アプリケーションエンジニアの仕事に「興味がある」「転職を考えている」というエンジニアの皆さんに、仕事内容、働き方、仕事の魅力、適性、キャリアパス、採用市場でのニーズなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお伝えします。
目次
アプリケーションエンジニアとはどんな仕事?
ITエンジニアと総称される仕事の中でも、主にOS上にインストールして使用するソフトウェアの開発を行うのが「アプリケーションエンジニア」です。手がけるアプリケーション(以下、アプリ)は、「業務・オープン系アプリ」「Webアプリ」「スマホアプリ」に大別されます。
●業務・オープン系──会計、人事、物流、生産管理、顧客管理など事業活動で使われる
●Web系──Webサイト、ECサイト、各種Webサービスなど
●スマホアプリ系──スマートフォン向けアプリ(iOS・Android)が主流
業務・オープン系アプリエンジニアの多くは、SIer(システムインテグレーター)、ソフトウェアベンダーを中心に、SES(システムエンジニアリングサービス)と呼ばれる技術者派遣企業や、システム開発を内製化している事業会社に所属しています。一方、Webアプリやスマホアプリを手がけるエンジニアの多くはインターネット系企業に所属しています。
アプリケーションエンジニアは、システム設計から、テスト、リリース、保守運用までを担当するのが一般的ですが、開発手法は案件によって異なります。業務・オープン系はウォーターフォール型と呼ばれる、基本的かつポピュラーな開発手法を用いることが多く、要件定義→設計→開発(プログラミング)→テスト→運用という工程を一つずつ順番に進めていきます。
一方、Web系・スマホアプリ系は開発対象の案件を細かく分割し、短期サイクルで設計→開発→テストを繰り返して、修正しながら完成させていくアジャイル型の開発手法で進められることが多いようです。
アプリケーションエンジニアのやりがいは?どんな人が向いている?
アプリケーションエンジニア全般に共通するやりがい・面白みとしては、「自分が作ったアプリを目に見えるカタチにする」こと。また、対象ユーザー層によって異なるものの、「アプリを使った人から反響があり、喜びや感謝の声が聞ける」という声も聞こえてきます。
業務アプリエンジニアの場合は、システム課題を解決したり、利便性を向上させることにより、クライアント企業から「使いやすくなった」「業務を効率化でき、生産性が上がった」など、感謝の声を聞くことで達成感を得られます。「困っている人を助けたい」「企業や働く人の活動を支えたい」など、他者への貢献意欲が高い人に向いているといえるでしょう。
一方、Web・スマホアプリを開発するエンジニアは、世の中に新しいサービスを生み出し、それによって人々の生活がより便利に、豊かになるなど、「社会にインパクトを与える」ことにやりがいを感じる人に向いています。
なお、「業界知識や技術の幅を広げたい」という志向の人には業務アプリ、「最先端の技術を追い続けたい」という志向の人にはWeb・スマホアプリがよりフィットするでしょう。
アプリケーションエンジニアの仕事に必要なスキル・資格は?
アプリケーションの開発に使われるプログラミング言語や、求められるスキルや能力などをご紹介します。
プログラミング言語の知識
手がけるシステムに使われるプログラミング言語の知識が必要となります。企業や開発分野によって異なりますが、主に使用される言語は以下となります。
●業務・オープン系アプリ──C、C#、Javaなど
●Webアプリ──HTML、CSS、Java、PHP、JavaScript、Go、Ruby、Pythonなど
●スマホアプリ──iOS:Swift、Objective-C、Andoroid:Java、Kotlinなど
一つひとつの開発工程への理解
要件定義→設計→開発(プログラミング)→テスト→運用という全体の流れについて、それぞれの工程の立ち位置や役割をしっかり理解していることが重要です。
データベース、ネットワークの知識
開発を進める中では、データベースやネットワークとの連携部分を担当することもありますので、それらの知識があるのが望ましいといえます。
課題設定・解決力
クライアントあるいは発注部署などにヒアリングを行い、そこから課題をつかんで解決に導くよう設計する力が求められます。
コミュニケーション能力・折衝力
開発を進めるに際しては、クライアントあるいは自社の関連部署とのやりとりが発生します。プロジェクトを円滑に進めるためにも、コミュニケーション能力や折衝力が必要となります。
マネジメント力
プロジェクトの全体像を俯瞰しながら、複数の作業や工程を同時に進行していくため、多角的に物事を見たり、スケジュールを管理したりするマネジメント力が求められます。
アプリケーションエンジニアに必要な資格は?
「資格」については、必須とされるものはなく、実務経験がもっとも重視されます。しかしながら、実務経験が浅い状態で転職を目指すのであれば、資格を持っていることがスキルや知識の証明になるなど、プラスの評価につながることもあるようです。
ITエンジニアの入門資格とされるのは「基本情報技術者試験」応用情報技術者試験」。いずれも情報処理推進機構(IPA)が実施し、経済産業大臣が認定する国家資格です。
また、プログラミング言語の資格は、採用選考で有利にはたらく可能性があります。Javaプログラミングスキルを認定する「Oracle認定Java資格(Oracle Certified Java Programmer:OCJ-P)」にはBronze、Silver、Goldの3種類があり、SilverやGoldまで取得するとアピール効果が高まります。C言語の資格なども有効です。
アプリケーションエンジニアには、どんなキャリアパスがある?
エンジニアからプロジェクトリーダー(PL)、プロジェクトマネジャー(PM)へとステップアップし、より上流工程を手がけていくのが一般的なキャリアパスです。
最近では、技術でエンジニアチームをリードするテックリード(Tech Lead)や、プロダクトの成長にコミットし、提供価値の向上や売上目標を達成させるために指揮をとるプロダクトマネージャー (PdM)など、新たな役職を設ける企業もあります。
企業によっては、マネジメントとプロダクトオーナーの役割を分け、VP of Engineering(VPoE・マネジメント責任者)・VP of Product(VPoP・プロダクト責任者)といったミドルマネジメントを行う責任者を設けるケースも見受けられます。
そのほか、キャリアチェンジを図る場合は、次のような道があります。
●異なる分野への転換
「一般ユーザーに広く使われるアプリを手がけたい」「社会にインパクトを与えたい」といった志向が強い人の場合、業務アプリから、Webアプリ・スマホアプリの分野に移るケースも多数あります。一例として、Javaを使って会計系の業務アプリ開発を行っていた方が、ユーザー向けECサイトの開発にキャリアチェンジした転職事例があります。
●コンサルタントへの転身
「経営に近い立場で働きたい」「課題解決が好き」という志向の人は、コンサルタントに転身する道もあります。2~3年以上の開発経験を積んでいて、論理的思考力やコミュニケーション力が高い人は、コンサルティングファームに採用されるケースが多数あります。
●社内SEへの転身
事業会社のシステム部門に「社内SE」として転職し、ベンダーのコントロールや社内の業務改善に取り組むケースも見られます。
アプリケーションエンジニアのニーズは高く、転職によって年収アップを図れる可能性もあります。実際に、年収50万円~100万円アップするケースは多数あります。
アプリケーションエンジニアの採用ニーズは?
アプリケーションエンジニアの中途採用は、「即戦力」あるいは「2~3年の経験を積んだ第二新卒」を対象とする求人が活発です。
「これまで顧客先常駐スタイルで案件を転々としてきたが、腰を据えて開発に取り組みたい」という人も、経験内容によっては自社プロダクトの開発に携わるポジションに転職が可能です。
また、オープン系の開発言語を使える人は、業務アプリ分野からWeb・スマホアプリ分野に転職できる可能性も高いでしょう。
分野問わず、システム改修の経験だけではなく、より「新規開発」の経験を積むほうが、キャリアアップにつながりやすいといえます。
未経験からの転職チャンスはある?
未経験から目指す場合は、未経験者採用枠を設けているSIerやSESに狙いを定めるといいでしょう。会社の研修プログラムを受講後、プログラミングやテストなどの業務からスタートし、ステップアップを目指せます。
選考では、学習への意欲・姿勢に注目されていますので、独自でプログラミング言語の知識を学ぶことをおすすめします。ITスクール、職業訓練校のほか、無料のオンライン動画などでも学ぶことができますので、基礎知識を身に付けてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は、2020年6月取材時点の情報です。
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にSE・ITエンジニア全般を担当。
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