「やりがいのある仕事に転職したい」と思っても、どのような仕事があるのかも、どうやって探せばいいのかもわからず悩んでいる人もいるでしょう。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が、やりがいのある仕事の特徴や見つけ方、やりがいのある仕事に就く方法などを解説します。
やりがいのある仕事とは?
「やりがいがある」とは、取り組んでいることに対する充足感や手応えを感じることができ、張り合いがある状態のことを指します。
「やりがい」は人それぞれ異なり、仕事のやりがいについても同様のことが言えるでしょう。例えば、高い目標を達成することや人に感謝されることに充足感を味わうケースもあれば、自分で一から企画を作ったり、チームワークで大きなプロジェクトに取り組んだりすることに手応えを感じるケースもあります。さらには、現在その人が置かれている状況や経験値、スキルの量や質によっても「やりがい」の内容は変わっていくものです。
「やりがいのある仕事に就きたい」と考えている場合は、まず「今の自分にとってのやりがい」を明らかにすることから始めてみると良いでしょう。
仕事にやりがいを感じるときの特徴
仕事にやりがいを感じるときの特徴としては、以下のようなパターンが一例として挙げられます。自分に当てはまるものがないか探してみましょう。
<仕事にやりがいを感じるときの特徴>
2:顧客から感謝される
3:組織に役立つことができる
4:社会に貢献できる
5:社会に影響を与えられる
6:規模の大きな仕事に携われる
7:自分の強みを活かして活躍できる
8:仕事を通じて成長できる
9:成果をきちんと評価される
10:将来、目指したいキャリアに役立つスキルや成果を得られる
11:評価に見合う報酬を得られる
12:社会的地位のあるポジションに就ける
13:理想的なワーク・ライフ・バランスを実現できている
やりがいのある仕事のランキング
ここでは、リクルートエージェントによる「仕事満足度ランキング」の調査をもとに、「仕事内容」「成長機会」「ワーク・ライフ・バランス」において、満足度の高い仕事ランキングを紹介します。
「仕事内容」で満足度が高い職種のランキング
同調査で、現職の「仕事内容の満足度」を20点満点で聞いたところ、1位が「受付」(14.5点)、2位(同率)が「法務・知財」「編集・ライター・制作管理」(14.2点)、4位が「ITアーキテクト」(14.0点)、5位「製品開発・ASP」「教師・保育士・インストラクター」(13.7点)というランキングとなりました。
下記の記事に、20位までの職種が記載されているので、自分にとって楽しい仕事、ワクワクする仕事などに当てはまりそうなものを探してみるのもいいでしょう。
「スキル開発・成長機会」で満足度が高い職種のランキング
一方、「スキル開発・成長機会の満足度」が高い職種の第1位は「ITアーキテクト」(13.1点)で、以降は2位「IT・システムコンサルタント」(12.8点)、3位「法務・知財」(12.3点)、4位「経営企画事務・事業企画事務・マーケティング事務」(12.1点)、5位「金融系専門職」(12.0点)という順になっています。IT関連の専門スキルが必要な職種がランキングの1位と2位を占めていました。
「専門スキルを高めて活躍したい」「自己成長したい」という点を重視する人にとっては、スキル開発や成長機会に期待できる職種もやりがいにつながりやすいかもしれません。
「ワーク・ライフ・バランス」で満足度が高い職種のランキング
「ワーク・ライフ・バランスの満足度」が高い職種の1位は「法務・知財」(15.8点)で、以降は、2位「メディカルエンジニア(医薬品)」(15.6点)、3位「テクニカルサポート・ヘルプデスク」(15.3点)、4位「製品開発・ASP」(15.0点)、5位「販売促進」「ITアーキテクト」(14.8点)というランキングになっています。
ワーク・ワイフ・バランスの満足度は、長く働き続けていきたい人や、仕事とプライベートを両立させたい人にとって重要と言えるでしょう。
やりがいのある仕事の見つけ方
やりがいのある仕事に就くためには、「自分にとってやりがいを感じられることとは何なのか」を明確にすることが重要と言えるでしょう。以下で紹介する方法を実践してみましょう。
過去の経験を振り返って、やりがいを感じたことを書き出す
過去の経験から、自分が好きなこと、楽しいと感じたこと、熱中したこと、人から褒められたこと、評価されたことなどを振り返り、書き出してみましょう。そのときの状況なども思い出し、「なぜそう思ったのか」「なぜ評価されたのか」「どのような喜びや楽しさ、達成感を味わったのか」まで考えてみることが大事です。
やりがいのある仕事を探す際には、それらに当てはまるかどうかを判断基準にしてみると良いでしょう。
できること・得意なことを書き出す
自分にできること・得意とすることを書き出していきましょう。これまでの経験を振り返り、うまくこなせたことや得意だと感じること、やりたいと思ったことについて、その理由や背景なども含めて考えてみることで、より明確化できるでしょう。
できることや得意なことに当てはまる仕事の場合は、成果や評価などにつながりやすい傾向があり、そこにやりがいを感じられるかもしれません。
やりたいこと、やってみたいことを書き出す
やりたい仕事や職種、携わってみたい業界や事柄、仕事を通じて実現してみたいことなどを書き出してみましょう。
強くやりたいと思うことや実現できそうなことに限らず、興味や憧れなども含めて「やってみたい」と感じたことなどもどんどん書き出していくことで、やりたい仕事を探す視点を広げることができるかもしれません。
逆に、やりがいを感じなかったことも書き出す
好きなことやできることなどとは反対に、やりがいを感じなかったことや苦手だと感じたこと、続けられなかったことなどを書き出すことも大事です。
「なぜ興味を持てなかったのか」「どのような点に苦痛を感じたのか」などもしっかりと振り返って考えてみることで、やりがいを感じられない仕事のポイントが見えやすくなるでしょう。
周囲の人に自分の特性や強みについて聞いてみる
上司や先輩、同僚に「自分はどんな仕事をしているときに充実しているように見えるか」と質問し、客観的な意見をもらうことで、意外な自分の特性や強みに気づくことができるかもしれません。また、家族や友人など、自分のことをよく理解している人に「自分に向いていることは何か」「どのようなことに取り組んでいるときが楽しそうだったか」などを質問してみる方法もあります。
周囲の人から見た自分の姿をヒントにして、やりがいを感じられそうな仕事を探してみることもできるでしょう。
自分の目標となる人を見つける
職場の上司や先輩、友人・知人など、周囲に自分の目標になりそうな人を見つければ、将来目指したい姿をイメージしやすくなるでしょう。
目標の一例として、「尊敬できたり、憧れたりするような活躍をしている」「自分が目指すポジションに就いている」「理想的な働き方で人生を充実させている」「仕事に取り組む姿勢や理念などに共感する」などが挙げられます。目標とする姿を実現する方法を考えることで、やりがいのある仕事が見つかるかもしれませんし、今の会社を辞めずに仕事のやりがいを感じられる可能性もあります。
身近にいないと感じた場合は、世の中に知られている著名な人物などを目標にすることもできるでしょう。
実際に働いている人に話を聞いてみる
上司や先輩、同僚、社内で活躍する人物などに、今の仕事や職場で感じているやりがいについて話を聞く方法もあります。
自分では気づかなかった仕事のやりがいが見えてくるかもしれません。また、異業界・異業種で働く友人・知人などにも同様に話を聞き、どのようなやりがいがあるのかを質問してみるのもいいでしょう。そこで自分が共感したことや、やってみたいと思ったことをヒントに、やりがいのある仕事を探すこともできるかもしれません。
現職(前職)の経験から、やりがいのある仕事を見つける
自分にとってのやりがいある仕事を明らかにする手法として「4象限マトリクス」を紹介します。営業職の方を例として用意しました。以下のステップを参考に実践してみましょう。
Step1:「やる気が上がる・上がらない」「結果が出せる・出せない」で業務を4つに振り分ける
上の図を参考に、縦軸「やる気が上がる・上がらない(=感情)」と横軸「結果が出せる・出せない(=成果)」の2軸で4象限マトリクスを作りましょう。そこから、これまで経験してきた業務を一つひとつ振り返って4つに分類し、当てはまると思われる位置にどんどん書き出していきます。
また、横軸の「結果が出せる・出せない(=成果)」に書き込む業務について、「自分が手がけている業務は、仕事の成果を数字で測ることができないため、結果を出せたかどうか判断しにくい」と思うケースもあるでしょう。そのような場合は、結果を出せた業務については、「周りの人に褒められたり、感謝されたりしたこと」などを書き、結果を出せなかった業務については「周りの人からサポートを受けることが必要だったことや、改善・修正すべき点の指摘を多く受けたこと」などを書くといいでしょう。
Step2:右上の枠の「やる気が上がる」かつ「結果が出せる」業務に注目する
4象限マトリクスに全て書き込んだ後は、右上の枠に書き込んだ内容を確認してみましょう。「やる気が上がる仕事であり、かつ、結果が出せている」というコーナーに分類されているため、今のあなたにとって「やりがいのある仕事」と言えるでしょう。
冒頭でも触れたように、「やりがいがある」とは仕事に充足感や手応えを感じることができ、張り合いがある状態のことを指します。つまり、「やる気」を出せるだけでなく、「成果」につなげることができ、それを評価されることによって「やりがい」が醸成されると考えられます。
上の図の例では、やりがいのある仕事は「関係性の深い顧客に対して、自分が主となり、中長期の提案、深耕営業が実って成果につながる」仕事と言えるでしょう。右下に「営業で成績を上げる」が分類されていることから考えると、「単純に数字を上げるだけでは面白みを感じず、顧客との関係性構築や受注までのプロセスにやりがいを感じる」ということが見えてくるでしょう。
そして、この業務に注力し、ブラッシュアップしていくことで、今まであまり感じなかったやりがいをより強く意識できるようになるかもしれません。。例えば、「顧客との関係性をより強固にするために、何をすればいいのか?」と考え、努力・工夫することで自身の強みがさらに磨かれ、やりがいを感じる場面を増やすことができるでしょう。
転職エージェントに相談する
転職エージェントに相談し、第三者の目線で「やりがいを感じる仕事は何か」を紐解いてもらうのもひとつの方法です。転職エージェントでは、キャリアの棚卸しや転職先に望む条件を整理するなど、さまざまなサポートを受けられるケースもあります。
転職支援のプロから客観的な意見をもらうことで、自分にとってのやりがいを感じるポイントや発揮できる強みなどを発見しやすくなるでしょう。そして、そこにマッチする仕事にどのようなものがあるのかを教えてもらうことで、今まで視野に入っていなかったやりがいのある仕事が見つかるかもしれません。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。