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育休明けの転職は難しい?転職実現のポイントや注意点などを解説

育休明け 転職

育児休業は本来、現職に復帰することを前提として取得するものです。しかし、「育休中に希望していない配置転換があった」「時短勤務制度がなく、育児と仕事を両立できない」「育休中に今後のキャリアについて見つめ直した」などの理由から、育休明けの転職を目指して転職活動を開始するケースもあります。
育休中の転職活動の進め方や注意点などを人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が、社会保険労務士の岡佳伸氏の監修のもと、正しい知識をご紹介します。

育休明けの転職を実現するポイント

まずは、育休明けの転職を実現するために押さえておきたいポイントを解説します。

育休明けに転職するスケジュールを立てておく

育休中に転職する結論を出した場合は、育休明けに転職できるようなスケジュールを立てて行動することがポイントです。一般的には転職準備から応募・面接選考などにかかる期間は3カ月程度のため、目安としては復帰予定日から逆算して3カ月前程度前から転職活動を始めるといいでしょう。有給休暇の残日数や、就業規則に記載されている退職意思を伝える期日なども確認しておくことも大事です。

また、育休中は子どもを原則、保育園に預けることはできないため、転職の面接日などに子どもの世話を頼める人物を探しておくことも必要です。難しい場合は、行政の一時預かりサービスや、有償ボランティアなどを利用する方法もあるので、サービス登録や申請方法を事前に調べておきましょう。

現職の復帰前面談までに転職先が決まらない場合は、現職に復帰し、仕事を続けながら転職活動を進めることもできます。復帰後は、育休期間中に変化したことや新たな情報をキャッチアップしたり、育児と仕事を両立する体制を作ったりするために一定の期間がかかることが予想されるので、生活が安定してから転職活動を再開した方が落ち着いて進められるでしょう。

将来のキャリア・ライフのプランを立てる

育休明けの転職を目指す場合は、将来のキャリア・ライフについてのプランを立てることも重要なポイントといえます。「将来どのようなキャリアを築いていきたいのか」「仕事と家庭を両立するために、どのような働き方やライフスタイルを実現したいのか」「子どもの進学なども踏まえ、どの程度の収入が必要になるのか」などを検討した上で、今後の計画を立てましょう。
また、こうした点も踏まえて、転職先に望む条件を検討することも重要です。

転職理由を明確にする

「なぜ転職するのか」「転職することによってどのような問題を解決したいのか」を明確にしましょう。冒頭でも述べた通り、本来、育休は現職に復帰することを前提に取得するものです。そのため、育休中の転職活動では、「なぜ転職を考えているのか」という説得力のある理由を示した上で、応募企業にきちんと説明できることが重要なポイントとなります。

また、今後のキャリアビジョンやライフスタイルなども踏まえ、仕事内容、働きやすい環境、各種支援制度、キャリアビジョンなど、転職先に望む条件について考えてみましょう。
「家庭生活を大切にしながら働き続けていきたい」「子育てしながら仕事でもステップアップし、キャリアを構築していきたい」など、将来目指す姿はそれぞれに違うものですが、いずれにしても仕事と育児を両立するために必要な条件を整理し、優先順位を明確にしておくことが大事です。

家族や保育サービスなど、子育ての支援体制を明確にする

育休明けの転職の場合は、応募企業から「子どもの急な体調不良などで早退や休みなどが発生し、業務に支障が出るのではないか」などの懸念をされる可能性もあります。
そのため、配偶者や同居する家族、近隣に住まう親族などと協力体制を作ったり、急なタイミングでも利用できる病児保育や一時預かりなどの保育サービスについて調べておいたりすることもポイントです。

子育ての支援体制を明確にしておけば、面接の際に「こうしたサポート体制があるため、一定以上は業務に支障なく働ける」と伝えることができ、懸念を払拭しやすくなるでしょう。

育休明けの転職で注意したいこと

育休明けの転職を目指す時に注意したいことを紹介します。

時短勤務制度や有給休暇の利用が可能か確認する

企業によっては「入社後6カ月未満では時短勤務制度を利用できない」(※)、「入社後6ヶ月未満は年次有給休暇が付与されない」というケースもあるようです。しかし、企業によっては保育休暇や時短勤務を利用できるようにしているケースもあるので、まずは確認してみましょう。

(※)ただし、この要件については、2025年4月改正により入社後6か月未満の人でも時短勤務できるように改正されます。

子どもの預け先を決め、保育のサポート体制を整える

保育園、幼稚園への入所を決めたり、家族や親族、ベビーシッターなどによるサポート体制を整えたりした上で、転職活動を開始することも大事です。特に注意したいのは、「認可保育園の場合は申請してもすぐに入所できない可能性がある」という点です。地域によって状況は異なりますが、並行して認可外保育園にも申請しておくと安心できるでしょう。

育休明けの転職先を探す時のポイント

育休明けの転職先を探す時に確認しておきたいポイントを解説します。

出産や、子育てと仕事の両立に対してサポート体制が整備されているか

子どもが幼いうちは、病気などによる突然の欠勤や早退はよくあることといえます。育休明けの転職先を選ぶ際には、そうした状況にも十分な理解を示してくれる風土・環境があるかどうかも重要なポイントになります。収入・待遇などの条件面に魅力を感じた場合でも、出産や子育てに対する目が厳しい職場・企業であれば、働き続けることは難しいでしょう。

育児に対する理解があるかどうかを確認する場合、育休から復帰した社員数の実績や、子育て社員の比率などもひとつの目安になります。また、配属予定の部署内に同じ業務・ポジションを担当するメンバーが複数在籍していれば、自分が休んだ時に代理を務めてもらいやすいかもしれません。面接の際に、子育て社員のキャリアや配属先部署の体制などについても確認してみることが大事です。

フレックスタイム制や時短勤務があり、活用されているか

フレックスタイム制や時短勤務の制度が利用できるなど、柔軟な働き方ができる勤務形態があることも働きやすさのポイントの一つになります。また、先にも述べた通り、時短勤務は入社直後に利用できないケースがあるものの、企業によっては柔軟に対応してくれる可能性もあります。事前に確認の上、相談してみるといいでしょう。

なお、そうした制度が整っているだけではなく、実際に活用されているかどうかも必ず確認しておきましょう。

制度化されていない「働きやすい風土」があるか

制度だけでなく、職場の上司やメンバーがどのように子育て社員をフォローしているのかを確認することも重要です。例えば、職場に子育て社員が多く、「お互いさま」の精神で助け合う風土が自然に醸成されているケースなどもあれば、育休明けの社員の業務負荷を軽減するように上司が配慮する体制ができているケースなどもあるでしょう。

働きやすさにはさまざまな理由があるはずなので、可能なら、活躍中の子育て社員の先輩との面談を設定してもらい、直接、気になる点について聞いてみることがおすすめです。

柔軟な働き方をサポートする施策・制度を拡充しているか

子どもの年齢に応じて柔軟な働き方ができるよう、テレワーク制度を導入したり、時間単位での有給休暇の取得を可能としたりするほか、育児介護休業法を上回る残業の免除や子どもの看護休暇などのサポート施策・制度に積極的に取り組んでいる企業もあります。
子育て社員をサポートする施策・制度の拡充に積極的な場合は、今後、さらに働きやすい環境が整備されていくことにも期待できるでしょう。

育休明けで転職活動する場合の志望動機のポイント【例文あり】

育休明けの場合でも、一般的な転職活動と同様に志望動機を聞かれるはずです。志望動機で意識したいポイントや例文を参考にしてみましょう。

育休明けの場合に、志望動機で意識したいポイント

「転職によって実現したいこと=転職の目的」を明確に伝えることが大事です。「時短勤務ができる」「育児と仕事が両立しやすい風土がある」など、条件面のみを志望動機とした場合は、「同じような条件を持つ他の会社でもいいのでは?」と思われてしまう可能性があります。

その企業ならではの魅力や、入社後に実現したいこと、将来目指すキャリアなどもしっかりと伝えることが大事だと考えましょう。また、自分の希望だけでなく、入社後、どのように活躍・貢献できるのかまで伝えることもポイントです。

育休明けの志望動機の例文

貴社(御社)は、男女ともに育児休業取得率が高く、育児と仕事の両立支援として、在宅勤務やフレックスタイム制、子どもの学校行事参加の休暇制度など、さまざまなサポートをされているため、育児と仕事を両立しながら目指すキャリアを実現できると考えました。貴社(御社)のITサービス開発では、ユーザーへのヒアリングを常時行い、スピーディな機能拡張・拡充でプロダクトのユーザビリティを高め続けている点に強く共感しました。

現職では育休明けの配置転換が決まっており、これまでの職務とは異なる部署に異動することを予定しています。異動先の職務にもやりがいはあると考えますが、ITサービスのカスタマーサクセスとして○年間、経験・スキルを積んできたので、今後もこの領域でキャリアを継続し、ステップアップしていきたいと考えて転職を決意いたしました。

現職で得た知見を貴社(御社)のITサービス開発や顧客満足度の向上に活かし、貢献していきたいと考えております。また、子育てがひと段落したタイミングを目安に、管理職のポジションにも挑戦していきたいです。

育休明けの転職活動を考えている場合は、転職エージェントに相談するのも一つの方法

転職エージェントでは、求職者のこれまでの経験・スキル・希望に合う求人を紹介します。そのため、キャリアを断つことなく、育児と仕事を両立しやすい環境がある職場を紹介してもらえるかもしれません。

また、面接日程の調整など企業とのやりとりもサポートするため、育児に忙しい中でも比較的スムーズに転職活動を進めやすいでしょう。応募書類の作成や面接対策などの支援を受けられる転職エージェントもあるので、育児で忙しい中で転職活動をスムーズに進めるために、活用してみることをおすすめします。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

記事作成日:2020年10月09日
記事更新日:2022年03月31日
記事更新日:2025年01月14日 リクルートエージェント編集部

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