サーバーエンジニアの職務経歴書の書き方・見本です。よい職務経歴書を作成するためには、人事担当者に対して自分の経歴をわかりやすく書くことや、効果的な自己PRが必要です。
どのように書けば分かりやすくなるのか、何を意識すれば効果的な自己PRになるのかをリクルートエージェントのキャリアアドバイザーがアドバイスします。
見本のWordファイルをダウンロードできますので、参考にしながら自分の経歴を記入し職務経歴書を作成してみましょう。
サーバーエンジニアの職務経歴書作成のポイント
職務経歴書を作成するにあたっては、自身が経験してきた仕事内容を羅列するだけでなく、「どんな志向を持っているか」「仕事において何を大切にしているか」「仕事の中でどんな創意工夫をしてきたか」が伝わるように書くことを意識しましょう。
サーバーエンジニアが職務経歴書を作成する際に心がけたいポイントは次のとおりです。
携わったプロダクト名・サービス名はすべて記載する
経験があるプロダクトやサービスは、短期間しか携わっていないものも含め、すべて記載しましょう。開発環境や言語・ツールなどの記載も漏れのないようにしてください。例えば、「VM3年」「LoadBalancer3年」「VPNGateway2年」といったように、携わった期間も付記しましょう。
なお、記載不足によって、読み手の誤解を招くこともあります。例えば、「インフラ全体の設計・構築を担当」といった一言でまとめてしまい、「ネットワーク、サーバ、セキュリティすべてできるのか」と思われてしまうケースも。経験した領域・製品について、なるべく詳細に記してください。
「これから目指したいもの」につながる経験・スキルを強調して書く
転職後に手がけたい業務、磨きたい専門分野などがあれば、そこにつながるような経験・スキルについて厚めに記載するといいでしょう。
「○○分野は経験がないが、これから手がけていきたい」という場合は、「自己PR欄」にその旨を記します。目指す理由も書き添えれば、意欲が伝わりやすくなります。
アピールしたいプロジェクト経験については、「工夫したこと」を添える
職務経歴書には経験したプロジェクトをひととおり記載しますが、強調してアピールしたいプロジェクトについては、そのプロジェクトの目的や環境などを踏まえ、「心がけたこと」「工夫したこと」「成果」なども添えておくといいでしょう。ポイントを簡潔に伝えておくことで、注目され、面接の場で話題に上がりやすくなります。
一方、すべてのプロジェクトに共通して大切にしていたこと、心がけていたことなどは「自己PR」欄に総括してまとめましょう。
これらを整理するためには、過去の経験から「苦労したプロジェクト」「面白かったプロジェクト」など、
特に印象に残っている仕事を思い出してみてください。その当時、どんなことを考え、周囲の人とどのように関わり、どう行動していたかをくわしく振り返ってみると、書き出しやすくなるはずです。
プロジェクトマネジメント経験は具体的に伝える
プロジェクトのマネジメントを経験してきた方であれば、プロジェクト人数のほか、「どのような流れでプロジェクトを進めたか」「メンバーに対してどのように関わってきたか」まで記すようにしましょう。
一口に「難しいプロジェクトを完遂した」と言っても、多くの人を巻き込んで協力を得ることで難局を乗り越えた人もいれば、スケジュール調整や納期延長交渉で手腕を発揮した人もいると思います。マネジメントにおける自分の強みが伝わるように書いてください。
顧客折衝の経験・スキルを伝える
サーバーエンジニアは、テクニカルスキル・マネジメントスキルに加え、「顧客折衝」の経験にも注目されます。顧客のニーズに応え、信頼を獲得するためにどのような工夫をしていたかを記載することをお勧めします。
例えば、「要件定義に際し、認識のズレが生じないように定例ミーティングを週3回実施」「顧客先の現場の人にもヒアリングを行い、業務背景を理解するよう努めた」といったように、顧客とどのように関わったかも整理して伝えるといいでしょう。
学習姿勢・向上心をアピールする
進化のスピードが速い分野ですので、最新情報のキャッチアップや知識習得に対する姿勢が重視されます。どんな方法で情報収集や学習をしているかについても、「自己PR」や「自己学習」などの欄を設けて記載することをお勧めします。
「月○回、勉強会に参加」「月○冊の専門書を読む」「年間○時間、Webセミナーを受講」といったように、具体的な数字で示すと説得力が増します。参加しているセミナーや購読しているメディアなどの名称を記載してもいいでしょう。
未経験者は「自己学習」「仕事以外の経験」「志望動機」を記載
未経験からサーバーエンジニアを目指す場合は、上記で挙げたように、独学の内容を具体的に記すことで、基礎知識レベルや意欲が伝わりやすくなります。
なお、職務経歴書には社会人経験のみを書くものと思っている人も多いようですが、学生時代の経験も記載して構いません。「異業界・異職種に就職したけれど、学生時代はITを学んでいた」など、応募職種につながる経験があれば記載しましょう。
企業側は「なぜ未経験からサーバーエンジニアになりたいのか」に注目していますので、サーバーエンジニアを目指したきっかけや動機、目指すエンジニア像についても記載しておくといいでしょう。
サーバーエンジニアの職務経歴書の書き方見本
職 務 経 歴 書
20xx年xx月xx日現在
氏名 ○○ ○○
■職務要約
・20xx年xx月~現在 株式会社△△△△
データセンターにてサーバ構築・監視作業を3年経験した後、クラウド事業部に異動し3年間クラウドエンジニアとして、サーバ構築、アーキテクチャ設計に従事。
■職務経歴
□20xx年xx月~現在 株式会社△△△△
期間 |
プロジェクト内容 |
20xx年xx月
~ 現在 |
大手機械メーカー向けDR環境構築プロジェクト ●概要 基幹システムに対する災害対策のため、データセンター付近で災害が起きた際にオンプレミス環境からクラウド環境に自動移行するための移行環境構築。 ●担当業務 提案書作成: 工数見積もり、およびシステム構成図を作成。 要件定義:業務部(エンドユーザー)との仕様決め打ち合わせに参加。 議事録を作成。 基本設計:移行方式を選定。基本設計作成。 詳細設計:パラメータシート作成。メンバーが選定した設定値のレビュー実施。 構築 :オンプレミス環境に合わせたサーバ、ネットワーク環境をクラウド上に構築。 進捗報告:プロジェクトリーダーとして、進捗会議にてお客様に報告。 ●ポイント 顧客の既存環境がHyper-V環境であったため、クラウド環境に移行する際にリスクが少ないと思われるAzureのサービスを選定。(移行のためのシステム変換が不要であるAzureSiteRecoveryを利用するのが最適であると判断したため) 自社内でAzureSiteRecoveryの初導入PJであったため、ノウハウを型化。 結果:前例がないプロジェクトでありつつも納期通りにプロジェクトが完了したことと、仕様書や設計書、構築ツールを型化したことが評され、優秀プロジェクトマネージャーとして社内表彰を受ける。 |
【環境】 Azure Linux Virtual Network LoadBalancer VPNGateway AzureBackup AzureSiteRecovery WindowsPowerShell |
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【役割】 PM 要員数:5名(PJ 全体:70名) 【管理項目】 コスト管理 工程管理 進捗管理 品質管理 |
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20xx年xx月
~ 20xx年xx月 |
大手教育機関向け学習データ連携プロジェクト ●概要 基幹システム及び学習アプリのデータ連携システム基盤構築。 ●担当業務 商談活動、要件定義、基本設計、詳細設計、構築、テスト エンドユーザーが使用する学習アプリのテストデータをビックデータで蓄積する為にAzureのAzure SQL Database(PssS)を導入。 ●ポイント 商談活動において、インフラ基盤をすべてクラウド環境で構築する案を出す企業が多い中で、弊社としては、セキュリティ担保の観点から基幹システムはインフラ基盤・学習アプリのデータ蓄積基盤をクラウド環境に置くことを提案。ハイブリットクラウドの設計・構築を実現。 |
【環境】 Windows Azure SQL Database Virtual Network LoadBalancer VPNGateway ExpressRoute AzureSiteRecovery WindowsPowerShel |
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【役割】 PM 要員数:2名(PJ 全体:50名) |
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20xx年xx月
~ 20xx年xx月 |
自社データセンターにおいて運用監視業務 ●概要 データセンターにおけるサーバ構築・運用保守担当。 ●担当業務 サーバ監視、データセンター内温度管理、新規サーバ構築。 |
【環境】 Windows Linux Cisco Zabbix |
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【役割】 メンバー 要員数:20名 |
■テクニカルスキル
OS | UNIX(HP-UX):4年2ヶ月/要件に応じた環境設計・構築が可能 Windows2012:1年/インストールから環境構築、開発が可能 Linux(RedHat):4ヶ月/手順書をもとにインストール可能 |
言語 | WindowsPowerShell:5年6ヶ月/処理の自動化が可能 |
データベース | Oracle:5年6ヶ月/構成の最適化が可能 PostgreSQL:7ヶ月/インストールから簡単なテーブル作成が可能 |
OSS | Docker:1年/要件に応じた環境設計・構築が可能 AMANDA:1年2ヶ月/効率的なバックアップ設計が可能 |
Azure 【IaaS】 |
VM:3年/要件に応じた環境設計・構築が可能 LoadBalancer:3年/要件に応じた環境設計・構築が可能 VPNGateway :3年/要件に応じた環境設計・構築が可能 ExpressRoute:3年/要件に応じた環境設計・構築が可能 AzureSiteRecovery :1年/要件に応じた環境設計・構築が可能 AzureBuckup: 2年/要件に応じたバックアップ設計が可能 |
Azure 【PaaS】 |
AzureADDomain Services :2年/要件に応じた環境設計・構築が可能 AzureSQLDatabase :2年/インストールから簡単なテーブル作成が可能 |
AWS 【IaaS】 |
EC2: 1年/要件に応じた環境設計・構築が可能 VPC: 1年/要件に応じた環境設計・構築が可能 |
GCP 【IaaS】 |
Compute Engine: 6ヶ月/要件に応じた環境設計・構築が可能 VPCネットワーク :6ヶ月/要件に応じた環境設計・構築が可能 |
■活かせる経験・知識・技術
〇顧客折衝
エンドユーザーとの仕様決め打ち合わせに参加、議事録を作成。
プロジェクトスタート後は、○○機能チームの案件リーダーとして、週一での進捗報告会議にも出席しています。
〇プロジェクトマネジメント
スケジュール管理・コスト管理・進捗管理・人員管理まで経験しています。PMPの取得を目指し、理論と実践を融合し、チームパフォーマンスの最大化を常に意識しながら業務を遂行してきました。
〇業務知識・開発経験
Azureに関しては、○百万円規模のシステムを全体構築できるレベルの知識を有します。
PaaSの組み合わせとそれを考慮したIaaS基盤を構築することができます。
AWS・GCPについては簡単なIaaS設計・構築が可能であり、3大パブリッククラウドのプロダクト・サービスを比較してソリューション提案をすることができます。
■資格
・AWS認定ソリューションアーキテクト(20xx年xx月)
・Azure MCP70-534(20xx年xx月)
■自己PR(技術、PM、顧客)
相手の立場に立ったコミュニケーション
特にユーザー折衝、構築メンバーへの技術指導を行う上で、より良い人間関係を構築できるよう努めてまいりました。いきなり自分の意見を述べるのではなく、まずユーザーの意見を十分に聞いた上で一緒に考え、最適な解が出せるよう努めてきました。
構築メンバーへの技術指導については、構築に必要な業務知識から説明することにより、メンバーが納得感、参画意識をもって開発に従事できるように心がけました。
こうしたスタンスでのコミュニケーション方法は、私の今後のキャリア形成においても様々なフェーズで活きてくると思っております。
■自己PR
マルチクラウド人材を目指して
実務ではAzureメインで業務遂行をしていますが、顧客にとって最適な提案ができる人材になれるようマルチクラウドに対応できる人材を目指し、AWS・GCPも自己学習しています。
IT勉強会支援プラットフォームサイトを活用し、クラウドサービスごとの勉強会に定期的に参加するよう努めています(年間あたりAzure4回、AWS3回、GCP2回)。
このような勉強会に参加することで最新のOSS情報も集め、自身の知見を深めています。
以上
【職務経歴書のダウンロード(Word)】
各項目の解説
職務要約=あらすじ
職歴を分かりやすく伝えます。自分の仕事にキャッチフレーズをつけたらどうなるか、を意識して100文字程度にまとめてみましょう。
職務経歴=内容
業務内容は「どこで」「誰に対して」「どんなことをしてきたか」が分かるように書きます。具体的には、在職期間/ 会社名/ 規模/ 事務内容/ 自分が行った業務内容を記載します。また、会社の規模や実績などは数字で表すと分かりやすいでしょう。
活かせる経験・知識・技術
実績・成果を上げるための工夫点や業務において意識したことを簡潔に記載します。
資格・スキル
業務と関連する資格を持っている場合は、必ず記載しましょう。
自己PR=アピール
自己PR は文章または箇条書きで記載します。どの企業でも通用するビジネスパーソンとしてのコアスキルを簡潔に記載しましょう。箇条書きの場合3 つほど、文章の場合は5 行以内が目安です。
最後は「以上」で締めくくります。
提出前に最終チェック
□ 誤字脱字がないか
□ 入学/ 卒業や入社/ 退職などの年月を間違えていないか
□ 見出しやタイトルがあり、読みやすいレイアウトになっているか
□ 日付や氏名など基本的な項目が抜けていないか
□ 文章は誰が読んでも意味が分かるように書けているか
□ 具体的な工夫が入っているか
□ 履歴書など他の応募書類の内容と齟齬がないか
【参考記事】
リクルート(旧:リクルートキャリア)の転職エージェントサービス「リクルートエージェント」のキャリアアドバイザーとして、主にSE・ITエンジニア全般を担当。