【コンサルティング業界】新型コロナウイルス禍の転職市場動向

コンサルティング業界の新型コロナウイルス禍における求⼈・求職者の動きを、業界に精通したキャリアアドバイザーがレポートします。
「コロナウイルス禍での転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。

業界・企業側の動き

現状、採用に力を入れている部門と一旦落ち着いている部門で濃淡がついている状況です。新型コロナウイルス禍の影響もありニーズが高い傾向があるのは、通信・リスク管理・業務改善関連の求人となっています。通信では元々５G関連の案件があったところに、テレワーク対応に伴うネットワークの再構築などの案件が発生しています。リスク管理では、会計やガバナンス強化だけでなく、サイバーセキュリティ関連のニーズが高くなっています。また、業務改善では、省人化・生産性向上のためのIT導入やアウトソーシングなどの動きがあります。

今まではなかなか手が付けられていなかった分野の電子化も、新型コロナウイルス禍で進んでいます。元々ニーズの高いIT・DX(※１)・CRM・EC関連の求人は引き続き活況です。特に、SaaS化の流れもあり「デザイン」ができる人材ニーズが高まっている傾向があります。 UIUX関連のポジションで、芸術系出身の方が必要とされています。

また、これまでは第二新卒採用が活発でしたが、現在ではシニアコンサルタントレベル以上のニーズが非常に高くなっています。即戦力のコンサルタントだけでなく、コンサルタント経験がなくても、必要とされる業界の知見があり、業務改善経験のある未経験者も求める企業が多くなっています。企業の内部事情に詳しく戦略の実行支援段階でその知恵が生きてくるからです。

今後については、経営陣は収束まで１～２年はかかると予測し始めており、ITやオンラインを活用したビジネスプロセスの変更などのプロジェクト案件が増えつつあります。またコンサルティングファームも今までの「業界ごとのサービス提供」のやり方を変えて、業界横断での新規事業の立ち上げ支援などがしやすい組織体制に移行する動きも出てきています。

(※１) デジタルトランスフォーメーションの略

求職者側の動き

コンサルタント経験者の相談が一部増えている傾向にあります。求職者自身が担当している業界ごとに状況が異なるため一概には言えませんが、案件の停止も一部あるため、これを機に改めて事業会社へ戻りたいというニーズがあるようです。比較的、今の局面では慎重に転職を考える方が多いように見受けられます。

一方で、成長意欲の高い事業会社の企画系職種経験者は依然としてコンサルタントを目指し転職する動きがあります。シニアコンサルタントクラスの求人ニーズは高く、転職が実現していくケースは多いです。ハイキャリア層では、今までは移動を含めた時間の制約で活動が難しかった方も、Web面接が当たり前になったからこそ、時間の融通が利き活動がしやすくなっている傾向があります。

出所：リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析

出所：リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析

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