メディカル・化学・食品系技術職に対して企業が求めるのは、実務経験と経験に応じたスキルです。
勤務先と職務略歴だけで、人事は応募者のキャリアをある程度判断できてしまう場合も少なくないので、企業の求めるニーズに合わせて、あなたの持つ要素技術・スキルを散りばめて職務経歴書に書くことが最大の課題になるのです。
人事担当者の職務経歴書の見方~メディカル・科学・食品系技術職~
企業側は、その人の全体像もさることながら、任せたい仕事の経験があるかどうかを見たいものです。
あなたの持っている要素技術や経験した工程、役割を具体的に示し、あなたが経験に応じたスキルがあるのか、人事担当者が即座に理解できるよう、表形式で、時系列に経験をまとめると良いでしょう。 また、ヒューマンスキルについても、顧客との折衝能力や提案改善などの取り組み、他部署との連携、マネジメント能力などを、自身の強みとしてまとめると良いでしょう。
メディカル・科学・食品系技術職職務経歴書の書き方のポイント
当然人事担当は応募者のことを知りません。
まずは、経歴の概要を3~4行程度にまとめましょう。「自分はどこで何を経験した」という事実情報をわかりやすく伝えるのがポイントです。
人事担当はより深く応募者のことを知りたいと考えます。
次の事項を項目だてして書きましょう。
- いつからいつま
- どんな部署で
- どんなことをしてきたか
- その仕事の特徴
最後に人事担当者は、応募者が企業方針・社風に合うかを考えます。
以下の項目を簡潔な文章にまとめて、担当者に自分の価値観を伝えましょう。
- 自身の強みや補足
- 大事にしている考え
- 目指したい仕事
- 業界や応募先に対する思い
代表職種職務経歴書のポイント ~メディカル・科学・食品系技術職~
MR
MRは、たとえばドクターとのやりとりなど、短い時間のなかで内容の濃い情報提供、コミュニケーションをはかっていくことが求められる職種です。採用する企業は、職務経歴書の中にプレゼンテーションのセンスを見ていますので、簡潔かつ効率的な職務経歴書であることが大切です。また、MRの基本業務は採用する側もよく分かっていますから、ルーチンの内容だけをまとめて書いても、良い評価は受けられません。自分が特に工夫してきたこと、社内(部署)で自分だけがやっていたことなどを書いて、仕事への取り組み方、さらに本人の人柄が透けて見える職務経歴書をつくることが大切です。
POINT
- コンパクトな職務経歴書をつくること(ただし、無理にA4一枚にまとめる必要はまったくない)
- 数値実績は社外の人がみても分かるように、対前年比、社内順位などを入れて
- 差がつきにくいMR業務、自分だけが取り組んでいた事柄は何か、そこが評価の分かれ目になる場合が多い
MR・MS・医療機器営業の職務経歴書見本をダウンロードする(Word)
メディカル研究職
大抵の職種には、いわゆる「職務経歴書のフォーマット」というのもがありますが、研究職の場合、各企業、個人それぞれの分野がはっきりと分かれているため、これといった定型がありません。そのため転職を希望される方は、自分のことを分かりやすく伝える職務経歴書を考える必要があります。また、転職活動を長期化させたくない場合は、テクニカルサポート職などへの転換を考えながら、活動を行う場合も多いので、あらかじめ、その対策をしておくことも重要です。
POINT
- 研究職の提出書類は、職務経歴書と論文概要の二種。定型は特にないので、自分なりに見やすく整理して
- 研究内容以外では、使用機器やどういった作業をするスキルがあるのかを書くこと。何が採用のきっかけになるか、分からないので
- 長い自己PR文は必要ないが、どういったポジションで研究業務をしていたか、組織構成を書いておくのは効果あり
研究(創薬研究・製剤研究・前臨床)の職務経歴書見本をダウンロードする(Word)
医療機器営業
医療機器営業の書類選考は、応募者の実績と担当領域がポイントになります。特に、どのような製品を扱ってきたのかについては、漏れなく記載してください。その上で、営業をする際、どのような戦略を持ち、どのような工夫をしてきたのか、自分のスタイルが伝わるようにレジュメ(職務経歴書)を作っていきましょう。学会でのプレゼンテーションやフォローの方法、セールスマーケティングの手法といった記述で優位性のあるレジュメ(職務経歴書)を目指します。
POINT
- 組織全体で業績をとらえることが多い卸ですが、最低限、自分がいくら売ってきたのかは把握しておきたいところ
- 営業において、自分がこだわったことは何か、どういったことを工夫したかを記しましょう
- 自己PRはプライベートのことは控え目に、業務内容に則したPRを行う
MR・MS・医療機器営業の職務経歴書見本をダウンロードする(Word)
MS
製品知識よりも、どのくらい数字に対する感覚が身に付いているかが、選考の重要な分かれ目になります。さらに、自己PRで「やる気」を見せることも大切なポイント。勉強していく姿勢や、自分がMRになったらどう動くかなど、熱意を伝える努力をしていきましょう。
POINT
- 組織全体で業績をとらえることが多い卸。それでも最低限、自分がいくら売ってきたのかについて、把握しておきたいところ
- 営業において、自分がこだわったことは何か、どういったことを工夫したかを記しましょう
- 自分の周囲のMRとどう関わっているか、その見方も重要
MR・MS・医療機器営業の職務経歴書見本をダウンロードする(Word)
臨床開発
臨床開発職の職務経歴書は、どういった領域の経験があるかを、見やすく忠実に書くことが重要になります。「忠実に」というのは、領域、症例数、フェーズ、担当の病院、研究機関を漏らさず書くということです。それとは別に特定の業務を強調して書く必要がないということも意味しています。臨床開発では、企業によってキャリアの見方のポイントが異ります。ある企業では「申請までの一連の流れをやったことがあるどうか」を重視する一方、別の企業では「一つのフェーズを繰り返しやってきたこと」を専門性として評価する場合もあります。「自分はこれしかできない」と悲観せず、棚卸ししたキャリアをそのまま紙面に落とし込んでいきましょう。(但し、旧GCPでのキャリアはあまり参考にされませんので、その点だけは注意してください)
POINT
- まず基本領域(=試験薬の種類)、フェーズ、症例数、担当の病院・研究機関名をきっちり書くこと
- 基本項目を押さえた上で、仕事の領域が、見やすくまとまっている職務経歴書を心掛けて
- 自己PRを書くのは、面接に向けての最高のシミュレーション。自分が話そうと思う内容を、あらかじめまとめてしまうこと
臨床開発(CRA・DM・QC・PMS・CRC)の職務経歴書見本をダウンロードする(Word)
薬剤師
薬剤師経験者の書類選考のポイントは、経験とコミュニケーションスキルです。経験については業務内容に網羅的に盛り込みます。調剤・監査・服薬指導などに分類し、詳細に書きます。特に、処方科目や処方箋数などは、専門性を判断するために選考上必要な情報なので、漏らさず記述します。また、コミュニケーションスキルについては、自己PR欄を使って書いてみましょう。医師や看護師、製薬メーカーとのコミュニケーションの内容や工夫した点などは、具体的に書いて伝えることが必要です。SMO(治験施設支援機関)などの企業へ転職を目指す方は、今までの経験を企業での仕事にどう生かしていくのかを想像して書くことが重要です。
POINT
- 経験を具体的に記載し、さらに業務の中での工夫や改善点を挙げます
- 自己PRは、職場でのあなたの活躍を具体的なエピソードを交えながら伝えます
- コミュニケーションスキルや書類作成スキルなど、一般的なビジネスシーンで活用できるスキルを記しましょう
看護師
看護師を企業が採用する際に見ているポイントは、専門的な経験と、ビジネスにおいても認められるスキルがあるのかどうか。職務経歴書でも、ご自身の担当領域での役割や具体的な経験などを端的に書きましょう。これによって、ビジネスで生かされる文書作成能力が分かります。また、ドクターや関係者との会話の中で培われたコミュニケーションスキルや、ビジネスでの利用頻度の高いPCスキルなどを記述することも大事です。
POINT
- 経験した業務を簡潔に、網羅的に記しましょう
- 組織や集団の中で、どのような役割や姿勢で仕事に臨んでいたかが分かるように
- 普段からのコミュニケーションや緊急時の対応上の工夫など、一般的なビジネスシーンにも通じる工夫を記しましょう
化学系研究職
製造業系のエンジニアの中でも、特に専門性が高い職種です。企業側が、ピンポイント的要求をする場合が多いので、「研究」か「製品開発」かを明記し、さらに具体的な研究の内容や、どのような用途の製品を開発してきたかなどについても記しましょう。
POINT
- いかに相手が求めているものをキーワードとして提示できるか
- 自分がたずさわった工程はどこからどこまでなのかを明確に
- 規模や素材、精密度合いなど、出来るだけ具体的なデータを記載
研究開発(素材)の職務経歴書見本をダウンロードする(Word)
商品開発(食品業界)
食品の商品開発で問われるのは、まず、「何をつくっているか」という点。もちろん、「レトルト食品の開発」といったことは多くの方が書くことですが、意外にも、商品名が抜けてしまう場合が多いようです。具体的な商品名を挙げた方が、読む側がイメージしやすいので、これは必ず記載しましょう。次に重要なのが工業化の経験です。開発の真の難しさは、おいしさを損なわずに、いかに量産するかということ。特に、設備をどうアレンジするかという点に関しての経験が求められます。さらに原料に関する知識、どれだけ多くの工場を見てきたか、食に関するアンテナの高さなど、スペシャリストとしての力量をアピールしていきましょう。
POINT
- 自分が開発した商品は、商品名まで具体的に書く
- 「工業化」にどう対応したか。特に生産設備に関する知識やノウハウが問われる。また原料に関する知識があるのかも、重要なアピールポイントになる
- 自己PRは、他部署との連携や開発のセンスが効果的な内容になる
製造技術・品質管理
製造系職種や品質管理は、企業や工場によって仕事内容が大きく異なるのが特徴です。面接会場で「職務領域がまったく違っていた」というようなことがないように、具体的な職務内容を職務経歴書に明記しましょう。もちろん、工場の規模や扱っていた設備を書くことも忘れないでください。また製造技術や品質管理はミスがなくて当然の職務なので、普通に職務経歴を書いただけでは、成果が得られたことが何なのかが伝わりません。具体的に改善できたことは、しっかりアピールするようにしましょう。
POINT
- 生産工場の内容を説明するのが第一。機械化の程度や生産規模などをできるだけ詳しく書く
- 各企業によって職務内容は異なるので、キャリアはできるだけ分かりやすく
- アピールしにくい職種だからこそ、職務を通じて得た成果をしっかり表現する
技術営業・開発営業(食品業界)
メーカーの商品開発に対する技術営業が、他の食品営業と決定的に異なるのは、価格や量による売り込みが非常に少ないという点です。実績をつくるには、自社の商品を利用することで、どのような開発ができるのか、論理的に提案していかなくてはなりません。職務経歴書の中でも、当然、商品知識と提案力をアピールすることが重要になります。また、提案をする上で大切な食の流行事情、つまり日頃から食に対する関心を持っているかについても、問われてきます。
POINT
- どの会社に、どのようなものを提供し、どのような商品をつくってきたのかについて具体的に書く
- 仕事上の一番の成功体験は何か、じっくり考えて書く
- 食に関する意識の高さ、とくに消費者の動向を見極めるマーケティングセンスをアピールすることも重要。
書くことが少ない場合
職務経験が2~3年しかなかったり、ルーチンワークのみで経歴欄に書く要素が少ない人は、自己PR欄を充実させることで熱意をアピールしましょう。紙面の半分以上を自己PR欄で占めるくらいでも問題ありません。
POINT
- 自己PR欄を大きく設けて、熱意を具体的にアピール
- 資格や学習内容など、自己啓発の要素を充実させる
- 会社概要などを詳しく書いてスペースを埋める工夫をする
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