やりたい仕事を見つけるには、どのように探せばいいのでしょうか。そこで、「やりたい仕事が見つからない」「自分の適職が分からない」と悩んでいる方に向けて、やりたい仕事がない人に共通する傾向や、適職の見つけ方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
「応募したい仕事がない」人は約4割
株式会社リクルートの研究機関であるジョブズリサーチセンターが2021年12月に発表した「求職者の動向・意識調査2021基本報告書」によると、仕事が決まらず仕事探しを終了した方のうち、新たな仕事が決まらなかった理由として多く挙げられたのが、「仕事を探したが、応募したい仕事を見つけられなかった(38.8%)」という回答です。この調査からは、約4割の方が応募したい仕事がないために転職活動を終了していることが分かります。
出典:「求職者の動向・意識調査2021基本報告書(P17)」(株式会社リクルート)
やりたい仕事がない人に共通する5つの傾向
では、やりたい仕事がない人に共通点はあるのでしょうか。よくある傾向を5つご紹介します。
自己分析が不十分
どのような仕事をする時に喜びややりがいを感じるのかを、過去の経験を振り返って強みを明らかにするのが自己分析です。自己分析が不十分だと、自分の得意分野や強みが分からないため、やりたい仕事の方向性を明らかにすることが難しくなります。
仕事研究が不十分
世の中には数多くの仕事があります。2022年に独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表した「第5回改定厚生労働省編職業分類」では、18,725もの職種が分類されています。「やりたい仕事がない」のは、やりたいと思える仕事に出会えていないだけという可能性もあります。たくさんの仕事を知ることによって、自分がやりたい仕事が見つかるかもしれません。
出典:「第5回改定厚生労働省編職業分類」(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
自分に自信がない
興味のある仕事はあるものの、自信がないために「やりたいと思えない」という可能性もあります。興味を持った仕事に思い切ってチャレンジすることで、自分の得意・不得意が明らかになり、キャリアの方向性を見極めたり、経験の幅を広げていったりすることができます。最初から「やりたい仕事」と「できそうな仕事」を切り分けずに、選択肢を広げることが大切です。
完璧を追い求めている
興味のある仕事があっても、「給料が安いから」「仕事が過酷だから」など、不満が先に立ってしまったり、「何十年も社会からずっと変わらず必要とされるような専門性の高い仕事をしたい」など望みが高すぎたりして、仕事選びが進まないというケースもあります。業界や職種によって異なりますが、全ての希望を満たすパーフェクトな仕事はなかなか見つからないものです。また、未経験のうちは待遇が低くても、経験を積んで成果を出すことで給与アップを目指すことができたり、仕事の進め方を覚えることで効率化できたりする可能性もあります。仕事探しの段階から、選択肢を狭めすぎないようにしましょう。
適職の見つけ方①過去の自分を振り返る
やりたい仕事が見つからない時は、まず自分の興味範囲や価値観を把握することが大切です。過去の自分を振り返って、適職を見つける方法をご紹介します。
好きなことから探す
自分の好きなことから「やりたいこと(Will)」を考えてみましょう。幼少期や学生時代を振り返って、行事や勉強、遊びやスポーツなどで熱中したことを思い出してみます。また、アルバイトや仕事で楽しかった業務内容を挙げるのも有効です。
「好きなことが見つからない」という場合は、「嫌だと思ったこと」から探すという方法もあります。自分の感情が動いたことを軸に、どのような仕事であれば楽しいと感じるのかを考えてみましょう。
評価されたことから探す
周囲から評価されたり、褒められたりしたことを考えてみましょう。自分では特に意識していなかったことも、実は優れた能力だったというケースは多いものです。自分の能力を発揮できる仕事は適職であり、成果を出しやすいと言えるでしょう。
また、人から認められることで自信がつき、やりがいを見出すケースもあります。周囲に評価されている「できること(Can)」を探してみましょう。
続けられるかで探す
好き嫌いや評価されることだけでなく、「続けられるかどうか」も、適職を探すうえで重要な要素です。仕事では、好きではないこともやらざるを得ないシーンがあります。しかし、「続けるのが難しい」「ストレスになる」という場合、その仕事が向いていない可能性が高いでしょう。
一方で、好きではなくても続けるのが苦にならない、没頭してしまう仕事であれば、長く働き続けることができます。仕事には「やるべきこと(Must)」がつきものです。毎日続けても苦にならないものを選ぶこともひとつの方法です。
適職の見つけ方②仕事研究を行う
業界・職種・企業研究を通じて、自分がやりたい仕事を見つけるという方法もあります。それぞれの進め方をご紹介します。
業界研究を行う
メーカーや金融、ITなど、業界によって特徴があります。それぞれの特徴や構造、マーケットの大きさなどを調べてみましょう。初めて業界研究を行う場合は、リクナビなど新卒向けの情報サイトが分かりやすくて便利です。どこから手をつけていいか分からない場合は、転職フェアや合同企業説明会などに参加するという方法もあります。興味を持った業界があれば、業界イベントや展示会などを覗いてもいいでしょう。
職種研究を行う
業界が絞られてきたら、職種研究を行います。業界によって活躍する職種は異なります。例えばメーカーの場合は、機械設計や生産技術、品質管理などものづくり系の技術職種が活躍しますが、ITの場合はシステムエンジニアが要件定義から開発、保守運用などを役割分担しています。
また、どの企業でも必要な「営業」という職種も、業界によって仕事の進め方や役割が異なります。個人向け営業の場合は、新規顧客が中心で受注までの期間が短い傾向がありますが、法人向け営業の場合は、既存顧客が多く稟議を通すため受注までに時間がかかるという特徴があります。
企業研究を行う
業界や職種がある程度決まってきたら、企業研究を行いましょう。一般的に、日用品や家電製品など、一般消費者を対象にしているBtoC(Business to Consumer)企業は想起しやすいのですが、法人を対象にしているBtoB(Business to Business)企業は馴染みがないものです。実は、素材や部品、卸など、世の中には数多くのBtoB企業があり、一般的な知名度は低くても世界的なグローバル企業が含まれています。キャリアの選択肢が広がるため、BtoB企業にも視野を広げて企業研究を行いましょう。
適職の見つけ方③なりたい姿から探す
将来なりたい姿から適職を探すという方法もあります。自分が描いているワーキングスタイルやライフスタイルを実現するために、必要なことを考えてみましょう。
10年後のなりたい姿をイメージする
自分の10年後を想像して、「仕事ではどのように活躍しているのか」「どのような生活を送りたいのか」を考えてみましょう。例えば「アクティブに取引先に足を運び、提案する仕事がしたい。成果を出して評価されたい」という場合は、営業やコンサルタントなど、クライアントワークで目標を持つ職種が向いているでしょう。
逆算して必要な経験・スキルを考える
なりたい姿を描いて具体的な職種がイメージできたら、逆算して必要な経験・スキルを考えてみます。営業やコンサルタントの場合は、どのように経験を積めばいいのか、社内で異動するのか、転職するのか。また、どのような商品・サービスを扱うのか。それによって必要なスキルや資格が変わってくるでしょう。
やりたいことを無理に見つけるより、行動することが大事
「自分のやりたいことは何だろう…」と、やりたいことを見つけようとして焦ってしまう方も多いようです。自己分析や業界研究などを通じて頭で考えてみても、やりたいことがすぐに見からないかもしれません。その場合は、まず目の前の仕事を全力でやってみたり、転職活動をしてみたりして、行動を積み上げていくことが大切です。
「成果が出たらやる気が出てきた」「応募企業で話を聞いてみたらイメージと違った」など、行動を起こすことで気づいたことがあるはずです。気づきを元にして、「違う業務にもチャレンジしてみよう」「他の業界の話も聞いてみたい」など、次のアクションを考えてみましょう。
迷ったら転職エージェントに相談してみよう
やりたい仕事が見つからない場合は、転職エージェントに相談するという方法があります。転職エージェントは、キャリアの棚卸しのサポートを通じて、キャリア形成へのアドバイスも行っています。オンラインでの面談も実施しているので、悩んでいるのであれば、まずサービスを申し込んで相談してみましょう。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2022年3月31日
記事更新日:2023年2月21日
記事更新日:2023年10月24日 リクルートエージェント編集部