転職活動を始めると、必ず伝えることになる「志望動機」。
志望動機を書く前に、仕事内容や求められる適性を理解してから、自分の経験を振り返って志望動機を作成することが転職活動を成功させるための大切なポイントです。
営業事務を志望する場合、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。志望動機の書き方とポイントを組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にお伺いしました。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
営業事務の仕事内容を理解しよう
営業事務は、その会社の売上を担う営業部門の仕事をサポートする仕事です。大きく分けて、営業アシスタントと営業部門の管理の2パターンの業務が存在します。
営業アシスタント業務では、営業に関する書類作成、データ入力や電話やメールの応対・来客応対、見積書・納品書の作成、書類発送など、営業業務が円滑に進むための事務対応を行います。具体的な業務内容は企業規模や事業内容、組織機能によって異なります。
営業部門の管理業務では、顧客との契約や売上、入金などの全体管理を行います。社内他部署と連繋した業務や調整などが、発生する場合もあります。
営業事務に求められる適性を理解しよう
「ほかの人が成果を出すためのサポート業務にやりがいを感じる」タイプの方は適性があります。営業担当者や顧客とのコミュニケーションが多いので相手に合わせた柔軟な対応も求められるでしょう。
また、特に売り上げに直結する業務に携わるため、データや書類を複数回チェックしてミスを防止する習慣を作ったり、処理時間短縮のために効率化を図ったりするなどの工夫ができるタイプの方は特に向いています。
営業事務の志望動機の書き方
一般的に志望動機を考える際には次の3つのポイントを押さえる必要があります。
1.業界について
2.会社について
3.職種について
ただ、志望動機を文章にする際は、「業界」についてはあまりふれなくてよいでしょう。「職種」への志望理由を中心に、加えて「会社」への志望理由を整理していきましょう。
営業事務を志望する理由を整理しよう
職種についての志望動機を考える際は、次の3つのポイントを踏まえて整理してみましょう。
①仕事について興味を持った点
②仕事に対して貢献できる点
③希望職種での経験を通して実現したい将来像
まず、①について営業事務の仕事内容を調べ、書き出しておきましょう。次に②について、今までの経験で得意なこと、人から評価されたこと、前向きに取り組めることなどを振り返り、書き出します。
ここまでそろったら、①と②で書き出したものを並べて、つながるポイントを探していきます。見つかったポイントが志望動機の軸となります。
例えば、広告会社の営業をしていた人が、営業事務の仕事への転職を考えた場合を見てみましょう。
ちなみに、営業事務の正社員を募集する場合、企業は営業部門を長期的に支えてくれる人材を期待しています。営業事務の仕事を通して、今後どのようなキャリア形成や働き方をしていきたいかも伝えられるように準備しておくとよいでしょう。
営業事務を志望する理由の整理の例
①営業事務の仕事には、顧客への提案資料の準備や見積書の作成がある。
②広告営業の仕事では、顧客のアポイント準備から提案資料の作成、見積書作成、制作側への引継ぎまで経験をしているので、営業担当者が必要なタイミングを把握し、書類作成や顧客へのメールのフォローができる。
③将来的には、営業事務のメンバーを統括できる立場になり、営業部隊を支える業務のシステム化や、チームづくりに携わりたい。
その企業を志望する理由を整理しよう
企業に対する志望動機は「興味」「関心」「共感」をポイントにします。営業事務の場合は、その企業の顧客とのコミュニケーションが発生しますので、事業がどのようなもので、何を目指しているのかを理解し、顧客になる企業がどういった事業なのかを知っておくことは大切です。その上で、なぜその事業に興味があるのか、経験と紐づけて自分の言葉で伝えられるように準備しておくとよいでしょう。
営業事務の志望動機例文
志望動機は、今までの自身の経験をどのように活かし、貢献できるかを伝えることがポイント。例文を参考に、より自分に合った志望動機へカスタマイズしてみましょう。
営業事務経験者の志望動機例文
私は通信業界の営業事務を3年間勤める中で、個人のお客様からの問い合わせ対応、資料発送、見積書作成を担当してまいりました。
ただ、現在の業務は営業担当者のサポートに限られております。業務経験を通して、部署全体の支援をしたいという思いが強くなりましたので、今回募集されている営業部門の管理を中心とする事務に携わりたいと考え、貴社を志望しました。
業務では、常に資料ストックを用意すること、見積書の手配をもれなく素早く対応できるよう、営業アポイント数やリードタイムをExcel管理し、対応状況を確認することを徹底してきました。
貴社のサービスは以前から使用しており、時代に合わせたサービス展開に事業の成長性を感じております。今後はその一員として事業に貢献したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
「営業事務経験者」の志望動機ポイント
営業事務の業務は幅が広いので、具体的に何をしてきたのかを伝えることが大切です。対応顧客が個人か法人かも記載した方がいいでしょう。
また、サポートした営業担当者の役職や役割によって実務内容も変わってきますので、それがわかるように書きましょう。売上を上げるために工夫してきたこと、パソコンのスキルがわかる情報も入れるようにしてみましょう。
営業事務未経験者の志望動機例文
私は4年間インターネット系広告会社の営業として働いてきました。顧客の問い合わせに対して、インターネット広告の仕組みや運用方法を資料で説明し、受注後は顧客と運用チームの調整役を担ってきました。
受注後の調整では、顧客が求める成果を詳細に把握し、運用チームにわかりやすく伝えることで、顧客の意図が的確に広告に反映され、顧客、社内両方から感謝されることが多く、自分は売上を追う営業よりも、サポート業務の方が会社に貢献できるのではないかと考えるようになりました。
特に、受注後は顧客と運用チームの足並みがそろうまで、PowerPoint資料を作成して、顧客が求める成果と広告の成果の経過について、両者に視覚的にわかりやすく伝え、適切な打ち手の改善のサポートをしてきました。これにより、効率的かつ満足度の高い運用につながったと自負しております。
貴社の、チームビルディングを重視した組織運営をされているという点に共感しておりますので、営業チームの支援を通して、貴社の事業に貢献したいと思います。
「営業事務未経験者」の志望動機ポイント
営業担当として、顧客対応から成約後のフォローまで担当していたと具体的に伝えることで、対応できる業務がイメージできます。さらに、受注後のフォローで評価を受けていたという点から、営業事務として営業担当者を支援していく適性があることが見えてきます。PowerPointは提案資料として使うことも多いので、今回のように、どのような目的に実用していたか明記しておくとよいでしょう。
営業事務の志望動機NG例
営業経験者が営業事務に転職する場合、営業の経験を活かせることを伝えたくなるものですが、次のNG例のように営業経験を強調してしまうと、営業職の方に適性があるように受け取られます。あくまでも事務サポートをすることで事業に貢献したいという姿勢が見えるようにしましょう。
特に、顧客提案資料では、顧客ごとにオリジナリティのある提案を必ず入れることで、高い評価をいただき、成約につなげてきたことが大きなやりがいでした。独自性の高い提案で売り上げ実績を出してきたため、この経験を営業事務として活かしたいと考えています。
貴社では、チームビルディングを重視した組織運営をされているという点に共感しておりますので、営業チームの支援を通して、貴社の事業に貢献したいと思います。
営業事務志望動機NG例の改善ポイント
営業事務は、営業スタッフの業務を支える仕事が中心です。ですから、志望動機では、自分自身の営業職としての成果を中心に書くよりも、業務の中で、お客様やメンバーの業務が円滑に進むように工夫して喜ばれたといったエピソードを中心に伝えると、営業事務に適正がある人だと受け取られやすくなるでしょう。
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