複数の企業に応募し内定が出た場合は、志望度の高い企業以外の内定を辞退することになります。
内定後に辞退する場合は、どのように連絡したら良いのでしょうか。また、内定承諾後の辞退は可能なのでしょうか。内定辞退のマナーや内定辞退の考え方のヒントをご紹介します。
中途採用で、内定をもらった後に辞退は可能?
回答期限内で承諾をしてない状態であれば、内定の辞退は可能です。辞退の場合も、内定通知をもらったらできるだけ早く回答しましょう。ただし、興味があるからこそ内定が出た企業に応募し選考を受けたはずです。また、情報収集や面接など、貴重な時間や労力もかけています。他に応募している企業や現職と比較し、内定辞退が本当に最善の選択肢なのかを慎重に検討してから回答するようにしましょう。
なお、他の企業の選考が並行しており、回答期限までに選考の合否が分からない場合は、「実は、他の企業の選考が進んでおり、申し訳ないのですが回答が〇日になりそうです。内定承諾まで少々お時間をいただくことは可能でしょうか」など、内定を出した企業に早めに期限延長の相談を。ただし、採用企業側は入社予定日も考慮して求職者に内定を出しています。2~3日程度の延長であれば受け入れてもらえる可能性もありますが、長くなる場合は他の求職者を優先され、待ってもらえないリスクもあるので注意しましょう。
内定辞退のマナー
企業に直接応募している場合は採用担当者に、転職エージェントを利用している場合は、担当のキャリアドバイザーに内定辞退の旨を伝えます。内定を出した企業は、内定を辞退することによって一刻も早く選考中の他の求職者に内定を出すか、募集を再開する必要があります。そのため、内定企業や転職エージェントの営業時間であれば、内定辞退の連絡はまず電話で一報を入れ、その後、辞退理由とともにメールで正式に伝えることをお勧めします。
電話で連絡する場合の回答例
お世話になっております。〇〇職の内定をいただきました△△です。
いまお時間をいただいてもよろしいでしょうか?
先日は内定をいただき本当にありがとうございました。
頂戴した内容を、今後のキャリアプランなども含めて改めて検討させていただいた結果、
大変心苦しいのですが、今回の内定を辞退させていただきたくご連絡差し上げました。
(理由を聞かれた場合)
家業を手伝うことになり、貴社への入社ができなくなりました。
貴重なお時間をいただいたにもかかわらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません。
本来はお会いしてご説明すべきですが、まずは口頭にて状況のご説明をしたく、ご連絡差し上げました。
後ほど、メールでも辞退理由とお詫びをお伝えさせていただきます。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。
メールで連絡する場合の回答例
XXXX株式会社
人事部 □□□様
お世話になっております。〇〇職の内定をいただきました△△です。
この度は、内定のご連絡をいただき本当にありがとうございました。
頂戴した内容を、今後のキャリアプランなども含めて改めて検討させていただいた結果、
大変心苦しいのですが、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡差し上げました。
家業でベテランの社員が退職された上に、健康面でも不安を感じ始めた両親に、
経営を手伝うことを懇願されました。
貴社でのキャリアと大変悩んだのですが、後継者を見つけて経営を安定させるまでは、
家業に従事しようと考えております。
貴重なお時間をいただいたにもかかわらずこのような結果となり、
本当に申し訳ございませんでした。
今後の貴社の発展を心よりお祈りしております。
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署名
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内定承諾後の辞退は注意が必要
内定を承諾した後、入社辞退をしたい場合は注意が必要です。法的には内定承諾後の辞退も労働者の自由として認められていますが、企業側は採用活動にコストをかけ、内定承諾した以上は入社準備も進めています。採用活動が振り出しとなるため、企業にも迷惑が掛かりますし、選考が進んでいた他の求職者を採用見送りにしている可能性もあります。転職エージェントも「内定承諾後辞退」を起こしてしまったことで、企業との信頼関係が損なわれるでしょう。
もちろん求職者側も、辞退の仕方やタイミングによっては何度も説得をされたり、後ろめたさによる心理的な負荷がかかったりするため、転職活動にマイナスの影響を及ぼすリスクもあります。また、ネガティブな印象を抱いた内定企業の関係者や転職エージェントと、いずれ関わる機会が発生する可能性もゼロではありません。そのため、内定承諾はできる限り慎重に検討した上で行うことをお勧めします。
内定承諾を迷っている場合のヒント
内定承諾の判断に迷っている場合は、まず自身の判断軸を整理して、企業や転職エージェントに相談しましょう。一人で悩んでズルズルと期限を迎えてしまうと、焦って誤った判断をしてしまうリスクがあるからです。悩んだまま内定承諾をした結果、入社後に考えが変わったり不安が解消したりして「内定承諾して良かった」となるケースもあれば、不安が的中してなかなか活躍できなかったり、ギャップを感じたまま早期退職に繋がったりするケースもあります。後者のケースに該当してしまうと、求職者・企業・転職エージェントの三者にとって成功とは言えません。
内定承諾を迷っている場合は、回答期限に時間的な余裕のある段階で、企業や転職エージェントに誠実に不安や悩みを伝え、面談の場を設けてもらうなどして話し合いを行いましょう。企業や転職エージェントとしても、ギャップや不安を感じたまま入社するのは避けたいものです。お互いが納得した上で入社を決めるために、早めに相談して会話できる場を設け、着地点を探りましょう。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。