自己PRを書く際に最後の「締め」の言葉まで意識することで、自己PRの完成度を高めることができます。そこで、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に好印象を与える自己PRの「締め」の言葉について、書き方や表現のポイントについて解説いただきました。
目次
自己PRの「締め方」が重要な理由
自己PRでは自分の強みや能力、経験、スキルなどを伝えるだけでなく、それらを自分の考えや意志に結びつけて締めくくることが大事です。自己PRを締めくくる言葉で、応募企業で働くことへの意欲を伝えることができます。また、入社後にどのような活躍・貢献がしたいかという意思を最後に表現することで、「職種や仕事にマッチしている」「将来性や伸びしろがある」などの活躍イメージを伝えることもできます。
採用担当者が自己PRで見ている点
採用担当者が自己PRで見ている点を3つご紹介します。自己PRは採用の可否に大きく関わる項目のため、要点を押さえておきましょう。
自社に貢献してくれるか
採用担当者は、応募者がどれだけ自社にとって価値ある人材であるかを見極めています。そのため自己PRでは、これまでの経験やスキルが求められる業務やチームにどのように役立つかを具体的に示すことが求められます。
その際、受動的な表現よりも積極的なアクションを強調して、応募企業での貢献をイメージさせる言葉を選ぶことが大切です。
論理的に伝える力はあるか
自己PRを聞きながら、採用担当者はあなたのコミュニケーション能力も評価しています。そのため、一貫性のあるストーリーや明確な理由、具体的な例を用いて自己PRを効果的に伝えることが求められます。その際、簡潔にポイントを絞り、伝えたい内容を明確にすることで論理的思考や伝達能力をアピールできるでしょう。
社風にマッチしているか
自己PRの内容や言葉の選び方から、あなたの人間性や価値観を見ることができます。採用担当者は、それをもとに応募者が自社の社風やチームの雰囲気にマッチするかを判断します。企業のビジョンやミッション、求める人材を事前にリサーチし、それに共感する点や経験を織り交ぜることで、社風に合っていると伝えることができます。
自己PRの締めの言葉例文
自己PRの印象をアップする「締め」の例文を、営業職や事務職などの職種別に紹介します。それぞれの締めくくりの言葉で「伝えたいこと」を参考にしながら、自分のアピール内容の参考にしましょう。
営業職の締めの言葉例文
「自社だけではなくパートナー企業や顧客も巻き込んで成果を出すことが強みと考えております」
「今後も顧客の課題に対し、社内外を巻き込んで最適な提案をしていくことで貢献していきたいと考えております」
事務職の締めの言葉例文
「常に相手の立場に立ち、半歩先に欲しいことは何かを考えてサポートすることを心掛けております」
「チームのメンバーや部署を地道に支えることに注力していきたいと考えております」
医療事務職の締めの言葉例文
「患者様の立場に寄り添いながらも、事務職として正確な作業を心がけたいと考えております」
「受付は病院の顔だと考えております。ホスピタリティを意識して患者様に接してまいります」
エンジニアの締めの言葉例文
「テクニカルな知識を常にアップデートし、貴社のサービス改善に貢献したいと考えております」
「新しい技術を平日の就業後や土日に学び、常に最新技術の動画や技術書、海外の論文を読み込み、実務に活かしております。これからもどん欲に学び続け、技術面でチームをリードできる存在になることを目指しております」
経理の締めの言葉例文
「自動化できるところはできるだけRPA化し、経営に提案できる経理の専門家として、貴社の成長に貢献したいと考えております」
「会社を人間に例えると、お金は”血液”にあたるものと考えており、経理の責務は非常に大きいと感じております。簿記1級の年内取得を目指し、より専門的な知識を得て会社を支える役割を果たしていきたいと考えております」
コンサルタントの締めの言葉例文
「『依頼して良かった』と顧客に喜ばれるコンサルタントを目指して、貴社事業においても本質的な課題に真摯に向き合っていきたいと考えております」
「課題解決の提案をするだけではなく、自分も顧客と共に汗をかき、共通のゴールを目指すことに注力しております。顧客組織を動かす中で身につけた泥臭さを今後のキャリアに活かしていきたいと考えております」
自己PRの締め方ポイント
印象的な自己PRにするために、締め方で心がけておきたいことを4つご紹介します。
入社後の自分の姿をイメージしてもらう
自己PRでアピールする強みや能力を入社後にどう活かし、どう貢献していきたいのかを「締め」の言葉でしっかり表現しましょう。過去の経験から具体的な成果や行動を抽出し、そこに紐付けて意思や意欲を伝えることで、入社後の姿をイメージしてもらうことができます。過剰にアピールするのではなく、等身大の思いや考えを伝えることが大事です。
前向きな表現をする
前向きな表現にすることで、人物像や仕事に対する姿勢もポジティブな印象になります。自分の強みをきちんと理解していれば、強みや実現したいことは、自信をもって意思や意欲を伝えることができるものです。自己分析をしっかり行い、自分の経験や姿勢を前向きに伝える「締め」の表現を考えることが大事です。
「言い切り」で説得力を増す
「できるかもしれません」など、言い切りの表現を避けて曖昧にした場合「自信がないのだろうか」と不安を抱かれてしまうかもしれません。事実をもとに自分がやってきたことを言い切ることができれば、自己PRの説得力が増します。「締め」の言葉まで自信を持って言い切ることができていない場合「自分の意志や考えを明確にできていない」「入社意欲が高くないのでは?」と判断される可能性もあるので、注意しましょう。
質問に答える形で締める
自己PRを終わらせる際に、質問や採用担当者からの期待に答える形で締めくくると効果的です。これにより、聞き手のニーズや関心をしっかりと捉えていることが伝わります。人によっては話しているうちに話題が逸れてしまい、自分の希望や志望理由に切り替わってしまう場合もあるでしょう。
「私のこうした経験や能力が、貴社の課題を解決する手助けとなると考えています」といった形で締める意識を持ちましょう。
締め方として上手に伝える方法
締めの言葉を活用することで、採用担当者に活躍可能性や入社意欲などを伝えることができます。締めの言葉を効果的に採用担当者に伝える方法をご紹介します。
経験・スキルが活かせることを伝える
自己PRで成果を出したり工夫したりしたエピソードを交えますが、その経験・スキルが応募企業でも活かせることを締めの言葉で伝えると効果的です。
例えば「事務で作業内容が決まっているものを自動化した結果、月の業務時間を1割程度減らすことができた。この経験を活かして、貴社の事務作業でも生産性向上に寄与したい」など、エピソードでアピールした経験・スキルが応募企業でも再現できることを、締めの言葉で印象付けましょう。
入社意欲の高さを伝える
入社意欲は主に志望動機で伝えることが一般的ですが、自己PRを締めくくる言葉でも、応募企業で働くことへの意欲を伝えることができます。求人に記載されている「仕事内容」や「求める人物像」などを読み込んで、自身が応募企業の求める人物に当てはまっていることを伝えられると、入社意欲が高いと感じてもらえるでしょう。
避けた方がいい締め方のNG例
自己PRの締めで印象を悪くする可能性があるNG表現をご紹介します。せっかくアピールした強みが「締め」の言葉でマイナス印象を与えるケースもあるので、きちんと把握・理解しておきましょう。
曖昧・消極的な表現
「自分の力が通用するのか」という不安から、曖昧・消極的な表現をしてしまうケースがあります。しかし自己PRとは、自分が自信を持っている部分をアピールするためのものなので遠慮する必要はありません。
アピールしようとしている強みに不安がある場合は、再度自己分析を行い、自信が持てる強みを探してみるといいでしょう。「できるのではないかと思います」などの言葉は、自信がない印象を与えてしまうので避けるべきです。
誇大な表現
「〜を絶対に実現します」などの誇大な表現も避けた方がいいでしょう。「成果」は行動の結果でしかないため、入社前の時点で数字目標の達成などを約束しても実現できるかどうかは分からず、説得力に欠けてしまいます。
応募企業の仕事を経験していない状態で断言すると「自分の経験だけでしか物事を見ていない」などの印象を与える可能性があります。
ありがちな定型表現
「締め」の言葉に何を書けばいいか分からず「一生懸命、頑張ります」「よろしくお願いします」などの定型表現を使う人もいるようです。これらは好印象にもマイナス印象にもつながらないため、使っても問題はありません。ただし、自己PRは書類選考の結果に関わる重要な要素です。貴重な文字数を定型文に使うより、自分の人柄や意志を伝える内容に割くことをお勧めします。
一貫性がない
自己PRで伝えたエピソードと締めの言葉がつながっていない場合、採用担当者にアピールしたいことが伝わらない可能性があります。自己PRは必ず書き出し・エピソード・締めの言葉が一貫していることを意識して作成しましょう。なお、自己PR内の一貫性はもちろん、志望動機や転職理由との一貫性も意識し、採用担当者が人物像をイメージできるような内容を心がけることが大切です。
転職エージェントに相談して自己PRを作成しよう
一人だとなかなか自己分析や自己PR文の作成が進まないかもしれません。転職エージェントは数多くの転職支援実績があるため、どのようにして強みを見つけるのか、どのように強みを伝えればよいのかなどの知識が豊富です。転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談して、魅力的な自己PRを作成しましょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2023年03月11日
記事更新日:2023年10月05日 リクルートエージェント編集部