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転職はした方が得?未経験で転職できる仕事はある?転職基礎知識Q&A

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周囲に転職して活躍している人がいると「今の会社にいて良いのかな」「自分はまだ転職できるかな」と、漠然と不安になる人は少なくないと思います。

転職は、しないと損をしてしまうものなのでしょうか?
メリット・デメリットは何でしょうか?
何歳でも転職は可能でしょうか?

転職初心者の疑問に、人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏がお答えします。

「転職」ってどうなの?転職活動をするメリットは?

転職とはキャリア形成のための選択肢の1つ

近年、転職をする人は増加しています。国の調査によれば、2019年の転職者数は351万人で、過去最多(2002年以降)。就業者に占める転職者の割合は15~24歳で12.3%、25~34歳では7.8%となっています(総務省:労働力調査)。

転職はそれ自体が目的なのではなく、キャリア上の目的や目標を達成するための手段の1つです。転職以外にも、フリーランスになったり、起業したりと、目標を達成するための選択肢はさまざまです。もしも達成したい目標や積み上げたいキャリアが、今の会社にいたままで実現できるのなら、必ずしも転職をする必要はないということになるでしょう。

転職にはメリットもあるがリスクも伴う

転職することによるメリットは人によって違います。実際に転職した人の声をご紹介すると「やりたい仕事ができる」「仕事にやりがいを感じられる」「スキルアップができる」「前職の人間関係の不満が解消された」「残業時間が減った」「収入が上がった」などがあります。

一方、転職には一定のリスクも伴います。福利厚生など、前の会社で「あって当然」と思っていたことが、転職先では失われることもあります。また、職場の人間関係など、入社してみないと実態が分からないこともあります。さらに、目的意識の薄い転職を繰り返すと、自分自身の経歴の価値を下げてしまう恐れもあります。転職にはそうしたリスクもあることを頭に入れておきましょう。

転職活動のゴールは必ずしも「転職」ではない

自分が転職をすべきかどうか判断できない人には、「実際に転職するかどうかは別として、まずは転職活動をしてみる」のもお勧めです。

その理由は、転職活動を通じて、自分のキャリアが転職市場でどう評価されるかが客観視できるからです。キャリアの棚卸しをし、実際に面接を受けることで、自分に足りないものがリアルに実感できます。仕事で何を大切にしたいのか、今後どんな経験を積んでいけば良いかも明確になります。結果的に今回は転職を見送ったとしても、転職活動の経験は大きな財産になるでしょう。

転職活動は「なりたい自分」の姿に近づくこと

転職活動を始めるときに考えたいことや進め方のヒントをお伝えします。

将来のキャリアイメージを検討する

まず3年後、5年後、10年後に自分がどんな仕事に就き、どんな働き方をしていたいのかイメージしましょう。会社の先輩や、目指したい領域で活躍する人の話を聞くことも参考になるかもしれません。その目標を達成するために、いつまでにどんなスキルを習得すべきか、どんな経験が必要かを逆算していくと、転職の方向性とタイミングも見えてきます。

「〇歳までに商品企画の仕事に就いていたいが、営業の経験しかない」としたら、たとえばスタートアップで営業と企画を兼任できるポジションに転職し、その経験を足がかりに大手へとステップアップを目指すことも考えられます。そのためにはいつまでに転職すれば良いのか逆算し、準備を進めると良いでしょう。

転職経験者に転職理由や、進め方等の感想を聞く

実際に転職を経験した人の感想は参考になるものです。友人や元同僚などで転職した人がいたら、どんな軸を持って企業を選び、どんな風に自己PRをしたのかなど聞いてみると良いでしょう。また、転職関連の書籍や転職サイトなどでもさまざまな事例が紹介されているので、目を通してみましょう。

転職サイトに登録して情報収集をする

Webの転職サイトに登録してみましょう。転職サイトでは希望条件で求人を検索することができ、サイトを通じてすぐに応募することも可能。自分の職務経歴を登録しておけば、それにマッチする求人がメールで送られてくるほか、興味を持った企業からメッセージが届く可能性もあります。「自分のキャリアならこんな求人があるのだな」と、転職の相場観感をざっくりと掴むのに役立つでしょう。

転職エージェントのキャリア面談を受けてみる

今のタイミングで転職することが自分のメリットになるかどうかも含めて、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談してみるのもお勧めです。転職エージェントでは「これまで培った経験・スキルをどんな業種で活かせるか」「今持っているスキルに何をプラスすれば強いキャリアを築けるか」についても、総合的にアドバイスを受けることができます。

【転職活動を始める前に】知りたい基礎知識Q&A

Q1 転職をすると収入が増えるのが一般的ですか?

A.ケースバイケース。減ることもあります。

リクルートが公表する「転職時の賃金変動状況」によると、2020年4〜6月期の転職で賃金が1割以上増えた人の割合は27.3%です。ただ、前職の賃金は時間外労働などを含んでいる一方、転職後の賃金はそれらを含まないため、実際には1割以上の賃金増になった人の割合はもっと多いでしょう。

採用側からすると、まだ実績のない転職者に対して、社内的に高い賃金は提示できないものです。しかし、前職より成長性がある分野や企業に転職することで、長い目で見れば収入アップの可能性もありますので、それも含めて総合的に考えるといいでしょう。

Q2 転職回数が多くなると不利になりますか?

A.転職回数よりも転職理由が影響するようです。

リクナビNEXT編集部が企業の採用担当者を対象に「転職歴は何回目から気になるか」を尋ねたところ、「3回目から」という回答が最も多く全体の40%でした。一方、実際の採用実績については、63%もの人が「4回以上の転職経験者を採用したことがある」と回答しています(2017年 リクナビNEXT採用実態調査)。

採用担当者は転職回数を気にはしますが、しっかりとした転職理由があれば、回数が多くても採用に至るケースは当然あります。逆に、転職理由が曖昧だったり、職種を転々と変えたりしてキャリアの軸がない経歴は、選考で不利になるかもしれません。

Q3 未経験職種に転職することはできますか?

A.可能ですが難易度は上がります。

未経験職種への転職は「キャリアチェンジ」と呼ばれ、成功している人もたくさんいます。しかし中途採用では多くの場合、その職種の経験者と競い合うので、ハードルは当然高くなります。現職で高く評価される実績を積んだり、その仕事に就くための勉強をしたりといった準備は必要になるでしょう。

Q4 同業他社への転職は良くないことですか?

A.原則的には自由ですが、「競業避止義務」「守秘義務」に注意。

大前提として、日本では「職業選択の自由」が憲法で保障されています。ですから本来は、ライバル会社に転職したとしても何ら問題ではありません。

しかし会社によっては、同業他社への転職を一定期間禁止する「競業避止義務」を規定している場合があります。とはいえ、就業規則や誓約書に競業避止の記載があっても、同業他社への転職が完全にできないわけではありません。競業避止義務違反が法的に有効となる範囲は、会社の機密情報を扱っていた人や役員などに限られることが多く、一般社員が該当することは少ないでしょう。

同業他社への転職に限らず、もう1つ注意したいのが「守秘義務」です。就業規則や誓約書により、会社の顧客情報や独自のノウハウ、技術情報など、いわゆる企業秘密に属する情報を漏洩してはいけないと規定されていることがあります。また規定がなくても、企業秘密に属する情報を不正に持ち出すと、「不正競争防止法」違反で訴えられることもあります。
もちろん転職後も違反に当たることをせず、社会人としてのモラルを守った行動をしていれば心配する必要はありません。いずれにせよ転職の際は、会社の就業規則や誓約書の内容を確認することをお勧めします。

Q5 転職活動は会社をやめる前と後、どちらがいいですか?

A.一長一短ありますが、在職中の方がお勧めです。

在職中は定期的に収入があるので、経済面での不安や制約がなく転職活動に集中することができます。さらに選考で「計画性がある」「退職にあたっての交渉力もある」と評価される場合もあります。ただ、転職活動が長引くと、仕事との両立が難しくなることも考えられます。

一方、退職後の転職活動は、自己分析や企業研究に十分な時間を使うことができ、日程調整も楽なのがメリットです。しかし経済面の不安から焦って転職先を決めて後悔するケースも。また、キャリアの空白期間が長くなると、選考で不利になる可能性もあります。

いずれの場合も、転職先候補となる企業の比較検討ができるよう、複数企業への応募を同時に進めるといったスケジュール管理が大切です。

Q6 転職によって雇用形態を変えられますか?

A.採用条件で変わることも変わらないこともあります。

正社員や契約社員などの雇用形態はそれぞれの求人によって違います。派遣社員として働いている人も、正社員の求人で採用されれば正社員になれます。また、正社員の人が、契約社員の求人に募集して採用されれば、転職先には契約社員として入社します。

転職ではほとんどの人が正社員を希望しますが、最近は契約社員と言ってもさまざまな形態があり、仕事・ポジション・給与・待遇など、正社員と比べてどちらがどう良いと一概に言えないケースが増えつつあります。雇用形態にこだわらず、やりたい仕事であれば、契約社員を転職の選択肢の1つに加えてもいいかもしれません。

Q7 転職に年齢制限はありますか?

A.原則としてはありませんが、一部例外もあります。

国は、労働者の募集及び採用の際には、原則として年齢を不問としなければならないと定めています。ただ、例外的に年齢制限が許されている事由もあります。多いのは「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」で、そうした求人ではおおむね30歳〜40歳未満と制限しています。

一般的に35歳以上の求人は枠が少ないうえ、入社後すぐに管理職としての働きを求められることも多いため、おのずと転職の難易度は上がります。ただ現代はシニア世代の労働力を活用しようとする動きが見られ、50代~60代の転職事例も増えてきています。専門性やマネジメント経験などを活かすことができれば、40代以上でも十分に転職は可能でしょう。

Q8 転職の求人情報はどうやって調べたら良いですか?

A.初めての転職では転職エージェントがお勧めです。

転職のための情報は次のように、さまざまな方法で探すことができます。

1.転職サイトや求人誌などの転職メディアや、Webの求人検索
2.転職エージェントなど、相談やあっせんをする職業紹介事業者
3.業界団体や、転職支援企業が開催する転職イベント
4.各企業のコーポレートサイト
5.知人経由の勧誘・紹介

特に、初めての転職をする人には転職エージェントがお勧めです。数ある求人の中から自力で必要な情報を集め、転職市場の相場感を測るのは至難の業。転職エージェントなら、相談者のキャリアや強みにマッチした選択肢を提案し、面接対策などの具体的なアドバイスも提供することができます。

転職エージェントには、「総合型」と「特化型」の2種類があります。総合型の転職エージェントは、幅広い業界や多様な職種の求人に対応しているのが特徴。特化型の転職エージェントは、職種や業界、勤務地、年収など、特定の分野に特化した転職支援を行っています。希望する業界や職種、条件などが明確な場合は、総合型に加えて、特化型の転職エージェントも併用することをお勧めします。

Q9 未経験でも転職しやすい業界はありますか?

A.「求人が多い」「成長している」がポイントです。

一般的に「転職しやすい業界」として挙げることができるのは、「有効求人倍率が高い業界」です。企業からの求人件数に対して求職者の数が少ないという意味で、有効求人倍率が低い業界に比べると、より転職できる可能性が高いと言えます。

もうひとつのお勧めは、ITを始めとする「成長している業界・企業」への転職です。成長している業界や企業は業績が右肩上がりに拡大し、事業内容も急速に広がっているため、常に人手不足であり、転職可能性も高いと言えます。その企業のビジネスに紐づくスキルや知識をアピールできれば、未経験者でも採用される可能性はあるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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