転職エージェントを利用すると、求人の紹介だけでなく、応募書類のチェックや面接のアドバイスなど、転職活動のサポートを受けることができます。IT業界への転職を検討している場合、転職エージェントはどのように選べば良いのでしょうか。転職エージェントの種類や特徴、メリットをご紹介します。
転職エージェントの種類
転職エージェントは、大きく分けて「大手・総合型」と「中小・特化型」の2つがあります。「大手・総合型」は幅広い職種・業界の求人を保有し、豊富な転職支援実績や転職ノウハウを元に、キャリアアドバイザーが転職の支援を行っている点が特徴です。一方、「中小・特化型」は特定の職種や業界、地域や年代などを専門分野として、「中小ならではの柔軟性」「密度の濃い情報提供」が特徴です。
IT業界に特化した転職エージェントの場合、主にIT・Web・ゲーム業界の求人を扱っています。職種はエンジニアを中心に、営業や管理部門などIT業界で働く職種を幅広くサポートしています。また、「大手・総合型」の転職エージェントでも、IT業界に特化した専門組織が対応しているケースも多いため、どちらを選んでも充分なサポートを受けることができるでしょう。
IT業界未経験の場合は、未経験者の転職支援実績も豊富で、IT業界以外の選択肢も提案することができる「大手・総合型」を、経験者であれば「大手・総合型」を中心に、場合によっては業界事情に精通している「中小・特化型」も併用することをお勧めします。
IT業界に強い転職エージェントの選び方
多くの転職エージェントが、保有している求人をWebサイトに掲載しています。興味を持った求人があれば、その求人を掲載している転職エージェントに申し込み、話を聞いてみるのが早いでしょう。IT業界への転職支援に力を入れている「大手・総合型」の転職エージェントの場合、IT業界やITエンジニアの専門サイトや特集ページを設け、サービスの特徴や専門のキャリアアドバイザー、転職事例の紹介などを行っているケースが多いため、専門サイトや特集ページを見て選ぶという方法もあります。
「中小・特化型」の場合は、「IT業界/ITエンジニアの転職支援」など、Webサイトに専門分野が記載されています。いずれにしても、転職成功のためにはキャリアアドバイザーとの相性も重要です。興味を持った転職エージェントがあれば、申し込んで具体的な話を聞いて判断するようにしましょう。
IT業界に強い転職エージェントを利用するメリット
IT業界に強い転職エージェントを利用すると、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか。詳しくご紹介します。
非公開求人を含めIT業界の求人が豊富
転職エージェントは、転職サイトや企業の採用ページなど、一般に公開していない「非公開求人」を数多く保有しています。新規事業の立ち上げや特定部門の強化に伴う人材採用では、競合対策などの観点で「求人を公開せずに採用を進めたい」という企業側の事情があるからです。また、採用業務を効率化するために、求人を非公開にして転職エージェントを活用するという企業もあります。転職エージェントを利用することで、自分だけでは探すことのできなかった求人に出会える可能性が高まるでしょう。
IT業界を熟知するプロのアドバイスを受けることができる
変化の激しいIT業界の場合、ニーズの高い経験・スキルや採用動向など、転職市場の“相場観”を掴むことが転職成功の秘訣です。IT業界に強い転職エージェントには、業界事情を熟知する専門のキャリアアドバイザーが在籍しているため、転職の意思決定に必要な情報収集を効率的に行うことができるでしょう。また、採用企業の業界でのポジションや強み、企業風土や働き心地なども把握しているので、応募する企業を選ぶ際にも有用なアドバイスを受けることができます。
また、面接対策や応募書類の添削を受けられる点も、転職エージェントを利用するメリットのひとつです。特にITエンジニアは経験スキルや言語、プロジェクト規模や開発環境など、職務経歴書に記載する項目が多く、まとめ方にコツがあります。IT業界への転職支援実績豊富なキャリアアドバイザーから、的確なアドバイスを受けることができるでしょう。
面接の日程調整や応募企業との条件交渉を代行してもらえる
面接の日程調整や応募企業との条件交渉など、企業とのやり取りは転職エージェントが代行するため、仕事を続けながら転職活動を行いたい方も効率的に進めることができます。IT業界はツール活用も盛んなため、転職エージェントもチャットやメッセンジャーアプリなどを活用し、スピードを重視する傾向があります。
応募企業に直接言いにくい条件交渉も、IT業界の年収や待遇の相場観を知っている転職エージェントだからこそ、スムーズに交渉してもらえるでしょう。
IT業界に転職する際の注意点
IT業界ならではの、独特の勤務形態や商流があります。業界経験者でなくても、「客先常駐」や「一次請け/二次請け」などの用語は聞いたことがある方も多いのでは。IT業界に転職する際の、注意点をご紹介します。
勤務形態を確認する
IT業界の場合、契約している顧客の職場で業務を行う「客先常駐」という働き方を採用している企業も多いのが特徴です。客先常駐で働く場合、指示通りに業務を行い、期日までに納品することを求められます。客先のルールに従って働くため、プロジェクトによっては不便を感じることもありますが、プロジェクトごとに様々な業務経験を積むことができるというメリットもあります。また、幅広い経験を積むことができる反面、長期で一貫したキャリアを描くことができないというデメリットも。特にITエンジニアの場合は、客先常駐を含めるかどうかで選択肢の幅が大きく変わるため、あらかじめ考えておきましょう。
商流を理解しておく
商流は、ITエンジニアを希望する場合に、事前に理解しておきたいポイントです。IT業界は、一次請け、二次請け、三次請け…といった階層構造となっています。顧客と一次請けがシステム開発の企画設計や要件定義を行い、二次請けに発注します。二次請けが自社で開発しきれない部分を三次請けに発注するという流れとなっているため、下流に行くほど開発範囲は限定的になり、テストなど単純作業も増える傾向にあります。また、発注ごとにマージンが引かれるため、上流工程と比較すると年収も下がる傾向にあります。応募する企業の開発は「自社開発/受諾開発」のどちらの割合が多いのか、また、受諾開発の場合はどの階層の案件が多いのかを把握しておくようにしましょう。
中長期でキャリアを考える
他の業界に比べて、IT業界は転職回数に対して寛容な傾向があります。特にIT・Webエンジニアは、採用ニーズが高く人材不足のため、経験・スキルが合致していれば転職回数は問わないという企業もあるほどです。転職しやすい業界だからこそ、5年10年先のキャリアを見据えて、転職の方向性を考えることが重要です。例えば、「エンジニア未経験なので条件を緩和して転職し、数年間の経験を積んでから、条件の合う企業に経験者として転職」など、転職理由を中長期で実現するようなキャリアパスも含めて検討しましょう。