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【会社都合退職の履歴書の書き方】「一身上の都合」と書いたらどうなる?

会社都合 退職

「会社都合退職」「自己都合退職」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。退職には、会社都合と自己都合の2つの理由があります。
では、会社都合の退職とは一体どのようなものなのでしょうか。また、会社都合退職だと、転職活動にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
そこで、会社都合退職と自己都合退職の違いや知っておきたいことについて、社会保険労務士の岡佳伸さん監修のもと、解説します。

会社都合退職の履歴書の書き方

会社都合退職とは、倒産や業績悪化に伴う事業縮小など、会社の都合によって退職するケースが該当します。履歴書には、「会社都合により退職」と記載するのが基本です。

記載例

経歴
20XX年 X月 ○○株式会社 営業部に入社
20XX年 X月 会社都合により退職

退職理由を書いた方がいいケース

前述した通り、会社の都合によって退職するのが会社都合退職です。一方で、労働者が自ら希望して退職を申し出るケースは「自己都合退職」に該当します。なお、労働者が自ら退職を申し出たとしても、「辞めざるを得ない」という判断に至った理由が企業側にある場合も会社都合退職となります。会社都合退職と自己都合退職で、退職理由まで書いた方がいいケースとその理由について解説します。

会社都合退職の場合

入社して短期間で退職した場合、自己都合だと「入社してもすぐに転職してしまうのでは」と採用担当者が不安を抱く可能性が高くなりますが、倒産や事業撤退などやむを得ない会社都合での退職では、在籍期間の短さを問われないケースがあります。

そのため、入社して間もなく会社都合によって退職を余儀なくされた場合は、その理由を記載しておくと良いでしょう。

自己都合退職の場合

自己都合退職の場合は、「一身上の都合により退職」と書くのが基本です。ただし、家族の転勤や介護など、やむを得ない理由により退職した場合は、退職理由を書いておくと短期間で退職したとしても選考に影響しない可能性があります。

契約期間満了につき退職の場合

契約社員や派遣社員など、有期雇用で契約期間が終わり退職した場合は、「契約期間満了につき退職」と記載します。なお、契約期間の途中で本人からの申し出により退職した場合は、自己都合退職になります。一方、契約期間の途中で企業側から契約を解除した場合は、会社都合退職となります。

会社都合退職の理由を面接で聞かれた場合の回答例

会社都合退職の理由を面接で聞かれた場合の回答例をご紹介します。

「前職は外資系企業だったのですが、競合の参入が多く事業が伸び悩み、本国の判断で日本から撤退することになりました」

「入社して半年後に給与の遅配がありました。面接や普段の会話では業績は好調だと聞いていたのですが、確認したところ自転車操業だったようです。経営に不安を感じて転職を決意しました。」

「社会保険が未払いだったようで、行政から督促が入って経営が行き詰まりました。自分は客先常駐だったため会社の経営状況を把握できておらず、きちんと確認しておけば良かったと反省しています」

会社都合退職した際に知っておきたいこと

会社都合退職の場合は、雇用保険の基本手当(失業保険)を受給するために必要な被保険者期間や受給までの日数が自己都合退職よりも短くなります。

失業保険の受給条件

失業保険を受給するためには、自己都合退職の場合は原則として退職日の前2年間に雇用保険の被保険者期間が12カ月以上必要ですが、会社都合退職(特定受給資格者)の場合は1年間に6カ月以上と短くなります。
なお、この被保険者期間は単独の会社での在籍期間ではなく、複数の会社の期間を通算することができます。

条件 必要となる被保険者期間
自己都合退職 12カ月以上
会社都合退職 6カ月以上

失業保険受給までの日数

失業保険の手続きを行い受給資格が決定したら、雇用保険受給資格者証が交付されますが、失業が認定されるまでには約3週間程度かかります。
失業が認定されたら、会社都合退職であれば約1週間程度で失業保険の支給が開始されますが、自己都合退職ではさらに「待機期間7日+給付制限期間原則約2カ月」が必要となります。失業保険を早く受け取ることができる点が、会社都合退職の大きなメリットです。

条件 認定から支給開始までの日数
自己都合退職 待機期間7日+給付制限期間原則約2カ月
会社都合退職 約1週間程度

なお、失業保険の支給を受けることができる日数は、年齢や雇用保険被保険者だった期間、就職困難者(障害者等)であるか、そして退職理由などによって90~360日の間で決定されます。解雇や倒産などが退職の理由の求職者は「特定受給資格者」に該当し、受給期間も長くなります。

会社都合退職に関するQ&A

会社都合に関する疑問にお答えします。

Q.会社から解雇されたのですが、履歴書には「自己都合による退職」と書いても大丈夫でしょうか?

A.退職理由は正しく記載しましょう。失業保険を受給するためには、退職理由が記載された「離職票」が必要となります。また、応募企業によっては入社手続きなどで離職票の提出を求めるケースもあるので、応募時点では判明しなくても、後日退職理由が明らかになってしまう可能性があります。

Q.離職票を見たら「自己都合退職」となっていましたが、残業が多すぎて退職を余儀なくされたため「会社都合退職」のような気がしています。どうしたらいいのでしょうか?

A.会社都合(特定受給資格者)の定義は厚生労働省の「特定受給資格者及び特定理由離職者の判断基準」を参照してください。タイムカードや給与明細など、残業の事実を裏付ける資料があれば準備し、ハローワークに相談してみましょう。

【監修】
社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所 岡 佳伸氏

大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
記事作成日:2020年12月24日
記事更新日:2023年06月29日
記事更新日:2024年07月25日

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