました。調査のために会った人数は2年間で○○名以上になりました。ヒアリング結果やサービスの改善点を開発部門に提案したところ、MAUは○%上昇し、開発検討会にも参加させてもらえるようになりました。今後も、ユーザー側の視点からサービスの在り方を考える姿勢を大切にしながら、事業に貢献できるプランナーとして成長していきたいと考えております。

なぜ職務経歴書に自己PRを書く必要があるのか

職務経歴書に自己PRを書く必要がある理由を、企業が見ていると考えられるポイントごとに解説します。

職務経歴だけではわからない付加価値を伝えるため

これまでの職務経歴からだけではわからない自身の付加価値を応募企業に伝えることが、職務経歴書に自己PRを記載する理由のひとつとして挙げられるでしょう。職務経歴書は履歴書に書き切れない具体的な経歴を記載する書類になります。

自身の強みや仕事への取り組み姿勢といった付加価値を記載することで、「応募者が強みを発揮して自社でどのように活躍できるか」「自社の文化や風土にマッチしているか」を応募企業が見極め、ほかの応募者と比較する際の判断材料としてもらえることが期待できます。

自己理解力をアピールするため

自身のキャリアに対する客観的な自己理解力をアピールすることも、職務経歴書に自己PRを記載する理由のひとつと言えるでしょう。自身のキャリアに関する自己認知ができていないか、あるいはずれていると、応募企業は入社後の成長・活躍や定着を懸念する可能性があるからです。

例えば、自身の弱みが客観視できていない場合、弱みを改善することによる成長が期待しにくく、周囲のアドバイスを受け入れたり、同僚と協力し合ったりしにくいことを危惧されるかもしれません。経験やスキルのレベル感の認識がずれていて自己評価が過剰に高い場合も、「やりたいこと」と現実のギャップが大きくなり、早期離職を心配される可能性がありそうです。

面接の場での話題を提供するため

面接の場における話題を提供することも、職務経歴書に自己PRを記載する理由として考えられます。企業は、「入社後活躍の可能性」「自社の社風とのマッチ度合い」を、面接という対面の場で掘り下げてよりリアルに把握したいと考えている可能性があるためです。

また、企業の面接担当者によっては、応募者が在籍する企業の業界の事情や仕事内容、実績などのイメージを持たないために、面接時の質問の糸口を見出しづらい場合も想定されます。実績の具体的な数値やエピソードを交えた自己PRが記載されていれば、面接での質問や対話がより具体的なものとなり、応募者への理解が深まることが期待できるでしょう。

職務経歴書の自己PRの評価基準

職務経歴書に記載した自己PRは、企業からどのように評価されるのでしょうか。評価基準は企業によって異なりますが、考え得る基準について解説します。

内容の具体性と説得力

自己PRに、その内容を裏付ける独自のエピソードや実績が添えられていることで、企業がその具体性と説得力を評価することが期待できるでしょう。自身の強みやこだわりを発揮した具体的なエピソードと、得られた成果や実績と併せてセットでアピールすると、さらに効果を高めることができるでしょう。

また、部署の人数、プロジェクトの規模、担当した顧客の規模、売上、目標達成率など、できるだけ具体的な数字を添えて成果や実績を示すことで、より説得力を増すことが期待できるでしょう。

企業の文化や求める人物像へのマッチ度

社風との相性が、入社後の定着性に影響を及ぼす傾向があることから、応募者が自社の文化(カルチャー)や社風、求める人物像とマッチするかどうかを自己PRから確認している企業もあります。そうした企業は、仕事へのこだわりや進め方、信条といった「人物像」が、社風や企業の価値観、職場の雰囲気に合っているかを確認する傾向にあるようです。

熱意・主体性や将来性

自己PRに示された応募者の熱意や志望度の高さ、主体性や将来性から、自社で長期的に活躍できる人材であるかどうかを評価し、判断する企業もあるでしょう。具体的には、業界への興味や応募職種に対する意欲、自身のキャリア展望などが判断材料として活用されることが考えられます。

職務経歴書の自己PRの作成手順

職務経歴書の自己PRの作成手順を、4つのステップで解説します。

まずは自己PRの構成を理解する

自己PRは、以下のような構成を理解した上で意識すると、より効果的で伝わりやすいものとなることが期待できるでしょう。

① 自身の強みや仕事におけるこだわり
② その強みやこだわりを裏付ける具体的なエピソード
③ 結果として得られた成果や実績
④ 応募先でどう活かせるかという展望

キャリアの棚卸しをして強みを洗い出す

次に、これまで経験してきた業務の中で、「成果を挙げたこと」「得意なこと」「周囲から評価されたこと」などを洗い出し、その中から自身の強みやこだわりを抽出します。その際、抱えていた課題、自身の感情の変化、周囲との関わり、苦心したことなどを含めて、できるだけ詳しく洗い出すことで自己PRがより具体性を増すでしょう。

どうしても自分の「強み」が思いつかない場合は、周囲の人にヒアリングしてみると、自分では意識していなかった強みが見つかることがあります。

応募先の求める人物像を読み取る

募集要項などを読み込んで、応募企業がどのような経験・スキルを必要としているか、どのような人材を求めているのかという「人物像」を把握しましょう。その上で、前のステップで洗い出した自分の強みが、応募企業の求める人物像とマッチする点を見つけましょう。

未経験業界や職種への転職で、企業の求める人材とマッチする経験・スキルが見つからない場合は、自身の強みと応募職種の仕事の間の共通点を見つけて、「この強みを活かせば貴社でもすぐにキャッチアップできます」などとアピールにつなげましょう。

自身の強みを言語化してエピソードを交えてまとめる

これまで洗い出した強みを言語化し、その裏付けとなるエピソードを交えながらまとめます。強みが発揮された場面を、「課題」→「解決のための行動」→「成果」の順に文章化すると、わかりやすくなるでしょう。エピソードには、具体的な数値や固有名詞、周囲からの評価など、客観的な事実をなるべく盛り込みます。どのような視点・姿勢で取り組んだのか、工夫や努力した点なども合わせて伝えると、より効果的でしょう。

また、エピソードに以下のような「仕事の仕方」「人との関わり方」の両軸を盛り込めば、入社後の活躍イメージをよりリアルに想像してもらえることが期待できます。

<仕事の仕方>

  • 課題を明らかにする(現状の把握、課題の設定方法)
  • 計画を立てる(スケジューリング、タスク・関係者整理)
  • 実行する(実際の課題遂行、状況への対応)

<人との関わり方>

  • 社内対応(上司・経営層からの指示への対応や提案)
  • 社外対応(顧客・パートナー企業との関係構築)
  • 部下マネジメント(部下の指導・フォロー)

職務経歴書の自己PRが思いつかないときの対処法

職務経歴書の自己PRの内容が思いつかないときの対処法を紹介します。

「成功体験」「挑戦体験」をSTAR法で棚卸しする

自己PRが思いつかない人は、STAR法を使って自身の「成功体験」「挑戦体験」を棚卸しすることもひとつの方法です。STAR法とは、自身の経験を以下の4つのフレームにあてはめることで、スキルを事実ベースで整理するための手法です。

「S:どのような状況で(Situation)」
「T:どのような課題があり(Task)」
「A:どのような行動をして(Action)」
「R:どのような成果が出たのか(Result)」

このフレームワークには、自身の経験を具体的なエピソードに落とし込むことができると同時に、自分自身の思考も整理できるという利点があります。その結果、応募企業にもより伝わりやすくなることが期待できるでしょう。

まずは、自身の成功体験、挑戦体験を思い出して、上記のフレームにあてはめることでエピソードに落とし込んでみましょう。

他者からの評価やフィードバックを活用する

上司や同僚、顧客や取引先など他者から客観的に評価されたり、フィードバックされたりした経験を思い出すことで、自己PRの題材を見つけることもできるでしょう。会社での評価面談や、さまざまな立場の人から受ける360度評価、上司との1on1ミーティングなどを通じて受けた評価なども含めて振り返ってみることをお勧めします。

応募企業や業界の求める人物像を改めてリサーチする

自分の強みとマッチする接点を意識しながら、求人票に記されている「求める人物像」「仕事内容」を読み込み、応募企業や応募業界が求める人物像をより解像度高く把握してみましょう。応募企業の企業理念やミッション・ビジョン・バリューなど企業の経営方針や社風と重なる自身のエピソードを盛り込めば、企業文化との相性の良さなどが伝わり、入社後に働くイメージを想像してもらいやすくなるかもしれません。

未経験の業界・職種に応募する場合も、応募企業の業界や募集職種で活かせそうな強みを見つけることができるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年12月27日
記事更新日:2023年02月24日
記事更新日:2024年04月08日
記事更新日:2025年03月18日 リクルートエージェント編集部

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