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面接で退職理由を聞かれたら?引き止められにくい円満退職の伝え方も紹介【例文あり】

仕事_辞める理由

面接で応募企業から「退職理由」を聞かれることがあります。また、所属企業に退職の意思表示をした際に、退職理由を聞かれることもあるでしょう。そこで、面接で退職理由を聞かれた際の答え方と例文や、企業が面接で退職理由を聞く理由、引き止められにくい退職理由の伝え方などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

仕事を辞める理由は?転職理由ランキング

株式会社リクルートが転職経験者にアンケート調査を行い、転職理由を聞いてみたところ、転職理由で1位となったのは「労働時間・環境が不満だった(26.7%)」という回答でした。第2位は「給与が低かった(26.1%)」、第3位は「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(24.0%)」でした。

転職のきっかけランキング

出典:年代別転職理由の本音(株式会社リクルート)

面接で退職理由を聞かれた際の答え方と例文

不満解消のための退職の場合は、そのまま伝えるとネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。面接で退職理由を聞かれた場合の、答え方と言い換え例、伝え方の例文をご紹介します。

人間関係に不満があった場合

「上司の指導方法に不満がある」「同僚とそりが合わない」など人間関係が不満という場合は、その裏に「人間関係のいい職場でイキイキ働きたい」「チームワークを重視して働きたい」などの思いが潜んでいることもあります。

<言い換え例>

  • チームがばらばらで一体感がない → 皆と連携を取りながらチームワーク良く仕事を進めたい、お互いにサポートし合える環境で気持ちよく働きたい
  • 上司と合わない → 自分が求める働き方がしたい、現場の目標や戦略に共感して働きたい

<例文>

「今の課では個人業績が重視されているため、個人で行動する機会が多いのですが、私自身はもっと周りとコミュニケーションを取り、良いナレッジを随時共有したいと思っていました。何度か上司には提案したのですが、現状では課の方針を変えるのは難しいとのこと。チームで団結し、互いに高め合いながら働ける環境が自分には向いているのではないかと考え、熟慮の末退職を決断しました。」

仕事が合わないなど不満があった場合

「仕事に面白味を感じられない」「扱う商品・サービスが好きになれない」「ノルマがきつい」など、仕事内容に不満がある場合は、その裏にもっとやりがいを持てる仕事に就きたい、顧客1件1件と向き合い喜んでもらいたいなどの前向きな理由が隠れている場合もあります。

<言い換え例>

  • 仕事が面白くない → やりがいのある仕事にとことん打ち込みたい、仕事で介在価値を感じたい
  • 商品・サービスが好きになれない → 自信をもって自社商品・サービスを売りたい、ありがとうと感謝されたい
  • ノルマがきつい → 顧客とじっくり向き合える営業がしたい、顧客と強固な信頼関係を築ける仕事がしたい

<例文>

「営業として常に高い目標数字を追いかけ続け、目標達成力が着実に身についていると実感していますが、その一方で顧客にじっくり向き合えていないことに申し訳なさを感じていました。顧客に寄り添い、課題解決のために伴走し続けられるような営業をしてみたいという思いが強まり、退職を決意しました。」

病気など体調不良の場合

体調不良と面接で伝えたい場合は、無理のない範囲で伝えましょう。業務遂行に影響がある場合は、どのような制限があるのかを具体的に伝える必要があります。ただし、「選考に影響するかもしれない…」と不安な表情で伝えてしまうと、採用担当者も不安になってしまう可能性があるので、働く意欲を伝えるために前向きな姿勢を意識することが重要です。

<例文>

「結果が求められる環境の中、もっと成果を上げたいという思いから、自分の健康を顧みずに仕事を優先していました。体調を崩してからはなかなか回復が見込めず、しばらくの間は治療に専念するため退職いたしました。現在、体調は回復しており業務に支障はございません。」

介護など家庭の事情がある場合

「離れて住む母が急に倒れた」「義父が退院し介護をすることになった」「家族が交通事故で介護が必要になった」など家庭の事情を伝えたい場合も、体調不良同様に基本的に言い換える必要はなく、伝えられる範囲で伝えましょう。

<例文>

「実家で一人暮らしをする母が病気で要介護状態となったため、夫と私で介護することになりました。時短勤務や介護休暇での対応も検討しましたが、チームに迷惑がかかることや、一旦仕事を離れて介護に専念したいと考え、熟慮の末退職を決断しました。介護対応の必要がなくなり、転職活動を開始しております。」

給与や待遇に不満があった場合

「給与が安い」「ボーナスが少ない」など報酬に対する不満は、「自身の成果を適切に評価されたい」という前向きな思いの表れかもしれません。会社の評価制度と自身の働き方や思いが合わなかったというケースもあるでしょう。

<言い換え例>

  • 給与が安い → 実績を正当に評価してほしい、成長を実感しながら働きたい、自分に合った評価制度の会社でバリバリ働きたい

<例文>

「与えられた目標数字を達成し続けてきましたが、給与額に反映されないことから、なかなか自身の成長を実感できずにいました。モチベーション高く仕事に臨み、営業としてさらに成長するためにも、実力主義の厳しい環境に身を投じたいと考え、退職を選びました。」

労働時間・環境に不満があった場合

「残業が多くてきつい」「シフトが不規則で身体的に辛い」など、労働環境に不満がある場合は、どのような環境であれば気持ちよく働けると思うか考えてみましょう。自分が求めているものが見えてくるはずです。

<言い換え例>

  • 残業が多い → オンとオフのメリハリをもって働きたい、効率的に仕事をしてさらに成果を挙げたい
  • シフトが不規則 → ワーク・ライフ・バランスを重視してイキイキ働きたい
  • 人手不足で労働量が多い → 自分が担当する業務に集中してパフォーマンスを出したい

<例文>

「残業をすること自体は決して嫌ではないのですが、今の職場は『残業が当たり前』という雰囲気なのが以前から気になっていました。もっと効率的に仕事に取り組めば、さらに成果を上げられるのではないか?との思いが徐々に強まり、オンオフのメリハリをもって業務に臨める環境で働きたいと退職を決意しました。」

会社に将来性が感じられない場合

「業績が不振で将来が不安」「昔ながらの企業体質で新しいことを取り入れようとしない」などの理由で退職を選んだ場合は、安定した環境で腰を据えて働きたいという思いや、トップの理念に共感して働きたいという思いが隠れている可能性があります。

<言い換え例>

  • 業績不振で将来が不安 → 腰を据えて長く働きたい、安定的な環境でとことん仕事に打ち込みたい
  • ワンマン社長についていけない → 自分の目指すキャリアの方向性に合致するところで働きたい
  • 会社の戦略や方向性に納得いかない → 企業理念に共感して働きたい、自分の目標に合った働き方がしたい

<例文>

「これまでリーダーシップのある社長のもと、同じ目標に向かってひたすら突き進むことができましたが、徐々に自分の意見やアイディアを活かせる環境で働いてみたいという思いが強まってきました。年齢や社歴に関係なく挑戦し続けられる環境に移ることで、自己研鑽し続けたいと考え、退職を決めました。」

企業が面接で退職理由を聞く意図

企業が面接で退職理由を聞く意図を理解しておくと、答えやすくなるかもしれません。大きく分けると、企業は「定着性」「仕事の価値観」を確認するために退職理由を聞いていると考えられます。

定着性を判断するため

自社で長く活躍してもらえる人材を採用したいと考える企業もあります。採用担当者は、前職(現職)を辞める理由を通じて、「入社後に同じ理由で辞めてしまわないか」を確認しているでしょう。入社後に退職理由が再現されなければ、長く働いてもらえる可能性が高くなるからです。

仕事の価値観を確認するため

退職理由によって、応募者が仕事で大切にしていることが分かることもあります。仕事の価値観を確認することで、採用担当者は自社のカルチャーにマッチしているかを判断していると考えられます。仕事の価値観がマッチしていれば、社風に馴染んでイキイキと働いてもらえる可能性が高くなるからです。

引き止められにくい退職理由の伝え方

所属企業に対して退職の意思を伝えたところ、強く引き止められて予想以上に退職までに時間がかかることもあります。退職交渉を始める際は、引き止められにくい退職理由にすることがポイントです。

退職理由は「前向きな理由」に言い換える

退職を考えた「本音の理由」は、仕事や会社に対する不満だったというケースは少なくありません。ただし、ネガティブな退職理由をそのまま伝えるのは避けた方が良いでしょう。たとえ本音であっても「待遇が良くない」「人間関係が悪い」など、会社に対する不満をぶつけてしまうと相手の心証が悪くなりかねません。また、「不満な点を解消するので、思いとどまってほしい」と引き止めの理由にされる可能性もあり、希望するスケジュールで転職ができなくなるかもしれません。

本当の退職理由はネガティブだったとしても、前向きに言い換えて伝えることで所属企業に受け入れてもらいやすくなるでしょう。

所属企業では実現できない理由を伝える

所属企業で実現できる退職理由は、引き止めの理由にされやすいものです。退職の意思が固まっている場合は、「違う業界にチャレンジしたくなった」「語学力を活かして働きたい」など、所属企業では実現できない退職理由を伝えることで、引き止めを回避できるでしょう。

円満退職を実現するためのポイント

所属企業をスムーズに辞めるためには、いくつかのポイントがあります。円満退職を実現するために、ポイントに従って退職手続きを進めましょう。

就業規則を確認し早めに伝える

退職の意思を会社に伝える時期は、基本的には会社の「就業規則」に従いましょう。仕事の引き継ぎや有給の消化、退職手続きの時間がかかりそうな場合は、2~3カ月前には退職意思を伝えましょう。特に転職先から内定が出ており、入社日まで1カ月を切っている場合は、すぐに退職の意思を伝えることをお勧めします。

まず直属の上司に相談する

一般的に退職意思を最初に告げるのは「直属の上司」であることが多いでしょう。その上の上長などに先に話してしまうと、「組織内のルールが乱れているのではないか」「組織マネジメントが徹底できていないのではないか」と上司がとがめられてしまうこともあるかもしれません。直属の上司との関係が悪化すると、退職手続きがスムーズに進まなくなることもあるので注意しましょう。

また、上司に退職の意思を伝える前に職場のメンバーなどに転職活動をしていることを伝えるのは避けましょう。しかし、他のメンバーから転職活動をしていることを上司に知らされた場合、上司はいい気持ちはしないでしょう。上司から強く引き止められたり、辞めるための面談を複数回設定されたりするなど、スムーズに辞めさせてもらえなくなる可能性も考えられます。

後任への引き継ぎをしっかり行う

退職意思を伝えた後は、後任者への引き継ぎが発生します。顧客や取引先への引き継ぎの挨拶が必要な場合は、できるだけ後任者と一緒に行いましょう。

後任者がなかなか決まらない場合は、引き継ぎ準備を先に進めておきましょう。仕事内容をリストアップしてファイルなどにまとめておき、後任が決まったらファイルをもとに説明すると良いでしょう。

なお、自分の都合を優先して休みに入るのは避けた方が良いかもしれません。取引先や後任者に迷惑がかからないように、引き継ぎをしっかり行った上で有給も消化できるよう、早めにスケジュールを組むことが大切です。

退職希望日を明確にする

退職することは、少なからず会社に負担を掛けることになります。お詫びの気持ちも込め、上司に退職の話を始める際は「突然で申し訳ございません」と切り出し、「退職させていただきたく、今回お時間をいただきました」と伝えましょう。

その上で「○月○日に退職させていただきたいと思います」と期限をつけて、決心がついていることを伝えます。「退職を考えている」「検討している」などあいまいな伝え方をすると、相手は「まだ退職の決心がついていない」と捉えて引き止められる可能性があるので注意しましょう。

嘘をつかない

新たな活躍の場を求め仕事を辞める理由は人によりさまざまですが、嘘をつくのは好ましくありません。最初に嘘の理由を伝えてしまうと、途中で話の整合性が取れなくなる可能性があります。退職理由は「前向きな理由」に言い換えた方がポジティブな印象を与えますが、矛盾が生じると説得力を失ってしまうため、本当の理由とは関連のない嘘の理由を伝えるのは避けましょう。

退職理由を伝える際の切り出し方に関しては以下の記事も参考にしてください。

【Q&A】こんなケースはどうしたらいい?

退職の伝え方に関して、以下のケースについて解説します。

短期退職になる場合

転職先に入社したものの、「面接で聞いていた話と違う」「募集要項と違う」と、入社後すぐに退職を検討することもあるかもしれません。この場合、「聞いていた話と違うので退職したい」のように一方的に伝えるのは避けましょう。いきなり退職を切り出すのではなく、事前に提示された条件と異なっていることを伝え、改善の可能性があるかどうかを探りましょう。

改善の余地がない場合も、退職を申し出る際に会社側に一方的な非があるような伝え方をすると、お互いの関係が悪くなりかねません。会社の批判をするのではなく「自分の確認不足があったかもしれない」など客観的な視点も合わせて伝えると良いでしょう。また、直属の上司や教育担当者など、直接関わった人には感謝の気持ちを伝え、退職理由をポジティブに表現することで、引き止めを避けスムーズに退職できるかもしれません。

急遽退職しなければならない場合

「高齢の父が急に病気を発症して介護が必要になった」「家庭の事情で急遽引っ越すことになった」「突然の怪我や病気で仕事の継続が難しい」など、自分の意思とは関係なく急遽退職しなければならない場合もあるでしょう。その場合は、話せる範囲で事実をそのまま話し、緊急であることを伝えましょう。

法律上、原則2週間前までに退職の意思表示を伝える必要があります。ただし上記のようなやむを得ないと認められる事由に該当する際は、会社の合意が得られれば即日退職が認められるため、会社側に相談してみましょう。

上司が忙しくて時間が取れない場合

退職の意思を伝えたくても直属の上司が出張などで会えなかったり、シフト制で時間が合わなかったりと、先延ばしになってしまうケースもあるかもしれません。

その場合は「相談したいことがあるのですが、お時間いただけますでしょうか」と事前にメールを入れてアポイントを取りましょう。部下の相談を聞くことも上司の仕事の一つなので、気を遣いすぎる必要はありませんが、それでも連絡がない場合は人事に相談しましょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2020年04月30日
記事更新日:2023年02月22日
記事更新日:2025年01月22日 

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