転職はしたいけど、企業研究や応募書類の作成、求人の応募、面接対策など、転職活動は大変そうだからと行動に移せない人もいるのではないでしょうか。そこで、効率的な転職活動の進め方などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
転職活動が大変だと思われる主な理由
転職活動が大変な理由としてよく挙げられるのが、「自分に合った仕事の探し方」や「応募書類の作成」などの事前準備です。その他にも、「現職の仕事との調整」や「家族から理解を得ること」などのケースもあります。
リクルートワークス研究所の調査(※)によると、「転職活動者がまだ転職していない理由」として以下が挙げられており、そもそも「自分に合った仕事がわからない」(14.2%)、「仕事の探し方がわからない」(5.1%)、「思ったよりも手間がかかって進んでいない」(10.9%)といった声が寄せられています。
ここではよく聞かれる、転職活動が大変だと思われる理由のいくつかについて、具体的に解説します。
※出典:「なぜ転職したいのに転職しないのか」(リクルートワークス研究所)
現職と転職活動の両立が大変そう
転職活動には、応募書類の作成や求人サイトの登録などの事前準備が必要となります。それらが大変だと感じてしまう人も少なくありません。
現職を続けながら転職活動を進める場合、業務を調整しながら面接の日程調整をしたり、有給休暇や早退などを活用しながら日程調整したりするなどの大変さがあります。仕事が忙しい時期だったりすると、ストレスや疲れが溜まったりすることもあり、より大変さを感じるかもしれません。
希望する仕事内容・勤務時間・勤務地の仕事が見つからない
転職サイトや求人情報誌など、膨大な求人情報の中から自分が希望する仕事内容、さらには給与額、勤務地や勤務時間・休日などの条件が合う案件を探すことも大変だと感じる方もいるでしょう。情報が多すぎてどのように選択すればいいかわからない場合もあれば、条件が合わずに探す手間や時間がかかってしまう場合もあるでしょう。
金銭的な不安
転職活動は時間だけではなく、費用がかかることもあり、金銭的な不安を感じる人もいるのではないでしょうか。一般的にかかる費用としては、応募先企業に送る書類・証明写真の撮影費、面接用のスーツやバッグなどの服装関連などが挙げられます。
最近はオンラインで面接を行う企業も増えてきましたが、応募先企業で面接が行われる場合は交通費がかかることが多いです。UIターン転職や遠方の企業に応募する場合は、新幹線や飛行機代、宿泊費など、より費用がかかる場合もあります。
在職しながら転職活動をするのであれば、収入面を心配する人は少ないかもしれませんが、退職後に転職活動をする場合は、家賃や光熱費、食費などの生活費に対する不安があるでしょう。こういった金銭面が不安な場合は、在職中に転職活動を行うことで金銭的な不安は軽減されることが多いですが、各自の状況に応じて最適な選択を行うとよいでしょう。
家族から理解を得るのが大変
上記の調査では数は多くないものの、「家族から理解を得るのが大変」といった声も見られました。特に、転職によって引っ越しや収入減などの可能性がある場合は、早めに伝えておくなどの対応を検討するとよいでしょう。
転職活動の流れを理解して効率的に進めるコツ
転職活動の流れやスケジュール感、進め方を事前に理解しておくことで、転職活動を効率的に進めることができるでしょう。ここでは、転職活動のステップごとにやることとポイントを紹介するので、参考にしてみてください。
転職活動期間の流れと目安スケジュール
転職活動は、一般的に「事前準備(キャリアの棚卸し・情報収集)」「求人検索」「応募書類作成」「応募」「面接」「内定」「退職交渉・引き継ぎ(※在職中の場合)」「入社手続き」という流れで進み、約3カ月ほどかかります。以下の流れを目安に、転職活動を進めていきましょう。
事前準備
転職活動を始めるにあたって、まずはスケジュールの目安を立てるといいでしょう。続いて、キャリアの棚卸しや情報収集を進めていきます。
転職活動のスケジュール作成
特に現職を続けながら転職活動をする場合、現在の仕事状況や繁忙期などを考慮し、引き継ぎ期間なども踏まえながら、退職日・退職時期を決めるようにしましょう。
就業規則に退職の意思を伝える期限を定めている企業の場合、退職予定日から逆算してスケジュールを組む必要があります。
選考状況によってもスケジュール通りに進めないこともあるので、状況に合わせて調整していくようにしましょう。
キャリアの棚卸し・自己分析
まずは自分の得意領域や強みを書き出し、整理してみましょう。自身の強みが見えてくると、転職活動においてもアピールポイントとして認識でき、応募書類の作成や面接対策にも活かせるでしょう。
さらに自己分析を行い、転職で実現したいことを明確にします。転職の目的を明らかにすることで、転職における希望条件の優先順位なども決めやすくなります。
求人検索
上記で整理した、転職で実現したい目的に合った求人情報を検索します。転職エージェント・求人サイト・求人情報誌・ビジネスSNS・スカウトサービスなどの転職支援サービスで、希望条件をもとに検索してみましょう。
情報収集・企業研究
興味を持った企業の求人情報が見つかったら、その企業の公式サイトや採用サイト、SNSやメディア記事などでも情報を収集します。業界内での市場価値や現在注力している事業内容、具体的な仕事内容や求められるスキルなどをリサーチするようにしましょう。
応募書類の作成
応募書類は、一般的に履歴書と職務経歴書を作成して提出します。職務経歴書は、自分の経験・スキルや自己PRを分かりやすくまとめられるテンプレートをダウンロードして使うといいでしょう。
面接対策
面接では、一般的に転職理由・志望動機・自己PRなどを聞かれることが多いため、採用担当者や面接担当者にわかりやすく回答できるように準備しておきましょう。
企業側は、応募者の能力・経験、意欲や将来性、自社の社風に合うかといったポイントを見ていると考えられます。事前に情報収集した企業研究などをもとに、しっかり準備するようにしましょう。
内定承諾
応募企業から内定通知が出たら、入社承諾するかどうかを回答します。もしくは返事に迷い、検討したい旨の連絡や検討するにあたり質問の連絡をするケースもあります。回答期限は1週間程度が一般的ですが、企業によっては数日以内に設定されることもあるので、他社選考が残っている場合は、優先順位を事前に考えておきましょう。
退職・引継ぎ
応募企業に入社することを決めたら、現職企業の退職手続きを進めます。まずは上司に退職することを伝え、退職時期や引継ぎのスケジュールや進め方を相談しましょう。有給休暇を消化したい場合は、それも合わせて調整するようにしましょう。
入社
転職先の企業に提出する書類を準備します。企業によって異なりますが、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、健康診断結果など、指定された書類を期日までに提出するようにします。
理想的な転職を実現するポイント
転職することで、理想の仕事や職場環境、キャリア形成などが実現すると考える人は多いかもしれません。「理想の転職」は人それぞれですが、それを実現するためには具体的にどのようなことをしたらいいのか、ポイントをご紹介します。
転職理由を明確にする
まずは、自分がなぜ転職したいのか、その目的を明確にしておきましょう。「やりたい仕事に就きたい」「実績をきちんと評価されたい」「年収を上げたい」「新規事業に携わりたい」など、具体的にしておくことが重要です。
転職先の候補を広く見ておく
自分の経験・スキルが活かせて、希望条件に合った企業を探すのは大変なこともあります。しかし、妥協してしまうことでまたミスマッチを起こしてしまうのは避けたいものです。できるだけ気になる企業の研究を行ったり、転職エージェントなどを活用してリサーチしてもらったりするなど、転職先の候補となる企業は広く見ておくようにしましょう。
転職エージェントを活用してみよう
転職エージェントは、幅広い業界・職種の求人を多数取り扱っていることがあります。求職者がこれまで培ってきた経験・スキルを活かせる企業の紹介をしてくれるでしょう。同業界・同職種への転職だけではなく、異職種で活かせる選択肢も提供してくれるので、新たなチャレンジのチャンスが拡がる可能性もあります。
また、応募書類作成や面接対策のサポートやアドバイスを受けることも可能なので、転職活動の大変さも軽減されるでしょう。無料で面談を受けることもできるので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。