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仕事を辞めたいと思ったら?対処法と辞めた方がいいサインの判断方法を紹介

仕事を辞めたいと思ったら

仕事を辞めたいと思ったとき、どうすればいいのかわからずに悩んでしまう人は少なくないでしょう。しかし、「このまま辞めてもいいのだろうか?」「辞めたいけれど次がない…」などの不安から立ち止まったまま動けなくなり、結果的に後悔するケースもあります。
今回は、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏が、仕事を辞めたいと思うときによくある理由や辞めたいと思ったときの対処法、辞めた方がいいサインを判断する方法などを解説します。

仕事を辞めたいと思ったら、どうすればいい?

「今の仕事や職場の人間関係にストレスを感じる」「仕事に疲れてしまった」と感じたとき、仕事を辞めたいと思う人は少なくないでしょう。そのとき、「本当に辞めてもいいのか」「甘えではないか」と辞めるかどうか悩むケースもあれば、「仕事を辞めたいけど次がない…」「今の会社に辞めたいと言い出せない」などの理由から辞める決断ができないケースもあります。

また、そのまま仕事を辞める選択をした場合でも、今の会社や仕事への不満のみが理由で転職すれば、辞めてから「前の会社の方が良かった」と後悔する可能性があります。また、目的がないまま転職活動を進めたことで、選考通過に苦戦したり、転職先でも同じ不満を繰り返してしまったりするケースは少なくありません。

反対に、今の仕事を続ける選択をしても、自分のキャリアの方向性に合っていない場合や、今の会社の職場環境に問題があった場合は、「あのとき、転職しておけば良かった」「転職するタイミングを逃してしまった」と後悔するケースもあります。

まずは冷静になって今の状況を見つめ、「仕事を辞めるか、辞めないか」「転職するかどうか」をきちんと検討することが重要だと考えましょう。

退職・転職した人が「仕事を辞めた理由」とは?

ここでは、調査データをもとに、よくある「仕事を辞めた理由」について解説します。自分に当てはまるものがないか考えてみましょう。

仕事を辞めた理由のトップは「労働時間・労働条件への不満」

まずは、厚生労働省の調査をもとに、「仕事を辞めた理由」のトップ5を紹介します。
2023年(令和5年)の1年間で転職した人の「前職を辞めた個人的な理由」は、男女別に以下のような順位になっています。

<男女別・前職を辞めた理由トップ5>

【男性】
1位「職場の人間関係が好ましくなかった」(9.1%)
2位「給料等収入が少なかった」(8.2%)
3位「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(8.1%)
4位「仕事の内容に興味を持てなかった」(7.4%)
5位「会社の将来性が不安だった」(5.2%)

【女性】
1位「職場の人間関係が好ましくなかった」(13.0%)
2位「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(11.1%)
3位「給料等収入が少なかった」(7.1%)
4位「能力・個性・資格を生かせなかった」(5.4%)
5位「仕事の内容に興味を持てなかった」(5.0%)

※介護・育児・結婚・会社都合などのやむを得ない事情を除く
※「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」「定年・契約期間の満了」を除く

出典:「令和5年雇用動向調査結果の概況」(厚生労働省)

入社3年目までの20代が「仕事を辞めた理由」とは?

一方、入社1〜3年目までの新人・若手社員に向けてリクルートが行った調査では、退職理由のトップ5は以下の順になっています。

<入社1〜3年目までの新人・若手社員の退職理由トップ5>

1位「労働環境・条件がよくない」(25.0%)
2位「給与水準に満足できない」(18.4%)
3位 ※下記3項目が同率
「職場の人間関係がよくない、合わない」(14.5%)
「上司と合わない」(14.5%)
「希望する働き方ができない」(14.5%)

出典:「2023年 新人・若手の早期離職に関する実態調査 第1回」(株式会社リクルート)

仕事を辞めたいと思ったとき、冷静になって辞めるかどうか検討する方法

仕事を辞めたいと思ったら、下記の方法を参考に「辞めるかどうか」を検討してみましょう。

1:辞めたい理由や不満などを具体的に書き出す

今の会社に対して不満や悩みがある場合は、どうしても感情が先に立ち、冷静に現状を分析・判断できていない可能性があります。まずは自分の気持ちを吐き出し、頭の中を整理してみることが大事です。

辞めたいと思った理由や、現在の仕事内容や待遇、働く環境、職場の人間関係などに対し、不満に思うことや嫌だと感じている点をどんどん書き出していきましょう。また、書き出したことは、嫌だと思う順番に並べて優先順位をつけておくと良いでしょう。

2:何が問題なのかを客観的に考えてみる

次に、客観的な視点で書き出したことについて一つずつ分析していきます。辞めたい理由や不満に思うことが「第三者の視点から見た場合でも、理にかなっているのか」「独りよがりの不満や単なる愚痴になっていないか」を考えてみましょう。

例えば、「上司に毎回ミスを厳しく指摘されるのが嫌だから辞めたくなった」という場合でも、冷静になってよく考えてみたら「他の同僚に対しても公平に厳しく指導していたから、自分だけに厳しいわけではなかった」と思うケースもあります。
また、自分自身に対しても「同じミスを繰り返さないために仕事のやり方を改善する余地があった」と感じるケースもあるでしょう。

3:今の会社の良い点を書き出してみる

今の会社の良い点を書き出し、辞めない方がいい理由も考えてみましょう。
例えば、残業が多くても「給与水準が高い」「社風が良い」「自分の思うキャリアを実現しやすい」などの良い点が見つかるケースもあります。
また、職場の人間関係で相性が合わない人がいた場合でも「やりたい仕事ができている」「残業が少なく、プライベートの時間を確保できる」などの良い点が見つかるかもしれません。

特に、「いい会社だけど辞めたい」と思っている場合は、今の会社を辞めない方がいいケースもあるので、良い点についても考え、整理しておくことが大事です。

4:辞めたい理由や不満を自分で解決できないか考えてみる

先に書き出した不満に思うことや嫌だと思う点について、「自分の取り組み次第で解決できるかもしれないことなのか、自分では解決できない問題なのか」を考えてみましょう。
自分自身で解決できそうな場合は、今の仕事を辞めなくてもいい可能性があります。

以降で「仕事を辞めたいと思うよくあるケース」と対処法を紹介するので参考にしてみましょう。

仕事を辞めたいと思うよくあるケースと対処法

仕事を辞めたいと思う理由は人それぞれと言えます。ここでは、よくあるケースと対処法を紹介します。

残業や休日出勤が多い

残業や休日出勤が多いなど、労働環境が悪いことを理由に仕事を辞める人は少なくありません。精神的・肉体的に疲れてしまったり、プライベートの時間を大事にできなかったりすることで、転職を考えるケースです。慢性的に人手不足の職場や、残業することが常態化している職場などの場合は、これに当てはまるでしょう。

対処法

残業を減らすために、仕事を効率化する方法を考え、実践してみることが大事です。また、オンとオフにメリハリをつけるために、仕事に取り組む時間に期限を設けるように意識する方法もあります。
部署やチームの中で自分の業務負荷が高いと感じている場合は、上司に相談し、他の人に仕事を振り分けてもらえるようにすることもできます。

職場の人間関係が悪い

毎日働く職場の人間関係が悪かったり、相性の合わない人がいたりすることが理由で、仕事を辞めるケースもよくあります。また、職場にパワハラ・セクハラをする人がいる場合などは、強いストレスを感じながらも辞めるべきかどうか悩んでしまうケースもあるでしょう。

対処法

相性の悪い相手に歩み寄ってみることで関係性を改善できるケースもあります。また、割り切って、仕事のみの付き合いをすることでストレスを軽減できるかもしれません。
パワハラ・セクハラを受けている場合は、上司に相談し、間に入ってもらったり、会社の相談窓口などに相談したりする方法もあります。「社内では相談できない」と感じたら、総合労働相談コーナーなど、公的機関の相談窓口を利用することもできます。

出典:あかるい職場応援団「相談窓口のご案内」(厚生労働省)

給与が見合っていない

給与水準が低かったり、成果を挙げても給与に反映されなかったりすることに不満を感じて「仕事を辞めたい」と思う人もいます。そもそも業界・企業・職種において給与水準が低いケースもあれば、成果よりも年功序列を重視したり、評価基準が明確になっていなかったりすることで不満を感じるケースもあるでしょう。

対処法

今の会社の昇給制度や昇給モデル、インセンティブ制度などを調べ、今後、給与アップできる可能性を検討してみましょう。また、自分と同じ業界・職種の給与水準を調べて比較してみることで、今の給与に納得できるかもしれません。
評価に不満がある場合は、上司に評価基準を確認し、評価につながりやすいことを実践してみると良いでしょう。

仕事内容が合わない

仕事内容にやりがいを感じられないケースに加え、仕事の進め方そのものが合わないケースもあります。興味のない部署や職種に配属されたことで「やりたい仕事ができない」と感じる人もいれば、そもそもミスマッチな仕事を選んでしまった人もいるでしょう。

一方、仕事内容そのものは自分の希望に合っていても、「チームワーク重視」「個人の裁量が大きい」など、仕事の進め方そのものに不満を感じるケースもあります。
また、仕事内容が合わないために成果を挙げることができなかったり、ミスを繰り返したりすることで「自分には向いていない仕事だ」と感じるケースもあります。

対処法

自分なりに仕事の目標を立て、達成していくことでモチベーションも高まりやすくなります。一方、仕事内容そのものが自分に合わないと感じている場合は、部署異動や社内プロジェクトに手を挙げるなどで、やりたい仕事ができる可能性があるか検討してみると良いでしょう。
成果を出せないことやミスが多い点などに悩んでいる場合は、活躍している先輩などを参考にしてみることで改善点が見つかるかもしれません。
自分一人ではどうすればいいのかわからない場合は、上司や先輩などに相談して、仕事の目標設定やキャリアプランの設定を見直す方法もあります。

会社の将来性や今後のキャリア形成に不安を感じている

会社のビジョンや事業内容に将来性がないと感じて不安を抱くケースもあれば、業績不振が続いていたり、リストラなどが起きていたりするなどで、会社の経営そのものに問題を感じているケースもあります。
また、会社が提示しているキャリアステップに対し、「自分の思うようなキャリアを築けない」と感じて辞めたいと考える人もいるでしょう。

対処法

会社のビジョンや事業展望に不安を感じている場合は、中長期計画などを調べ、今後の事業展開などに将来性があるか具体的に検討してみましょう。
将来のキャリア展望が見えない場合は、上司に先輩社員のキャリアステップ事例などを聞き、どのような可能性があるのかを探ってみると良いでしょう。自社内では自分の希望を叶えられないと感じたら、グループ会社への異動などで実現できる道がないか考えてみることもできます。

社風や企業文化が合わない

社風や企業文化が自分に合わないために、日々の仕事そのものが憂鬱になり、辞めたいと思うケースもあります。また、企業理念が合わず、事業方針に疑問を抱いたことで、仕事に意義を感じられなくなり、モチベーションが下がってしまうケースもあるでしょう。

対処法

上司や先輩などに、社風や企業文化に対して良いと感じている点や理由を聞いてみることで、納得できる可能性があります。企業理念や事業方針について疑問を感じている場合は、どのような背景・考え方があるのかを調べ、その意義を理解することで納得感を高められるかもしれません。どうしても納得できない場合は「社風や企業文化が合わなくてもいい」と割り切って考える方法もあります。

ライフスタイルが変化した

結婚・出産・介護などでライフスタイルが変化したことで、働きやすい制度環境がある会社や、年収アップできる仕事などに転職したいと考えるケースもあります。

対処法

働きやすい環境を求めている場合は、フレックスタイム制やテレワーク、時短勤務、介護・看護休暇など、今の会社の制度環境を調べ、どのような制度を活用できるのか検討してみると良いでしょう。
「活用できる制度がない」と感じた場合でも、仕事とライフスタイルを両立するための方法がないか上司や人事に相談することで、柔軟な対応をしてもらえるケースもあります。また、ライフスタイルの変化を経験した後も活躍している先輩の姿をロールモデルとして参考にしたり、直接相談して「どのように工夫してプライベートと仕事を両立しているのか」を聞いてみたりする方法もあります。
年収アップしたいと考えている場合は、福利厚生や今後にもらえる手当などを調べ、金銭的にプラスになる部分についても検討してみることも大事です。

仕事を辞めた方がいいサインを判断する方法

先に紹介したような対処法に取り組んだ結果、「やっぱり仕事を辞めたいけれど、辞めてから後悔することが怖い」と悩む人もいるでしょう。ここでは「仕事を辞めた方がいいサイン」を判断する方法を紹介します。

今の会社のままでは解決できない大きな問題がある

仕事や会社を辞めたい理由・不満に対し、「今の会社のままでは解決できない大きな問題がある」「このまま働き続けていても不満を解消できず、仕事を辞めたいと思い続けてしまう」と感じた場合は、辞めた方がいいサインと言えるでしょう。以下の例を参考にしてみましょう。

<自分では解決できない問題の例>

・残業が多いなど労働環境が悪く、改善が望めない
・パワハラ・セクハラをする人物をどうすることもできない
・給与アップする方法がなく、将来的にも希望する年収を実現できない
・会社の経営状況が明らかに悪化している
・希望を叶える異動や配置転換ができない
・ライフスタイルの変化に対応できる制度・環境がない

長期的なキャリアを描けない

長期的な視点で今後のキャリアを考えたとき、「自分が望むようなキャリアを実現できない」と感じた場合は、今の仕事を辞めた方がいい可能性があります。早いうちに目指すキャリアの方向性にマッチした仕事に転職した方が、今後のキャリアに役立つ経験・スキルを積むことができるでしょう。

心身に異常を感じるほど疲弊している

ストレスや長時間労働などで、心身に異常を感じるほど疲弊している場合は、休職したり、今の会社を辞めたりした方がいいサインと言えるでしょう。

仕事を辞める前にやっておきたいこと

仕事を辞めた方がいいと判断したとき、心身に支障がある場合を除いて、そのまま辞めることはおすすめできません。
今後の転職の可能性や、転職活動の進め方などについても検討してから「辞めどき」を見極める方が、後悔のない選択ができるはずです。仕事を辞める前にやっておきたいことを把握しておきましょう。

転職市場について調べてみる

転職サイトなどを調べ、どのような求人があるのか把握してみましょう。自分の希望を叶えられるような仕事や会社があるのか、採用条件を満たせるような経験・スキルが自分にあるのかを検討することが大事です。「どのような仕事・会社なら転職できそうか」という自分の可能性を知ることで、今後のキャリアの道筋を考えやすくなります。

周囲の転職経験者に話を聞いてみる

友人や知人、今の会社を辞めた先輩など、転職を経験した人に話を聞き、参考にしてみましょう。実際に転職してみてどう思っているのかを聞くことで、転職することが自分にとってプラスになるかどうかを検討しやすくなります。
また、転職活動の進め方や大変だったこと、転職先選びで注意したことなども聞けば、今後の転職活動に役立てることができるでしょう。

転職エージェントに相談してみる

転職支援のプロである転職エージェントに相談することで、転職市場の状況を把握しやすくなります。自分の希望や経験・スキルをもとに採用の可能性がある求人を紹介してくれるため、今の自分の市場価値や、転職できそうな仕事や会社について理解を深めることができるでしょう。転職すると決めていない状態でも相談できるので、活用してみるのも方法です。
また、キャリアの棚卸しや応募書類の作成、面接対策などをサポートしてくれる転職エージェントもあります。「自分一人では転職活動の進め方がわからない」「何をアピールすれば選考に通過できるのかわからない」という人にも役立つでしょう。

転職活動を進めるのは退職後・在職中のどちらがいいか検討する

退職後に転職活動を進める場合は、集中して取り組むことができる一方、定期収入がなくなるため、金銭的な不安から焦ってミスマッチな転職先を選んでしまうこともあります。また、転職活動を進める中で「前の会社の方が良かった。焦って仕事を辞めたことで会社に残る選択ができなくなってしまった」と後悔するケースもあります。

一方、在職中に転職活動を進める場合は、収入面の不安はなくなりますが、仕事と並行するために忙しい日々を過ごすことになります。転職準備をうまく進められず、選考で苦戦してしまうケースもあります。また、在職中の転職活動が発覚すると、強く引き止めされたり、職場にいづらくなったりすることもあるので、内密に進めることも大事です。

会社を辞める前には、転職活動の進め方をしっかり検討することも重要だと考えましょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事作成日:2020年09月24日 記事更新日:2024年10月02日