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EMCとは?EMCに関わるエンジニアの仕事・資格・人材ニーズを解説

EMC

「EMC」に関連する仕事に「興味がある」「転職を考えている」エンジニアの皆さんに、最近のトレンド、働き方、キャリアパス、人材ニーズなどについて、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーがお伝えします。

EMCとは?

「EMC」とはelectro-magnetic compatibilityの略。JIS規格では「電磁両立性」と訳されています。IEC(国際電気標準会議)において、「装置またはシステムの存在する環境において、許容できないような電磁妨害をいかなるものに対しても与えず、かつ、その電磁環境において満足に機能するための装置またはシステムの能力」と定義されています。

「ノイズ(電磁気的な雑音)」を放出して周囲に障害を与えないようにする「エミッション(EMI)」と、他のノイズを受けて誤作動を起こさない「EMS(イミュニティ)」を両立させるのがEMC技術です。

ノイズの問題は電気機器が生まれて以降、ずっと存在するもので、古くは「テレビを見ているときに電子レンジを使うと映像が乱れる」などが挙げられます。携帯電話が登場してからは、「飛行機の計器への影響を防ぐため、離着陸時に電源を切る」「心臓ペースメーカーへの影響を防ぐため、電車の優先席付近では電源を切る」といったルールが敷かれました。

こうしたノイズ対策はずっと続けられてきたものですが、電気・電子機器の高機能化に伴い、さらに重要性が高まっています。

特に最近では、次のような背景から対策が強化されています。

自動車の電子機器化

自動車には数万点ともいわれる部品が使われていますが、そのうち電子部品が占める割合が高まっています。

走行中、地上で飛び交っている電磁波の影響を受けて電子機器が誤作動を起こせば、事故につながります。そのため、自動車のEMC規格はもともと他の電子機器よりも厳しく規定されていますが、自動運転の開発・実用化が進む今後は、さらに厳しく規定され、高度な技術が求められるでしょう。

IoTデバイスの増加

あらゆるモノがインターネットとつながる「IoT(Internet Of Things)」の関連製品も実用化に向けた開発が進められています。電子機器同士の通信に支障をきたさないよう、電磁波の影響軽減が課題となります。

5Gの普及

2020年、次世代通信規格「5G」商用利用が日本でスタート。多くの端末の同時接続が可能となるため、今後の普及に伴い、電波環境はより複雑なものになるでしょう。大容量・超高速の信号を処理するため、端末にはさらに高度なノイズ対策が求められることになります。

EMC対策を担うエンジニアの仕事内容

メーカーや設計専門会社などで回路設計を手がけるエンジニアであれば、設計プロセスの中でノイズ対策を行っていることが多いようです。

一方、EMCを専門に手がけるエンジニアは、完成品メーカーや部品メーカー、およびメーカーの子会社であるEMCエンジニアリング会社、EMCの試験所、コンサルティング会社などに所属し、EMCの測定や試験、研究などに従事しています。

規格に対応した試験方法の企画・立案、装置の選定・導入、試験(ノイズ測定、誤作動判定など)、認定取得などの業務を行います。

仕事のやりがいは?どんな人が向いている?

試験や研究を中心的に担うEMC専門エンジニアの場合、社会インフラを支えられること、電気・電子機器産業の進化に貢献できることにやりがいを感じられるでしょう。秩序を整えることが好きなタイプの人に向いているといえます。

一方、モノづくりに携わる回路設計エンジニアは、EMCに関する知見を活かすことで、製品をより完成度高く仕上げられることに喜びを感じられるのではないでしょうか。

EMC分野の資格は?

EMC分野の資格として「iNarte EMCエンジニア」「iNarte EMCテクニシャン」があります。これはアメリカで無線・通信分野の技術者を認定する団体「iNarte」の資格であり、日本では一般社団法人 関西電子工業振興センターが試験を実施しています。

EMCの専門企業に所属しているエンジニアの多くがこの資格を取得しているほか、メーカーの回路設計エンジニアにも、スキルアップを目的に学んでいる人がいるようです。

どんなキャリアパス、キャリアチェンジがある?

EMC専門エンジニアの場合、EMC試験・測定業務からスタートし、試験の企画・立案(顧客との折衝)、プロジェクトマネジメントへとステップアップしていきます。

EMCのスペシャリストとして専門性を極めていく人が多いようですが、中にはEMCの知見を活かして電気・電子・半導体分野などのエンジニアにキャリアチェンジするケースもあります。

なお、回路設計エンジニアの場合、EMCに関する知見があればプラス評価され、より高度な設計業務を担ったり、希望の転職が叶ったりする可能性もあります。

EMCに関わるエンジニアの人材ニーズについて

EMC専門エンジニアについては、大手メーカーグループのEMCエンジニアリング専門企業などが、試験エンジニアやそのマネジメントポジションの採用を行っています。試験担当レベルであれば、EMC未経験者でも受け入れられます。

また、総合電機メーカーの研究所などでは、EMCのいわば「未来を考える」研究職の募集も見られます。

なお、回路設計エンジニアの求人においては、EMCの知見・経験・資格を持つ人を歓迎するものが多数。回路設計エンジニアとして転職する場合も、EMCの知識があれば選択肢が広がり、成功率が高まるといえるでしょう。

※本記事の内容は、2020年9月取材時点の情報です。

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リクルートエージェント キャリアアドバイザー 山本 信行
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主に電気・組込ソフトを中心に、機械・化学・技術営業などの幅広いエンジニアを担当。

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