データベースエンジニアの仕事に「興味がある」「転職を考えている」という皆さんに、仕事内容、働き方、仕事の魅力、適性、キャリアパス、採用市場でのニーズなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお伝えします。
データベースエンジニアの仕事をやってみたい、転職したいというエンジニアの方はぜひご一読ください。
目次
データベースエンジニアとはどんな仕事?
昨今、企業の経営においては「データ活用」が欠かせません。そこで、データベースを「保存する」「管理する」「目的に応じて抽出する」といった業務を円滑化するために、システムの構築・運用を担うのがデータベースエンジニアです。
近年は、「ビッグデータ」と呼ばれる大容量データを収集・分析して事業戦略に活かそうとする動きが活発です。そのために「どのようなデータを集めたらよいか」「どのように格納するか」など、上流工程を考える仕事も増えてきています。
データベースエンジニアが活躍しているのは、SIerをはじめ、さまざまな事業会社のシステム部門です。例えば、小売業であればPOSデータを収集・分析して消費者動向をつかむ、自動車メーカーであれば、走行中のあらゆるデータを収集・分析して新たなモビリティサービスの開発に活かす、といった取り組みに従事しています。
データベースエンジニアのやりがいは?どんな人が向いている?
以前であれば、データベースエンジニアの役割は「データベースシステムの運用・管理」が中心でした。しかし現在では、データベースの活用は企業戦略において重要なカギとなっています。ですから、自身の仕事が会社の経営戦略に大きな影響を与える可能性があるという点にやりがいを感じられるでしょう。
また、データベースエンジニアに向いている人の志向タイプを以下に挙げてみました。
最先端トレンドや新しい技術に触れていたい人
顧客データを収集・分析する場合、「顧客の動き」「マーケットの動き」など、トレンドの変化をいち早くつかめることに面白みを感じる人もいます。ビジネス全体を俯瞰し、経営に近いポジションで働きたい志向の人に向いているといえます。
コミュニケーションやチームワークが苦にならない人
データベースエンジニアというと、「PCの前でひたすら数字に向き合っている」というイメージを抱く人も多いかもしれませんが、実際には対人コミュニケーションが重要な仕事です。
各部署から「こんなデータを出してほしい」「こんな方法でデータを集めてほしい」と依頼を受けたり、経営陣からデータにもとづく提案を求められたりすることもあります。さまざまな立場の人とのコミュニケーションが苦にならないということが、データベースエンジニアとしてステップアップするための第一条件といえるでしょう。
課題解決が好きで、論理的思考を持つ人
目標とする数字に向き合い、その意味を分析する役割を担うこともあるため、課題解決が好きで論理的思考が得意な人も向いています。
データベースエンジニアに必要なスキル・資格は?
担当する工程によって求められるスキル・知識が異なります。
上流工程であるデータベースの開発設計では、「Oracle Database」や「Microsoft SQL Server」といった関係データベース管理システム(RDBMS)を用いて開発設計を行います。サーバーや、データベース言語である「SQL」の知識が求められます。
中流工程であるデータベース管理においては、データを長期的に安全に保存するため、ストレージやサーバーなどを最適化したり使用効率を最大化したりと、インフラの管理を行います。そのため、ストレージやサーバーなどハードウェアの知識が必要です。
下流工程はデータベースの運用。「マネージャーが入れるのはここまで」「メンバーが入れるのがここまで」といったアクセス権の管理、セキュリティの設計、データのバックアップといった業務を担います。セキュリティや運用の知識も必要です。
資格としては、Oracle製品を扱う場合は「ORACLE MASTER」、Microsoft製品を扱う場合は「MCP」など、環境により異なります。運用サイドでは、「ITILファンデーション認定資格」も有効です。いずれも必須ではありませんが、経験が浅い人が転職する場合、資格があると有利となるでしょう。
データベースエンジニアには、どんなキャリアパスがある?
データベースエンジニアの年収は、他職種より高い傾向にあります。「運用・管理」から「開発設計」と上流工程へ進むことでキャリアアップにつながります。需要に対して供給が少なく、転職した人は年収50万円~100万円アップを果たすケースも見られます。
近年は各社データの収集・管理だけでなく、「いかに活用するか」を模索しています。データを分析し、経営戦略の意思決定をサポートする「データサイエンティスト」「データアナリスト」と呼ばれるポジションに就けば、年収が一気に上がる傾向があります。ニーズが高いため、高度なスキルを持つ人であれば年収1000万円を提示されるケースも少なくありません。
開発設計からデータ分析の領域へ移りたい場合、統計解析を学び、ディープラーニング協会が実施している「G検定」「E資格」などを取得する手もあります。また、「Python」「R」などビッグデータ解析・機械学習に特化した言語、「Tableau」などデータの可視化・分析ツールの知識を習得するのも有効です。初歩的ですが、Accessでクエリを組むといった経験もプラスになるでしょう。
データベースエンジニアの人材ニーズは?未経験からの転職チャンスはある?
データベースエンジニアの人材ニーズは高く、もともと就業人口が少ないこともあり、一般的なエンジニアよりも有効求人倍率が高い状態です。
ただし、まったくの未経験からデータベースエンジニアを目指すのは非常に難しいといえます。しかし、システムエンジニアの経験があり、少しでもデータベースに関連する業務経験がある方、あるいは「SQL」の知識やデータベースの資格を持っている方であれば、採用される可能性はあると思います。
最初は運用・管理からスタート。その後、開発設計へのステップアップを目指すなら、運用・管理のみを受託している企業ではなく、下流から上流までの全工程を手がけている企業を選ぶことをおすすめします。あるいは、運用・管理を受託している企業で経験を積んだ上で、上流工程を手がける企業への転職を目指す道もあるでしょう。
※本記事の内容は、2020年6月取材時点の情報です。
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にSE・ITエンジニア全般を担当。
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