転職活動を始めると、必ず伝えることになる「志望動機」。
その内容はもちろん大切ですが、「締め」の言葉までこだわると、印象の残り方が変わってきます。
では、印象に残る志望動機の「締め」を、どのように整理し、作成すればいいのでしょうか。
キャリア形成のプロフェッショナルである組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にそのコツについてお伺いしました。
志望動機は「締めの言葉」も大切
企業の採用担当者に「面接で会ってみたい」と思ってもらうために作成している、履歴書や職務経歴書。その中に記載する志望動機で、採用担当者に「面接で会ってみたい」と、思ってもらうためには、細部まで気を遣う必要があります。
締めの言葉は選考に影響する?
志望動機は、応募の理由・意欲を伝えるものです。
実現したいキャリア、そのために活かせる具体的な経験、会社への共感を伝えた上で、締めの部分に「御社(貴社)を強く志望している」という言葉があると、より好印象につながります。
一般的な定型文はNG?
「よろしくお願いします」という言葉で締めくくる人を多く見かけます。謙虚で丁寧なように見えますが、こういった一般的な定型文は、「どうしてもこの会社に入りたい」とアピールする力に欠け、他の会社でもいいのではないかと思われてしまいます。
志望動機の締めの言葉でアピールする方法
締めの言葉で印象を残すためには、どんな点に気を付ければいいのでしょうか。次の3つのポイントを押さえておきましょう。
志望度の高さ
「同業他社も応募しておりますが、御社(貴社)への入社を強く希望しています」など、同業他社も検討している中でも特に、志望意欲が一番高いことを伝えます。応募企業特有の魅力に言及し、他社にはない志望度の高さを伝えましょう。
前向きな意欲
「一日でも早く貢献できるよう、プロジェクトマネージャー資格取得を目指して勉強しています」など、専門分野の勉強や、セミナー(ウェビナー)への参加、実際のサービスを利用する等、応募企業の業務に少しでも早くキャッチアップするために、準備していることを伝えます。実際に行動している内容を具体的に伝えると、成長しようという前向きな意欲が伝わります。
将来性/伸びしろ
「現職では、営業チームのリーダーをしており、御社(貴社)に入社後3年でマネージャーとして貢献できるよう努力いたします」など、近い将来への目標を明確にし、将来はさらに貢献度の高い人材を目指していることを伝えます。ただ、現在の実績と目標がかけ離れていると、スキル・経験を客観視できていないと見られることがあるため、今のスキルを基準に、将来の目標を伝えるようにしましょう。ほかにも、業務プラスアルファで学んでいることを伝える方法もあります。
志望動機締めの言葉の例文
では、実際にどのよう表現したらいいのでしょうか。締めの言葉で気を付ける3つのポイントのいずれかを押さえればよいため、それぞれを使用した場合の例文をご紹介いたします。
【OK例文】
■志望度の高さ
・今回は同じ業界の他社も応募していますが、内定をいただいた際は御社(貴社)に入社させていただくと心に決めております。
・クラウドファンディングの中でも、飲食分野に特化して課題解決されている御社(貴社)の事業内容に価値を感じており、強く志望します。
・自ら手を挙げて様々な業務にチャレンジできる、御社(貴社)の社風や環境に魅力を感じ、共に働きたいと望んでおります。
■前向きな意欲
・一日でも早く貢献できるよう、簿記一級取得を目指し、勉強を進めて参ります。
・御社(貴社)のウェビナーに参加させていただき得た知識を、即戦力となるよう活かして参ります。
・内定をいただいた際は、少しでも早く成果につなげられるよう、御社(貴社)の見込み顧客をリストアップし、準備に邁進いたします。(営業職)
・御社(貴社)のサービス展開に貢献できるよう、施策の企画を準備して参ります。(マーケティング)
■将来性/伸びしろ
・現職で営業チームのリーダーをしており、入社後は三年以内にマネージャーとなり、御社(貴社)に貢献していきます。
・コンサルタントとしてお客様から信頼いただけるよう、今後も中小企業診断士の勉強を継続しながら、御社(貴社)事業に貢献いたします。
・お客様の課題を技術面から深く理解した提案を行うため、プログラミングの勉強を行っております(営業)。
面接の際も、以上の注意点を踏まえ、緊張して言葉じりが不明瞭にならないよう、堂々と話すよう心掛けるとよいでしょう
志望動機締めの言葉のNG例文
謙虚さからか、「~したいと思います」「~できるよう努力いたします」など、控えめな「締め」を見かけることもあります。しかし、選考においては、自信をもって実績を伝え、その企業で実現したいことを言い切り、伝え切ることが大切です。次のような例文は、具体性やアピールに欠けるため注意が必要です。
【NG例文】
転職エージェントに相談してみるのもひとつの手段
ただ、自分一人で考えていると、強いアピールになり過ぎているのではないか、言い足りていないのではないか、と不安になることがあるかもしれません。その際は、転職エージェントを活用し、客観的な視点で見直してもらうと、自信につながります。転職成功のためには、視野を広げてみるのも一つの方法です。
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
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