「ITサービスマネージャ」の資格・仕事に「興味がある」「転職を考えている」という皆さんに、試験概要、資格の有用性、仕事内容、仕事のやりがい、転職市場でのニーズなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお伝えします。IT サービスマネージャの資格に挑戦したい、仕事をやってみたいという方はぜひご一読ください。
ITサービスマネージャとは?
ITサービスマネージャとは、ITサービスの提供に際し、情報システムの安定稼働や日々の継続的改善、障害発生時の対応、品質管理など、安全性と信頼性の高いサービスの提供を行う指揮・管理する人を指します。
企業で業務システムを使って仕事をするユーザー、あるいは企業が提供するサービスを利用するカスタマーが、便利かつ快適にシステムを利用できるようにするために、運用・チェック体制の構築、新しいソフトの導入・入れ替え、障害発生時の解決フローの策定などを行います。
大手企業を中心とした事業会社のシステム部門に所属して働くほか、コンサルティングファームやSIerなどのアウトソーシング部門(クライアントのシステムを預かって運用管理や改善を行う部門)で活躍しています。
ITサービスマネージャのやりがいは?
ITサービスマネージャの有資格者には、システムの運用管理・保守を担当している人が多いのですが、実際に「ITサービスマネージャ」という職種名称で呼ばれている人たちが行っているのは、日々の運用管理・保守業務だけではありません。
運用管理・保守に関する「体制や仕組みを考え、構築し、マネジメントする」という上位レベルの役割を担っています。
システムの安定稼働を守り、ユーザーが使いやすいように改善していくこの仕事は、まさに「縁の下の力持ち」といえます。人やビジネスを支え、困っている人を助ける存在として頼られるのがやりがいといえるでしょう。「課題の分析・解決」が好きな人にも向いています。
なお、1つの専門領域を深く掘り下げるというより、さまざま領域に関わる仕事ですので、「技術領域を広げたい」という志向の人にもマッチしています。
IT サービスマネージャ試験とは
IT サービスマネージャ試験とは、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。IT企業や事業会社のシステム部門でシステムの「運用管理・保守」を担う人が目指す資格の代表格といえます。年1回、10月に実施され、年齢・学歴・実務経験に関係なく誰でも受験が可能です。
多様なシステムの知識はもちろん、他領域の専門家と連携しながら総合的なシステム運用・管理体制を整えるため、幅広い知識・スキルが問われます。
IT サービスマネージャ試験の概要
ITサービスマネージャの試験は1日かけて行われます。
午前の選択式試験では、以下の領域について、共通知識・専門知識を問う問題が出題されます。
●テクノロジー系(情報セキュリティ・システム構成要素・データベースなど)
●マネジメント系(ITサービスマネジメント・プロジェクトマネジメント・システム監査など)
●ストラテジー系(法務・システム戦略・経営戦略マネジメントなど)
午後の記述試験・論述試験では、サービスマネジメントの管理プロセスに関するテーマが出題されます。
IT サービスマネージャ試験の難易度
情報処理技術者試験のスキルレベルは1~4が設定されていますが、ITサービスマネージャはもっとも難易度が高い「4」に相当します。合格率は例年13~14%台です。
IT サービスマネージャ試験の資格は転職に有効?
基本的に、中途採用においては資格よりも実務経験が重視されます。しかしながら、システムの「運用管理・保守」の中途採用においては、「保有していると望ましい資格」として、ITサービスマネージャ試験を挙げている求人が多数見られます。
実務経験が不足していたとしても、この資格を取得していることでプラス評価を得られる可能性があるでしょう。
グローバルな業界標準として重視される「ITIL」の認定資格
なお、ITサービスマネジメントに関するグローバルな業界標準として普及しており、現場でも重視されている資格に「ITIL」の認定資格があります。
「ITILファンデーション」を入門資格として、上位資格に「ITILv3」、2019年にリリースされた「ITIL4」があります。(※ITサービスマネージャの求人では、「ITILv3」以上が評価される傾向があります)
そのITILでは、ITサービスマネジメントにおいて大切な要素として「4つのP」を掲げています。「People(人)」「Process(プロセス)」「Products(製品・技術)」「Partners(パートナー)」――この4つの分野すべてにおいて適切な対策を打つ力が、ITサービスマネージャには求められているのです。
ITサービスマネージャの人材ニーズは?
中途採用で募集されている職種名としては、企業によって異なることもあります。具体的には、「ITサービスマネジャー」「運用設計マネジャー」「運用スペシャリスト」などが見られます。求人数は限られているものの、根強いニーズがあります。
募集を行っているのは、大手SIer、コンサルティングファーム、事業会社など。事業会社の場合は、グローバル展開しているメーカー、流通、金融などの大手企業による求人が目立ちます。
「より大規模なシステムを扱う」「より成長力が強い業界に移る」「最先端のテクノロジーに携わる」といった志向にとっては、転職により、それらのキャリアの可能性を広げられるチャンスがあります。
※本記事の内容は、2020年9月取材時点の情報です。
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にSE・ITエンジニア全般を担当。
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