転職エージェント トップ > 転職成功ガイド > 転職準備 > 社風とは? 自分にとって働きやすい社風の会社を見極める方法

社風とは? 自分にとって働きやすい社風の会社を見極める方法

社風

求人や採用ページなどにも記載されていることがある「社風」。自分に合った社風の企業を選ぶことは、転職活動での見極めで重要な要素です。ただ、企業規模や給与などのように数値で測れる項目ではないため、どのように見極めればいいのか悩んでしまう方もいるようです。

そこで今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、社風の見極め方について解説いただきました。

社風とは

社風の定義が明確に決まっているわけではありませんが、一般的に「企業特有の文化や価値観、雰囲気」を指します。企業特有の文化や価値観は一朝一夕で形づくられるものではなく、創業者の哲学や企業理念、行動規範や従業員の傾向、マネジメントスタイルなど、様々な要素で構成されています。場合によっては、経営陣の変化や合併や買収などで社風が変化することもあります。具体的に、社風の例をご紹介します。

例1:商社A

個性を重視し自由闊達な雰囲気。社内では上下分け隔てなく意見が言える風通しの良さがある。個性を重視するためにダイバーシティも進んでおり、働きやすさから離職率も低い。

 例2:インターネット系広告代理店B

実績重視で実力勝負。抜擢人事も少なくないため、若手の役職者が多く平均年齢も低い。結束力を高めるために社外イベントも頻繁に行われており、社内サークルも複数。仲間と切磋できる職場だが、成果へのプレッシャーも一定程度ある。

例3:医療機器C

創業者で元医師でもある社長の想いが強く、「人の命に係わる製品を扱っている」と従業員も仕事に責任感を持っている。そのためどの職種も誠実な対応をモットーとしており、社内の雰囲気も穏やか。社長にリーダーシップがあるため、人によってはトップダウンと感じる場合もある。

「社風が合わない」と感じた場合は?

社風とは文化や価値観などはっきりと目に見えるものではないので、入社してから「社風が合わない」と感じるケースも少なくありません。社風が合わないと感じた場合の対処法について解説します。

何が合わないのかを明らかにする

社風に違和感を覚えたら、まず何が合わないのかを明らかにしてみましょう。「何となく合わない」というだけでは、改善する方法を探ることができず、転職するとしても応募企業の社風をどのように見極めていいのか分かりません。まず、自分に合わない社風とは何かを具体化することが重要です。例えば、「多様性を認めず右に倣えのマネジメントスタイルが合わない」「飲みにケーションが多く業務時間外の誘いを断り切れない」など、社風に対する自分の違和感を言葉にしてみましょう。

改善する方法がないか探る

社風が合わない要因が明らかになったら、上司との面談で正直に伝える、上司のマネジメントに疑問がある場合は、その上の上司や人事に相談するなど、改善できないかを探ってみましょう。また、視野を広げて所属している部門以外の方針や働き方を見てみることで、実は所属部門だけの習慣だったということもあるかもしれません。合わないと感じる社風が一部の組織だけだった場合は、異動願を出すという方法もあります。

転職も視野に入れて行動する

改善する方法を探った結果、「会社のビジョンが自分の価値観と違う」「年功序列の処遇が不満」などといった会社全体の価値観や制度上の問題の場合は、すぐに改善するのは難しいかもしれません。どうしても納得できないという場合は、転職活動をしてみるのも一つの方法です。結果的に転職を選ばなくても、他社の事情を知ることで、現職の社風の良さを再発見できるかもしれません。

自分に合った社風の会社の見極め方

転職する場合は、自分に合った社風を見極める必要があります。転職活動で確認しておきたいポイントを3つご紹介します。

自分が求める社風を明確にする

長くイキイキと働き続けるためには、自分に合った社風であるかどうかが重要になります。社内のコミュニケーションスタイル、評価基準、仕事の進め方など、自分がどのような社風で働きたいかを明確にしておきましょう。応募先に求める希望条件が複数ある場合は、企業選びや内定が出た時に迷ってしまわないように、社風を含めて優先順位をつけておくことが大切です。

公式サイト・採用ページ・SNSなどを確認する

企業の社風を知るには、まず公式サイトの情報を確認しましょう。多くの企業では、「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」や「企業理念」「経営理念」「行動規範」などを定めています。いずれも企業が社会で果たしたい役割や理想の姿、価値観や大切にしたい姿を掲げたものです。これらの指針は社風に影響するため、必ずチェックしておきましょう。

採用ページに従業員のインタビューを掲載したり、SNSや社員ブログで従業員の言葉で発信したりして、社内風景や従業員の画像などが掲載されているケースがあります。ビジネス系のWebサイトや業界誌などに経営層やキーパーソンのインタビュー記事が掲載されていることもあります。いずれも社風が掴める可能性があるので、できるだけチェックしておきましょう。

面接や面談、職場見学で確認する

より確実なのは自分の目で確認することです。面接や面談で、採用担当者に社風を聞いてみるのも有効です。例えば「現職はフラットな風土で、年次などに関係なく意見が言いやすい組織でした。御社の社風はいかがでしょうか?」と、現職(前職)の例を交えながら話すと答えが引き出しやすくなります。

特に、配属先部門に所属する従業員に話を聞くことができれば、入社後の職場の雰囲気の理解が進みます。内定が出そうな段階になったら、社内の見学と合わせて、現場従業員との面接のセッティングをお願いしてみましょう。

社風が転職の満足度に影響した事例3選

給与や仕事内容などの希望が叶うことだけでなく、自分に合った社風の企業で働けることも、転職の満足度に与える影響が大きくなります。条件は希望通りだったものの、入社後に社風が合わずに苦労した事例を3つご紹介します。

事例1 憧れの大手だったがスタイルが合わなかった

Nさん・30代

小規模CRO(医薬品開発業務受託機関):CRA(臨床開発モニター)→大手CRO:CRA

小規模CROでのモニターの仕事にやり甲斐を感じていましたが、大手CROに移ってイキイキと働いている同僚に刺激されて転職にチャレンジ。無事大手CROに採用され、年収も上がりました。しかし実際に入社すると、想像以上にハードワークで実力主義。一人ひとりが自立して業務を進める環境でチームワークが感じられず、Nさんのように何事も他の社員と共有・相談しながら仕事を進めてきたタイプに合う環境ではありません。結局、再び転職活動を始めました。

【ポイント】
同僚が満足していたとしても、自分にとっても満足な職場であるとは限りません。知名度やブランド力、収入だけではなく、社風を含めて「自分は満足できるか」という視点で選ぶことが大切です。

事例2 前職と比べて意思決定のスピードが遅いことに戸惑い

Hさん・30代

コンサルティングファーム:公認会計士 → 損害保険会社:経理

コンサルティングファームで公認会計士として働いた後、「事業会社で専門性を活かしたい」という意志を持って損害保険会社に転職したHさん。前職のクライアントだったので、ある程度内情は理解しているつもりでしたが、実際に入社してみると想像以上に意思決定のスピードが遅くてびっくり。前職とのギャップの大きさにストレスがたまってしまう毎日です。

【ポイント】
企業規模や業界によって仕事の進め方は異なります。予測できたとしても環境が大きく変われば、最初は戸惑うのが当然かもしれません。Hさんのように目的意識が明確な転職なら、組織のやり方に合わせていくことで結果的に成功へと導くこともできるでしょう。

事例3 雇用形態よりも社風で選んで満足

Sさん・20代

銀行:営業職・正社員 → 特殊法人:契約社員

自分の専門性を磨くために転職を決意し、リサーチ会社と特殊法人から内定を獲得したSさん。両社を実際に見学し、オフィスの掲示物や働く社員の様子を比べました。その結果、リサーチ会社が正社員採用であった点は魅力でしたが、より闊達な雰囲気でコミュニケーションも多いと感じた特殊法人での契約社員を選択。入社後は正社員と分け隔てなく仕事を任され、刺激し合える同僚にも恵まれて、やり甲斐を持って働いています。

【ポイント】
雇用形態や条件ではなく、「自分にとって働きやすい環境か」を見極めて成功したケースです。社風にマッチしていることは、イキイキと働き続けられる鍵になるでしょう。

社風が気になる場合は転職エージェントに相談しよう

社風を見極めて転職したい場合は、転職エージェントを活用するという方法もあります。転職エージェントの中には、企業の人事と信頼関係を構築し、求人に記載されていない情報を知っていたり、過去に人材を紹介し入社後の働き方を聞いていたりするケースがあります。社風が気になる場合は、転職エージェントに相談するのが効率的です。心強い味方として、転職活動をサポートしてもらえるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事作成日:2020年09月24日 記事更新日:2023年12月04日